二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ぬらりひょんの孫 夢小説
- 日時: 2011/05/21 21:32
- 名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)
ぬらりひょんの孫を見てて、小説を書きたくなったので、ひとまず。
主人公
如月 天狐 (キサラギ テンコ)女
白い髪に、灰色の瞳で、クールな顔立ち。
性格も、クール。ていうか、クールビューティ?
天狐という妖怪(男)と、皐月狐という妖怪のハーフ(女)の子供。
という訳で、人間の血が三分の一しかない。
学校は行っていないが、外に出れば、友人が居る。しかも大半が男。
昼から、妖怪になる。妖怪になっても、あまり変わらないが、
結構絶倫・・・らしい。
男になったり、女になったり出来る。
彼女いわく、種を作るためらしい。
父と母を食った。小さい頃は、とても可愛らしかったらしい。
酒に酔うと、色気が(ry
主人公説明終了。
落ちるのは猩影君です。
- Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.10 )
- 日時: 2011/05/26 18:16
- 名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)
朝が来た。
体はだるくは感じない。
逆にすっきりしている。
だが、少し眠たい。
だから、寝ることにする。
私は自分の部屋に入って、鍵を閉める。
鍵を開けれるのは、私と、私の子達だけだ。
母と父は、私が許可しないと入れないようにしてある。
まぁ、合鍵ぐらいは自力で作ってそうだが。
私は布団に倒れこみ、枕元の本を手に取る。
「・・・キミに、会えたら僕はうれしい。」
本の一文を読む。
「だけど、同時に君のことを嫌ってしまうだろう。」
まるで詩を読むように、一文ずつゆっくりと読んでいく。
そして、最後の一文を読む。
「キミは、僕との約束を破ったのだから。」
その言葉を読んだ後、本を置いて、眠りにつく。
次目を覚ましたときに時計を見ると、針はもう12時を回っていた。
家にいてもどうせ暇なのだから、本家に遊びに行くことにした。
「空狐、本家まで連れて行ってくれ。本家に着いたら、ゆっくり眠って良いから。」
そういって、無理やり起こさせる。
空狐は、人間の姿をあまり見せてくれない。
狐のほうが楽だと言うのだ。私は、狐だろうが人間だろうがどうでもいい。
「・・・ふぅ。ありがとう。しだれ桜の所で寝ていなさい。邪魔をする奴がいたら、管狐が炎を出して追い払ってくれるから。」
そういって、管狐を空狐の左足に巻きつける。
私は、縁側に座って、日向ぼっこをしていた。
廊下に寝そべって、髪は縁側のふちから落ちそうになりながらも、キラキラと太陽の光を反射している。
ドタドタと大きな足音が聞こえる。
狒々様だろうか、牛鬼様だろうか。はたまた総大将なのか。
私が体を起こさず、視線だけをよこすと、そこには猩影がいた。
「よう。」
「あぁ。」
「・・・」
「・・・」
「何してんの?」
「日向ぼっこ。」
「そうかい。・・・珍しい。」
「何が?」
「いや、いつもクールなのに日向ぼっこなんかするのかと。」
「するさ。一応人間の血を受け継いでるからな。」
「そうか。ところで、あのしだれ桜の幹に寄りかかってるあの狐耳男は誰?」
空狐がしだれ桜の幹に寄りかかって人間の姿のままで眠っている。
「私の息子だが。」
「へぇ。息子・・・はぁ!?」
「そうだ。私の息子の空狐だ。可愛いだろう?」
