二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク-
日時: 2012/08/09 21:43
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

この物語は、

銀魂の世界で起こった奇妙なコラボ作品であり、

温かくて冷たい——駄作である。


と、言う訳で意味深長な言葉から始まりましたが!!
お久しぶりです。ここで書くのは5カ月ぶりです、山下愁です!!

皆様、覚えていらっしゃいますでしょうか。炎神暴君★リシタニアを!!
そうですそうです。山下愁による突拍子もないあの駄作です。しかも銀魂と戦国BASARAのコラボと言う異様な小説です。
なんと、そのコラボ作品がついに新しく変わって参上します!!

新たに加わるのは。

オリジナル×銀魂×戦国BASARA×青のエクソシスト(NEW)です。

お分かりいただけるだろうか。あの神作とコラボです!!
と言う訳で、早速注意。

その1……山下愁の超駄作。原作を汚しまくってます。原作を汚すなと言う方は、即バックをお願いします。

その2……原作のキャラ、完全に崩壊します。

その3……ストーリーも破たんします。ゴメンなさい。

その4……オリジナルキャラが出現します。というか主人公はオリジナルです。

その5……新たに加わる可能性高いです。

その6……亀更新です。兼用してます。

以上です!!
では、あなたの心に残るような小説を書ける事を願って。


お客様(Thank You)
柚莉様

目次
序章『なんやかんやで再スタート!!』
>>03 >>04 >>05

第1章『最初が肝心とか言うけど大体踏み外す』
>>6 >>11 >>12 >>13 >>14

第2章『レズとか剣とか男の娘とか』(柳生編スタート!!)
>>15 >>16 >>17 >>20 >>21 >>22 >>23

第3章『幽霊は本当には出ないから安心して』(スタンド編スタート!)

>>24 >>25 >>28 >>29 >>32 >>33 >>34 >>35

第4章『こたつの魔術は偉大である』(あの面倒くさがりになってしまうコタツ編)
>>36 >>37 >>38

第5章『一夜の夢は遊女の町にて開かれる』(吉原炎上編スタート!)

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Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.37 )
日時: 2012/07/26 22:34
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第4章 こたつの魔術は偉大である


 買い出しを終えて帰ってきた翔が見たものは、あの万事屋3人に+桂だった。
 品物を冷蔵庫の中に押し込み、翔は首を傾げる。

「何でヅラがここにいんの?」

「んー? だって寒いし。別にいいじゃないかー」

 桂は脳天をハゲにして、こたつ布団をかぶる。一体何だ、こいつ。
 そしてついでに、銀時と神楽の脳天もハゲていた。完全にサザ○さんの波○である。こんなのが主な訳ない。
 翔はコクリと頷くと、パチンと指を弾いた。
 出てきたのは——万事屋でも殺人の腕を誇る忍び、風魔。

「こいつを殺れ」

 承知とでも言うかのように、風魔は頷いた。っていや、

「頷くなよ、そこォォォオオ?!」

 新八が間髪入れずに突っ込んだ。
 翔が不満そうに唇を尖らせ、風魔を止めながら、

「だってこんなのが銀時な訳ないじゃん。脳天ハゲなのは未来を予想すればいいかもしれないけど、死んだ魚のような目がさらに死んでいる。もはやゾンビ」

「ゾンビ?!」

 だからGO、と再び翔は風魔をけしかけようとした。2人は動かない。
 あ、何? 本当に殺しちゃってもいいんだー的な事を思いながら、翔はあえて「風魔やっぱ止めて」と言った。風魔も止まる。さすがに万事屋主を殺すのにはきついらしい。
 翔はため息をつき、

「しゃーねーな。こんな奴でも銀時が主だって認めてやるよ」

「いや、認めてやるって上から目線じゃないですか」

「気のせいだ」

 ていうか、俺の性格はもとからこんなだぞ? 最近馬鹿っぽくなっていたがな。とか言いながらこたつの部屋から出て行く翔。ソファにいつも通り寝転がり、大きな欠伸をして眠りにつく。寒くてもお構いなし。
 武将達は武将達でプロレスごっこをしているらしく、万年床である翔達の部屋がやけに騒がしい。でもそれでも寝れる翔はすごい。

