二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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ぬらりひょんの孫 夢小説
日時: 2011/05/21 21:32
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

ぬらりひょんの孫を見てて、小説を書きたくなったので、ひとまず。
主人公
如月 天狐 (キサラギ テンコ)女
白い髪に、灰色の瞳で、クールな顔立ち。
性格も、クール。ていうか、クールビューティ?
天狐という妖怪(男)と、皐月狐という妖怪のハーフ(女)の子供。
という訳で、人間の血が三分の一しかない。
学校は行っていないが、外に出れば、友人が居る。しかも大半が男。
昼から、妖怪になる。妖怪になっても、あまり変わらないが、
結構絶倫・・・らしい。
男になったり、女になったり出来る。
彼女いわく、種を作るためらしい。
父と母を食った。小さい頃は、とても可愛らしかったらしい。
酒に酔うと、色気が(ry

主人公説明終了。
落ちるのは猩影君です。

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Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.1 )
日時: 2011/05/21 22:16
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)



天狐は、朝早く起きる。
そうしないと、人間の時間があまり無いからだ。
「じゃ・・・行ってくる。」
そういって、門から出る。
今日は、大切な三代目若頭の護衛の日。
と、もう一つ。
全くなんで私が・・・
そんな憂鬱なことを考えながら、歩いていく。
すると、顔を知っているチャラ男たちに出会った。
「ちょりーっす」
「あぁ。おはよう。」
「アハハ、つれねぇのぉ〜」
「天狐ちゃん、今日はどこ行くのー?」
「友人の所だ。全く、面倒な・・・」
ため息をつきながら言う。
チャラ男の一人が、肩に手を回す。
コイツの香水のにおいも面倒だ。それに、酒のにおいもする。
「面倒ならぁ、行かなきゃいいじゃーん。俺たちと遊ぼうぜー?」
「悪いな。遊ぶのは、また今度だ。そのときは、UFOキャッチャーで戦うぞ。」
「えぇ〜!!それじゃあ、フェアじゃないじゃーん!!」
そういって、肩から手を離しゲラゲラと笑う。
「フフ、じゃあな。酒を飲むのもほどほどにな。」
そういって、また歩き出す。
白い髪をたなびかせて歩く彼女の姿を一目見ると、
誰もが息を呑むだろう。
「・・・やあっと着いた・・・」
そういって、門を開く。
「あ、天狐様!」
「ん?あぁ、雪女じゃないか。相変わらず元気そうで、安心した。」
「エヘヘ、聞いてください、実はですね、リクオ様が・・・」
あぁ、また始まった。
雪女は、全く話が長い。若菜おばさんも、長いが・・・
「あぁ、分かった分かった。
お前がリクオのことを好きなのは痛いほど良く分かったから。」
「なっ・・・!!」
そういって、少し顔を赤らめる。
白い肌に、赤い頬は目立つと思うんだけどね。
「フフ、お前は全く可愛いな。俺に食われたいのか?」
そういって、耳元で囁いてやる。
すると、頭から煙が立つ。
おやおや・・・
「ウブだねぇ。」
そういって、その場を去る。
河童にも挨拶を・・・と、池のほうに歩いていくと、
頭に何かが当たった。
何だと思って、上を見上げると、そこには、悪戯好きな二人が居た。
「・・・牛頭、馬頭。」
「よう、天。」
「やっほー天。」
「全く、私に構ってほしいなら、降りてくれば良いんだ。
全く素直じゃないな。」
そういって、地面を蹴る。
人間のままでも、結構な跳躍力がある。
そして私は、しだれ桜の太い枝に立つ。
「相変わらず、誰彼構わず手ぇ出してるみたいだな。」
「フン、仕方ないだろう。
それとも・・・お前も構ってほしいか、牛頭。」
「なっ・・・誰もそんな事言ってねぇだろ!!」
そうやって顔を赤らめていっても、何の説得力も無い。
「フフ、顔、赤いぞ。なぁ、馬頭。」
「うん、可愛いー!!」
「お前らぁ・・・」
そういって、私を殴ろうとする。
スローだ。私はそれを軽くよけ、牛頭の首に手刀を落とす振りをした。
「これで、お前は一回死んでる。・・・弱いな。」
「弱くねぇ!!」
「フン、どうだかな。さて、と。またな。
俺は河童に挨拶しなきゃならん。」
そういって、桜の枝から降りる。
そして、池に向かって鞄から取り出した胡瓜を落とす。
すると、河童が出てきた。
「おや、天狐様。ありがとうございます。」
「うん。どうだ、若の様子は。」
「えぇ。いつもいつも働いております。」
「そうか。そうだ、河童。」
「はい?」
「今夜の宴会、俺も参加する。総大将に伝えておけ。」
「分かりました。・・・お誕生日おめでとう。」
誰にも聞こえない声で、河童は私に伝えた。
そうして、沈んだ。
「フン、覚えていやがったか。」
「ちぇ、僕らが先に言おうとしてたのに〜」
後ろを振り向くと、牛頭と馬頭が居る。
地獄耳か、お前らは。
「・・・お前らも覚えていたのか。全く忘れてしまったものかと思っていたが。」
「バカだな〜。僕らが、天の誕生日忘れるわけ無いでしょ〜」
そういって、差し出す青い小さな箱。
「あけても良いか。」
「うん!むしろ開けて!」
「ハハ、あぁ。」
そういって、リボンに手をかける
箱を開けると、そこには、
「・・・ピアス?」
「うん。青くて、すごく綺麗だろ!」
「フ、あぁ。私は青が好きだ。よく覚えていたな。」
「あ、だから、僕は記憶力はちゃんとあるんだよ?」
「あぁ、分かった。」
そういって、右の耳につけている赤のピアスを外し、青のピアスを着けた。
「何で、右しかつけないの〜?」
不機嫌そうに、馬頭は頬を膨らませる。
「煩いな。ほら、牛頭出せ。」
「あ?」
「お前も、持ってるだろ。ピアス。」
「!?・・・ほら、よ。」
そういって、投げ出す。
ちゃんと丁寧に扱え。丁寧に。
そう文句を言って、箱をあける。
そこには、青いクロスのピアスがあった。
「・・・綺麗だな。以外に牛頭はセンスが良い。」
「なっ、どういう意味だよ、それ。」
「そのままの意味だ。」
そういって、左耳につけてる青のピアスを外し、クロスのピアスをつける。
「ありがとな、牛頭、馬頭。」
そう笑ってやる。
すると、二人は少し顔を逸らした。
少し耳が赤い。照れてるのか?
「さて、じゃあな。」
そういって、家の中に入る。
「・・・あれは、反則だ・・・」
「ああいう笑顔見たの、何年ぶりかな。」
「五年前だ、バカ。」
「失礼じゃない、それ?」
そう笑いながら、二人はしだれ桜にまた登る。
(全く、あの無自覚は・・)
(どうにかならないかな。)
((アレを僕(俺)だけのものにしたい。))

Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.2 )
日時: 2011/05/22 16:45
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

「邪魔するぞ」
そういって、部屋の戸を開ける。
そこには、栗色の髪をした可愛らしい少年が服を着替えていた。
私に気づくと、無邪気な笑顔を見せた。
「あ、天狐のお姉さん!」
「天狐でいいと言っているだろう。それに、私はお前と同い年だ。」
「だって、天狐は、大人っぽいんだよ。僕より背も高いし・・・」
「男の癖にうじうじするなよ、リクオ様。鯉伴様が見ると、嘆き悲しむぞ。」
「いや、それは無いと思う。」
「フン、それもそうだな。というか、早く着替えてくれ。遅刻したいなら別に構わないが。」
「あ、ごめんごめん。」
(全く・・・)
そう思いながら、座布団の上に胡坐をかき、ひざの所にひじを置く。
「女の子らしく座りなよ、天狐。」
「悪いな。私は男でも女でもあるんだ。その願いはかなえられない。」
リクオは、むっとする。
その表情も、可愛らしい。
「ところでさ・・・そのピアス、どうしたの?」
「あ?あぁ、もらった。」
「ふーん。じゃあさ、何で両方の耳に同じのが無いの?」
「別に良いだろう。お洒落っていうやつだ。」
その言葉に、リクオは納得できなかったようだが、その話以降は黙って着替えを進めていた。
「リクオ、今日の宴会は中止にするなよ。」
いつも私が来たとき、リクオは宴会を中止にする。
だが、今日ぐらいは構わないだろう。
「え?あぁ・・・あまり、お酒飲み過ぎないならね。ていうかそもそも、キミと僕は同い年なのに・・・」
「お前の夜の姿は毎回酒を飲んでいるじゃないか。それは良いのか?」
「う。」
言葉に詰まるリクオ。
やっぱり気づいたようだ。
「イヤ、良くないけど・・・」
「ほう。なら何故お前は注意せぬ?」
「それは・・・」
「クッ、冗談だ。さっさと行くぞ。」
そういって、部屋を出る。居間に着くと、朝餉の用意が整っていた。
何故か一つ多い気がするが。
「あら〜天狐ちゃんじゃな〜い。どうせなら、朝ごはん食べていって頂戴」
「はい。なら、お言葉に甘えて。」
そういって、箸を手に取り、味噌汁をすする。
油揚げが入ってて、とても美味しそうだ。
「油揚げ、美味しそう。」
「アハハ、相変わらず、油揚げが好きなんだね。」
「仕方ないだろう。狐の習性だ。稲荷も好きだぞ。」
「うん、知ってるよ?」
そういって、着々とご飯を食べ進める。
私が先に食べ終わり、箸を置いた。
「ご馳走様でした。若菜さん、相変わらず料理がお上手ですね。でも、雪女は変わらずのようですが。」
そういって、ため息をつく。
「あらあら〜あれでも、結構上手なのよ〜」
「普通、魚を氷付けにはしないと思いますけど。」
「そうね〜」
「今度から、彼女に作らせるのはサラダだけにしたらどうです?」
「あら、それも良い考えね〜」
「リクオ様〜!」
そういって、入ってきたのは、制服姿の雪女。
「・・・コスプレか?」
そう、一言。
すると彼女は、頬を膨らませて、反論する。
「ち、違いますよ、これは護衛のためなんです!」
「それにしては、ずいぶん楽しそうだがな。」