と言って、笑みを浮かべて猩影の姿を見る。
猩影は、驚きの表情を浮かべている。
「やあ、天狐。空狐も一緒か?」
「おや、総大将。こんにちは。」
「・・・息子・・・?」
猩影がボソボソと呟いている。
総大将は、そんな猩影を見て、鼻で笑った。
「こいつ、まだ信じておらんのか?」
そういって、拳骨を食らわせる。
「って〜」
猩影が頭を抱えて痛がる。
「全く失礼ですよね。私の息子を息子だと信じないなんて。」
「だって、あれどう見たって18歳ぐらいに見えるぞ?」
「はぁ??あれ5歳だよ?まぁ、私も年より老けて見られるけどね。」
「・・・ってことは、8歳で作ったのか?」
「そうだ。」
「マジかよ・・・」
猩影が頭を抱える。
「麻狐はどうしたんじゃ?」
「麻狐ですか?あぁ、今日は友達と一緒に遊んでますよ。」
「そうか。あの子はお前に似て元気なんだな。」
「まぁ、俺は一応がんばりましたけど。あ、あと次は男の子作ったんですよ。」
「ほう。名前は何にするんだ?」
「そうですね。んー・・・」
「狐が入ってないとダメなのか?」
「総大将、それはどうでしょうかね。多分、ダメだと思いますよ。」
「そうか・・・わしも考えているんじゃがなぁ・・・」
「狐斗。」
「猩影、ナイス!よし、それでいこう。」
「こんなんでいいのかよ・・・」
「あぁ。名前は簡単で良いんだ。にしても、眠い。」
そして小さくあくびをする。
「ふぁあ・・・ん・・・」
「眠いのか?」
「あぁ。」
「じゃあ、来いよ。」
そういって、膝をたたく。
「膝枕ってのは、女が男にするもんだと思ってたけどな・・・」
少し愚痴を良いながらも、膝に頭を乗せる。
「文句言うなよ。寝てろ。夕方になったら起こしてやるから。」
「あぁ・・・」
目を瞑ると、闇が訪れる。
その闇に落ちるように、私は眠った。
「・・・すぅ。」
「可愛いなぁ。」
「こら、天狐はワシのもんじゃぞ?」
「総大将に渡したくないんですけどね。」
「・・・だめだよ。」
「うわっ!?」
「おぉ、空狐。起きたのか。」
空狐と呼ばれた青年は、天狐の髪を触りながら言う。
「ずっと起きてたよ。それより、天狐様は、渡さないよ。」
「おい、親子は無理だろ・・・」
「じゃあさ、天狐様に好きって言われたことある?」
「ない。」
「ワシもないな。」
「ほら。僕には言ってくれるよ。姉上にも言ってあげてるもん。」
そして、勝ち誇った笑みを浮かべる。
「僕、天狐様のこと好きなんだ。姉上も、天狐様のこと好きなんだよ。」
「それがどうかしたか?」
「だからね、天狐様のことは諦めて。」
「イヤじゃの」
「俺もイヤだ。」
「爺さん、あんたは爺さんだから無理だろ。
お兄さん。あんた、天狐さまのどこが好きなんだよ?」
「・・・全て、といったら?」
「ふーん。じゃあ、天狐さまの心を奪えるかな?」
「・・・奪ってやるさ。」
「そ?じゃあ、がんばってよ。」
天狐は、頭上の出来事に気づいていた。
だけど、目を覚まそうとしなかった。
膝の上が心地よかったから。
日はまだ昇っている。
- Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.11 )
- 日時: 2011/05/26 18:14
- 名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)
その頃、狐組では。
「うぐっ!!」
「狐羅!?きゃあっ!!」
皐月狐、天狐が敵と戦っていた。
麻狐は、もうすでに息絶えていた。
「私は、天狐・・・貴様なんぞには負けぬ!!」
天狐が退治していた男、名をムチと言った。
ヒュンヒュルルンと鞭のような音を出すからだ。
