二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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東方 『神身伝』
日時: 2010/05/10 14:23
名前: お (ID: Gx2AelYh)

弾幕STG、東方プロジェクトの二次創作小説になります、かなりグダグダで、オリジナル設定にオリジナルキャラクター等が多数に登場するため、そういった物が苦手、もしくは受け入れられない方々は回覧を御控頂きますようお願い致します。
 
文章力、語学力、表現力に乏しいため、読んでいただく方に、かなりのご迷惑をおかけするかもしれませんが、それでも一生懸命に妄想し、一生懸命に製作していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
後、投稿方法等も曖昧にしか解っていないため、ページの区切り方等も不自然になったりする事もございますので、どうかご了承下さい。
 
そして、ご意見やご感想など頂けますと幸いに思います。
 
物語概要
とある青年、水上冬馬(みなかみとうま)はある日のバイトの帰り道に、不思議な狼に出会う。
その出会いが、彼を幻想の世界へ導くと同時に、壮大な戦いの渦へと巻き込んで行く。
現世と幻想、そして、もう一つの世界、全てが繋がる時、伝説は幕を開ける。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜目次〜〜〜〜〜〜〜〜〜
プロローグ 
>>1 
第一章 出会い
>>2>>3>>4>>5>>6>>7>>8>>9>>10
間行
>>12>>13
第二章  日常の終わり・非日常の始まり
>>14>>15>>16>>17>>18>>19
第三章 幻想郷
>>20>>21>>22>>23>>24>>25
 

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Re: 東方 『神身伝』 ( No.12 )
日時: 2010/05/07 17:29
名前: お⑨ (ID: a32fGRWE)

〈間行〉
 

カツン、カツン、カツン、カツン。

綺麗に掃除されたタイル張りの広い廊下を、二つの影が歩く。
一人は女性で、ふくよかな胸の谷間が大胆に見えるセクシーな紺色の和服を着ていて、紅色の髪をぽっちりの付いたゴムで、小さなツインテールにしてる。 
しかし、それよりも目を引くのは、彼女が手に持つ大きな鎌だ。 
まるで『死神』を思わせる大きな鎌を、和服姿の女性は違和感なく持っている。 
もう一人は男性で、こちらは至ってシンプルな黒いスーツ姿の男性だ。
だが、手には難しい漢字の書かれた見慣れない尺が握られていて、妙にそれが浮いて見える。
男は女性の後を歩いていて、どこかに案内してもらっているようだ

「悪いねぇ小町ちゃん、休憩中だったんだろう?」

男は低く太い声で、申し訳なさそうに前を歩く女性に声を掛ける。

「いやいや、気にしないで下さい。
あたいの休憩はこの程度の時間で無くなりませんから。」

小町と呼ばれた女性は、首だけ後ろに向けて満面の笑みで答える。 

コツン

「いて!」

そんな彼女の頭を何かがこついた。

「私は、貴方にそこまでの休憩時間を与えた覚えは有りませんが?」

小町が顔の筋肉を引く尽かせ、恐る恐る声のする方向に視線をむける。
そこには小町より一回り小さな、青い髪の少女が立っていた。

「え、映姫様、どうしてこちらへ。」

「私が私の客人を迎えに来るのに理由が必要ですか?」

映姫と呼ばれたその少女の手には、男の持つ物と同じ尺が有り、小町に怪訝な眼差しを向けながらそれで口元を隠している。

「そんな事より………貴女わ……またさぼっていたのですね。」

映姫は絵に書いたような綺麗で『真っ黒』な笑顔を小町に向ける。

「いやぁ〜あのぉ〜ですね。」

「問答無用です。だいたい貴女は。」

「はいはいはい、映姫ちゃん今日はそこまでな。私を迎えに来てくれたんだろ?」

小町への説教が始まった瞬間に男が間に入り、それを強制的に止めに入る。

「し、しかし。」

「今回は、私の顔を立ててくれ。」

男は、これ以上無い爽やかかな笑顔を浮かべて言う。

「あ、貴男がそう言うのなら、仕方がありません。」

映姫は、不完全燃焼全開の不満な顔で渋々男に従う。

「だってさ小町ちゃん。
ありがとう、後は映姫ちゃんに案内してもらうから。」

「は、はい。あ、ありがとうございました。」

小町は、深々と頭を下げると、逃げるようにその場から去っていった。

Re: 東方 『神身伝』 ( No.13 )
日時: 2010/05/07 17:30
名前: お⑨ (ID: a32fGRWE)

