二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ
- 日時: 2011/04/04 17:39
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
初めて投稿させていただきます。燕と申す者です。
銀魂で二次小説投下します。
主人公の設定は下記をどうぞ。オリキャラは増えていくかもしれません。
※軽い流血表現、かるーい恋愛含むかもしれません。
※登場人物(特に攘夷ズ)の過去などは捏造過多でございます。
*
棗(ナツメ)
女性/165・48/18歳
鬼兵隊の一員で、高杉のお気に入り。
紅一点のまた子とは違って、鬼兵隊の闇として名を馳せている。通称“黒い引き金”。
*
壱、嘘をかぶりて斜に歌舞く >>41
弐、crocodile's tears >>42
銀魂×つっこ/イメソン紹介と見せかけた妄想 >>26
参、古語をしましょ >>43
銀魂×バクホン/イメソンと高杉の話 >>52
肆、鬼が笑う夜も泡沫の如く >>56
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- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.43 )
- 日時: 2011/04/03 19:30
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
参、古語をしましょ
>>25 やわらかな思い出は心にしまって/変わってゆく彼らを憎もうか。三人と棗
>>27 花は落ちて心を覆って/拾われたばかりの惨めな捨て猫。春。先生と三人
>>28 寝る時は百数えて鬼を隠そう/重ね合わせて安らかに眠りたい。晩春。銀時と桂
>>29 甘い匂いが此の名を呼ぶ/馴れ初めは先生の樹の下で。初夏。銀時と高杉
>>30 慶びと混沌は紙一重/太陽になれないから。夏。先生と三人
>>36 迷える仔羊のレーゾンデートル/今度は俺が。夏の終わり。三人と少女
>>39 何の為に夜があるかご存知で?/巡り巡って僕らが辿り着くのは。夏の夜。先生と銀時と夏代
>>40 ダストボックスに夢を集め/偽りに始まり悲しみに暮れる。秋の始まり。先生と三人
>>45 触れなば落ちん/わたしの人生は喪失と獲得の繰り返し。少年と夏代
>>46 涙は罪の味がする/限りない悲しみを銀色に寄せ集め。村塾
>>47 Dear.the Dead/終焉のときを知らない。椿と夏代
>>48 B級ロリィタスプラッタ/邪な愛が見え隠れするけれど。椿と月詠と夏代
>>49 手のひらに愛を唇に毒を/にぶんのいちのぬくもり。高杉と桂
>>50 心臓/嬉しいときは血が出る、哀しいときは笑みが浮かぶ、ぼくの愛をあげようか。銀時
>>51 最後の夜には素敵な夢を/結局は、春も待たずに逝ってしまった。先生
捏造で久坂、入江など登場させてます。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.44 )
- 日時: 2011/03/23 18:04
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
ご無沙汰してます燕です。
随分見難くなってきたのでまとめてみました。何時の間にかこんなに小説書いてたんだなー・・・。参は題名の通り昔話ばっかりです。過去の話は展開早いんですけど、現在軸ではあんまり日にち経ってません。なるべく三次元の世界と季節など揃えたいので・・・早く過去篇終わらせなければ。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.45 )
- 日時: 2011/03/24 22:54
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
触れなば落ちん
行き場のない想いは何処に逃がせば良い?
