二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- レッドレイヴン —からっぽの人形—
- 日時: 2012/05/11 17:40
- 名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
- 参照: http://www,kuroneko.cc/novel
小説、書きまーす。
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- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.209 )
- 日時: 2012/06/19 14:23
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
「…君、覚えておきたまえ。ボクの名に懸けて、この恨みを晴らしてやるからな」
レイはぐったりとしながら、物騒なことを言う。しかし、注射を打たれたという理由で吐いたその言葉に、迫力はない。
(もう、十分晴らしているよ)
レイと同じく、ぐったりとしているアンディは心の中で言った。
赤黒い血が流れているレイを普通の病院に連れて行くわけにもいかず、闇医者に世話になることになった。
闇医者曰く“普通なら今頃あの世行きになっている出血量だった”だそうだ。輸血を受け付けない体で、治療にてこずったらしいが、この様子を見る限り傷は大丈夫らしい。…油断はできないが。
アンディはシャルルに目配せし、立ち上がった。
「…どこに行くのかね」
「朝食を食べてくるだけだよ」
知性とおぞましさと儚さが混ざった、禍々しいまでに紅い瞳がアンディを捉える。
いつもはどこを見ているかわからない瞳である分、こうして見られれば妙に緊張する。
(探られてるみたいだ…)
ふと、レイは視線をずらすと疲れたかのようにため息を漏らした。
「……そうか」
“早く行け”と言わんばかしに、手を振るレイ。治療の際、心配していた自分がバカみたいだ。
アンディはレイに背を向けて部屋を後にした。
「…嘘つきと名乗っていた者に、わかりやすい嘘をついてどうするのだよ、<首狩り屋>」
レイの言葉を聞いたのは、ノアだけだった。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.210 )
- 日時: 2012/06/23 00:02
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
空いていたカフェテラスに腰掛けたアンディは、ポケットから紙を出した。
「信用できるのか、それ?」
シャルルは紙を覗き込みながら言った。
「さぁね」
「さぁねって…罠だったらどうするんだよ」
シャルルの言葉を否定する声が上がった。
「失礼ね。そんな姑息なまねは、私の主義じゃないから安心して」
いつの間にか正面に白いローブを着た女がいた。
僅かに波打つ黒髪に蠱惑的な黒目、妖艶と言う言葉がぴったりな女をアンディはにらんだ。
「座ってもよろしくて?」
「レイの何を知っているんだい?この紙に教えてやるって書いてあるけど」
アンディは女の言うことを無視して、訊く。
「全て…とは言えないけど、ほとんど知っているわ」
女はアンディの前に座った。
「なら、質問は3つ。何故教えるのか・レイはどうして狙われているのか・君はレイのなんなのか」
「いいわよ。それが私の目的だから」
アンディの問いに女はあっさりとうなずいた。
(何考えてるんだ?)
自分で訊いておきながらだが、女が何を考えているのかがわからない。
「レイと私の関係は私の名前を知った方が早いわ。私はキラ・クラウディウス。スキャッグスに手を貸している殺し屋。レイにとっては…世間でいう母親と言うものかしら?」
「………………嘘だ」
儚いや清らかと言う言葉が似合うレイとは、正反対の印象を抱かせるキラ。似ても似つかない2人が親子だと言われても、信じられないのは当然だ。
「信じるかはあなた次第よ。レイが狙われているのは、あの子があなたと同じくらいの力を持っているから。それなのに、戦闘人形として育てていたのに、あなたのせいでレイは感情を抱いてしまったわ」
あまりにも自分勝手すぎる発言に、アンディは不快感が募った。
「戦闘人形だって?」
「ただ、命令を聞くだけではなく状況を判断し行動する人形よ。そのために、幽閉して人を遠ざけていたのに…残念ね」
心底残念そうにするキラだが、目は笑っている。
「だから、あるべき姿に戻してあげている」
「レイの周りの人間を殺したのもお前か」
“君”ではなく“お前”になったが気にしない。
キラはうなずく。さも、当然そうに。
「すべてなくなれば、人の心は壊れるものなの。でも、簡単にはいかないようね」
「スキャッグスに手を貸していられるわけがわかったよ」
狂った思考にアンディは吐き出すように、声を出した。
「残った質問の回答は、現状を乱す為よ。レイを人形にするにはこうするのが一番いいの」
「僕がレイにこのことを言わないと思っているのかい?」
「言わないんじゃない。言えないのよ。考えてみて頂戴。レイにとって私は、母親である以上に自分の人生を狂わせた人であるのよ。そんな人が許せると思う?」
(…許せるわけがない)