「あれ。銀さん達をこたつから出す事はどうなったんだい?」

「あらー、雪男。燐菜の方はどうなの?」

 雪男は燐菜の料理の手伝いをしていたのだ。まぁ、料理ができる燐はプロレスに参加してるからという理由がある。
 メガネを指で押し上げ、雪男は笑う。

「えぇ。あとは私がやるって燐菜さんは張り切っていましたよ」

「そーかい。じゃあ心配はナッシングだな。ふぁ……。誰か依頼人が来たら起こしてくれるか?」

「それなら僕もここで仕事をしちゃってもいいかな?」

「いいんじゃねぇの? 銀時の机を借りりゃ」

 適当に頭を掻きながら、翔は言う。
 雪男は薬草と本を取り出して、何かを調合し始めた。悪魔薬学の教師ゆえに、そのような事が仕事なのだろうか。翔には分かりかねない。

「あれ? お妙さんこんにちは」

 うとうとしているところで、燐菜が声を発する。ふんわりと甘い匂いが漂ってきたので、何かケーキじみたものでも焼いたのだろう。
 ついでに九衛兵もいる。この2人、案外仲よしなのだ。

「あら、燐菜ちゃん。それはスポンジ? 何か作るの?」

「これからショートケーキを作る予定なんだ! あとで持って行くね!」

「楽しみにしているぞ」

 そしてこたつのある部屋の方へと消えて行く。
 直後、新八の悲鳴が起きた事は言うまでもない。

「……なぁ、雪男。お前ってこたつって使った事あるか?」

 寝ながら翔は不意に雪男へ問いかけた。
 薬草の調合をしながら、雪男はその問いかけに対してシンプルに答える。

「記憶にないなぁ」

「孤児院なんだろ、育ったの」

「……」

 雪男の手がピタリと止まる。『何故知っている?』とでも言うかのような目で、翔を見上げた。
 一方の翔は、にやりと笑った。雪男には死角になっていて表情が見えないが。

「俺が人の記憶を覗けないとでも思ったか? この世界にいる限り、テメェらも俺の管轄だ。記憶を覗けてナンボなんだよ」

「質が悪い」

「よく言われる」

 自嘲気味に言う翔。そして話を続ける。

「迷惑ついでに、俺の話も聞くか?」

「……翔さんの話って何です?」

 薬草を調合しながら言う雪男。目線はこちらに向いていないが、興味はあるらしい。

「とある1人の死神はー、空から落ちて記憶をなくしました。地上に降りて路頭に迷い、ふらふらとさまよって、1人の男に拾われました」

「……その男が銀さん?」

「んーん。違う人……そいつに半年ぐらい利用されてね。逃げ出したんだよ」

 どこか遠い目で語る。
 そして翔の話は続いた。逃げ出した死神は、再び男に拾われますが、その男から逃げ出そうとした。しかしできなかった。
 男は見知らぬはずの死神に、とても優しかったのだ。少ないながらも温かい食事、風呂、寝床——感謝しきれないぐらいだった。
 そんな男は、ある日事件に巻き込まれる。事件——というか、死神しか分からない事件。つまり志望予定時刻が近づいてきていると。
 興味を持たなかった死神は思う。どうしてもこの男だけは救いたいと。だからその日、『絶対に家から出るな』と命令して見張っていた。
 死期は免れたが、大きな難題が襲い掛かる。見過ごせないプラスの時間——予定時刻を過ぎた者は、死神に狩られやすい。死神は禁術を使って、男の時刻をごまかしたのだ。

「ま、こうして現在に至る訳でございます。全て事実だよ?」

「……確かに、銀さんは優しいですよね」

「あんなだけどな」

 いつの間にか人数が増え、10人でこたつに入ってごろごろしている銀時達を見て、2人は苦笑を浮かべるのだった。

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.38 )
日時: 2012/08/02 22:42
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第4章 こたつの魔術は偉大である


 何かみんなして脳天が禿げているんですけど……。
 その光景を見た翔の心の感想が、まさしくそれだった。本職の時はポーカーフェイスをしているはずなのに、笑えてきてしまう。いや、これを仕事だと思いこめば大丈夫だ。

