二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 学園アリス 絆
- 日時: 2013/07/06 15:18
- 名前: かりん (ID: wXpuLz/E)
こんにちは!学園アリスなつみかんファンのかりんです!
これから学園アリスの小説を書きたいと思います。
この物語は、蜜柑が母親・柚香との学園脱出に失敗したのち、
初校長が志貴の出した4つの条件をすべて飲み、
蜜柑がみんなと平和な学園生活を送っているという設定で始まります…。
- Re: 学園アリス 〜第一章 いつか逢えるその日まで〜 ( No.14 )
- 日時: 2013/07/06 15:28
- 名前: かりん (ID: wXpuLz/E)
〜プロローグ〜
大切な人を——
愛する人を守るため———
あなたはすべてを捨てられる?
蜜柑はすべてを捨ててしまったの———
愛する人と共に過ごした時間も記憶も思い出も——
ずっと一緒に生きていく未来さえも———
そしてあの子は信じたの———
いつかきっと——
愛する人が自分のことを思い出してくれるその日が来ることを———
そして
いつかきっと——
自分が胸を張って愛する人に会いに行けるその日が来ることを———
『ウチらは必ず初校長を倒して見せる………
だからそれまで平和に自由に幸せに生きて………
あの男がいなくなって学園が平和になったら必ず会いに行くから………』
それが蜜柑の願い———
そして決意———
- Re: 学園アリス 〜第一章 いつか逢えるその日まで〜 ( No.15 )
- 日時: 2013/07/06 15:32
- 名前: かりん (ID: wXpuLz/E)
〜第一話 別れ〜
事件後まもなくして、柚香の葬儀が執り行われた。
しかし、蜜柑は泣くことすらできなかった。
当然だろう………。
目の前で両親が殺されてしまったのだから。
父親・泉水の時は、棗がかばってくれたおかげで直接見ることは避けられたが、それでもあの時のやり取りはすべて聞こえていたし、心で見てしまった。そして、母親・柚香の時は、直接その目で見てしまったのだ。
いくら心が強いとはいっても、蜜柑はまだ12歳の少女。立て続けに両親が殺されるのを目の当たりにしてしまっては、泣くこともできないくらいに傷つき、悲しむのも無理はない。
鳴海やルナもまた、罪悪感に駆られ責任を感じていた。
鳴海にとっては、やっとつかまえることができたと思った愛する人を守るばかりか殺されてしまったのだから。しかも、柚香は自分をかばったために死んでしまったのだ。
罪悪感を感じないわけがない。
ルナにしてもそうだ。
仲違いしていたとはいえ、親友だった柚香が目の前で殺されてしまったのだ。しかも、自分が誰よりも絶大な信頼を寄せていた初校長の手によって。
「ごめんね、月」
柚香の最期の言葉が、心に響く。
今更ながら、自分が間違っていたことを思い知らされる。
なぜもっと早くに気づかなかったのだろう?
なぜこんなことになってしまったのだろう?