「なっ・・・と、当然でしょう!リクオ様のそばに居られるんですから!」
「・・・フン、それはどうだかな。」
そういって、烏龍茶を飲む。少し口の端から零れた雫を、舌で掬い取った。
「天狐ちゃん、今の、もう一回やってくれないかしら?」
「は?」
若菜さんが訳の分からないことを言う。
「今の、口の端を舐めるやつ。もう一回。」
「あの、カメラを構えるのやめてください。」
「僕も見たいな。」
「はぁ?」
リクオも訳の分からないことを言う。
心なしか、目がきらきらしている。
若菜さんはというと、烏龍茶をまた注いでる。
そういう風に見られると、やるしかなくなる。
仕方なく、烏龍茶を少しわざと零して、雫を舌で舐める。
その瞬間、フラッシュが目を掠めた。
「まぁ・・・よく撮れてるわ〜」
顔を赤らめながら言う若菜さん。
そのカメラを、リクオと雪女は覗く。
すると、見る見るうちに顔が赤くなった。
「すごいね、母さん。」
「若菜様、凄いです!」
「おい、さっさと学校に行くぞ。遅刻しても良いなら・・」
「行こう、つらら。」
「は、はい。」
そういって、腕を引っ張られる。
「あぁ、もう引っ張るな」
そういって、立ち上がる。
ゆっくりと、歩きながら、二人の背中を追う。
周りからの視線が痛い。
まぁ、私はここら辺では知り合いが多いからな。
「天狐様〜!」
「ん?あぁ、マユキじゃないか。どうした。」
「久しぶりですね!お茶でもしませんか?」
そういって、無邪気な笑みを浮かべる私より背の小さい高校二年生。
「フ、今は無理だ。今は用があってな。また今度、リュウ達と遊ぼうじゃないか。」
「えぇ〜」
そういって、頬を膨らませる。
「そのときは、私が苺のタルト奢ってやる。」
「は、はい!」
「じゃあな。」
そういって、二人の後を追って走る。
結構な距離が開いてしまったからだ。
一定の距離を保ったあと、ゆっくりとまた私は歩き始める。
学校が見えてきた。
「あ!」
「・・・ハァ。」
「清継くんだ。」
「私はアイツは嫌いだ。あと、島ってやつも。」
「え?とても良い人たちですよ?」
「あぁ、煩い。」
「天狐ちゃんは、煩いのが嫌いだもんねー」
そういって、リクオは彼らの所へ走って挨拶をしている。
そして、私のほうを振り返って、指を指す。
すると、その溜まりの中にいた一人の髪の長い女がこちらへ来た。
「よっお久、天狐!」
「あぁ、巻。元気そうで何よりだ。」
「相変わらず、綺麗な髪ね〜脱色してる?」
「してない。これは地毛だ。」
「アハハ。ていうか、なんで天狐学校行かないの?」
「あぁ、やめた。」
「そ。いいなぁ・・・」
「良いことなんてない。さて、後5分でお前ら遅刻か。」
「げっマジ!?んじゃね、天狐!」
「あぁ。」
そういって、手を振る。登校している奴らからの視線もうざったい。
私は、その場を離れようと、学校を回った。
裏門の所へ行くと、スーツの格好をした男がけだるそうにしていた。
どこかで見たような・・・
「あ、天狐様!」
そのスーツの男が、私の名前を呼んだ。
「その声、黒か。」
「お久しぶりです。」
「あぁ。」
「相変わらず、美しいですね。」
そういって、笑顔を見せる。
全く。
護衛をしているようだが、暇のようなので、私たちは談笑をした。
その頃、若菜はというと、写真を現像し、総大将たちとかに見せていたとか。

Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.3 )
日時: 2011/05/22 17:33
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

【その頃の若菜達ほぼ会話】
「ねぇねぇ、これ、誰だと思う?」
「ん?おぉ、綺麗なお嬢さんじゃのう。色気もあるし。」
「これ、天狐ちゃんなのよ〜」
「おぉ、あの天狐か。それにしても・・・」
「この写真、凄いでしょ?後もう少しで悩殺されるところだったわ〜」
「ワシも一瞬くらっとしたのう。まさか、こんなにべっぴんさんになるとは」
「あの子が5年前お酒飲んだとき以来よね、この色気。」
「あの時は、牛鬼と狒々とワシが取り合ったくらいじゃからのう。」
「ふふ、今でも諦めてないんでしょ?貴方も、あの二人も。」
「ついでに、鯉伴もな。」
「確かに、私の娘にほしいわ。綺麗な着物着せてあげるのに・・・」
「ほう、それはどういうものじゃ?」
「黒い下地に、椿と蝶が描いてあるのよ。赤い帯がとても似合いそうで・・・」
「ほう、それなら見せてはくれんか?」
「いいですよ」
そういって、若菜は立ち去る。
ぬらりひょんは、写真をもう一度見て、ため息をついた。
そのときの目は、愛らしいものを見る瞳であった。

Re: ぬらりひょんの孫 夢小説 ( No.4 )
日時: 2011/05/22 18:35
名前: 克哉 (ID: iqzIP66W)