一方、皐月狐が退治していた者、名を犬神といった。
舌を出して、首が外れて、首を噛み切る妖怪。
「くっ・・・!」
「ぎゃあ!」
天狐と皐月狐は息も絶え絶えになりながらも敵を倒そうとしていた。
一方、敵のほうはと言うと、あまり怪我もなく、軽症だった。
「雑魚じゃ。」
「面白くないぜよ。」
「ところで、玉草の女は居ったか?」
「いや、どこにも居らんかったぜよ。」
そう、簡単な会話をしながら、天狐と皐月狐を翻弄していた。
そして、ついに。
「っ・・・・もう・・・ダメ・・・」
そうして、二人は床に倒れこんだ。
「ぐっ!」
「さっさと死ねや」
「きゃあ!!狐羅、狐羅!!!」
「お前もすぐに同じところに行けるぜよ。」
そういった後、血しぶきが部屋に飛び散った。
静けさだけが、その部屋を支配していた。
「・・・雑魚だったな。」
「じゃな。」
「・・・玉草の、女・・・」
「ワシも、見てみたいな」
「俺は見たことある。凄く美しい女だった。儚げな女だ。
大して強そうに見えなかった。」
「そうかい。」
そして、二人の影は、暗闇へと姿を消した。
- Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.12 )
- 日時: 2011/05/26 21:01
- 名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)
「・・・!!!」
私は、目を覚ました。空狐も目を覚ましているのだろう。
私が起きたのに、猩影はびっくりしていたが、柔らかい笑みを見せた。
「おはよう。」
「あ、あぁ。おはよう。空狐、来い!」
そういって、空狐を呼び出す。
空狐は、暗い顔をしていた。
「天狐さま、あ、の・・・」
「分かっている。私も感じた。総大将に連絡しなければ。」
そういって、猩影から離れて、廊下を走る。
空狐は狐の姿になって走っている。
総大将の部屋の襖を勢いよくあける。
すると、三羽烏と烏天狗がいた。
「なんじゃ!お前たち!」
「うるさい!今、急ぎの用事が出来た!総大将!」
「何じゃ、騒がしい。おぉ、天狐と空狐じゃないか。どうした?」
「母上と、父上が・・・」
「・・・狐羅と、女狐がどうしたんじゃ?」
少し声のトーンが低くなる。
「殺された。」
「何じゃと!?それは真か?」
「あぁ、本当のことだ。感じたからな。あと、麻狐も。」
「・・・そうか。」
一気に空気が重たくなる。
そして、私は言葉を吐き出すように、伝えた。
「あと、狒々様が殺されそうになっている。・・・一応、カラスを飛ばしてくれないか?」
「よし、分かった。ささ美、黒羽、トサカ丸。」
「「「はっ」」」
「今すぐカラスを飛ばせ。いいな?」
「「「了解」」」
そうして、三羽烏は飛び立った。
総大将が、首をひねっている。
「・・・総大将。ということで、私が今日から狐組の組長になります。」
「あぁ。じゃが、狐は・・・」
「あぁ、家のものは、あまり殺されていません。何故か、納屋にいたらしいのです。」
「そうか。天狐。」
「はい。」
「殺した者の匂いは分かるか?」
「いいえ。」
「そうか。残念だったな。惜しい者達を無くした。」
「はい。私も少し悲しいです」
と、心にも無いことを言う。
本当は、あまり悲しくは無い。
泣く方法すらとうに忘れてしまったから。
「嘘はいかんぞ?」
「分かってますよ」
そういって、部屋から出る。
「・・・空狐。」
「っ・・・ぅ・・・ひっ・・・」
空狐は泣いていた。
年のせいだろう。
「いいぞ、もっと泣いておくれ。」
「ぇ・・・?」
「私には、涙が枯れているようだから。」
「ぅ・・・あああああぁぁあぁぁぁ!!!!」