〈間行 続〉
男は映姫に案内されて、とある一室に入る。

そこは広いとは言えないが、綺麗に掃除され、可愛らしいアンティークなデザインの家具が多数置かれた、女性らしい一室だ。

「ん〜、何時来ても良い部屋だと感心するよ。」

「いえいえ、そんな事は。
珈琲でよろしかったですね。」

「んあ、ああ〜有難う。」

映姫はそう言うと、カウンターキッチンで珈琲を淹れる。
二人は部屋の中心に有る丸く可愛らしいテーブルの椅子に腰掛けて。
早速、珈琲の香りを味わいながらそれを口に運ぶ。

「ん〜、いい香りだ。」

「先日、知り合いからいい物を頂いたので。」

「紫ちゃんかな?」

「あら、知っていましたか?」

「ああ、彼女は何かと目立つからね。」

「全く、恥ずかしい限りです。」

他愛の無い会話の中でも、双方共に実に気品に溢れたものを想わせる。
暫く、そのような他愛の無い会話を続けていたが、男がその和やかな空気を断ち切る。

「さてと、そろそろ本題に入らせてもらおうかな。」

男のその言葉一つで、一気に空気が変わり緊張が走る。
普通ならその場にいたく無くなる様な、重たい空気なのだが、映姫はいたって平然と男に視線を向けている。

「イレギュラーがこちらに来たようなのだ。」

「イレギュラーですか・・・・・。」

映姫は確認するように、その言葉を繰り返して言う。

「ああ、そちらの者がこちらに来た可能性は?」

「今の所、報告は受けていませんが、直ぐに確認できます。
さてと、盗み聞きの癖は未だに直っていないようですね、紫。
今回は大目に見ますから出てきなさい。」

映姫の発言の直後に部屋の壁に黒い隙間が現れる。
中は、無数の目がギロギロとあちらこちらを見ていて正直に気持ち悪い。
その中から、紫色の服を着た長いブロンドヘアーの綺麗な女性が現れた。

「申し訳ありません、現世の閻魔様が来るという事で、どうしても気になってしまいまして。」

彼女は映姫に深々と頭を下げて謝罪する。

「それはもういいです。っで、話は聞いていたのでしょう?どうなのですか?」

「はい、ここ最近は結界も安定していますし、こちらからもそちらからも侵入したと言う可能性は有りませんわ。」

紫は映姫の目を見つめてハッキリと言い切る。

「・・・・・・・・・本当のようですね。」

そして、暫く紫の瞳を見つめていた映姫が、ぼそりと呟いた。

「うむ、映姫ちゃんが言うなら本当なのだろうな・・・・・・・。しかし、それならなおさら問題だな。」

現世の閻魔は更に深刻な表情になり、顎に手を当て考え込む。

「そうですね・・・・・・なら、一度こちらで、そのイレギュラーを預かり様子を見ましょう。
もともと、こちらは『そういう世界』ですし、何かしら判断を下すのもそれからでも遅くない筈です。」

映姫の提案に、暫く考えていた閻魔だったが。
大きなため息を付いて、それを了承した。

「私の答えを出す程度の能力が出した答えだ、それで行こう。」

映姫は、それを確認すると早速紫に命令を出す。

「では、頼みますね。」

「分かりました、目標は。」

「うむ、水上冬馬と呼ばれる青年だ。」

「解りました、では早速行って参りますわ。」

紫は何も無い空間に指を突き出し、その指で上から下にゆっくりと下ろす、すると隙間が現れその中へと消えていく。

「紫、他の者には決して見られてはいけませんからね。」

隙間が消える前に映姫はそれだけ告げる、紫は隙間の中から「解っていますわ。」と返事をすると今度こそ隙間の中に消え、それと同時に隙間自体も消えてしまった。

Re: 東方 『神身伝』 ( No.14 )
日時: 2010/05/08 10:01
名前: お⑨ (ID: NzSRvas.)

