二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- NARUTO─木の葉忍伝
- 日時: 2012/08/01 08:31
- 名前: 近衛竜馬 (ID: fxK7Oycv)
ども。はじめまして近衛竜馬です。前書きとか書く場所見当たらなかったんで、小説と同じところに書かせてもらいます。
ここのサイトは、利用したばかりなんで、使い勝手がよくわからないんですが、まぁ、それなりに楽しんでもらえるような小説を書けたらなぁと思います。
で、この小説はNARUTOの二次創作で、『木の葉隠れのあらゆる不幸な出来事が起きていなかったら』というIFな物語です。
原作で死亡したキャラが生きてたりしますんで、そういうのに嫌悪感を示す方はお気をつけて
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では、↓が本編です。
忍五大国、火の国の木の葉隠れの里で一人の赤子が生まれた。名前はナルト。木の葉隠れの里を纏める火影、波風ミナトの長子だ。ナルトが産まれる際に妻、クシナの中に封印されている九尾が暴れだすのではないかと里の上役達は危惧したが、それは杞憂に終わった。何故なら九尾はクシナに封印されていらい、人が変わったかの様に大人しくなったからだ。九尾は何時しかクシナとミナトの身を案じるようになり、彼もナルトの誕生を祝った。
「い、痛かったってばね……ミナト。ナルトはどこ?」
「ここにいるよ。俺達の息子だ!」
『クシナ……よく頑張った。儂もナルトの誕生を嬉しく思う』
クシナはミナトと九尾にお礼を言った後、深い眠りの中へ誘われた。
三年後────
「とーちゃん!抱っこー!」
三歳になったナルトは二人に大事に育てられていた。
「ん!ナル君は可愛いねー?ほーら高いたかーい!」
キャッキャと喜ぶナルトに、思わず顔が綻んでしまうミナト。それを見てクシナも表情を綻ばせている。そんな時だった。
「四代目様!!仕事をほったらかして何息子さんと遊んでいるんですか!?職場に戻りますよ!?」
どうやら、ミナトは、仕事を放って息子の元へ来ていた様で、それを知ったクシナはナルトを取り上げた後、ミナトに拳骨を食らわした。
「ちゃんと仕事しなきゃ駄目だってばね!!もうっナルト〜?駄目なパパですね〜」
「とーちゃん仕事しなきゃ駄目だってばよ!」
「ナ、ナル君に怒られたー!!」
ミナトは瞬身の術でその場から逃げるように消え去った。
ミナトは職場に戻り、ナルトが元気に育ってくれた事を喜ぶ。親馬鹿だというのは自覚している。しかし────
「可愛すぎだよあれは!!」
親馬鹿火影は机にもたれ掛かり、暫く悶えていた。
- Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.1 )
- 日時: 2012/07/07 11:07
- 名前: カノン (ID: KjYpxfgY)
こんにちは!いや、おはようございます。
はじめまして、カノンと申します。
NARUTO大好きなのでクリックさせてもらいました!
面白そうです!がんばってくださいね。
では、また来ます。
- Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.2 )
- 日時: 2012/07/07 15:58
- 名前: 近衛竜馬 (ID: AzSkpKat)
カノンさん>感想ありがとうございます!頑張らせていただきますね!