空狐は、泣いた。
私は、その涙をふき取るように、赤子をあやすように、涙を受け止めていた。
「・・・眠っているのか?」
「すぅっ・・・」
空狐は眠っていた。
きっと、泣き疲れているのだろう。私は、布団を出そうと離れようとしたが、服が掴まれていて動きにくい。
私は、服を脱いで、布団を出した。
そして、空狐を寝かせた。
服をまだ掴んでいるので、少し困る。
私は、服を掴んでいる手をほどき、服を着た。
「・・・おやすみ。」
そして、部屋を出る。
桜が狂っているように咲いている。
桜の枝に乗って、月を見る。
今夜は三日月のようだ。
「・・・お月様、今日だけ約束破りをします。少しの慈悲を、私にください。」
そして、本家の朧車で自分の家に帰った。
その約束、それは、遺体を炎に包まないこと。
狐の死体は、炎に包むと紫色になった炎が自らの力となる。
ただし、それは怨霊の炎。
その力の代償は、人間の血が無くなってしまう事。
ずっと妖怪で生き続けてしまうのだ。
だけど、そこは天狐。あまり、人間の血を無くさないように炎の量を調節する。
だけど、天狐は人間の血が朝だけしかない。
朝を半分。
それは、6時間しかないと言うこと。
それでも、妖怪になるよりはずっとましだ。
妖怪になると、醜い感情が心を支配する。
そう、父に伝えられたから。
「・・・炎(エン)」
母と父の遺体を炎に包む。
すると、母の遺体からは青い炎。
父の遺体からは、白の炎が出た。
よくわからなかった。
紫の炎が出るとは知っていたけど、白の炎や青の炎なんて聞いていない。
すると、白い炎が地面を燃やす。
その炎が、文字に見えた。
「白の炎は、力を増力させる。人間の血は、そのままで。」
「青の炎は、自分の能力を高めることが出来る。感情なんてものは関係なしに。」
その文字を読んだ後、白い炎は、見計らったように、手のひらへと乗る。
炎は、大して熱くもなかった。冷たくも無かった。
私は、その炎を、飲み物のように飲み込んだ。
炎が喉を通る瞬間、少し暖かくなった。
青い炎は、自ら口の中へ飛び込んだ。
そして、無理やり飲み込まされた。
氷のような冷たさだった。
私は試しに、炎を出すことにした。
「紫炎(シエン)」
すると、手から紫色の炎が飛び出た。それも5つも。
私は、その紫色の炎を、水の中に入れた。
紫色の炎は、消えずに、跳ねていた。
そして眺めていると、炎は消え去った。
私は、本家に朧車で戻った。
日がまた昇る。そういえば今日は、護衛の日だった。
どうせなら、リクオに聞いた生徒会長立候補演説会を見てから帰ることにしようと、朧車で考えながら眠った。
- Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.13 )
- 日時: 2011/05/28 10:37
- 名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)
今日は、護衛の日。
・・・空狐は、まだ眠っているだろうか?
いや、そのほうが都合が良い。
私は、空狐が眠っている部屋に入った。
やはり、まだ眠っているようだった。
私は、鞄の中から瓶を取り出す。
瓶の中には、桃色の炎と、橙の炎がゆらゆらと動いていた。
私はその炎を瓶の中から取り出し、空狐の口元へと近づける。
すると、桃色の炎はゆっくりと、口の中に入っていき、飲み込まれた。
橙の炎も、桃色の炎の後を追うようにして、口の中へ入った。
そして、飲み込まれた。
私は立ち上がり、外に出ようとしたが、服を掴まれていた。
空狐の所に目を向けると、空狐は目を覚ましたようだった。