「あれー? みんな、いつの間に禿げたのー?」

 と、ここで燐菜が余計な事を言ったから、翔はブッフォッッ!! と盛大に吹き出してしまった。

「ばっ……り、りん……ッッ! クハハッ!」

 腹を抱えて盛大に笑ってしまう翔。もうダメだ、波平ヘアじゃなくてよかったが、これでも十分に笑える。何せ、神楽や九衛兵やお妙までもが脳天ハゲ。
 ダメだ。もうここに官衛兵を投入してしまおうか。

「小生を使うな!」

「あ、何だ聞いていたのかお前」

 チッと舌打ちをする。じゃあどうしよ、勝呂でも突っ込んでみるか?

「だから何で人を突っ込もうとすんねん! 自分が入れや!」

 万事屋国技場から勝呂が突っ込んできた。さらに大きく舌打ちをする。
 燐菜がきょとんとしたように首を傾げ、

「じゃあ、私が入ろうか?」

「断る」

 何かお前が入ったらやばそう。と翔は言った。
 いくらなんでも、ここに女子を投入する訳にはいかない。すでに何人か投入されて脳天ハゲになっているのはもう何も突っ込まないようにした。
 髪は女の命と言いますよね。作者はバサバサのくせ毛なので命なのか別問題です。サラサラストレートになりたい。翔君うらやましい。テメェが禿げろ、by作者。

「フンッ!」

 こちらに地獄業火、獄炎乱舞が飛んできたので話を戻す事にする。
 翔は立てかけてあった炎神を手をかけ、こたつへ向ける。

「しょ、翔さん何をする気ですか!」

「あーん?」

 耳をほじりながら、翔はにやりと笑った。
 新八は嫌な予感がしたかのように、顔を強張らせる。

「エクスプロージョンっていう単語を知っているか?」

 不敵にほほ笑みながら、翔は言う。
 英語はあるがまぁ当たり前に習っていない為、新八は首を横に振った。
 それを聞いた燐菜と雪男。声をそろえて答える。

「「爆発」」

「正解☆」

「ちょ、ちょっと待ってください! ば、爆発? 爆発させるんですか?!」

 抜け出せない為、もぞもぞとこたつで身じろぎする新八。あぁ、これで抜け出せたらどんなによかった事か。
 それを聞いていないごろごろし隊の銀時達は、全然ごろごろできていない為、喧嘩をし始めた。

「だってさ、こたつで喧嘩を始めるぐらいだから壊した方がいいと思って——あ、面倒だから燐を呼んで炎上してもらう?」

 俺の炎じゃ不満なようだから、と言う翔。
 いや、燐の方が危険じゃないか? もしかしたら銀時達を焼くかもしれないぞ、それ。
 新八はふるふると力なさげに首を振る。

「そう? じゃあ俺が壊すよ?」

「た、助かります」

 が、その時。
 ビシィッ! とこたつにひびが入った。そしてこたつが破壊される。
 煙を発しつつ、こたつはボロボロに砕けた。

「あれ? 俺ら——」

 いつの間にか銀時達の脳天には髪の毛が生えていた。復活したようだ。
 翔はほっとした様子で胸をなでおろす。
 が、ここでとある事態に気づいた。

 なんと、新八の髪の毛が、脳天ハゲになっていた。

「し、新八……?」

 翔は苦笑いで問いかける。
 新八は、うつろな目で、

「もう突っ込むのも面倒くせぇ」

「「「「「ご、ごめんなさい……」」」」」

 何故か何もしていない燐菜や翔、雪男までもが謝ってしまった。

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.39 )
日時: 2012/08/09 22:34
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