昼になる。
すると、私は、本性が現れ始める。
「黒よ。」
「はい?」
「私は、家に戻る。今宵は宴会に参加すると、総大将に伝えておけ。」
そういって、私は手を振った。すると、木の葉が現れて、私の体を包む。
そして、風が大きく吹いて、木の葉は散る。
そこには、もう天狐の姿は無かった。
「山に行くか。」
そういって、鞄の中から竹筒を取り出し、蓋を開ける。
すると、細長い狐が現れて、天狐の首に巻きついた。
「管狐よ、今日は猿かの?それとも鳥か?」
そう問うと、管狐は、どちらとも、という合図を出した。
「フ、それでは、少しからかってやろう。」
そういって、鯉伴様に化けた。
さて、どんな顔をするのやら。
そう思いながら、山に入って、鯉伴の真似をして、片目をつぶる。
「さて、どうしてやるか・・・」
声も、化けた。
そうやってふらりと歩いていくと、鳥を見つけた。
「ん。ゼンだな。さて、からかってやろうか。」
そういって、ゼンの後ろに回って、肩を叩く。
するとゼンは振り返って、心底驚いたような顔をする。
私は、笑い声を必死にこらえ、ゼンをからかう。
「よぉ、ゼン。調子はどうだい?」
「なっ・・・鯉伴様・・・!?」
「くっくく・・・どうしたぃ?そんな狐に化かされたような顔して。」
まぁ、本当に狐が化けているのだが。
「どっ・・・どうして・・・」
「何、天狐に会いにきただけだ。」
「天狐・・・」
「フッ・・・ククッ・・・アハハハハ!!」
もうガマンできなくなり、腹を抱えて笑い出した。
ゼンは、目を点にした。
「よぉ、ゼン。久しぶり。」
そういって、変化をとく。
すると、ゼンは怒ったような顔をした。
「あー・・・お腹痛い。久しぶりに笑わせてもらったよ。」
「お前なぁ・・・天狐、てめっゲホゲホッ」
「あーあ。大きい声だすからだよ。大丈夫?」
「お前が原因なんだろうが・・・」
「あれ?そうだったか?」
「お前な・・・犯すぞ!?」
「病人が何言ってんだ。寝言は寝て言え。」
「ほぉ・・・口は達者になったじゃねぇか。」
青筋を浮かばせながら言う。
あんまり怖くない。
「怖くないし。さて、狒々様に会いに行こうか。管狐。」
「・・・おめぇ、狒々にも会いに行くのか」
「悪いか。」
「別に。」
「フン、それなら聞くな。鬱陶しい。」
「・・・」
「悪いな、ゼン。」
「今度やったら犯す。」
「はいはい。楽しみにしとく。あぁそうだ。今日の宴会、俺、参加するから。」
「は!?」
「悪いかよ?」
「い、イヤベツニ。」
「何片言になってんだよ。まぁいい。じゃな」
笑みを浮かべて、その場を去る。
驚かした人間には、興味が無くなる。
「ったく・・・またあの惨事を起こす気か。」
そう、ゼンがつぶやいた。
天狐は、猿を見つけた。
そして、後ろから抱き着いてやった。
「おわっ!?」
「どうも、狒々様。お久しぶりです。」
「お?狐かよ。」
「天狐です。もうボケたんですか?」
「ひょひょひょ。狐には変わりないじゃろうて」
「お面かちわりますよ?」
「ひょひょひょ、笑顔でそういう事を言うでないぞ」
「無理。」
「そうか。そうじゃ、お前、ワシの嫁にならんか。」
「それ、5年前にも聞きましたよ。」
「イヤか。」
「どうでしょうね」
そういって、抱きしめるのをやめて離れる。
「何じゃ、もう終わりかよ」
「フ、私がこういうことはあまりしないのはご存知でしょう。」
「そうじゃな。」
「もうすぐ日が暮れますね。息子さんは、お元気?」
「おお。そういえば、今日本家に連れて行くのじゃよ。」
「へぇ。狒々様の息子だから、背が高いんでしょうね。」
「まだまだワシに比べればまだまだチビじゃがの。」
そういって、手招きをする。
胡坐をしているから、座れということだろう。
私はそれに答えずに、切り株に座った。
「何じゃ。昔は座ってくれたのに。」
「最近じゃ、狒々様から危ない匂いがしますからね。」
「ひょひょひょ、それはこれか?」
そういって、懐から油揚げを出す。
誘惑に負けそうになるが、そこをあえて拒否した。
「ひょ、我慢はいかんぞ。ほれ。」
そういって、口の中に油揚げを放り込まれる。
じわりと味が口の中に染みる。
「・・・」
そろりと近づく。
それに気を良くしたのか、笑った。
面から口がはみ出している。
「面からはみ出してますよ。」
「おや、そうかの。」
「えぇ。ご馳走様です。」
そういって、手を合わせる振りをする。
そして、立ち上がった。
「今日、俺本家の宴会に参加しますよ。」
「おや、そうか。」
「はい。また会えると良いですね。」
そう、笑みを浮かべて、私はその場を去った。
家はすぐそこだ。



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