空狐の瞳は、暗い青のような瞳だったのに、今は明るい青のような瞳になっていた。
「おはよう。」
「おはよう、ございます。」
「手を、離しておくれ。」
そう、手を解くように命じる。
だが、空狐はその命令に背き、もっと力をこめた。
「あの、炎は・・・」
「誰の炎かって?」
「桃色は、麻狐でしょう?」
やはり、空狐は勘が良い。
桃色の炎は、確かに麻狐だ。
では、橙の炎は?と、空狐は問うた。
「母上の体を燃やしたとき、一緒に出てきたのだ。多分、狐斗だろう。」
「狐斗・・・」
「うん。その二つの炎は、お前の攻撃力と防御力を上げる。
空を飛べる時間が長くなる、とも、父上の炎が教えてくれた。」
「父上・・・母上・・・二人の炎は、何色でしたか?」
「白が父上、青が母上だ。二つとも、私が食べた。」
「そう、ですか。では・・・」
と、手を離された。
「今日は、護衛の日でしたね、お気をつけて。」
「あぁ、分かっている。」
お気をつけて、と言われても、気をつけなくても良いのだ。
そう、心の中で呟いて、私は部屋を出る。
今日の服装は、白いワンピースに白い帽子。
その服装で、リクオの後ろをついていく。
青は、学ランを着ていた。
私が、コスプレか?とからかうと、違いますよ!と、大きな声で言われた。
真面目に声が大きいと思う。鼓膜が破れるかと思った。
青は、人間のときの名前は倉田、というらしい。
雪女は、及川つらら、なんだと。
私は、いつも人間だから、別に構わないのだが。
雪女に、絶対につららと呼んでくださいね!と念を押された。
「雪・・・いや、つらら。」
「はい、何でしょう?」
「あいつらに言っとけ。怪しすぎるぞ。首無とか、特に。」
「あはは・・・」
困ったように雪女が笑う。
「笑い事じゃないぞ。・・・さて。じゃあ、私は屋上にいるかな。どうせ、河童もいるんだろ?」
そういって、返事を待たずに屋上へと移動する。
人間たちに見られていないと良いのだが。
屋上に行くと、やはり河童がいた。
「やあ、河童。胡瓜いるか?」
「くれるなら、くださいよ。」
と、物ほしそうな目でこちらをみる。
そういう風に見られると、私は弱い。河童はそれを知ってて、そうする。
「お前は意地が悪いな・・・」
といって、胡瓜を投げる。
すると、河童はジャンプして、胡瓜を取る。
ナイスキャッチ。
そうして笑いあっていると、下に異様な感じがした。
私は、河童に少し断りを入れて、下へ移動する。
ベンチに、本を読んでいる男がいた。
コイツから、異様な匂いがする。
「ねぇ。」
「・・・?・・・!」
私が話しかけると、その男は、少し本を下にずらして、私を見た。
そして、驚いて、本を元の位置に戻す。
コイツから、さらに異様な匂いがする。
これは、血の匂い。
「・・・あんた、妖怪を殺したろ。それも、二人。」
「何を言っているか、分からんぜよ。妖怪なんて、今時いるはずがないぜよ。」
と、少し土佐の方言交じりにその男は言う。
「あんたさぁ、嘘、下手だろ。」
そう言ってやる。
声が震えていた。だから、嘘だと確信する。
そして、わずかに妖気も感じる。
「あんたも、妖怪、だろ?」
「何おかしいこと言ってるぜよ。俺は・・・」
「あんた、四国の妖怪だ。匂いが違う。それに。」
「それに?」
ほら、乗ってきた。
「私とアンタは、一度会ってる。・・・ねぇ、犬神さん?」
と、耳元で囁く。
すると、本を下に下ろして、私を見る。
やはり、驚きの表情をしていた。
私は、勝ち誇ったような笑みを見せた。
「やっぱりね。どっかで感じた妖気だと思ったんだ。」
「お前、天狐か。・・・あの、雑魚どもの娘の。」
雑魚?あぁ、やっぱり。
「お前、私の父上と母上を殺したんだろ?