「地下の町、吉原? そんなのがどこにあるんだってんだ」

 翔はぶらぶらと団子の串を口の端で揺らしながら言う。
 隣に座っていたのは、情報屋で有名な王良空華と市ノ瀬凛のコンビだ。
 空華はお茶をすすりながら、

「いやぁ。その町ってね、夜王の縄張りだからさぁ。うかつに入ったら殺されちまうよ。夜兎に敵う奴っていないもんなぁ」

「神楽と同種族か。空華、1発殺り合ってこいよ。大丈夫だ、俺が天国に連れて行ってやる」

「勘弁してよ。この年でまだ死にたくないよ」

 苦笑いをしながら、体の横に茶を置いた。
 続いて凛が、

「夜王、鳳仙。それが奴の名前さ。噂なんだがね、少年がそこで鳳仙の女を買おうとしているのさ」

「へぇ。どこぞのガキが。まったく面倒くさいね」

 翔は変わらずにぶらぶらと団子の串を揺らす。そして立ち上がって団子屋の主人に「請求はそこの眼帯にヨロシク」と言った。
 空華は「俺様が払うの?!」と言っていたが、翔は気にしない。むしろ聞いていない。
 その表情は、明らかに楽しそうなものだった。


第5章 一夜の夢は遊女の町にて開かれる


「それで」

 スナックお登勢に戻ってきた翔は、その光景に苦笑した。
 雫が自分よりも明らかに年下であろう子供に、銃を突きつけてにこにこと笑っていたのだ。
 翔は頭を掻き、死神の力を以てしてその子供の名前を見る。
 名字はない。ただ、晴太という名前だけがそこにあった。ついでに生命数。

「ふむ。晴太、という名前か」

「な。何で知ってんだよ! おいら、お前に名乗ってねぇぞ!」

 晴太という名前を明かされた子供は、驚きの様子を隠せなかったようだ。銃口が頭に向けられていると言うのにもかかわらず、椅子から立ち上がる。

「俺を誰だと思う? 俺はな、死神なんだよ。相手が誰であろうと死は免れない。その死を迎えに行く為に存在する殺すだけの神様だ」

 背負った鎌を晴太に突きつけ、翔はニヒルに笑った。
 それだけで晴太は押し黙る。ふむ、ここで反論して来たら臨死体験でもさせてやろうかと思ったが、まぁ聞き分けのよさそうな奴だ。

「それで? こいつは一体何をしようとしたんだ? 俺の主様?」

「俺の財布をスッたんだよ。逆にスりかえしてやったけど」

 銀時は誇らしげに言うが、どちらも犯罪を犯しているのでどうとも言えない。
 翔は呆れたようにため息をつくと、雫に「銃を下ろせ」と命令した。

「何でぇ?」

「いいから。ここでもし発砲して晴太の頭をブチ抜いたら——俺の仕事が増えるだけだ」

 本職の方だが、とあとで付け足しておく。ついでにまだその時間は来ていないので生き返らせるつもりでいるが、晴太の顔は空にも負けないぐらいに真っ青だ。
 その反応が新鮮だったのか、翔はにやりとほくそ笑んだ。楽しい奴だ。
 雫はしぶしぶといった様子で、銃を下ろした。

「で、金がどうして必要だったんだよ」

「女を買う為だよ」

「あぁ。お前が噂の。誰だっけ、えーと名前は日輪だったかな?」

 ぺロリ、と翔の赤い舌が唇をぬらす。

「死期でも見えんのか?」

「まさか。直に見てみないと分からないな、死期は。——まぁ俺にとっちゃ金なんざなくてもそんな場所に行けるけどさ。ハハッ」

 銀時の言葉に、翔はけらけらと軽く笑い飛ばす。そして鎌を背中に収め、スナックを出て行った。
 雫はその背中を見送ってから、ため息をつく。

「まぁ素直じゃないんだからさぁ」


 地下遊郭、吉原。ここには数々の遊女が売られている。当然男の夢の世界だ。
 先に言っておく。翔ももちろん男である。女にも免疫はあるし、年齢は若く見えるが銀時以上の実年齢を持っているのだ。
 そんな翔は、現在とある茶屋に腰かけていた。

「銀時。お前までついてきたのか。何があっても知らんぞ」

「馬鹿が。番犬が勝手な行動をされちゃ困るんだよ。誰か死んだらどうするんだ」

 隣に腰かけている銀時は、団子を食べながら言った。それは一体誰に支払わせようと言うのだろうか。
 対して翔は、女に色目を使ってお茶を1杯サービスさせてもらっていた。そのお茶を何のためらいもなくズズズとすする。
 彼らの後ろには、男が2人いた。

