二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク-
日時: 2012/08/09 21:43
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

この物語は、

銀魂の世界で起こった奇妙なコラボ作品であり、

温かくて冷たい——駄作である。


と、言う訳で意味深長な言葉から始まりましたが!!
お久しぶりです。ここで書くのは5カ月ぶりです、山下愁です!!

皆様、覚えていらっしゃいますでしょうか。炎神暴君★リシタニアを!!
そうですそうです。山下愁による突拍子もないあの駄作です。しかも銀魂と戦国BASARAのコラボと言う異様な小説です。
なんと、そのコラボ作品がついに新しく変わって参上します!!

新たに加わるのは。

オリジナル×銀魂×戦国BASARA×青のエクソシスト(NEW)です。

お分かりいただけるだろうか。あの神作とコラボです!!
と言う訳で、早速注意。

その1……山下愁の超駄作。原作を汚しまくってます。原作を汚すなと言う方は、即バックをお願いします。

その2……原作のキャラ、完全に崩壊します。

その3……ストーリーも破たんします。ゴメンなさい。

その4……オリジナルキャラが出現します。というか主人公はオリジナルです。

その5……新たに加わる可能性高いです。

その6……亀更新です。兼用してます。

以上です!!
では、あなたの心に残るような小説を書ける事を願って。


お客様(Thank You)
柚莉様

目次
序章『なんやかんやで再スタート!!』
>>03 >>04 >>05

第1章『最初が肝心とか言うけど大体踏み外す』
>>6 >>11 >>12 >>13 >>14

第2章『レズとか剣とか男の娘とか』(柳生編スタート!!)
>>15 >>16 >>17 >>20 >>21 >>22 >>23

第3章『幽霊は本当には出ないから安心して』(スタンド編スタート!)

>>24 >>25 >>28 >>29 >>32 >>33 >>34 >>35

第4章『こたつの魔術は偉大である』(あの面倒くさがりになってしまうコタツ編)
>>36 >>37 >>38

第5章『一夜の夢は遊女の町にて開かれる』(吉原炎上編スタート!)

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Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.32 )
日時: 2012/06/14 22:24
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


「しょーう、おいしょーうー? どこに行ったんだあいつ」

 政宗はうろうろしながらあの炎の死神を探した。
 骸骨の件からかなりの時間が過ぎている。そろそろかの有名な征夷大将軍、徳川家康が来る予定だ。
 まぁ、BASARAの徳川家康は現在、柿の種をぼりぼり食べているが。
 そこで銀時を筆頭に、この宿に革命を起こそうという話がレイから聞いていたのだ。政宗は翔を呼ぶ為にこうして宿の中をあちこちうろうろしている。
 時たま幽霊達とすれ違い、翔の事を訊いて回るが収穫なし。どこにもいないらしい。

「まさか、帰った?」

 政宗は眉をひそめた。
 翔にはそういう技がある。空間移動術と言い、空間を引き裂いてつなげる事ができるのだ。その中を移動する事を可能とし、ここから万事屋に帰る事などたやすい事である。

「Shit! それなら銀時達に知らせねぇと」

 舌打ちをした政宗。そしてUターンをしようとしたら、いきなり三成が出てきた。どこか焦ったような感じである。

「だ、第2の家康が現れた!」

 まぁつまり、銀魂の徳川家康が現れた訳で。

***** ***** *****

「ハァ? 翔がいないだと? どういう事だ」

「さぁな。帰ったかもしれねぇ」

 政宗が自分の見解を述べる。
 それを聞いた全員は、ムゥ、と顔をしかめた。
 翔は死神であり、このスタンド温泉で言ったら最大の敵である。その翔自身がいなければ、この作戦は成り立たないはずなのに。

「仕方ねぇ。俺が時間を稼ぐ。そのすきにテメェらは翔を探せ」

「「「「「了解!!」」」」」

 全員で敬礼をして、銀時を見送る。そしてUターンして大浴場から宿内に入った。
 翔を探すのにはかなり時間がかかる。お岩にも言われていないところも探さねばならないし。