<第二章  日常の終わり・非日常の始まり>

目を覚ますと、そこは病院の一室だった。
医者から話を聞くと、酷い怪我で病院に運ばれてきたそうだが、奇跡的にも命に別状は無く、千切れていた腕も後遺症も無く回復に向かっているそうだ。
人並み外れた回復力の賜物だそうだ。

医者から、日頃の食生活や身体の事を事細かに聞かれたが、それよりも大変だったのが、泣きじゃくる琴美を落ち着かせる事だった。
俺の顔を見るなり大声で泣き出してしまい、それを落ち着かせるのに結構な時間が掛かった。
その後にも、親族やバイト先の店長達が見舞いに来てくれて、自分が周りに心配をかけた申し訳なさと、自分の恵まれた人間関係の嬉しさ再認識した。

しかし、それ以上に頭の中を支配する物が有った。
確かに、おれはあの公園で腕が吹き飛んで、体が穴だらけに成った筈だ・・・・・・・。
今思い出しただけでも体が恐怖に震える。

琴美から聞いた話だと、自分の家は、ドアが強引に突き破られるような形で完全に壊れていて、窓ガラスも粉々になっていたそうだ。
更に、俺が発見された公園は、テロにでも有ったかのように壊滅していたらしく、そのことで警察が何度か事情聴取にも来ていた。

「夢じゃ無いんだよな・・・・・・・。」

その言葉と共に頭に浮かぶのは、一匹の狼だ。
そう、全てはあの狼と出会った事で起きた事。
しかし、誰に聞いても狼の行方は解らなかった、唯一姿を見た事の有る琴美も、あれ以降は狼の姿を見ていないと言っていた。
薄れ行く意識の中で、追っ手と対峙していた狼。
常識的に考えて死ぬ筈の自分が生きている事実。
全てが全て、頭の中で混乱を招く。

「だああああああ、もう何なんだよ・・・・・・何処に行ったんだよ。
意味わかんね〜よ。」

自然と愚痴にもにた言葉が口から出てくる。
言っても仕方が無いことは十二分に承知している、しかし、口に出さないと不安と恐怖で押し潰されそうになる。
数多くの不安や謎は、一つも解決する事無く無残にも時間だけは過ぎていった。

それから1週間もしないうちに、身体も大分と回復して腕も完全に繋がり、医者からも明日か明後日には退院できると告げられた。
そんなある日の夜の事だった。
病院で目が覚めてからの数日間、色んな事を頭の中で考えていて、まともに睡眠を取れていなかったのだが、今日は珍しく寝つきが良かった。

そして、夢の中にあの狼が出てきたんだ。
 

Re: 東方 『神身伝』 ( No.15 )
日時: 2010/05/08 10:02
名前: お⑨ (ID: NzSRvas.)

第二章 続

愛も変わらず真っ白で綺麗な毛並みに凛とした顔でこちらを見つめている。
手が届くところまで近づいていくと、狼は下を向いて耳を下にたらしてしまった。
見るからに申し訳なさそうな感じがにじみ出ている。

『どうしたんだ?』

思わず、話しかけていた。

『私は、貴方に私の使命を背負わせてしまった。』

使命?何の話だ?それよりもいまお前は何処にいるんだ?生きているなら姿を見せてくれ。
聞きたい事が山ほど有るのに、先程と違って言葉が出てこない。

『本当に、申し訳ない。』

だから、何の話なんだよ?
聞きたい、でも言葉が発せられない。
でも、何かを俺に『託した』その事だけは解った。

『それは、誰にでも背負わせられる物だったのか?』

言葉が出る、何故だ?