「あいつが持ってくる金は、1日1杯引っかけるのにちょうどよかったんだよ」

「うわ、悪い奴だね。じゃあ1銭も残っていないのか」

「残ってねぇな」

 ガハハハと豪快に笑う男に、銀時は無言で木刀を抜き去って叩きつけた。
 ふらりと倒れる男2人。翔は彼らから財布を強奪すると、銀時が食べた団子の料金をそこから支払う。店員の女性にそれを手渡した。

「まったく、こんな奴らに晴太の金が使われていたなんてな。殺すか?」

「失ったものってどうやって取り戻すんだ?」

「未来のネコ型ロボットにタイムマシンでも出してもらえ」

 さてと、目の前の問題は山積みだ。
 この一般市民(+死神)が日輪に会えるかどうかが問題だ。こうなったら戦国武将でも呼ぶか。この町でそんな大層な奴が通じるか。
 すると、金を手渡された女性店員が言う。

「この町は無法都市。2度と地上に戻れなくなりますよ?」

「残念だけどな、お姉さん」

 にやりと翔は笑った。それは大変不敵な微笑みであった。

「人間が死神をルールに縛れるかって話だ。テメェらにゃ俺を縛る事はできない」

 そして愛用の鎌——炎神を抜く。
 放たれる苦無。全て地獄の業火によって焼き溶かし、彼女へ柄を叩き込んだ。
 そのせいだろうか。遠くで「曲者!」という声が上がる。

「チッ! 逃げるぞ!」

「待って。この女を昴に知らせて燃やすから」

「そんなのあとでにしろよこの馬鹿野郎!」

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.40 )
日時: 2012/08/16 22:34
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第5章 一夜の夢は遊女の町にて開かれる


「お兄さん寄って行かないかい? サービスするよ」

 格子の向こうで美女達が侍へ言う。
 侍は唾を吐き捨てて、「貴様らのような女を買いに来たのではない」と言った。

「江戸1番の花魁に酒を注いでもらいに来た。日輪はどこだ」

「フン。あんたのようないも侍に日輪様が会う訳ないだろ。とっとと帰りな」

 何だと! と逆上した侍は、暴言を吐いた遊女の胸倉を掴む。
 そこへ、凛とした声が響き渡った。

「ここは女の国——吉原」

 フゥ、とキセルの煙をふかしながら、言う。鈍い色で染められた髪に、額と頬に傷を作った美しい美女だった。
 侍はその美女に目を向けると、全身を舐めまわすように見やる。

「いるではないか、上玉が。いくらだ?」

「わっちを買いんすか」

「いくらだと申しておる。言え」

 半分命令系で言う。
 美女は苦無を構えると、侍に向かって叩きつけた。腕がもぎれ、地面に落ちる。
 悲鳴が上がり、仲間の侍が応戦しようと刀を構えた瞬間に、全員が倒れた。

「主ら、薔薇には優しく触れねば————とげが刺さるぞ」

 フゥ、と煙を吐き出しながら、遊女の町へと消えて行く。

***** ***** *****

「んー、お。哀れな晴太さんと——神楽は分かるけどこの地味な芸者さんは一体誰だ」

 屋根から飛び降りて来た翔は、晴太・神楽・新八の前に着地する。銀時と一緒だったのだが、どこかに置いて来てしまったようだ。
 晴太は今まで貯めていた金を地面に叩きつけて、絶叫する。

「畜生! 今まで金を貯めていたのに、全部水の泡じゃねぇかよ!」

「そこで諦めるのか、少年よ。俺はそういうのは好かねぇぞ。全体的に嫌だ」

 おい、お前。携帯持ってるか? と近くに武士から携帯を借りる。そして万事屋の番号をポチポチとタイプしてからスピーカーに耳を当てた。
 コール音が2、3度鳴ってから電話がつながる。

『HEY! こちら万事屋銀ちゃんだぜ。御用件は?』

「おう。その声は政宗か。鍵を閉めて全員でこの吉原遊郭に来い。夜の王様に下剋上を仕掛けようぜ」

 相手は伊達政宗——つまり戦国武将。戦国時代なら経験しているであろう。
 下剋上。下の者が上の者を倒してなり上がる事。
 電話の向こうで、政宗は笑った。

『Ha! 楽しいpartyって訳かよ。上等だ。今すぐに行ってやる』

「今から言う番号を間違いなく覚えて、そこに電話をかけてからやってこい。言うぞ——0801150……」

 誰か分からない携帯番号を2つほど言ってから電話を切る。携帯を借りていた侍に、電話を突き返した。
 地面に落ちた1円玉を拾って、晴太へと投げてよこす。次々にお金を拾ってから、晴太へと投げた。
 お金を受け取った晴太は、目を白黒させていた。

