二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- ONEPIECE -海姫- 建て直し!!
- 日時: 2012/03/13 12:58
- 名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)
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海に愛された不老不死の少女
700回目の夏を迎える時
海への道は開かれる
海に嫌われる悪魔の実
ただ1人海に愛されるその実を
〝ウミウミの実〟と呼ぶ
その実を食べた者は海に攫われて、
700年目の夏まで老い、死ぬこともできずに
——直に海に攫われる少女
海に愛されたせいで
人とともに死ぬ事が出来ぬ、
哀れな海の姫—
√建て直し完了
一度更新は止まりましたが立て直しという形でまたスレをたてさせていただきました。
更新を待っていた人たちには頭があがりません。
どうかまた、この物語とセナ、そして私を宜しくお願いします。
√本編【未完】
微原作沿いだがほとんどオリジナル。
少しエース寄りだけどエース〝落ち〟ではないので恋愛要素ほぼなしな連載。
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一度に読みたい方はこちら【>>1-43】
√前スレでお世話になったお客様
・。*星空姫*。・様/氷兎様/なまくら将汰様/ゆえ様/凪様/ハノ様/ランランルー様/葵様/何でも様/Aerith様/星兎様/霧火様/月那様/白樫様/莉央様/Dr.クロ様
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- Re: ONEPIECE -海姫- 建て直し!! ( No.34 )
- 日時: 2012/03/11 15:44
- 名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)
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眼がさめれば、辺りはまだ暗くて。
時計を見るとまだ深夜だと分り、ベッドへ戻る。
ルシファー島をでて、此の島へ来た。
宿をとり、休んでいる途中だった。
「………夢、?」
そして私は夢を見た。
とても懐かしくて、幸せで………でも、でも
突然不幸は訪れたんだ。
私の島は、蒼ノ国(アオノクニ)といわれる島だった。
海が、世界で一番果てしなく蒼く綺麗だからだ。
元、海の島。
ある男のせいで蒼ノ国は深海に沈んだ。
あの海の島と言われる廃墟は、蒼ノ国の残骸だ。
「蒼狩り」
あの時、世界一番の権力を持っていた男の命令で蒼ノ国の人々が、殺されたり、奴隷にされたのだ。
それを、今は「蒼狩り」という。
蒼狩りという事件は、歴史から抹消されたのだが。
私と——あの子も、その被害に在った。
〝きみらは殺さないであげる。…そのかわり永久にぼくに仕えて〟
幸い殺されはしなかった。だけど残された道は、奴隷しかなかった。
〝ね、きみらの名前は?〟
〝私は、…シンフォニー・アルト・セナです〟
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
〝おれは、………シンフォニー・アルト・セラ〟
—————セナの、弟。
***
——こんこん、
ドアを叩く音が、静かな闇にすうっと消えゆく。はっとして、目を覚ました。
——今のも、夢?茫然としていると、またノックする音が聞こえる。
それを耳にとらえて、泣きはらした目を裾で拭うと、ドアを開けた。
そこにいたのは、エースで。
「どうしたんですか?」
「………泣いたのか?」
「え?そんなわけ………」
—ないじゃありませんかその言葉が、唇からこぼれる事は無く。
エースがセナを抱きしめて部屋に入る。
「…エース、さん?」
「おまえが、泣いてる気がした。」
一気に世界が色付く。エースは深刻そうな顔をしていて。
「……ふふ、馬鹿ですね」
本当、あの子みたいだ。
——あの子
——私の、愛しい弟。
「私の昔話を、しましょうか。」
あの子に似た弟をもつ、エースさんに。
ただ、
聞いて欲しい。
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- Re: ONEPIECE -海姫- 建て直し!! ( No.35 )
