二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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たからものの死臭 【鋼錬】オリキャラ募集中!
日時: 2011/08/25 18:47
名前: 一条夏樹 ◆iYEpEVPG4g (ID: l4scGqhv)










【ハガレン、トリップ!】
            
          
 
       
      ※観覧注意




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Re: たからものの死臭 【鋼錬トリップ】 ( No.1 )
日時: 2011/08/27 22:55
名前: 一条夏樹 ◆iYEpEVPG4g (ID: l4scGqhv)

   

00のせかいときみ     長編 − 0 −



何かが壊れるような音がしたのは気のせいではなかったらしい。
きっとそれは前々から感づいてはいたのだけれど否定する気がないから放っておいた。
 
人を壊すのもものを壊すのも大好きだけれどそれはわたしが壊すから意味が在るのであって自分以外の他人にそんな狂気じみた性癖があるとは到底思えない。
だから硝子玉を2階から落とすのもわたしだけができる行為だとおかしな自己満足に陶酔していてその音がするまで気付きたくなかった、それが粉々に砕け散るときどんなにたまらない興奮と快感を得られるのと恍惚に焦がれていた。

ベランダに置いておいた硝子玉は白い地面にひとりでに落ちてしまっていた。誰にも知られずひっそりと、下を向いても硝子の破片が太陽を反射してきらきらとひかるだけ。

(つめたい)頬をつたる液体を感じた
(どうして)わたしはきみを壊したかったはずなのに
(きみは)ああおねがいいかないでなぜ死んでしまったの
(みたしてゆく)突き刺さる尖ったひとつの悲しみとそれを覆う朝もやのような感情
      
(わたしは)きみを愛していた?わたしが今まで壊してきたものはわたしが愛していたものだった?哀しみも寂しさも喜びも幸せもぜんぶきみがおしえてくれた。
最後に残った独り善がりなわたしの愚かさとほんのすこしのきみへの愛憎。きみに許してもらう術も愛してもらう術ももうなくなってしまった。きみはもう帰らぬ人となって去り際にわたしのこころにぽつりと穴をあけていった。
   

きみがいない世界はひどく憂鬱で汚れた手も錆と血の赤が黒く変色してべたりと肌にへばりついている。鉄の臭いが鼻について笑いがこみあげてきた。
もうどうでもいいや、何が誰が?しらないそんなこと、誰かが死んだ?そんなひと居たの?ねえ、どうしてだれも応えてくれないの、だれもいな、い?わたし、が?きみ、を。やめてやめて考えたくない!
 
青と白のいろを映すひとみ。太陽が白く昇り人工物の壁のつめたい匂い。ワンピースの裾がはためく。足元を蹴った。無機質でかなしい死が身近に感じられた。コンクリの地面がだんだんとその面積を増しては耳をつんざく轟音が薄くなって、そのうち色も音も消えていった。
      


Re: たからものの死臭 【鋼錬トリップ】 ( No.2 )
日時: 2011/08/27 22:56
名前: 一条夏樹 ◆iYEpEVPG4g (ID: l4scGqhv)

   


Ephemeral Bubble   長編 − 1 −
  
     
       
もし天国という場所があるなら、わたしはそこにいけるだろうか?
今まで慎ましやかに平凡に生きてきたとはいえないのに、その上おおきな罪をひとつ。否、罪など何回も重ねた、そこにあるのは罪ではなく、純粋な悪意。地獄だとか罰なんてまっぴらだから、きみにおくる悲しみや後悔はあるけど、生憎神様に捧げられるような気持ちなんて持ち合わせていない、だからわたしは死ぬと「きえてしまう」んだろうな、って単純に考えることにした。動かぬ肉はあれどそこにいた筈の誰かは何処を探そうと見つかりっこない。存在が消えて、やがて人々に忘れられて、なにも思い出せなくなってから、そうして人ははじめて死ぬんだと思う。じわりじわりと、声も顔もいのちも全部失ってゆく。
     
———わたしもきみとおなじになれたよ
  
もう居ない、いとしいひと。わたしがあやめた、たいせつなひと。
声が枯れるまで叫んでもどれだけ泣いても無駄な行動だった。だってきみはかえってこないもの。だからわたしは、きみと一緒のことを、って。来世だとかあの世で幸せになりたいなんて今更そんな虫のいいことなんて思ってない。ああこれで少しでも救われるんじゃないかとさえ感じていたのに。こんな世界、間違っても望んじゃいない(神様これは、わたしへの罰ですか?)
  
目が覚めると、正しくは不可抗力で覚まされると、ぽつりとその身が投げ出されていたのは道端だった。あたりは仄暗く、ちらちらと人の気配が感じられる。手も動くことを確認して、自分が何をみているのかも、着ている服だって確認して——目をしろくろさせた。屋上から見えた景色はお世辞にも良いとはいえない白いコンクリ。目にうつるいまの景色はぽつぽつと街灯の灯る暗いまち。そんなことあっていいものか。確かにわたしは死んだのに。(死にぞこない、微かにそんな低い声がきこえたようなきがした)「な、んで」むしろ泣きたい。わたしはそこから飛んだのに!自分が死ぬのさえ認められていないかのような妙な悔しさが胸いっぱいに広がった。
  
大丈夫ですか、と声を掛けられる。不意に振り向くと、日が暮れていて顔がよく見えないが、声質からして若い少年のようだ。「すいませんこんな道端で・・・・あれ?」しろくひかる街灯が彼の姿を照らした。何よりも目に付いたのは全身を覆う金属製の鎧。こちらに向かう度鉄が擦れる音が響いた。「失礼ですが、どこぞの外出するたび額を狙われるような組長だとか二代目だとかそんなことはありませんか?」我ながらなんて質問だ。とにかくわけがわからない、その一言につきる。
 
「ちがいますよ!そんな危ない人じゃないんです!」
「あ、ちがいますって言ったじゃないですか!これは、その、ええと・・・趣味で!」「随分良い趣味をお持ちですね。」「そうですかあ?、僕金属鎧コレクター?なんですよ。」「明らかにクエスチョンマーク入りましたよね?ね?聞いてますー?」
 
 
もう疲れた。立ち上がった瞬間に頭が重くて痛くてなんだか前がみえないことに戸惑う。暗い、そうだ、海の底みたいに圧し掛かってくる圧力。ふわふわ足がそこに無いみたいだ。うっかり踏み外したら地を失って下まで落ちていってしまいそう。朦朧とするちいさな意識を手放せないまま、その少年(金属←これ必要よね)に肩を支えられて、その道を歩いていった。
       
              


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