後悔ばかりが胸に押し寄せ心を締め付ける。
墓石には、 ——YUKA YUKIHIRA—— と名前が刻まれた。天国で泉水と幸せに暮らしてほしいという願いを込めて。
初校長が志貴の出した4つの条件をすべて飲んだため、今後、初校長が柚香に干渉することはないだろう。
しかし、かけがえのないものを失った悲しみはとてつもなく大きかった。
そして、志貴が柚香と泉水の墓を命をかけて結界で守り抜くことを蜜柑に誓い、悲しみと後悔に包まれて葬儀は終わった。
- Re: 学園アリス いつか会えるその時まで ( No.16 )
- 日時: 2012/01/03 19:32
- 名前: かりん (ID: eK4vc3Ov)
〜第二話 始まり〜
事件から3か月がたち、学園もようやく落ち着きを取り戻した。
泉水と柚香の墓は、志貴が施した結界によって守られ、許可された者以外、探し出し見つけだすことすらできなくなっている。
今、鳴海は、志貴の許可をもらい、二人の墓の前に立っている。鳴海が2人の墓を訪れたのは、柚香に別れを告げ、2人に誓いを立てるため。
柚香は、鳴海が一緒に行くと言ったために、鳴海を裏切ることができず死んでしまった。あの時、自分が柚香をあきらめていたなら、柚香は、蜜柑や志貴とともに無事に外の世界に逃げることができたのかもしれない。鳴海は、事件後そう考えては、未練がましい自分に嫌気がさし自分を責め続けた。
そして、鳴海先生は柚香に別れを告げ、蜜柑や学園の生徒たちを守っていくことを泉水と柚香の2人に誓い、墓を後にした。
別れを告げることで、自分の心にけじめをつけようとしたのだ。
「さようなら、柚香先輩…」
空のはるか遠く、泉水とともにいるであろう柚香に向かって鳴海は別れを告げた。
- Re: 学園アリス 〜第一章 いつか逢えるその日まで〜 ( No.17 )
- 日時: 2013/07/06 19:22
- 名前: かりん (ID: wXpuLz/E)
〜第二話 始まり〜 (続き)
一方、ルナとペルソナは、初校長を裏切ろうとしていた。
柚香が殺されたあの日、ルナは仲直りすることのできないまま柚香と別れてしまったことを、そして、自分の間違いに気づくのが遅すぎたことを悔やんだ。
いや、ルナには、本当はわかっていたのだ。自分は間違っていると。
だが、羨ましかった。みんなに愛されている柚香がうらやましかった。
柚香になってみんなに愛されたかった。
ただ、羨ましくて、だれにも愛してもらえない自分が悲しくて…、だから憎んだ。
心の奥底で間違っているとわかっていても………。
本当は、ずっと柚香は自分のことを気にかけ、自分に間違いを気づかせてくれようとしていたのだということに気付かないくらい…。
…離れていてもずっと自分のことを友達だと思ってくれていたのだということに気付かないくらい…。
…気持ちを…想いを伝えていたなら…、…もっと自分の心に素直になっていたなら…、何か変わっていたのかもしれない…。
そう思わずにはいられなかった。
だが、いまさら気づいたところで、後悔したところで、もう遅い。柚香は殺されてしまったのだ。失われた命はもう二度と元には戻らない。
悲しみは深まるばかり…。
「柚香ちゃん!先生!助けて!私はいったいどうすればいいの…?」
ルナは、誰にともなく叫んだ。
すると、誰もいないはずの部屋の中、床につっぷし泣きながら助けを求めるルナに何者かが優しく呼びかけた。
『ルナちゃん…』
『ルナ…』
「!?」
まさか…。
しかし、その声は紛れもなく柚香と泉水の声だった。
ルナは、はっとして顔を上げた。
すると、そこには、柚香と泉水がいた。
柚香は、学生時代と同じ茶髪で長い髪をしている。
「ゆ・・・か・・・ちゃん・・・?せん・・・せい・・・?」
ルナは、自分の目を信じられないでいると、柚香は優しく語りかけてきた。
『ルナちゃん…自分を責めないで…あの男と戦うって決めたのは私自身だから…』
そして、目に涙をためて、続けた。
『あなたを助けてあげられなくってごめんね…』 「なんで…、なんであんたが謝るのよ!悪いのは私の方なのにっ…!私、あんたにひどいことっ…」
ルナは、泣きながら柚香に向かって言い返すが、泉水がそれを遮るように言う。
『今、お前がしなければならないことは、過ぎ去った過去に対する後悔じゃない。前に向かって歩き続けることなんじゃないのかい?』
柚香も泉水の言葉にうなずいた。
『自分はこれから何をしたいのか、しっかり自分の心に問いかけてみるんだ。そうすれば、おのずと答えは見えてくるはずだよ。』
『自分を信じて、前に向かって歩いて…。私たち、信じてるから…。蜜柑を、お願い…っ。』
そう言うと、二人は闇に消えてしまった。
「待って!柚香ちゃん!先生!私、いったいどうしたら…?!」
ルナは、柚香と泉水が消えた虚空にむかって叫んだが、返事はなかった。
その後、ルナは必死になって考えた。学園のこと、初校長のこと、…そして、蜜柑のこと———。
そして、自分はこれからいったい何をしたいのか、自分の心に真剣に問いかけてみた。
ルナにとっては、たった一人の親友を初校長に殺されてしまったのだ。どうしてこのまま初校長に従っていられよう。
そう考えた時、ルナの頭に蜜柑の顔が浮かんだ。蜜柑は、自分のことを怖がらずにまっすぐ見てくれた泉水と柚香の大切な娘。そして、蜜柑も柚香と同様に、恐れも迷いもない澄んだ瞳で自分をまっすぐに見据えていた。
初校長はこれくらいのことでは引き下がりはしないだろう。再び蜜柑を狙い、牙を剥けてくるに違いない。
蜜柑も柚香のように殺されてしまうのだとしたら?
