二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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レッドレイヴン  —からっぽの人形—
日時: 2012/05/11 17:40
名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
参照: http://www,kuroneko.cc/novel

 小説、書きまーす。
 

  

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Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.204 )
日時: 2012/06/16 20:23
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 夢だと思いたかった。
 今見ているのは全て、悪い夢だと。
 しかし、レイの考えを否定するように、少年は呻いた。
 「か…はっ」
 ポタ
 黒い刀身を、赤い血が伝って落ちる。その刀身を握っているのはレイだ。
 レイは初めて少年の名前を呼んだ。
 
 「…ア、ンディ」


 レイの目の前にいるアンディは、右肩から左脇腹にかけて切り裂かれている。
 アンディはガクッと膝を折る。それを支えようとしたが、非力な自分に支えきれるわけもなく後ろに倒れた。
 何があったのか、どうしてこうなったのか、全く分からない。
 ただ、分かるのは—











 


 レイ・クラウディウスがアンディを斬ったということだ。



 時は2日前に逆戻る。

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.205 )
日時: 2012/06/18 12:26
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 「以上だ。…1つ訊いてもいいか?」
 『…何かね』
 「俺に情報をたかる為だけに、電話してきたのか!」
 リューは電話に向かって怒鳴った。
 『………そういうわけではない』
 「返事が遅い!」
 レイから珍しく電話がかかってきたことに嬉しく思っていた自分がバカだった。
 「だいたい、嫌いならどうして電話すんだよ!」
 『…政府よりも君の方が早い』
 情報を仕入れるのが、そう言いたいらしい。
 レッドレイヴン補佐と言う仕事をしているレイ。どう考えても、マフィアのリューとは対極の立場だ。
 それでも、こうして情報を与えてしまう。
 もう自分の思いは届かないのに、だ。
 (そろそろ、諦めようかな)
 なのに、それなのに—
 『…それに、嫌いだがそれと同じくらい大切な友人の、無事を確認できる』
 「熱でもあるのかよ」
 『…ない。ただ、少しは周りに目を向けようと思っただけだ』
 レイが深く息を吐く音が聞こえた。
 『…情報は感謝する』
 ガチャン—電話が切られた音がした。
 (そんなこと言われたら、諦めきれなくなるだろうが!)
 リューは悲しそうに笑った。
 
 

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.206 )
日時: 2012/06/18 13:55
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 「いい加減、言っちゃいなよ」
 ノアはアンディの肩に乗ったまま、器用に前足で頭を突く。
 「“僕がネーヴェだったんだ”それだけだよ。たったの11字を言うだけだよ?」
 「それって、レイがどんな反応をするかわかって言ってるのかい?」
 きっとレイは…アンディを拒絶する。
 アンディに開きかけた心を再び閉ざすだろう。
 「そんなにレイに嫌われたくないんだ。でも、本当に言った方がいいよ」
 ノアは知っている。この少年がレイに特別な感情を抱いていることに。そして、少年はそれをどんな感情だかわかっていないことに。
 今だって、アンディはリューに電話をかけているレイを見ている。
 (人より自分のことを気にした方がいいよ)
 ノアは心の中でそうつぶやいた。
 「それに、最近レイに避けられているから、話せない」
 「そういえば、確かにレイはアンディを避けてるね」
 歩く時でさえ、一定の距離を保とうとしている。仕事に支障を出していないからいいが、はっきり言って異常だ。
 (そうだよ。なんかレイがおかしい…)
 寝る間も惜しむようにひたすら本を読んだり、部屋を片付けたり、朝起きたら髪を研いたりしている。
 前半はまだしも、後半は当たり前のことだが、今までレイの相棒として一緒にいたノアは初めてレイが一般人と同じ行動をするのを見た。
 「もしかしたら…レイは熱があるのかも!」
 「…ない」
 ノアはいつの間にか電話ボックスから出てきていたレイを、心配そうに見た。
 「本当?」
 「…リューにも同じことを言われた」
 「何を言ったの?」
 レイはため息をつくと、
 「…嫌いだがそれと同じくらい大切な友人の」
 「あー、もういいよ」
 ノアはレイを遮った。これ以上言わせたら、アンディが可哀想だ。
 「おい、遊んでいる暇はないぞ。で、どうだった?」
 シャルルはレイの肩に乗った。
 「…ドルン一家に出入りしている妙な女がいるそうだ。おそらく、それがスキャッグスを流していると思う」
 「そうか…。ここで悩んでも仕方ない。アンディ、乗りこみに行くぞ」