- 日時: 2012/03/11 15:46
- 名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)
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—700年前
奴隷にされて、2年たったある日。
奴隷としてもらう仕事はどれも過酷なものばかりで、
唯一の幸せは、弟——セラ——の顔を見れる事だけだった。
「お姉ちゃん」
私は、今19歳。
セラは、今17歳。
セラも、大きくなったと思う。
まあ、2歳しか変わらないから、あまり子供扱いなどできないけれど。
「どうしたの?何かあった?」
「其処に海が見える場所があったんだ。」
—行かない?そう尋ねるセラに、頬を緩ませて「うん」と答えた。
すると、セラは太陽の様な笑顔を見せた。そして私の手を引っ張って其処へ連れて行く。
「……此処だよ、」
「…わ、」
思わず声が出る。見えたのは、きらきらと太陽の光を反射して輝く、蒼い海があったから。
「……凄い」
蒼ノ国で最後に見たとき以来、海なんて見ていない。
ううん、見せてくれなかったんだ。
「ね、凄いでしょ。お姉ちゃん。」
「うん。…それで何でこんな場所しってるの?」
「…昨日、たまたま見つけたんだ。綺麗でしょ」
…確かに、綺麗だ。蒼ノ国と、同じくらいに。
「お姉ちゃんは、海みたいだ」
「………え?」
「海みたいに広くて、全部優しく受け止めてくれる。」
「おれは、海が好きだよ」
***
( pppppppp )
目覚ましが、鳴る。
3時を知らせる時計。…2時に寝たばかりなのに。
それも仕方がない。奴隷は1時間しか眠れないのだから。
カビの生えたパン1欠片と、泥に近い茶色い水を、ごくごくと流すように飲む。
その度に、吐きそうになるけど何とか抑えた。
食事を与えて貰ってるだけありがたいと思わなきゃならない。
「交代の時間だ。今働いているチームは1時間休憩してよし。
それでは、次のチーム!働け!」
「「「はい!」」」
今、私達は大きな宮殿の建設にあたっている。
何に使うかは知らないが、とても重要なものだそうだ。
「ぼけーっとしてんじゃねえよ!働けゲス共ぉ!」
鞭の音が聞こえて目を瞑る。鞭の音が聞こえなくなると次の被害者は誰だろうかと目を開けた。
「いったいな!やめてよ髭豚!」
「何だと!この雌猫があ!」
……リルじゃないか。
彼女の名は、エクルセル・リル。
ネコネコの実、モデル〝ロシアンブルー〟を食べた、能力者。
灰色の髪に、オッドアイ——左目は青、右目はピンク——の目が特徴だ。
まだ15歳という若さ。何故か私になついている。
「うわああああん!髭豚がぼくを虐めるぅぅ!」
—ちなみに女の子なのに一人称は「ぼく」だ。
リルは私に凄い勢いで突進すると、私の胸にほほを寄せる。
「大丈夫?」
「もう、酷いよね!ぼく何もしてないのに!」
「…何もしてないのが悪いんじゃないかな…」
リルは、髭ぶ……間違えた、指揮官にべーっと舌を出すと、私にぎゅうううっとまた抱きついた。
「リル!そのへんでやめといたら?困ってるよセナ姉」
「何!あんた、そう言ってセナ姉に抱きしめて欲しいんでしょ!
ぼく、わかってるんだよ!」
リルを注意するのは、エクルセル・ミル。
ネコネコの実、モデル〝スコティッシュ・フォールド〟を食べた能力者。
クリーム色に近い茶色の髪と、オッドアイ——左目がオレンジ、右目が青色——が特徴だ。
リルの妹で、一人称は「あたし」。
「セナ姉ごめんね。あたしのお姉ちゃんが…」
「ははっ、いいよいいよ。リル達の御蔭で幸せなのも事実だし」
「もー!それだからセナ姉は好きだよ!」
「あったり前でしょ!セナ姉だもん!ぼくもセナ姉好きだし!」
2人がいっせいに抱きついてきて笑う。
こんな日が、続けばいいのに。
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- Re: ONEPIECE -海姫- 建て直し!! ( No.36 )
- 日時: 2012/03/11 15:48
- 名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)
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交代を知らせる鐘が響く。
—やっと眠れる、と心を弾ませた。
「食事だ。」