静かに枯れた温もりは路地裏を彷徨う。声を上げることも助けを求めることも厭う壊れた餓鬼。初秋の風は冷たさを増してきて、破れた着物の間から覗く肌に触れれば冷たい。
ひと時の幸せを引きずっているだけでは生きてゆけない。あの人はわたしに生きろと言った。誇りを忘れずに、運命に身を委ね。
あの銀色を思い出す。漂白したように淡い色素の中で鈍く輝く血の瞳を思い出す。其の少年、名を銀時という。銀時の浮かべる笑みは憎たらしいほどにわたしを虜にした。
ヅラと渾名を付けられた少年を思い出す。桂小太郎。正しく強く真っ直ぐに生きる美しいひと。何時でもわたしを気遣ってくれた。
皆よりも少しだけ背丈の低い少年、高杉晋助。悟ったような、つまらなさそうな表情で机に肘を突く姿を思い出す。冷たい文句に潜む温もりが忘れられない。
如何してだか思い出だけが美しく鮮やかだ。村塾の皆を思い出す。涙が止まらなかった。溢れて溢れて、零れ落ちるばかり。如何して涙は出るのだろう。誰の為に、何の為に。如何してわたしは此処にいるのだろう。如何してわたしは———
「———お嬢ちゃん、如何したのォ。何、泣いてんの?ひとり?お母さんは?」
頭上で汚れた声が聞こえた。顔を上げれば下劣な男が数人にやにやと不快な笑みを浮かべている。
「おにーちゃんたちとさァ、いいことしない?楽しいよぉ・・・」
わたしは其の男共と目を合わせることさえ拒んだ。代わりに疲れ果てた身体を無理矢理に立ち上がらせ、懐に忍ばせておいた短刀でリーダー格の男を、
斬った。
血の臭い、肉の裂ける感触、悲痛な表情。男は倒れ、周りに立ち尽くす他の奴らの顔が見る見るうちに怒りに染まる。
初めて人を斬った。初めての感覚。壊れてしまいそうだった。枯れたはずの涙が湧き上がる。其の無色透明の液体に溺れそうなほどに、泣き喚いた。嗚呼、わたしはこんなにも餓鬼なのだ。
煤けた路に倒れたリーダー格の男の腹から、どくどくと紅が溢れ出す。其れを囲む数人は、男の名を必死に呼んだ。また他の数人は、五月蝿く喚くわたしを睨んでいた。今にも襲い掛かりそうな瞳で。
やがて其の男達は、わたしに向かう。駆け出す足。伸ばされた拳。目の前を襲った、黒い影。
「————いたいけな少女に何をする、手前ら」
黒い影。顔を上げれば今度は澄み切った瞳と目が合った。
そいつは男性というには少しばかり女々しい顔立ちをしていた。だがわたしを庇った其の身体は男の骨格だった。まだ幼い、少年の姿が、其処にはあった。
「・・・・・・餓鬼、手前こそ何だ。邪魔すんじゃねえよ」
「邪魔はどちらか。此処一体は俺の縄張りだ。路のど真ん中で幼女強姦するのは良くないな」
「・・・あれれ、俺は強姦なんてした覚えはねえけど?只、身寄りのない可哀想な女の子を、売り飛ばしてやろうかと思っただけ」
ゲラゲラと笑う男共。少年は眼にも留まらぬ速さで奴らを薙ぎ倒した。
「————、っつ」
ひとりだけ助かった者が居る。わたしが斬ったリーダー格の男。まだ意識があったようだ。
「・・・逃げないのか?弱い者は逃げたほうが身の為だよ」
少年はにこりと笑った。かと思うと、倒れた男の傷口をぐりぐりと踏みにじった。
悲痛な叫びが聞こえる。其の間に、仲間の男達は一斉に逃げていった。
「・・・・・・、」
沈黙。
やがて紡がれる其の言葉で、わたしに与えられた運命は逆転することになる。今はまだ、咲かない蕾が此処に佇む。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.46 )
- 日時: 2011/03/26 12:39
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
涙は罪の味がする
持て余した情を空に投げれば其れは雨となって此処に返される。空は群青。降り続く冷たさも、碧い。
「・・・・・・、たかすぎ?」
傘も差さずにそいつは庭に立ち尽くしていた。名を呼ぶと此方を振り向いて淡い笑みを浮かべた。
「————見ろよヅラ、あっちの空が紅い」
「ヅラじゃない桂だ。・・・・・・戦がどんどん激しくなってるんだな。先生は其処へ行ってるのか?」
「ああ。危ないから行くなって皆言うんだけどな。ちいさな鬼を探してくるとか言って、さ」
「・・・・・・・・・夏代か」
「・・・さあな」
碧落を穢すのは誇り高き紅、燃える魂を溶かすのは揺るぎない蒼。先生が留守のとき此処は驚くほど暗く静かになる。雨音は虚空に響いて冷たさを増してゆく。
不意に、後方から雨音に混じって何者かの足音が響いた。
「————誰だ?」
高杉は鈍く其の声を放った。緊張感がぴりぴりと光る。
「・・・桂、高杉、先生が帰ってきた。多分美味しいものも買ってきてくれただろ。行こうぜ」
「嗚呼、なんだ、久坂か」
俺は溜息と共に弱々しい言葉を漏らした。
「何だとは何だよ。・・・お前らは外見るの好きだなあ。そんなに怖がらなくても大丈夫だって。ほら、風邪ひくぞ、早く入れよ」
「・・・そうだな、」
高杉は屋敷の中へ入ってゆく。俺も其れに続いた。
「————なあ、ヅラ。お前泣いたことあるか」
高杉は不意に俺に問うた。
「・・・変なことを聞くんだな。この世に生まれて一番最初にあげるのは泣き声だろう」
「あれァ産声だろうよ。・・・此処に来てから、だ」
「・・・・・・お前は忘れたか?俺はお前と抱き合って泣いた覚えがあるぞ」
「・・・俺は泣いてねえだろ」
「ふ、そうだったかな」
男だろうが侍だろうが神の子だろうが、涙は流す。恥ではない。涙は魂を潤すもの。そして此の身を穢すもの。今はもう、其の味が思い出せない。
ただいま、と優しい声がした。此の身体を浄化する声だった。魂に色を付ける鮮やかな笑顔だった。
先生の着物の袖や裾に掠れた紅が見えた。返り血なのか、其れとも彼自身のものなのか。俺たちは聞けない。
「先生、血ィついてる」
だから、何にも考えずに思うままに言葉を発する其の銀色に、俺たちは憧れを抱くことが多々ある。
「・・・・・・ああ、すみません。此れは、穢れた血です」
穢れた血。其れは、誰のもの?