と、言ってもSDカードに保存してあるワードの中で、もう完結してるんですけどね^^;
- Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.3 )
- 日時: 2012/07/09 09:17
- 名前: 近衛竜馬 (ID: AzSkpKat)
三歳児などの幼い子供という物は色んな物に興味を示す。天井の電気や親が見ている書物。ナルトは何処にそんな体力があるのか、一日中家の中を歩き回っていた。そしてナルトの家=火影の家という事で、その広さは半端なものではない。
「かーちゃん!あれなんだってばよ?」
ナルトが指を刺したのは部屋の壁にかかっている、黒い布の上に模様が書かれた鉄板が取り付けてあるバンダナのような物だ。
「これはね。額あてって言って、忍者にとって必要不可欠な物よ。忍者にとって額あては誇りそのもので、命と言っても言い過ぎじゃないの。ナルトも将来はこれをつけてお仕事するのよ?出来るかしら?」
クシナが壁から額あてを取り、自分の頭に取り付ける。今いる部屋はミナトとクシナの部屋。ミナトは今仕事に行っている為、この額あてはクシナの物と言う事だ。
「ナルトのお父さんはこの里の長で、火影って呼ばれてるの。ナルトは、将来どんな忍者になりたい?」
「勿論、火影だってばよ!そんでそんで!とーちゃんみたいなすげぇ忍びになって俺が里のみんなを守るんだってばよ!」
ナルトの元気の良い返事にクシナは表情を綻ばせながら頭を撫でる。
「いい目標ね!でも、火影になるのはすごく難しい。近道なんて一つも無いわ。だから……」
「おう!今からいっぱい修行して、力をつけるってばよ!!」
ナルトの家内散歩は夕方頃まで続き、歩き回って疲れたのか、夕飯を食べた後、ナルトはすぐに寝てしまった。ナルトが寝ている横でクシナはミナトと共に布団の上で、今日あった出来事を話した。
「へぇ。ナルトがそんな事を……火影としては嬉しいけど、なんだか複雑な気分だね」
「ふふ……どうして?」
「ナルトには平和に暮らして欲しいからね……忍びっていうのは常に死と隣り合わせな仕事だから、父親として心配だよ」
クシナはミナトの頬を撫でた後、優しく微笑んで軽く口づけをする。
「大丈夫よ。ナルトは私達の息子だもの。きっと立派な忍びになってくれるに違いないわ」
「そうだね……じゃあナルトが六歳ぐらいになったら修行を始めようかな……」
夫婦は、ナルトの将来に夢を膨らませて、そのまま眠りに入った。
次の日────
「かーちゃんここ、どこだってばよー?」
ナルトはクシナに連れられて里のとある場所に来ていた。そこは木の葉の名家、うちは一族の居住地区だ。無論、一族以外の人間も出入り自由であり、クシナも友人の家に行くためにナルトと手を繋ぎながら道を進んでいる。
「ここはうちは一族の皆が暮らしてる地区で、ここらへんに母さんのお友達の家があるの。ナルトも赤ちゃんの頃に来たことがあるんだけどね」
クシナはナルトの手を引き、歩調を合わせながら目的地へと進んでいた。ナルトは自分もここに来た事があると知り、思い出してみるが、それは赤子の時の事なので覚えている筈がない。
「ミコトー!来たわよー!」
クシナが平屋建ての家の前で声を張り上げると家の襖がガラガラと音を立てて開き、そこには黒髪の女性が立っていた。
「いらっしゃい!クシナに……ナルト君!立ち話もなんだから入って入って!」
ミコトの促すまま、クシナはナルトを連れて家の中へ邪魔した。
「いやーナルト君は素直で可愛いわね〜?家のサスケなんか私よりお兄ちゃんのイタチに懐いてるのよね……」
「あはは、寂しいの?あ、そうだサスケ君呼んで来てよ!丁度ナルトと同い年だし、仲良くなれるかもね」
クシナに言葉を聞き、ミコトは長男であるイタチにサスケを連れて来るように声を掛ける。暫くすると、サスケがイタチに背負われたまま姿を現した。ナルトは始めて見た自分と同い年のサスケに興味津々で、いつになく落ち着きがない。
「ハハッ。本当にイタチ君にべったりなのね?サスケ君!この子はナルトっていうの。友だちになってあげてね?」
サスケはナルトに目をやった後、コクンと頷き、その後すぐにイタチの後ろに隠れてしまった。ナルトとは言うと、友達という響きが嬉しいらしく、サスケに近づいていく。そしてナルトが手を指しだすとサスケはその手をギュッと握って握手をした。
「友達だってばよ!」
「うん……」