『いえ、貴方だから、貴方にだから私は・・・・・・・』

狼は、俺の目を見つめて強い口調で言う。
 
『解った、背負うよ』

俺はしゃがみ込んで、狼を優しく抱きながら決意した。

『君が俺を信頼して託してくれた何かを、必ず・・・・・必ず守り抜いて見せる。』

狼は、冬馬の言葉を黙って聞き、そして、抱きつく冬馬の頬にその頭を摺り寄せる。

『貴方で、本当に良かった。
どんな事があっても、絶対に死なないで。
貴方の命は世界の希望です。』

狼はそれを告げると、身体が光を放ち始めそのまま光の球体に姿を変えて宙に浮いていく。

『忘れないで、貴方の命は希望の光・・・・・・・・私は貴方の中に。』

そして、光の球体はそのまま冬馬の中へと消えていった。

Re: 東方 『神身伝』 ( No.16 )
日時: 2010/05/08 10:03
名前: お⑨ (ID: NzSRvas.)

第二章 続2

「っは。」

そこで、冬馬は目を覚ました。
夢から覚め、暗い部屋の中で上半身を起こし、夢の中で狼に触れた両手を見つめる。
その手の中に2滴3滴と水が落ちる。
冬馬は無意識に涙を流していた。
理由なんて解らない、ただその瞳からは涙が溢れた。
夢に出てきた狼の言葉『私は貴方の中に』、夢にも拘らず繊細に残るその内容。

「意味わかんね。」

病院で目を覚まして、何回口にした言葉だろうか、しかし今までのような負の感情の篭った言葉では無く、何処か嬉しさの様な雰囲気が漂った言葉だ。
冬馬は自然とその手を胸元に当てると、力強い自分の鼓動を感じる。

「助けてくれたんだよな。」

その方法は解らない、でも、あの狼が自分を助けてくれた事は解る。

「ありがとう。」

窓の外の、月明かりが綺麗な夜空に目を向け、独り言のように冬馬は呟いた。

暫く寝ようと目を瞑っていたが、一向に眠れる気がしない。
眠れない冬馬は、夜風に当たるために窓を開けて、暫く外を眺めていた。
今まで抱えていた謎や不安、そのどれ一つとして解決された訳ではないのに、彼は妙に清々しい気持ちだった。

「なんだか、いい気分だ。」

「それはいい事ですわね。」

独り言のつもりだった、いや、どんな言葉を発しても独り言になる筈だ。
ここは病院、しかも真夜中だ、コールでもしない限り、ノックも無しに病室に誰かが入って来る事なんて有り得ない。
勢い良く後ろを振り返り、声を押し殺して質問する。

「誰だ・・・・。」

病室の出入り口のところに、人影が見える、どうやら傘を差した女性の様だが、どうにも部屋が暗くてよく解らない。

「そんなに、警戒しなくても良くってよ。
怪しいものではありませんわ。」

驚くほどに透き通るような綺麗な声の女性は、ゆっくりと此方に近づいてくる。
一瞬にして緊張が走る、嫌な汗が一気に噴出し、緊張で水分を無くした喉がそれを求め、無意識に口にある僅かな唾液を喉を鳴らして飲み込む。

「だ、誰がこの状況でそんな言葉を信じるんだ?」

わざと余裕ぶって見せる、言葉の通じる相手なら、なんとかして言葉で言いくるめられるかも知れない。そんな僅かな希望が、彼に言葉を喋らせる。

「そうですわね、行き成り信用しろなんて無理なことですわ。」

彼女はその歩みを止める事無く、ゆっくりと確実に冬馬との距離を詰めてくる。
そう、まるで獲物に狙いを定めた獣のように。


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