調理室から、のそのそと長身の男が出て来る。
冷たく重い声で、食事の時間だということを伝えて、一人一人の前に粗末な食事を置く。
「うえっ、今日は腐った野菜入りスープじゃん。気持ち悪い!ちょっと!ティス!新鮮な野菜使ってよ!こんなの食べれないよ!」
リルに怒鳴られる長身の男の名は、
—アリスタル・ティス。彼もまた、料理人としてここに来た奴隷だ。
昔はその名を知らぬ者はいないほど、有名な三つ星シェフだったが、今はその面影さえもない。
「すまないな……食料が、ないんだ。」
ティスはぼそぼそと呟くと厨房へ戻っていった。あらためて見ると、スープに腐った野菜が入っている。
そういえば最近新鮮な野菜が無い、と嘆いていたな。
スープにはコンソメなどで味付けなどされておらず、お湯の味しかしない。
「うわ、酷い味。」
隣でセラがぼそり、そう言う。私は勇気を出して躊躇いながらも一口飲んだ。
…っ
確かに、ちょっと……いやかなり酷い味だ。
こんなものなら、朝のカビが生えたパンの方がマシだ。
「…っこんなの酷すぎるよ!」
リルが叫んだ。叩きつける様にスープがはいった皿を床へ落とす。パリーーンという音に、皆振り返った。
「たった1時間の休息で23時間も働かされて・・・しかも何、この食事!」
私も驚いた様にリルを見つめる。そして、ただ頭を抱えた。
此処には、ルールがある。
一、睡眠は1時間だけ
二、23時間働く
三、食事は朝夕だけとらせる
四、他のチームと私語をしない
五、ボスが決めた以上ルールに逆らわないべし。文句は反逆とみなす
。なお、このルールは最重要事項であり、破ることは決して許されぬ
———破った者は、死刑かもしくは世界政府直属国家機密超監獄「ディアボロス・プリズン」に収容される———
「だめだよ、リル!ルールを知っているでしょう!?」
この前も、1人——…。私は決死の思いで止める。
「知ってるよ!それがなに?セナ姉!!」
「……!!」
「ぼくらはずっとボスっていう謎の男に怯えてきた…!皆が殺されても、見て見ぬふりしてた…!」
リルは叫ぶ。眼には涙が溜まっていた。
「それってぼくらは、逃げてたってことだよ…?」
「……!」
リルはすくっ、と立ち上がるとセナを見つめる。
「此処に自由は無いんだよセナ姉」
—nemo sine periculo vincere potest
意味は、
—誰も危険なしには勝つことはできない
(危険を負ってまで、自由が欲しい。)
(そして、危険を負わなければ自由は手に入らない)
- Re: ONEPIECE -海姫- 建て直し!! ( No.37 )
- 日時: 2012/03/11 15:51
- 名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)
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がつん、と鈍器で殴られた様な衝動に駆られる。
そうだよ。私達は逃げてきた。
「……でも、私達に何が出来たの?」
「セナ、姉?」
「私達が何かしたら、何か変わるの!?」
「…………!」
「現実は甘くない!ちっぽけな、…政府にとってはただの人間に、何が出来るのよ?」
私は、
私は。
「私はただ3人に死んで欲しく無いだけなのに!」
リルの顔が歪む。嗚呼、そんな顔をさせたくて言ったのじゃないのに。
ごめんね。きっと、私が間違っているのだろうけど。でも3人はとても大事な人だから。
「……セナ姉、」
「…っごめん!!」
すぐに立って、大部屋へと走る。数分でつくはずのその部屋が、とても遠く感じられた。
「うわああああああああ!」
3人が居たら、何も要らないの。
ただただ、叫び狂う。
可笑しいな頬に水がつたっているの。
きっと雨が降っている。
きっと、…きっと。
視界が滲んで、眠気が襲った。
「ごめん……」
次に目が覚める時は、笑って3人の顔を見れるだろうか。
***
「———!!」
「————!」
騒がしい。何時もは静かなはずなのに、と目をこじ開ける。
何度も降りて来る瞼に、少し腹を立てる。
「……ん」
目を開ける。徐々に視界も確かになってゆく。
でも目を覚まさなければよかったと、すぐ後悔した。
「あああッ!」
思わず叫び声をあげる。目の前に見たのは血だまりの中に倒れている人だ。
おずおずと、手に指をあてるけど、脈はない。
死んでる。
辺りを見回すと、赤い業火と、戦う奴隷と司令官の姿がある。茫然とその戦いを見る。
—そういえば、3人は!?