 ノアはこの時シャルルを殴っておかなかったことを、後悔することになった。

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.207 )
日時: 2012/06/18 15:47
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 『…嫌いだが同じくらい大切な友人の』
 
 
 アンディは頭に浮かんだ言葉を振り払うように、ギロチンを銃にぶつけた。
 「その銃、どこで手に入れたのさ」
 「し、知らん。俺はただ、女からもらったんだ!殺さないでくれ!」
 誇りも何もない姿。これがマフィアのボスだと思うと、これについていた部下が哀れだ。
 「執行人は判定書にしか従わない」
 アンディはギロチンを振った。




 ギロチンを振って、血を落とす。
 突然、くらっとするほど甘いにおいがした。強烈なまでに甘いそれに、アンディは吐き気がしてしゃがみこんだ。
 キィン—アンディの後ろで、金属音がした。
 「アンディ、大丈夫か!?」
 シャルルが目の前に飛び降りた。
 「何が…あった」
 「白いローブを着た女が突然現れた。敵だと思ってよさそうだ」
 少しだけ後ろの首を動かす。それだけで、吐き気がぐっと増した。
 レイが刀を横薙ぎして、銃を持った乱入者を斬りつける。しかし、どんな素材でできているのか、女が突き出した銃は刀を受け止めた。
 アンディの目からしてもあの刀はめったにない業物だ。それを銃で受け止めたとは信じがたい。
 2人はお互い反対方向に弾け飛んだ。
 「…面白い」
 レイはスッと刀を構える。そして、地を蹴った。
 間合いにとらえると、レイは大きく体をひねって刀を横薙ぎした。全身のばねを総動員させたその大振り。圧倒的な速度が生み出す鋭さ。
 (速い…!)
 自分の身長と変わらない長さの刀をあれだけの速さで振れるのは、レイが全身を使って振ってるからだ。ぜんまいのように体をひねり、そのばねで刀を放っている。動作が大きいにもかかわらず、身のこなしが尋常でないくらい速い。
 レイを過小評価していたつもりはないが、ここまでの技量があるとは思わなかった。
 女は受けきれないと判断したのだろう。とっさにかがみこんで回避する。
 「…無駄だ」
 レイはその動きを“読んで”いたらしく刀を振り切らず、流れるような動作で刀を下に向かわせる。
 女は刀を銃身で受けると、もう片方の銃をレイに向けて引き金を引く。
 その時にはもう、レイは刀を引いて横にはねていた。
 アンディは吐き気をこらえると、ギロチンを女に投げた。
 女は避けるが、避けた先にはレイがいた。レイは女ではなく、銃を斬る。銃身は耐えきれずに、ようやく斬りおとされた。
 ローブの裾を払って、新たな武器を出そうとする女だが、レイのほうが速い。
 刀を振りかぶるレイ。人を殺さないが、傷つけることはできる。
 女のフードが、ローブの裾を払った衝撃でずり落ちた。


 「…キ、ラ?」
 


 怯えたような声。恐怖に顔をこわばらせたのは—レイだった。
 振りかぶった手が止まる。
 「レイッ!!」
 アンディは走ったが、間に合わない。
 キラと呼ばれた女は小ぶりのナイフを出す。そして—横にナイフを滑らせた。
 レイの首から赤黒い血があふれた。
 目を見開くレイに女はささやく。
 「大丈夫。動脈だけを斬ったから、すぐに治療すれば命は助かるわ」
 言い終わると、女はレイの体をアンディに向かって蹴り飛ばした。
 視界を一瞬閉ざされたアンディは、レイを受け止めてすぐの周りに目を走らせた。
 女の姿はどこにもなかった。
 アンディは舌打ちをすると、レイの状態を見た。
 (出血が多い…)
 顔色も白を通り越して青に近い色をしていた。チアノーゼを起こしている可能性がある。
 病院が嫌いとか言っている場合ではない。アンディはレイを抱え上げた。ノアと同じくらいの軽さが、どれほどレイが深刻な傷を負ったか理解させる。
 (守ってやると言ったのに…)
 アンディは唇を強くかんだ。

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.208 )
日時: 2012/06/19 05:03
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

 キラ?キラって誰でしょう!?
凄く気になります!続き、頑張って下さい!


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