今は恥ずかしがっているサスケだが、数十分後にはナルトと一緒に家の中を走り回っていた。その様子を微笑ましく思っているクシナとミコトだが、逆に転んで怪我しないかと心配しているイタチはサスケにあんまり走るなと忠告する。
「じゃあ兄さんも一緒に遊ぼ」
「え」
「そうだな!イタチにーちゃんも一緒に遊ぶってばよ!」
結局、イタチも二人に振り回される形で遊びに付き合い、クシナがナルトを連れて帰ろうとしった時はナルトもサスケも目に涙を溜めながら別れを惜しんだ。
「また遊ぼうな!」
「うん!」
サスケのことばにナルトは元気良く答え、帰り道ではナルトはクシナにサスケの事ばかり話していたという。
- Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.4 )
- 日時: 2012/07/09 09:18
- 名前: 近衛竜馬 (ID: AzSkpKat)
ども。おはようございます。眠いです。すいません。どうでもいいですね。では本編をお楽しみください↓
ナルトの父、ミナトは木の葉隠れの里の火影。それは里の忍び全員が知っている事だ。
そんな彼とその妻に子供が出来たという事で、ミナトとクシナは里の名家の元へ行き、ナルトを紹介しなければいけない。代々火影を務めている忍びは今の所、全員初代を務めた千手柱間の身内や直系の弟子ばかりだ。ミナトもその中の一人である為に、ナルトも将来そうなる可能性が高い。必ずしもそうという訳ではないのだが、そうでなくとも、火影の息子として、ナルトの顔を里の者達に見せておく必要がある。現在三歳のナルトの顔を知っているのは三代目火影を始めとする里の上役達や、この間家を訪ねたうちは一族の一部の人間ぐらいだ。そしてまずはセレモニーなどを開いて、一般市民や忍達に公開するのではなく、名家の者達の家を火影直々に尋ねて、先に挨拶をする、という事になった。
これから尋ねるのは日向一族の宗家。そして順番に、うちは一族、奈良一族、秋道一族、山中一族、油女一族、犬塚一族、そして猿飛一族に尋ね、最後にセレモニーを開いて里の忍全員に顔を見せる。うちは一族は、この間クシナが尋ねたのだが、それは一部の家だけだ。今回改めて一族全員に顔見せを行わなければ、それは里一、二を争う名家の存在を蔑ろにする事と同義だ。非常に面倒だが、それだけ名家の忍びと言うものは里にとって重要な存在であり、ミナトもそれを理解しているからこそ、それぞれの家を訪ねるのだ。
尤も、一番大きな理由としては、それぞれの家にはナルトと同い年、もしくは一つ違いの子供がいるので、ナルトの友達になってくれれば、というのがミナトの狙いだったりする。
「とーちゃん。ひゅーがいちぞくってなんだってばよ?」
ミナトは『言葉の意味を分からなくて片言で喋る俺の息子超可愛い!!』という親馬鹿な思考を表情に出しながらナルトに日向一族の説明をする。日向一族というのは、木の葉の中でうちは一族と肩を並べる、尤も天才肌の強い一族の片方だ。一族の者は全員、白眼という血継限界を所有しており、その眼は数百メートル先をも見通し、さらに透視や、忍びの身体の中に張り巡らされている経絡系を見る事が出来るという。ナルトはこの話を聞いて、血継限界や経絡系等の単語は解らなかったものの、「とにかくすげーいちぞくなんだな!」と幼い脳で理解した様だ。
日向一族のなかで尋ねるのは宗家と分家の内、宗家の方だ。この事でまた知りたがりのナルトがミナトに質問をしてきた。日向一族は宗家と分家に分かれており、簡単にいえば宗家の方が主人で分家が従者の家、という事だ。宗家と分家の間には確執があり、宗家に何かと都合の良いルールが決められているらしいが、ナルトや、日向の子供達はまだその事を知る必要は無い。
「ん!着いたよ。ナルト、まずはこんにちは、からだよ?」
ミナトを出迎えたのは日向ヒアシという、日向一族宗家の現当主だ。ヒアシはミナトに挨拶をした後、ナルトにそっと、眼をやる。日向一族特有の真っ白な瞳はナルトに少なからず緊張感を与えるが、ナルトはミナトに言われた通り、ヒアシに挨拶をする。
「波風ナルト三歳……です。よろしくお願いするってば……します」
若干普段の言葉が出てしまっているが、三歳にしては上出来な方だろう。と、ミナトは思う。その証拠にヒアシは礼儀正しいお子さんですね。とミナトに言った。恐らく社交辞令ではないだろう。と、ミナトは思いたい。
屋敷の中に入り、客室に向かう。ナルトは座るとき、ミナトが先に座って正座をするのを見て、自分も正しい座り方をする。そして暫くしてヒアシが連れて来たのはショートヘアーの少女だ。もじもじとしナルトとミナトに対して人見知りをする少女にナルトは幼心に何かを感じたが、それが何なのかは分からない。