「————先生、夏代は、いなかったの」
誰かが訊いた。
「・・・そうです。一体、何処に行ってしまったんですかねぇ」
其の声に哀愁が漂っている。俺は焦った。隣で高杉も焦っているのがわかった。
「せんせ、菓子ちょーだい」
また、馬鹿な男の声がした。其の声は、此の身を酷く不安定にさせる。けれど愛おしい、其の声に。
「・・・はいはい、少し待っててくださいね」
誰もが皆、それぞれの悲しみを委ねた。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.47 )
- 日時: 2011/03/27 13:08
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
Dear.the Dead
すっと差し伸ばされた綺麗な手のひらに、わたしは縋ることができなかった。
「・・・・・・ほら、立ちなチビ」
ぶっきらぼうな手はわたしを誘う。成す術なくわたしは其の手をとった。存外に温もりを感じて、心の奥底がじんわりと熱くなる。
「・・・良し、と。お前、名前は」
「・・・・・・・・・夏代、」
わたしは己の名を呟く。肉親に授かった名だ。
「夏代、吉原へ行こう。お前の生きる場所だ」
少年は言う。わたしは何を言われているのか解らなかった。そして、先ほどの男共の言葉を思い出す。もう一度少年の言葉を反芻し。
「・・・何、言ってるの?貴方、わたしを助けてくれたんじゃなかったの?吉原なんかにわたしを売り飛ばすの!?」
叫びにも似た怒りの声を少年にぶつけた。
「あーあー、五月蝿え餓鬼だ。あのさあお前な、其れがお前の運命よ。甘っちょろい考えは捨てろ。ちゃんとした着物着れて、立派なところに居座れて、飯食えりゃ充分だろうよ」
「そんな、嫌だよッ!・・・わたしのお父上もお母上も偉大な人なんだ!わたしは男の玩具になんかになる女じゃない!!」
「————嗚呼、そうかい。助けてやった俺が馬鹿だったね。所詮弱いだけの餓鬼か。自分の運命を受け入れ、気高く生きることさえできない」
気高く生きる。其れは、如何いうことか。思考を巡らせる。生まれ落ちた運命を憎まずに、誇りを忘れずに。あの人の言葉が虚空に浮かんでは消えてゆく。そしてもう一度浮かび上がったとき、消える前に掴み取った。
「・・・・・・待って」
知らず知らず、呟くように後姿を呼び止める。
「・・・助けてくださったこと、感謝してます。わたしを吉原へ連れて行ってください。お願いします」
わたしは膝をつき、そして地に頭をつけた。懇願など、情けない真似はするなと両親に言われていた。だけど彼らはもう、いない。全て失ったわたしには身分も何も、なかった。
「・・・・・・顔を上げなよ」
「————、」
「いい眼だね。其れに美人だ。安心しな、吉原には気高く美しい女ばかり集う」
少年は其の赤い瞳を細め口を開く。
「———俺は吉原桃源郷の守護者、名を椿と申す」
「・・・・・・宜しくお願いします、」
「椿と呼べ。さあ行こうか、女の園へ・・・」
吉原の守護者とは如何いうことだろう。小さな脳味噌を動かしながら、足取りを進める。常世の国への入り口が見えた。
「・・・嗚呼、そうだ。時期がきたら俺が逃がしてやるから」
「逃げる・・・?吉原から、?」
「うん。まあお前の言うとおり、吉原なんかで男と戯れる女じゃないだろう。何時の日か羽ばたかせてやる」
わたしはひとつ頷いた。そして椿の赤い瞳を見る。穢れなき紅だ。其れはあの銀色の男の紅と同じだった。
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