二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- レイトン教授と死炎の妖言 —悲哀の章—
- 日時: 2010/01/03 21:08
- 名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)
なぜに消える……。
ちょっとでも覗いて行こうと思ったその思考に感謝♪
さて、ごあいさつが遅れてしまいましたね。レイトンをこよなく愛しているくせに劇場に行けそうにないキョウと申します。以後お見知り置きを……。
こんなバカに付き合って下さる、お優しいお心のまま下に行って下さるとありがたいです!
その前にいくつかの注意を——
※注意※
・ネット上のマナーは勿論のこと、カキコの使用上注意も守って下さい。
・宣伝はOKですが、スレ主は見に行けない場合があります。ご了承くださいませ。
・誤字&脱字が多いと思います。見つけ次第訂正中です。
・更新不定期です。作者が飽きなければ更新し続けますが…
・もしかしたら微量なグロ表現があると思いますが、いきすぎないよう注意致しますので、そこんとこは見逃して下さい;
*この小説は長編故、全ニ構成から成っています。
【レイトン教授と死炎の妖言】
壱巻 —悲哀の章—
弐巻 —狂喜の章—
以降の注意事項をクリアした方はどうぞお進みを〜♪
(お進みしてくださった方は神様ですッ!)
—神様(お客様)—
※現在4名様〜
慧智瑠 様 水仙 様 レッド 様(先輩) ピクミン様 トニー 様
- Re: レイトン教授と死炎の妖言 —悲哀の章— ( No.4 )
- 日時: 2010/01/03 21:22
- 名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)
*二
大学生の間を縫って進み、やっとのことで研究室の前へ到着した。別にいつもの事だから動じない。
レイトン先生のトレードマークが描かれたドアを数回ノックしたが、いくら待っても応答が無い。どうしたのだろうか。留守? 少し道を戻り、壁掛け時計を見上げれば、まだ午前中。やはり昼食抜きで来たのが間違いだったのだろうか。もう一度研究室を訪ねたがやはり無人。だが、先生は確かにこの校内にいるはずだ。
引き返すのを惜しんだ僕は、顔見知りの生徒に尋ねようと踵を返した。
その時、どこからか聞き慣れた声を耳にした。
「ルーク? こんな所で何をしているんだい?」
ゆっくりと首を巡らすと、そこに長身の陰があった。
黒いマントに黒いズボン。必須アイテムのシルクハットを頭に載せた、紳士的な風貌の男。見間違うはずがない。彼こそがレイトン先生だ。
「あぁ、すまないね、ルーク。少し用事が出来て、席を外していたんだよ」
先生は柔らかな物腰のままドアを開け、どうぞと僕を促した。遠慮せずに礼儀正しくお邪魔する僕。英国少年としては当然なのだ。
「先生、この事件はご存知ですか?」
そう言って僕は例の事件を表にした新聞を渡した。先生は「どれどれ」と受け取ると、一面を眺め始めた。
「あぁ。悲しい事件だね、まさか“あの出来事”と比べられるとは……」
先生の表情が苦痛に歪む。そう、あの出来事。沢山の死者を出した十年前の爆破事件。その悲劇により、レイトン先生は最愛の恋人を亡くしてしまった。さらに、あの事件の真相を知っている僕達には、重く圧し掛かる鉛。出来れば、あんな事故は二度と起きてほしくなかった。
「スコットランドヤードも、さぞ大変だろうね。毎日のように多発する殺人事件だけでも苦しいのに、まさか爆破事件が起きてしまうなんて」
「ですよね。チェルミー警部達から荷が下りるのはまだまだ先のようです」
がっしりとした体格のチェルミー警部が目に隈を造り、げっそりと痩せこけている様子を浮かべ、危うく吹き出しそうになった。
レイトン先生はチェルミー警部の名を耳にした途端、あっと声をあげ、何やら思い出したように封筒を掲げた。
「実はルーク、そのチェルミー警部から依頼が届いているんだ」
「えぇ!?」
まさかあの敏腕、かつ傲慢な警部から直々に申し出が来るとは……本当にげっそりとお疲れ気味なのだろうか。
思った言葉を口に出して訊くと、先生はやんわりと口元を緩め、少し違うと否定した。
「確かにこの一件と関係あるが、そのままの意味ではない。実はまだ報道されてないようだが、今回の爆破事件で唯一現場に死を免れた少年がいるらしいんだ」
「? それは当然じゃないですか? ほら、負傷者は数人って——」
「いや、彼の場合、現場——根元であるトリエザード家から発見されたらしいんだ」
僕は思わず声を漏らし、凄い……と感嘆した。地震を起こす大爆発のさなか、生き残った人物がいるという事だ。奇跡でも無ければ到底不可能であろう。
「ルークのいう通り、これは奇跡に匹敵するだろうね。だが爆風に巻き込まれて、思い切り煙を吸い込んでしまったらしい。さらには体の大半を火傷。衰弱死してしまうのも時間の問題だ」
少年は倒壊してもなお原型を留めていた木片に守られるように発見されたという。そして少年に折り重なった形で見つかった焼死体は、おそらく母親のロータス婦人。彼が助かったのは婦人が身代わりになって被害を少なく出来たからだと思う。
少年の家族は全員行方不明、または焼死。病院に運ばれたまま意識不明の重体だというが、そのまま逝かせてあげた方が良いのかもしれない。
「それで、依頼の内容は何なのですか?」
ここまで長話になって申し訳ないが、未だに依頼の目的を告げられてはいない。まさか少年の悲劇だけで終わらせるわけではあるまいな?