「大変そうじゃないか」

「……レイ殿」

 幸村が、突如現れた女性の幽霊の名前を言う。

「何を探すつもりだい?」

「翔を探さないといけねぇんだ。お前も協力してくれ!」

 燐がレイに言う。
 レイは首を傾げた。

「翔って、あの女みたいな容姿をしている死神かい?」

「そうだよ、その翔」

「それなら————」

 そこまで言いかけた時、鋭い殺気が全身を貫いた。
 誰かがそこに立っている。間違いなく。
 振り向くと、そこにはお岩が立っていた。

「誰を、探しているんだい?」

 お岩はいつもの笑みを保ったまま訊いた。
 何かが背筋を駆ける。武将達、エクソシスト達はそれに気押されて反論できなかった。何も言えずに、ただ棒立ちしていた。

「まさかあの死神かい?」

「翔を、どこへやったんだ!!」

 燐が震える口を動かして反論した。
 にやりと、お岩は不敵に笑う。そしてこう言った。

「閉じ込めたよ、生意気だからね。今ではすっかり大人しくなっちまっているさ」

「な、んだと……!」

 そこから一気に攻撃体勢を取る武将達、エクソシスト達。
 しかし次の瞬間、意識が飛んだ。

***** ***** *****

 目が覚めたら牢屋の中だった。
 政宗はぼんやりと瞳を開き、確認する。自分は捕まったのだと。従業員一同掴まっている。銀時も失敗したらしい。
 そんな政宗の耳に、声が聞こえた。息苦しそうな声である。

「……ハ、ハァ……」

 荒い吐息がこだまする。正面には独房があり、そこには1人の少年が寝転がらされていた。
 乱れている黒い髪。いつもは左下に結われている長い髪は、床に散らばっている。両手は縛られているらしい。ニット帽はかぶっていないし、相棒である身の丈を超す赤い鎌は見えなかった。
 東翔。
 探し求めていた炎の死神。

「翔……!」

 政宗は鉄格子に手をかけて、翔の名前を呼ぶ。
 正面の独房からゆっくりと翔は顔を上げ、政宗の姿を確認した。その瞳は虚ろなものだった。

「ま、さむね……?」

「しっかりしろ! 何があった!」

「鎌……炎神を取られた……。俺、あれないと、いけねぇのに……。力、出なくて」

 いつもの翔ではないみたいだ。
 どうする、と政宗が思った時である。

「あれ、こんなところで何してんスか」

 声がした。
 いつの間にか牢屋には、


 新八達がいた。

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.33 )
日時: 2012/06/21 22:26
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


 どうやら、一定間隔で死神の鎌が離れると途端に弱るらしい。
 向かいの独房でぐったりとしている翔は、両手にはめられた鉄枷を指でなぞる。一瞬にして溶解した。そして力なさげに持ち上がった手で独房の鉄格子を掴むと、あっという間に溶けてしまう。
 翔はふらふらとこちらへやってくると、牢屋の鉄格子を細い指でなぞった。

「た、のむ……炎神を探してきて」

 そこで力尽き、翔はうつ伏せで倒れた。炎の死神は炎を操る為、高温の熱を発してしまうらしい。
 他にも水の死神なら体温が急激に下がったり、雷の死神なら放電したりだとか症状は様々なものである。
 翔はただでさえ夏が大嫌いだ。だからこんなに弱っているのだろう。