そんなこと耐えられない!
蜜柑には、柚香や泉水とは違う未来をつかんでほしい。
『蜜柑をお願い…っ。』
柚香は、消える直前そう言ったのだ。
ルナは決意した。蜜柑を守ろうと。
自分が泉水や柚香に対してできる償いはそれしかない。
そして彼女は、それを実行した。
- Re: 学園アリス いつか会えるその時まで ( No.18 )
- 日時: 2012/01/04 09:18
- 名前: かりん (ID: eK4vc3Ov)
〜第二話 始まり〜 (続き)
ペルソナは、事件の後、ただただ自分が今までやってきたことを後悔していた。
事件の時、己の身を犠牲にしてまで自分に間違いを気づかせてくれた、のばらの言葉が胸によみがえる。
「ペルソナ…」
「目を覚まして…
歪んだ罪の意識で
周りをおとしめるのはやめて…」
「私がずっと
おそばにいます
あなたの罪も何もかも一緒に…」
「あなたは
ちゃんと人を守れる
やさしい人…」
「謝って下さい
ペルソナ
蜜柑ちゃんに…
今まで傷つけてきた全ての人に」
「あなたが間違い続ける姿を
それ以上
行平先生に見せ続けないで…」
泉水はあの日、初校長に騙された自分を救おうとしていたのだ。それなのに、自分は、騙されていることに気づかず、怒りにまかせてアリスを使い、泉水を殺してしまった。そして、その後も初校長の傀儡となり、罪なき人を傷つけていた。
のばらに言われて今やっと気づいたのだ。
泉水が自分を救おうとしていたことに。自分が間違っていたことに。
その夜、後悔にさいなむペルソナは、夢を見た。
幼いころの自分が泉水に助けを求めている夢だ。
『先生!どこにいるの?!先生!助けてよ、先生!』
夢の中のペルソナは必死になって泉水に助けを求めている。
『レイ・・・』
ふと、優しい声が聞こえた。
顔を上げると、目の前に泉水が立っていた。
レイは、驚くと同時にとめどとなく涙があふれてきた。
『!?先生!ごめんなさいっ…僕、ほんとはあんなことするつもりじゃっ…』
『僕、あの部屋に戻されることが怖くてっ・・・ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!』
泉水は、泣き崩れるレイに向かって、優しく話しかける。
『レイ、顔を上げるんだ。』
レイは、泉水に言われるがままに顔を上げた。
すると、泉水は、レイの顔にそっと触れ、頬に伝う涙を両手でぬぐった。
そして、優しく語りかける。
『レイ、いつまでも泣いてばかりいてはいけないよ。
自分がしてきたことが間違っていたのだとわかったなら、進むべき道はもうわかっているはずだ。お前が本当は優しい子なんだってことくらい、私が一番よくわかってる。』
『…蜜柑のこと、頼んだよ…』
朝、目を覚ますと、ペルソナの頬には涙が伝っていた。
自分はこれからいったい何をすればよいのだろう?
今まで自分がしてきたことに対してどうすれば償いができるだろう?
そう考えたペルソナは、蜜柑を守ろうと決意した。
泉水は言ったのだ。
『…蜜柑のこと、頼んだよ…』と。
泉水や他の人に対して自分ができる償いはそれしかないと。
そう思ったペルソナは、初校長を裏切る覚悟を決めた。
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