「言っておくが、俺は死神であり万事屋の従業員でもある。つまり依頼主である。無理難題は聞くつもりはない。さっさと日輪の元に届けてやるか」

 くるくると黒髪をいじりながら、翔はぶっきらぼうに言った。まぁ彼もツンデレなところがあるという事で。
 その時だ。

「!! 地獄業火、獄炎乱舞!!」

 空に向かって炎をまとった鎌を振る翔。それで大量の苦無を弾き飛ばした(というか焼き焦がした)
 神楽と新八を脇にかかえ、晴太を炎神に乗せる。そして飛びずさって上を確認した。
 鈍い色の髪をした女が、そこに立っている。額と頬には傷。ワイルドな傷跡があるにもかかわらず、不思議な魅力を放っていた。

「……ほう。この町の番人か」

 鳳仙の他に、もう1人だけ名前を聞いていたような気がする。
 自警団『百華』。その頭領であり、死神太夫の名前で恐れらる忍び——

「月詠でありんす」

 苦無を構えてこちらに向かってくる自警団百華・月詠。そして大量の苦無を投擲してきた。
 神楽と新八を放り捨て、晴太が乗っていた炎神を掴む。「俺の後ろにいろ」とただ一言吐き捨ててから、構えた。
 ゴウ、と足元に炎がともり、それが形を成す。
 1匹の龍へと————!

「地獄業火、龍天翔舞!(リュウテンショウブ)」

 雨として降ってきた苦無は、残らず消えた。高温に耐えられずに鉄さえも蒸発したのだ。
 翔は舌打ちをして、床に降り立った月詠と名乗った女性を睨みつける。

「へぇ、なかなかの美人じゃん。どうして自警団なんかやってんのかが不思議だね。ま、別にテメェに言ったってしょうがねぇか!」

 かかとで新八をつつき、小声で「早く逃げろ」と言う。番傘を構え始めた神楽は放っておく事にした。
 新八は晴太を連れて、翔達に背を向ける。
 しかし、彼らの前に百華の奴らが降り立った。逃げ場がない。

「わっちの狙いは——主じゃ!」

 月詠が晴太へ向かって苦無を投げ飛ばした。
 翔が今から獄炎乱舞で攻撃しても間に合わない。2人とも黒こげだ。

「新八、晴太!」


「よう。待たせちまったようだな」


 のらりくらりとした声が、場に響き渡る。
 次の瞬間、銀色の何かが現れて苦無を全て弾き飛ばした。地面に音を立てて落ちる苦無。

「まさか、銀————と、き、」

 期待のまなざしでやってきたヒーローを見るが、翔は同時にため息をついた。
 何か。額に苦無が刺さっているんですけど?

「……なぁ、銀時。それは一体何だ? 訊いてもいいのか?」

「あん? 何だよ、それって?」

「それだよそれ! テメェは額には痛みを感じない人間なのか死ぬのかえぇ?!」

 ガクガクと銀時を揺さぶる翔。
 銀時は何食わぬ顔で額から苦無を引き抜いてから、「え? 何の事?」とでもいうかのような表情を作る。

「この血は騙せねンだよ!! あぁ?!」

「うるせぇな! 主人が醸し出す空気ぐらい読めよテメェはよ! これだからKYな死神は困るわ!」

「ぬ、主……わっちの攻撃を全て弾き落すとは、一体何者じゃ」

 月詠はこっちの空気を読んだのか、そのような事を口にする。めちゃくちゃいい娘。
 翔は銀時の胸倉を掴んで、炎神の刃を首に突き立てた。

「テメェはよォォオオ? 人間様に気を遣わせてんじゃねぇぞコラァァァ?」

「うるせぇな! それでもいいだろ、晴太を守ったんだから————」

 新八の方へ目を向ける2人。そこには晴太もいる。
 が、晴太はうつ伏せで倒れていた。
 後頭部に苦無が刺さったまま。

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.41 )
日時: 2012/08/23 22:32
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第5章 一夜の夢は遊女の町にて開かれる