「日向ヒナタです……よろしくおねがいします」
ヒナタと名乗る少女は顔を赤らめながらもミナトとナルトに対して挨拶をする。ナルトが
握手を求めたらヒナタも顔を赤らめながら手を差し出す。その様子を見てヒアシが驚いた顔を見せたのは何故だろうか。
その後、ミナトとヒアシが暫く談笑した後、ミナトはナルトを連れて、次に尋ねる予定のうちは一族の居住地区に向かった。
ミナトがヒアシの家を後にした直後、ヒアシはヒナタに声を掛けた。
「お前が、他人の握手を受けるなど、珍しいな……」
ヒアシがそう言ったあと、ヒナタは顔を一気に赤く染め上げて逃げるように他の部屋へ走って行った。ヒナタはいつもなら握手を求められたら恥ずかしがって逃げてしまう。なのにナルトの握手を受けたという事は────
「まさか……しかしヒナタはまだ三歳だ……うーむ。相手が火影様の息子ならば、此処は見守るべきか……しかしヒナタは……!!」
ヒアシの事を厳しい父親と認識している日向の人間は知らなかった。娘を誰にも取られたくない親馬鹿がここにもいた事を。
- Re: NARUTO─木の葉忍伝 ( No.5 )
- 日時: 2012/07/08 16:45
- 名前: 近衛竜馬 (ID: AzSkpKat)
里の忍への顔見せが終わった三ヵ月後、火影邸に一人の青年が訪ねていた。その青年の名前は、はたけカカシ。木の葉隠れの里の上忍だ。
忍は大きく分けて下忍、中忍、上忍、影の四段階に別れる。まず、忍者アカデミーを卒業した生徒が下忍となり、試験を受ける事で中忍へ、そして推薦や要請を受ける事で上忍となる。更に国の大名や、上忍等の投票を経て、忍びの頂点、影へと就任する事ができる。
そしてアカデミーの生徒が下忍となる際、三人のチームを作ってそこに一人の上忍が隊長として担当する事になっている。ミナトとカカシは班結成当時の上忍と下忍の関係という訳だ。
「ミナト先生。呼びました?」
気の抜けた様子で火影であるミナトの部屋へ行く。そこにはいつも通り書類仕事をしているミナトの姿があり、カカシが来た事に気づくと仕事の手を休めてカカシに向きなった。
「ん!カカシ。今日はね、君に頼み事があって呼んだんだ。聞いてくれるかな?」
ミナトは予め用意してあったパイプ椅子にカカシを座らせると、用事の内容を話し出した。
「近々木の葉隠れの里は雲隠れの里との同盟協定を結ぶ事になっているのはカカシも知ってるよね?そこでカカシに重大な任務があるんだ」
カカシはミナトの真剣な表情を見て思わず生唾を飲む。いつも穏やかなミナトがこんなにも真剣な顔をしているのだから、その任務とやらは危険なものに違いない。万が一クーデターが起きたときの鎮圧?忍頭の監視?カカシはどんな任務が来ても良いように心の準備を行なった。
「良いかい?カカシには『ナルトのお守』をして欲しいんだ……!!」
「………………ハイ?」
思わずずっこけそうになったが、何とか堪える。間の抜けたような声が出てしまったのはご愛嬌だ。
「た、確かに火影の息子のお守りという意味では重大な任務ですけど……ええ?」
カカシの問いかけに対するミナトの返答はこうだ。
「ん……ナルトは贔屓目に見ても、目に入れても痛くない程の可愛さがあるからね。万が一。雲隠れの忍頭がナルトの可愛さに目をつけて攫ったりでもしたら、悔やんでも悔やみきれないし、下手をしたら戦争にでもなりかねないから……頼めるかな?」
要するに親馬鹿火影は自分の一番信頼出来る上忍にナルトの事を託そうと思ったわけである。贔屓目に見て、というが、これはいくらなんでも贔屓しすぎだと、カカシは思う。だが。
「はぁ、分かりました……ナルト君は俺に任せてください」
こうして、カカシはミナトの命により、ナルトのお守り、もとい護衛を請け負う事になったのだった。
「……と、言う事で今日から暫くナルト君と一緒にいる事になった、はたけカカシです。よろしく〜」
視線をナルトの目の高さまで合わせて、出来るだけ笑顔で挨拶をする。とはいってもカカシの顔は半分以上がマスクや額当てで隠れている為にナルトがその表情を読み取る事は難しい。
「カカシ……にーちゃん?」
「そ、カカシ兄ちゃん」
ナルトはカカシにトテトテ、と近づき、右手を取ってよろしく、と笑顔を見せる。ミナトがあそこまで親馬鹿になるのも分かる気がしたカカシだった。
雲隠れとの同盟協定セレモニー当日。雲隠れの里の忍頭を、木の葉の里の忍全員が歓迎し、今回の同盟協定を喜んだ。その日の夕方までセレモニーは続き、忍頭は日が沈みきる前に自国へ帰っていた────と、里の忍達は思い込んでいた。