アンディの表情で答えがわかったのだろう。キラは続けた。
「その人から、あなたの物を壊しますって言われてごらんなさい。当然阻止しようとするでしょ。そしたらあの子は強くなろうとする。まぁ、それがスキャッグスと私の望みだけれども」
アンディはようやくキラが言いたいことがわかった。
阻止する為に強くなろうとするが、壊された場合も同じ結果になる。…復讐をしようとして。
そんなこと、言えるわけがない。
(…こういうところはレイと似ているみたいだ)
心理戦が得意なところだけが似ている。アンディの心を揺さぶるのが目的だったらしい。
「そろそろ、戻るわ。でも、忘れないで。あなたたちはスキャッグスの道具だということを」
クスッと笑ったキラからは、あの甘い甘い香りがして、アンディはめまいがした。
その間にキラは立ち上がると、アンディの死角に入る。
「待て!…くそ」
アンディが周りに目を向けた時には、キラの姿はなかった。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.211 )
- 日時: 2012/06/19 15:22
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
№210の内容がわかりにくくなりましたね。
大目に見てください。すみませんでした。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.212 )
- 日時: 2012/07/02 15:51
- 名前: 黒猫 (ID: jX/c7tjl)
レイはチラッと扉を見て、また本に目を移す。
(…………遅い)
気付けば、また扉のほうを見ていた。
アンディが出て行ってから、結構時間がたった。なのに、戻ってこない。
(やはり、行かせたのは失敗だったかね)
アンディがキラに呼び出されたことはすぐに分かった。しかし、アンディは自分に嘘をついて行った。ついてきてもらいたくないためだからだろう、そう思ったレイは騙されたふりをした。
(…何故、ボクがあいつの心配をしなければならない)
ふと、ここでレイはほんの少しだけ顔をしかめた。
補佐だから心配しているだけだと思っていたが、それとは何かが違う。義務や使命からくるものではない。
コンコン—扉が叩かれて、紅茶色の髪をした女性が入ってきた。
「…君は」
「ここの医者の助手よ」
さらりと言葉をかえして、女性はレイの額に触れた。
「熱は…ないわね」
そういうと、手に持っている注射に目をやる。
注射は真ん中から切断されていた。
「…もう一度訊く。君は誰かね」
「だから、医者のじょ」
「…真新しい血のにおい。殺したのか」
誰を、とは訊かない。アンディはまだ帰ってきていない。となれば、必然的にだれが殺されたかわかる。
女性はにこやかに笑う。
「えぇ。あ、安心して。あなたは殺すように言われてない。壊すようにはいわれたけど」
レイはノアに視線をやると、フンと鼻を鳴らした。
「…〈首狩り屋〉は簡単に殺されない」
「それに、アンディは帰ってきたよ。あなたはここで捕えられる」
ノアは付け加えをした。
「猫がしゃべった?…まぁ、そこはいいとして、確かにあたしの力じゃ無理ね。だって、失敗作だから」
足音が聞こえてきた。なのに、目の前の女性は落ち着いている。
ここで女性が動いたところで、レイはやられない自信があった。そう、動かなければ…
扉が開かれた。同時に、女性の口も開く。
「だから…あなたが《狂猛の目》を壊すの」
ガン—殴られるような感覚が頭を走った。
女性は動いていない。ただ、悠然とこちらを見る。
「—っ、レイ!」
アンディの声を聴いた。
そこで、プツンと、レイの思考は途切れた。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.213 )
- 日時: 2012/07/08 12:33
- 名前: 黒猫 (ID: jX/c7tjl)
瞬時に女性が敵だと判断したアンディは、女性に向かって駆けた。
瞬く間に間合いを詰めると、ケースを振りかぶった。
「—何!?」
シャルルが困惑と驚愕が混じった声を出す。
ケースは止められていた。それだけなら、シャルルもここまで驚かなかっただろう。
ケースは—
宙で静止している椅子で受け止められていた。
(この力は…!)
突然、椅子が重力の存在を思い出したかのように落下した。均衡を失ったアンディは、たたらを踏みながらも、体をひねる。
ヒュ—ガラスの破片がアンディの腕をかすめた。
「な…に、やってるの、レイ!!」
ノアは悲鳴に近い声を上げた。
レイは女性の目の前に立ち、短刀をアンディに突き出す。その顔は、どこかぼんやりとしている。
ケースで受け流すと、アンディは入口まで下がった。
「操られている…?」
「へー、すごい。こんなに早く見破られたのは初めてだ」
女性はレイの横に立つと、レイの頭にポンと手を置く。
「あたしはミラ。人を1人操る力を持っている。人形を壊して連れて行かなければならないんだけど、あたしは非力なものでね。走ることすらできないんだ。だから…あなたが代わりに壊して」
ミラの言葉とともに、レイはアンディに突進した。
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