 後頭部に思い切り苦無を差したまま、晴太は倒れていた。
 この状況を一体どう打開した方がいいのだろうか。とりあえず、晴太の魂は狩っておいた方がいいのだろうか?
 とにかく今はこの晴太をどうにかするべきだ。

「……さらば晴太。来世では幸せに生まれてこいよ」

 炎神を振り上げて、しんみりとした口調で言う翔。死神としての仕事モードに入っている。
 と、ここでおかしな出来事が。翔は眉をひそめて晴太を凝視する。

「こ、これは————ハ?」

 ダスッ! と翔の背中に苦無が刺さる。見れば、月詠が翔に向かって苦無を投げていた。
 まぁ、これだけでは死なないのだが。翔は死神だし。

「くぁ……!」

 とりあえず悶絶しておく事にした。翔はがくりと膝をついてしまう。

「翔! お前、大丈夫か————」

 ダスダスダスッ! 銀時の額、神楽と新八の胸に苦無が刺さる。もちろん月詠の仕業。
 ドサドサと倒れる中で、翔は月詠を睨みあげた。

「よ、よくも……俺の、主を——」

「ダメじゃん、そこのワイルド系美人のお姉さん」

 ダスッ! 翔の腕に、足に、腹部に苦無が突き刺さった。
 何事かと思えば、空華が自分に向かって苦無を構えていた。おそらく投げたのも彼だろう。

「……東翔と言う存在は死神——本気でやらないと死なないよ?」

「て、てめ……ぇ」

 ドサッ——と翔は倒れる。
 辺りに静寂が訪れた。月詠が部下に「ここはわっちに任せて鳳仙様に報告へ」と命令する。そして月詠と空華が残された。
 月詠はおもむろに銀時に近づいて、額に刺さった苦無を引っこ抜く。
 キュポンと吸盤が先端についていた。なんと、本物ではなくおもちゃだったようだ。

「起きなんし。今度は本物の苦無を叩き込むぞ」

「いや、俺には叩き込まれているけどな!!」

 翔はガバリと起き上がり、自分に刺さった本物の苦無を抜いて行く。腕から足から腹部から血があふれるが、一瞬で回復した。空華を睨みつけて、炎神を構える。

「テメェは一体何をしちゃってくれているんだこの野郎! 俺が死神だから本物投げたのか! 見ろ、この背中。月詠って女は気を遣って俺にもおもちゃを使ってくれたぞ?!」

「知るか死なないんだったらなおさらいいだろうがーっ!」

「死ねこの眼帯忍者」

「いや、待って待ってその白い紙は何? まさか俺様を裁く気? 嫌だ俺様はまだ死にたく——」

 残念ながら、その日空華は臨死体験をする羽目になった。

***** ***** *****

「Hey! 翔、無事だったのか。ここの町は危ないらしいからな——何でか幸村が頭を上げないんだけどよ」

 政宗は呆れ顔で佐助に張りついている幸村を見やった。
 女の町だからか、幸村は「破廉恥でござる」を連発して佐助の背中に張りついているのだ。貴様が破廉恥じゃないと思うのは一体誰だどこだそこは。キャバクラでも破廉恥海でも破廉恥どこで破廉恥じゃないと言うんだ?
 ——というツッコミは置いといて。翔はポリポリと頬を掻いて、

「何だか知らんが、ここは一体どこだ。一体俺らを名にする気だ?」

「決まっているだろう。逃がす為じゃ」

 バコン、と足元にあった太い土管の1部を開ける。そこは空洞になっていて、どうやら外から出られるらしい。
 しかし、晴太は首を振った。彼にはやらなければならない事があるのだ。