「お姉ちゃん!大丈夫!?」
顔をあげると、セラの姿。涙がこみ上げて来る。
「私は、大丈夫…」
「そっか!よかった。」
「それにしても、何?如何したの?」
「……お姉ちゃん、静かに聞いてね。…リルが起こした戦争だよ。戦争って言うほど立派なものではないけど…つまり、反乱。」
「はん、らん……」
「…ついに、始まるんだよ。革命が」
「…っ何で!」
リルが、反乱を。何故?何故に反乱を起こしたのだろうか。
私達では、勝てないというのに。
「リルっ…、」
気まぐれな、灰色の猫の名を呼ぶ。
返事は勿論帰ってこない。まだ力の入らない足を無理矢理に動かせてゆっくりと立ち上がる。
「お姉ちゃん、何処いくつもりだよっ…!」
「リルのところよ!リルを止めなきゃいけない・・!」
セラを睨みつけて、走ろうとする。しかしそうはいかない。
セラが私の手をつかんでいるからだ。
「離してよっ、私はリルのところに行かなきゃならないのっ!!」
「目を覚ませよ!お姉ちゃん!」
「目なんかとっくに覚ましてるわよ!速く行かなきゃならないの、離して!」
「お姉ちゃんが行って何が出来るんだよ!」
「できるわ!」
「……!?」
「私はリルを止める。リルやミルが……セラが、死ぬのは嫌だから!」
セラの瞳を見つめる。哀しみの青を帯びるその瞳は私を呑みこみそうになるくらい真剣で。
「……できないよ。」
「え……?」
「もう、戦争ははじまったんだ。…いくらお姉ちゃんでも、止められないんだよ…。」
「そんなこと……っ」
「あるんだよ、お姉ちゃん。おれだって、止めたいよ!嫌だよ!皆一緒なんだ。皆戦争なんかしたくない…」
「だけど!始まってしまったんだよ!」
セラの言葉に、へた、と崩れ落ちる。
戦争は、始まった。人が次々と死んで行くのを、茫然と見つめる。
人は、なんて脆くて弱いのだろう。なんて、愚かなのだろう。
「おれは、戦うよ。逃げてもやめても、勝ちはこないよ。お姉ちゃんは、如何する?」
セラは、近くに在った銅剣を私に差し出す。私はその剣を暫く見つめると、手を剣に添えた。
「………私も、戦うわ。」
「…そうこなくっちゃ!」
笑うセナの手に、手をあわせて。
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- Re: ONEPIECE -海姫- 建て直し!! ( No.38 )
- 日時: 2012/03/11 15:51
- 名前: 朔良 ◆D0A7OQqR9g (ID: w0.JbTZT)
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剣が交わる、音がする。乾いた金属音は、私を惑わせる。
初めこそは戸惑っていたが、もう私に降り注ぐ緋色の生温かい液体など、気にならない。
人間って残酷だな、と静かに笑った。
キン…ッ
キン………キン…
「お姉ちゃん!大丈夫!?」
「大丈夫だよ……っと」
お互いに敵を斬りながら、会話をまじわす。
剣の使い方もわかってきて、もう余裕まで生まれる。
「ミルはどうしてる!?」
「ミルなら、能力を使って脱出路を探してる!」
「じゃあ、リルは……っ!?」
「リルは戦いの最先端で、敵と戦ってるよ……っはァ!」
風を切る音が聞こえる。動くたびに、私の長くて蒼い髪が揺れる。
海の色。生まれた時から目も、髪も蒼色だったのだ。
「もうすぐ……っと、リルのとこ!」
「わかった…わ!!」
走るスピードが増す。暫く走るとリルの灰色が見えた。
「リルーッ」
「……セナ、姉!?…!危ない!」
リルの瞳が私をとらえる。
危ない、といわれて後ろを見ると、銃を私に向ける男。
「セナ姉ー———ッ!!」
その瞬間、視界が反転する。
コンクリートに頭ぶつけて、「いった…」とゆっくりと起き上がった。
「………え?」
「大丈夫?…セナ姉………がはっ!」
目を、疑った。リルの胸を、銃が貫いていた。
赤い、赤い、血が流れた。
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