「ふむ。それなんだが——」
先生はそのまま黙りこくってしまった。どうやら僕に話すべきか考えているようだ。
「先生! ここまできてそれはありませんよ!」
「……確かに……」
仕方ない、とでもいうように息をついてから、ようやく口を開いてくれた。
「病院に運ばれた後、少年はすぐに治療を施された。だが、彼の体躯はまるで——」
『悪魔』
その言葉は僕の胸に深く沈んだ。
- Re: レイトン教授と死炎の妖言 —悲哀の章— ( No.5 )
- 日時: 2010/01/03 21:29
- 名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)
*三
「私が思うに、今回の爆発と殺人事件は何らかの関係性があると思うんだ。チェルミー警部もそれを察したらしく、私の手を借りたいと申し出たのだよ」
レイトン先生は愛車を運転しながら、助手席に座って、手紙を眺めている僕に言った。
「ですが先生、驚きですよね。あの間違っても弱音は吐かないチェルミー警部から言い出すなんて。しかも、ここ」
僕は紙面に書かれた文字を指差した。
「『君なら何も言わずとも関わって来るだろうから、私の方から持ちかけた。感謝してくれよ』だって。失礼じゃありませんか? 関わって来るのは警部の方じゃないですか!」
僕が憤然と足をバタつかせているのに、先生はハハハと薄く笑っているだけだ。もう、何がそんなに可笑しいんだか。
「しかしルーク、彼の考えは的確かもしれないよ」
「へ?」
唐突に発せられた言葉に、思わず上擦った声を出してしまった。先生がハンドルを操作しながらに窓の外に目配せする。それにならって、僕も視線を走らせた。
そこには、空襲の後のような惨状が広がっていた。
焼け落ちた屋根、倒壊した家屋。未だ煙が立ち上り、不穏な空に幾筋もの黒い線を引く。
辛うじて原型を留めているモノもあるが、いずれ他の廃虚に仲間入りするだろう。
「警察だけでは手が足りないそうだ。私も調査に赴きたいと思っていたしね」
作業着を着た人が忙しなく行き交い、残骸の山に登っては、野良犬の如く何やら探し回っている。またある人は道路にはみ出した木片やらを退かす作業。警官らしき人物はごった返す野次馬を踏み止まらせていた。
なるほど。確かに人手不足のようにも見える。
人混みさえ無くなれば、一瞬にしてゴーストタウンになってしまうだろう。いや、それ以上なのかも。 数メートル離れた場所からでも陰鬱な空気が雪崩込んで来る。それほどまでに酷い有り様だ。
被害を軽んじていた僕には、あまりにも悲惨な現状だった。
「ルーク……大丈夫かい?」
ふと意識を確かにすると、目尻に冷たいものが溜まっていた。
「あっはい、大丈夫です。それより先生、『セントラル病院』はまだですか?」
慌てて目を擦りながら話を変えようと切り返す。危ない危ない。あやうく泣き面を見せてしまうところだった。
「もう少しだよ。ここから一番近い病院なのだから、そう遠くはない」
例の少年は、そのセントラル病院に搬送されたという。一番近く、腕も確かな名院と近所でも名高いのだそうだ。
『君にその子の様子を見てきてほしい。私は手が離せない状態なのだ。それに、君だって興味があるのだろう。奇跡の生還をした少年が』
手紙にはそう記されていた。まったく、人を何だと思っているんだ。まるで動物園の見せ物のような言い方だ。だが、どこか不器用な優しさを感じるのは気のせいだろうか。
普段は他人のことなんて、特に子供の様子なんて気にかけない警部が、こうして手紙を寄越すまで心配している。
本当は行きたくて仕方ないのかもしれない。
そう考えると複雑な心境だ。
僕だって少年の安否が気になる。せめて、良い知らせだけでも伝えてあげたかった。
そうこうしてる内に、車はどこかの駐車場に入って行った。
先生が声をかける。そうか、ここがセントラル病院——。
- Re: レイトン教授と死炎の妖言 —悲哀の章— ( No.6 )
- 日時: 2010/01/03 21:52
- 名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)
*四
セントラル病院はテムズ川を前に悠然と建っていた。ありふれた箱型の形状は変わらないが、設備が違うというか、とにかく一味違うように思えた。
中に入り受付を済ませた僕たちは、指定された四階の廊下を進んでいた。
病院特有のすっとした臭いが漂っている。
すれ違い様に挨拶を交わす。紳士の基本だらかだ。
「やぁ、レイトンじゃないか」
突然背後から呼び止められた。先生と僕が同時に振り返る。
そこには白衣を着た男性が爽やかな笑みを浮かべていた。
長身で学者タイプの美形。整った顔立ちに、銀縁メガネがよく似合う。砂色の髪を後ろに撫でつけた知的な紳士だ。