「おいらは、日輪に会うんだ。会いたいんだ!」

「その日輪が、主らを逃がせと言ってきたのだ。ここにいれば、貴様の命はないぞ」

 大丈夫だぜ晴太、死んだら天国に日輪と共に連れてってやるからよー、という薄情な事は言えなかった翔。言いそうになった事は事実だ。
 翔は元就にヒョコヒョコ近づいて、

「オクラ。日輪ってどう書くか知ってるか?」

「知らん。興味ない」

「お前が日輪日輪言ってるあの漢字だよ。これで興味出たか?」

 キラリン☆ と元就の瞳が光った。名前で釣られるとかww

「よし、そこの子供。我が協力してやる。喜ぶがいい」

「本当か! オクラっぽい帽子をかぶったお兄さん!」

 ハッハッハ、毛利元就ってたやすいなーとか思ってみたりする翔。
 だが、それでも月詠は認めなかった。

「……帰れ。でなくば、日輪の努力は水泡に帰す」

「————いや、そりゃどうだかな」

 元親が舌打ち交じりに言葉を吐き出した。視線は月詠とは別の方を向いている。
 それは背後——翔達の後ろだった。
 立っていたのは傘をかぶった誰か。体全体をマントで覆い、幽霊のように突っ立っている。だがかすかに感じるナイフのような殺気に血の匂いだけはごまかせなかった。
 翔は反射的に全員の前へ出た。背負っていた炎神を抜き放ち、腰を低く落として構える。

「ど、どうしたんだよ……」

 銀時が問いかけてくるが、翔は何も答えなかった。代わりに空華と佐助と風魔が察したのか、武器を一斉に構える。

「あの傘——神楽と同じ夜兎か。戦を勝ち抜いてきた、本物の夜兎」

 傘が持ち上がる。下から見えた顔は、実に悪いおじさんのような顔をしていた。

「そのガキをこっちによこせ」

 低い声で、男は言う。
 翔は鼻で笑うような口調で、

「嫌だ、と言ったらどうするんだ?」

 挑発をした。
 瞬間、男は爆発的な脚力を使って土管を踏みぬき、翔へと攻撃を仕掛ける。閉じた番傘を刀の如く、上段から振り下ろした。
 翔は笑いながらその番傘を受け止めるが、ゴキィという音が腕から響き、焼けるような痛みが全身に伝わってきた。

「くっ……?!」

 天人含め生きとし生ける全ての生物よりか体の作りは強いはず。細くても常人を逸脱した力が出せる死神なのだ。
 しかし、その死神の腕が1太刀受け止めただけで折れるとは一体何事だ。

「逃げろ! こいつ、ただもんじゃねぇ!」

 一瞬で骨の修復がされた腕を振るい、番傘を振り払う。
 すると、後ろから悲鳴が聞こえた。振り向くと晴太が、もう1人の男に首を掴まれている。番傘を持っているから、男は夜兎だと判明する。夜兎が2人だ。

「Ha! 楽しいPartyとしゃれこもうかぁ?!」

「邪魔だ。どいてくれよ」

 政宗の言葉を遮るが如く発された、殺気の含まれた声。
 常夜の町に舞う、1つの人影。番傘を持ち、顔を布で巻いた謎の男。こいつも夜兎だ。
 夜兎が3人目。

「言っただろう?」

 その声を聞いた時、神楽が顔を強張らせたのが分かった。
 翔はとっさにその男の名前を見る。そして目を見開いた。

「弱い奴に用はないって」

 男は番傘を振り上げる。土管は崩れ去り、全員は落下してしまった。
 が、その場から翔は慌てて飛び退いたので落下せずに済んだ。

「あらら、1人残っちゃった」

 楽しそうに言う包帯の男。
 翔は夜兎3人を睨みつけ、晴太を見やる。晴太は完全におびえた表情で、こちらに助けを求めていた。
 翔が死神の仕事モードになれば、夜兎と言わず鳳仙すらも殺せるだろう。が、死亡予定時刻前に殺してはいけないという禁忌が死神にはあった。炎神を使っても、晴太ごと殺す事になってしまう。

「悪い、晴太。俺は今、テメェを助けられねぇ」

 申し訳なさそうに言う。
 そして精一杯の自信と、晴太を安心させるように。


「弱い奴の命を狩るほど死神は暇じゃない。晴太、華麗に助けてやるから期待して待っていろよ」


 そして折れた土管から飛び降りる。
 夜兎を敵に回しても、彼には坂田銀時という主がいればそれでいい。


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