そんなことは分かってるさ。」
「だったら何だ?俺をあいつらに突き出すか?」
「そんなことはしない。」
「・・・どうして?」
「それじゃ、面白くないだろ?」
そう、面白くない。
少しの危険分子がいないと、私の血はたぎらない。
「お前、変な奴じゃの。」
「あ?それは、嬉しいな。」
と、笑う。
そう、嬉しい。
「お前、玉草の嫁になるんじゃろ?」
「あいつがこの町を支配することができたら、ね。」
「イヤじゃないのか?」
「私は、どうでも良いんだよ。誰の嫁になろうと。」
「そうか。・・・なら、俺の嫁になれ。」
「お前がリクオに勝ったら、な。そのかわり、負けたら・・・」
「負けたら、俺は、玉草に消されるぜよ、多分。」
「そんなことはさせないさ。お前が負けたら、私の犬になってもらう。」
「犬?」
「そう。杯を交わすのさ。狐たちも、私が話せば理解してくれるだろうし。」
そう。あの狐たちは、私に忠実なる僕だ。
問題はあいつらだけど。
「分かった。約束しよう。」
「そうか。なら。」
と、左手を伸ばす。小指だけをのばして。
「・・・指きりげんまん、嘘ついたら炎で燃ーやす。指切った。」
「針千本じゃないのか?」
「結局、針を千本飲ましても、一本ずつ飲ませることになるから。」
「なるほどな。」
そんなことを話した後、チャイムがなった。次は、体育の授業か。
「じゃあな。また会おう。」
そして、私は屋上へと戻った。
木の葉が踊る。
私は動き回る人間たちを見ながら、生徒会長立候補演説会の出場者を見ていた。
- Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.14 )
- 日時: 2011/06/01 22:36
- 名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)
「次は、一年の清継クンです。」
とうとう始まった。私は体育館の上のほうで見ていた。
そして、流れるさまを見ていた。
犬神を探していると、妖気を感じた。
仕方なく、倉庫へと向かうと、もう全員が集まっていた。
「・・・で、どうするか決まったわけ?」
「うん。天狐には、ステージ袖で待ってもらおうかなって。」
「分かった。じゃ、上手くやれよ。」
そういって、袖のほうへと移動する。
まぁ、護衛する気なんてのはない。
リクオがやってきた。・・・が。
明らかに、様子が可笑しい。
・・・首無か。
ならば、私の仕事はないとボーっとしていると、首が飛んできた。
犬の首だ。その首は、首を噛み切ろうとしているのだろう。
が、それは無駄だ。首無には、その名のとおり、首が無い。
ゴロッと首が落ちる。
その首に、周りの生徒たちは驚きの表情や、悲鳴を上げる。
だが、犬の首に紐が巻きつく。
「やはり、若を狙っていたな。」
次は、犬の首が驚きの表情を見せた。
「首だけで戦うのは君だけじゃあ・・・ないんだよ。」
と、首無が紐を引っ張る。と、首が抵抗する。が、上から落ちてきたリクオによって、その抵抗も無駄なものになった。
驚きの声が響く。
すると、紐が切れて、首が無防備になった。
そして、首が大きくなる。それに釣られて、客席の悲鳴が高くなり、客席のほうを見ると、なにやら大きな物体が、ステージに近寄ってくる。
その物体をまじまじと見ると、まるで犬の体だ。
・・・犬神か。
私は犬神のことはよく知っている。いや、日本の妖怪は知っている。
犬神は、憎んで、恨み、力とする。
愛するゆえに、信じるゆえに、恨み、憎む。
大方、人間のリクオが人間に好かれていると言うものだろう。
犬神に注目していると、リクオがステージ袖へと突っ込んだ。
私が驚いて、ステージに出ると、観客がわずかに色めき立つ。
「お、おい。あれって、天狐さんじゃね?」
「キャー!噂と同じで綺麗!」
などなど。
よく、こんなときにそんな事が言えるものだと尊敬していると、
そして、犬神がまた攻撃しようと腕を振り上げると、手に、亀裂が入った。
ステージ袖を見ると、妖怪の姿をしたリクオがいた。
「陽は——とざされた」