しかしナルトは見た。忍頭が門を潜って木の葉を出て行った後、すぐに向こうの壁を越えて森の中へ入っていったのを。
ナルトは危険を顧みず、忍頭の姿を追った。三歳児のナルトの足で、成人の忍頭に追いつくのは無理があったが、幸か不幸か、森の中を迷いながらも、忍頭の姿を発見した。そしてその脇に抱えられた少女の姿を見て驚愕する。
「ヒナタ……ちゃん!!」
ナルトは駆け出して忍頭の前に立ち塞がる。
「お前ぇ!何やってんだ!!ヒナタちゃんを離せ!」
「何だお前は……そうか、確か火影の餓鬼だったな。丁度いい。お前も連れて行って、木の葉を降伏させる為に利用してやる」
にぃ、と忍頭が不敵な笑みを浮かべてナルトに手を伸ばす。ナルトは逃げようとするが、ヒナタを見捨てる事は出来ず、後ずさりをするだけに留まる。しかし徐々に距離を詰められて、もう駄目だと思ったその時、忍頭の手の甲にクナイが突き刺さった。
「ナルト君……幾らそのおじさんが怪しい事してたって一人で追いかけちゃ駄目でしょ。ま!そのお蔭でヒナタちゃんを助けられるんだけどな!」
カカシはそう言って木の上から飛び降りて見事に着地を決めた。
「カカシにーちゃん!!」
ナルトは助かったとばかりにカカシの名を叫び、安心したのか、涙を流す。
「だいじょーぶ!心配しなくてもヒナタちゃんは助けるからもう泣かなくていい」
カカシはそう言って忍頭に向き直る。
「ふん……こちらには人質がいるんだ。状況はこちらが圧倒的にゆう……り!?」
「随分と大きな落し物じゃないの?忍頭を名乗るなら、例えどんな状況でも油断しちゃ駄目でしょ」
カカシは驚くべき速さでヒナタを忍頭の手から奪い取り、瞬身の術でナルトの元へ戻る。
「ナルト君。ヒナタちゃんを頼むよ。俺は今からあの悪者を退治するから、ね!」
カカシは振り向きざまに手裏剣を投擲し、忍頭を攻撃する。だが、忍頭は上に跳んでそれを避ける。カカシはそれを追いかけて、術を発動する。
「殺しはしない……お前を殺したら雲隠れはそれを利用して何か要求してくるだろうし……何より三歳児の前だからね!」
カカシは忍頭の胴体に右手を添えて、『チャクラ』を込める。
「口寄せの術!」
その言葉と共に、八匹の忍犬を呼び出して忍頭に噛み付かせる。
「お前達……そのまま動きを封じるまで離すなよ……」
カカシは忍頭の体を拘束した後、後からやってきた日向の人間に引き渡した。
その次の日、ヒナタは病院のベッドの上にいた。
「ヒナタちゃん……具合はどうだってばよ?」
ナルトは心配した様子でヒナタの顔を見る。ヒナタは顔を赤らめながらもだいぶ調子が良くなった、と返事をする。実際はまだ頭がぐらつくのだが、そこは相手を心配させないようにする、ヒナタの気遣いだ。
「ナルト君が……私が攫われたのに気づいてくれたんだよね?ありがとう……」
ヒナタはモジモジしながらナルトに礼を言う。しかしナルトは────
「でも……俺はそれに気づいただけで何も出来なかった……ヒナタちゃんを助けたのはカカシ兄ちゃんだし、俺はただビビッてただけだってばよ」
「でも、ナルト君が気づいてくれて無かったら、私はあのおじさんに攫われちゃってた。だから、ナルト君は私の命の恩人だよ」
ヒナタの言葉の後に続いたのは沈黙だった。複雑な思いのナルトと、何を喋っていいのか解らないヒナタ。先に言葉を紡いだのはヒナタだった。
「ナルト君。出来れば、その……私の事、呼び捨てで呼んで欲しいんだけど……ダメかな?」
ヒナタは、そういった後、ナルトから顔を逸らして両手の人差し指をツンツンとつつく。これはヒナタが羞恥心を感じた時にやる癖だ。今までナルトとヒナタの会話黙って見っていたクシナが『にやにや』していたのも原因としてあるだろう。
「……分かったってばよ。ヒナタ。でも、ヒナタは俺のこと呼び捨てで呼ばないのか?」
「私は、こういう性格だから、ナルト君の事はナルト君って呼びたいの。これからもよろしく。ナルト君」
ナルトとクシナは病院からの帰り道を歩いてた。
「フフッ。ナルト。ヒナタちゃんの事、泣かしちゃだめよ?」
「……?なんで俺がヒナタの事泣かすんだ?意味が解らないってばよ」
ナルトは不思議そうに首を傾げ、怪訝そうな表情を浮かべる。因みに、クシナが今日の出来事をミナトに話すと、親馬鹿火影は暫く硬直していたという。
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