“キリク・レイモンド医師”。有能な医学者でもある。レイトン先生のかつての学友であったらしく、その腕は天才的。
『時間旅行事件』の際に再開を果たし、今では大学時代以上に良き仲だそうだ。
最近では度々お世話になっていて、事件に巻き込まれた人々を格安で治療してくれている。
余談だけど、彼は十年後ロンドンに在った“グリーン病院”に勤務していたらしい。
「すまないね、キリク。忙しい中呼び出してしまって」
「大丈夫。たった今手術が終わって寛いでいたところだからね。それで、今日は何のようだい?」
さすがはプロだ。大仕事を乗り切ったばかりなのに、疲れを感じさせられない。
「キリク、昨日起きた爆発事件に巻き込まれた少年は——」
「あぁ、あの子か。だいぶ弱っていたみたいだけど、今は準々だよ。運がいい子だ。あと数分遅れていたら間に合わなかったかもしれない」
キリクさんは、語りかけるような口調だった。この人の説明は、なぜか説得力がある。医師だからかもしれないが。
先生も心底安心した様子で、ほっと息をついた。
それを見咎めたキリクさんが口を尖らせる。
「おいおい。まさか失敗したなんて思ってなかっただろうな。この私が受け持った患者には、どんな重傷であろうと生き延びてもらわなきゃいけない。君にだって、分かっているだろう?」
確かに、キリクさんは腕利きの医者だ。だからこそのプライドも関わって来るだろうけど、彼は純情に、患者を助けてあげたい。その意識の下行動しているのだろうな。
やはり熟練は違う。
「と言うと、キリクさんが担当してるんですか?」
ふと浮かんだ疑問をそのままぶつける。本人はさも得意気に腕組みをして、頷いた。
「まあね。彼ほどの稀なケースは他に無いからね。どうしても私の手で助けてあげたかった」
すると突然、彼は声の調子を低くして、探るような視線を投げかけて来た。
「で、君達はその子の見舞いに来た。違うのかい?」
何か悪い事でも言ってしまったのだろうか。彼の変貌に萎縮してしまった僕は、返答を求めるかのように自然とレイトン先生を見上げた。
先生も表情を硬くしながら、黙って首肯した。
するとキリクさんは目元の影を薄めて、困ったように頭をぼりぼりと掻いた。
「実は、彼にはちっと問題があってね。信頼出来る君達に限ってこんなことは無いんだと思うが……」
一瞬思いつめたように顔を強ばらせ、キリクさんは腕組みをしながら廊下の壁に背を預けた。
「最初に言っておこう。彼は大変危険な状態にいる。少しでも興奮して血流が激しくなると、その反動で命を落としかねない」
キリクさんがシュッと僕達に指を向けた。
「何が起こっても、正常でいてほしい」
キリクさんが真剣な眼差しで僕達を射抜く。この人は本気になるとこんなにも恐ろしくなるのだろうか。
少年がどんな現状に立たされているのか改めて思い知らされた僕は、何度も頷いて承知した。
先生が顔を綻ばせる。
「安心したまえ。私達は殺しに来たのではない。少年の安否を気遣って来たのだから」
レイトン先生が穏やかに言う。その様子に安心したのか、キリクさんが重い息を吐きながら肩を落とした。
いつもの優しい表情に戻っている。
「そうか、そうだったね。悪かった。私は君達の事を疑ってしまったようだ」
立ち尽くす僕達を追い抜こして、爽やかな笑みで振り向く。
「さぁ、こっちだよ」
- Re: レイトン教授と死炎の妖言 —悲哀の章— ( No.7 )
- 日時: 2010/01/04 01:31
- 名前: 慧智瑠 (ID: acQ6X1OT)
き、消えた!?
・・・大丈夫、俺なんか何回消えたか分からないよ♪(泣)
相変わらずの巧さだなぁ・・・俺も八雲終わったらレイトン書こうっと。
所で、ノベルの方は最近音沙汰無しだけど、ここが落ち着いたら更新する、
と考えていいのかな?
・・・ともかく、どっちも更新を楽しみにしてるんだぜ☆
- Re: レイトン教授と死炎の妖言 —悲哀の章— ( No.8 )
- 日時: 2010/01/04 18:18
- 名前: キョウ ◆K17zrcUAbw (ID: JFNl/3aH)
慧智瑠 様
私もですよ……。たった一分足らずで消滅してしまったのもあるし;;
慧智瑠様は凄いですよ! 八雲が書ける人ってそういませんし、八雲ファンの友達に見せたら、喰いついて来ましたから♪
慧智瑠様のレイトン小説楽しみです。
ノベルの方ですか?
更新しようと思えば出来るのですが…
やはりお客様が来ないと更新する気が起きないというか——。(欲深いですね、ごめんなさい)
ありがとうございます!!
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