獲物【ドス】についた血を、振って落とした。
「この闇は幕引きの合図だ——」
すると犬神が、驚いたように見えた。
側近の妖怪達は、皆驚いている。
私は驚いてはいないが。
「・・・うん、無事でよかった。」
と、一言呟き、犬神に向き直った。
「犬神、言ったろ?・・・私を手に入れたいなら、リクオを倒しな。」
そういって、上に跳ぶ。
照明の所まで飛ぶと、腕で、照明の骨を持って、座った。
「よっ・・・ふぅ。折れないよな。」
そうして、下を見る。
リクオが少しあっけに取られていたが、やがて犬神に向き直り、獲物を構えなおした。
そして、犬神もリクオに向き直り、攻撃を再開した。
私はその動きをゆれる照明の上で眺めていた。
また、リクオがステージの袖へ投げられる。
多分、そのときに怪我をしたのだろう。
顔を手でぬぐい、血を振り落とす。そして、犬神を睨む。
「やるじゃあねぇか。」
その言葉と、睨みに恐れを感じたのだろう。
私にも少し畏れは感じた。
その言葉に、少し犬神はひるんだが、また攻撃を開始した。
すると、スクリーンに清継が映る。
今度は訳の分からない陰陽師の格好をした姿だ。
そして、スモークが出る。
私をそれを細目で見ながら、ボーとしていた。
すると、犬神が凍りつき、紐で縛られている。
そして、少し雪が降った。
そのとき、リクオが犬神に獲物を振り落とした。
すると、犬神の術は解けて、人間の姿になった。
私は、照明の骨から降りて、着地をした。
「リクオの勝ちだね。」
そう呟いた。
すると、犬神が狂ったように叫び始めた。
「俺をどんな妖怪か知らずに攻撃しやがった!」
そういって、焦り始める。
すると、玉草が現れた。
「・・・やあ、天狐。」
「こんにちは、狸。ところでその駄犬、どうするつもりだい?」
玉草が笑顔で、私に話しかけた。
犬神は、玉草にすがろうとしている。
だが玉草は、笑顔を崩さず、
「処分するよ。使えない駒は必要ない。」
そして犬神は、まだすがろうとする。
そんな犬神を見かねて私は、
「犬神。あんた、私との約束を破るつもりかい?」
と、顎を掴んで問う。
すると犬神は、目を見開いた。
「俺は、玉草の下僕ぜよ。それに、俺はお前と約束はしていない。」
・・・へぇ、そんなこというんだ。
「玉草、この駄犬、私が飼ってもいいかい?」
「へぇ、どうして?」
「躾をしなおしたくなったのさ。玉草もないか?躾のなっていない犬ほど、厳しくしつけたくなる気持ち。」
「・・・まぁ、それには賛成するよ。でも、何でそんなカス犬なのさ。」
「アンタの下僕だからさ。アンタの下僕を、どうせ嫁になるかもしれない女がしつけたくなったのさ。・・・ダメなのかい?」
首をかしげて問う。
すると玉草は、腹を抱えて笑う。
「ふふ、いいよ。君が僕の嫁になるように、僕もがんばらなくちゃね。
犬神、僕に君は必要ない。逆に邪魔だ。キミが誰の元に行こうと僕の知ったことじゃない。じゃあね、カス犬。」
そういって、玉草は消えた。
そして私は、犬神を連れて、学校から出た。
「・・・で。」
「・・・」
「アンタ、私と約束してないって言った?」
「言ったな。」
「あ、そう。謝罪の言葉を10文字以内で答えろ。」
「申し訳ありません。」
「うん、よろしい。・・・家に帰ろうか。空狐は呼んでいるから。」
「あぁ。」
空狐の背に乗って、家へと戻る。
途中、空狐がわざとらしく犬神を落とそうとした。
「おい、空狐」
「・・・きゅー」
「落としたくなる気持ちも分かるが、大人しく飛んでくれ。私が落ちたらどうする。」
そういった後は、落とそうとはしなかった。
部屋に入ると、どこからともなく杯と徳利を持ってこられた。
おいてもらうと、持って来たものたちは、音もなく消え去った。
「・・・五分五分にしようか。」
「どうして。」
てっきり七分三分だと思った犬神は、答えた。
「お前とは対等でいたいんだ。」
そういうと、犬神はバカといって、杯の中の酒を飲み干した。
犬神はこのとき、天狐に忠実に命を無くす、まで忠実に従おうと思ったのは言うまでもない。
この掲示板は過去ログ化されています。