「よし、武将とエクソシストどもは手分けして翔の鎌を探せ! 俺らは家康を調伏してくる!」

「あれ、ワシは何かしたのか?」

 BASARAの家康が首を傾げた。いや、君じゃないんだよ。
 だがしかし、銀時と半透明である新八達は、どこかへ行ってしまった。

「で、こいつの見張りは一体誰がやるんだ?」

 燐が翔を指差して問いかける。
 全員で手分けして探した方が早いだろうが、翔をこのまま1人にさせておくのも気が引ける。どうしたらいいのだろうか。

「俺は、いいから……。一定距離って言っても、大体300メートルあれば、回復する」

 息を荒くしながら、翔は言った。
 全員は心配そうな目をしたが、「すぐ戻る」とだけ告げると旅館内へ散る。


 幸村、政宗、佐助、小十郎は札が貼られた部屋に来ていた。ここが1番怪しい。

「行くでござるか?」

「そうするしかねぇだろ。翔があんな状態なんだ、さっさと回復してもらって幽霊どもを調伏してもらった方がいいだろ」

「そうだよね。でも、まさかあんなに弱るとは思っていなかった」

「しかし、翔がここで使えないのは痛手ではないかと」

 ぶつくさ言いながら、しばし札の貼られた部屋の前を逡巡する。
 しかし、ここで迷っていても仕方がない! 4人は武器を構えると、思い切り部屋の襖を攻撃した。雷と炎と闇が一斉に襖をぶち破る。
 そこは、小さな納戸だった。薄暗くて何もない、小さな部屋である。
 納戸の中央に、札が貼られた鎌があった。ボウ、と赤く輝き、主を探すかのように明滅している。間違いなく、翔の炎神だった。

「あったでござる! 炎神!!」

「よし、持って行くぞ!」

 炎神に手を伸ばすと、貼られていた札はボロボロと崩れた。手に取ると燃えるように熱い。
 顔をしかめながらも、政宗は炎神を握りしめて弱った死神の元へと駆ける。

***** ***** *****

 お岩は目撃してしまった。
 宴会会場でどんちゃん騒ぎをしている。家康達は楽しそうにお酒を飲んでいる。
 その幽霊達がたくさん座り、飲み食いしている中で人が立っていた。三味線を片手に、歌を歌っている。それに合わせて、机に乗った子供の幽霊が舞っていた。
 知っている。閣下化したあの万事屋の奴らだ。

「スタンドとなったのか!」

 お岩は舌打ちをした。
 しかし、その舌打ちは届く事はない。銀時は家康の肩に手を置くと、優しい声で言った。


「死んで初めての楽しい宴会でしょ?」


 その時、ドウッと音がして家康が成仏した。
 お岩が感じた温かな炎と光の扉————間違いなく、奴らのものだ。

「よぉ、ババア。よくも俺の炎神を封印してくれたようだな?」

 お岩の背後には、炎神を構えて幽霊を裁いている死神の姿があった。

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.34 )
日時: 2012/07/05 21:41
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


 とりあえず、どうやってこの状況を打開しようか。
 銀時は三味線を片手に苦笑した。
 対峙しているのはお岩————この温泉旅館の女将である。つまり、最強のスタンド使い。

「せんのかーぜーに……」

「残念だけど、TAGOSAKUにそんなちっぽけな歌は効かないよ。やってくれるじゃないのさ」

 にやりと、お岩は笑う。
 怖い。だが負けない。

「はぁぁぁぁぁ……!」

 唐突にお岩が息を吸い始めた。そして背後に取り憑いていたTAGOSAKUを口の中に吸い込む。
 その時だ。

「ぶわははははは! 貴様も蝋人形にしてやろうかぁぁぁぁあ!!」

 お岩がまさかの進化を遂げた。なんと、彼女は閣下となったのだ。
 巨大な拳を銀時の頭上に突き出す。壁にめり込み、コンクリートがパラパラと落ちてきた。

「な、舐めんじゃねぇ!」

 銀時は壁に突き刺さった腕を足場にして、お岩の顔面へ向けて両足をそろえた蹴りを叩き込む。
 顎にその蹴りが入ったはずなのにもかかわらず、お岩は不敵に笑った。そして銀時を振り払い、壁に叩き込む。
 かなりの距離を吹っ飛んだ銀時が見たのは、こちらに向かって走って来るお岩の姿だった。

***** ***** *****

 一方、翔達の方はと言うと。

「……あー、ハイハイ。お前はこっち、お前はこっちでぇ……ハイどうぞー」

 翔は炎神を操り、天国への扉と地獄の扉を両方同時に開けていた。判決の最中である。
 もうかなりの体力と精神力を使ってしまったのか、その顔に疲れが見えている。

「お、おい翔! 何かこの前の爺達がまずいぞ!」

「何がどうまずいのか説明してくれ」

 翔は5つの魂をまとめて天国の門の方へ送り、走ってきた燐の方へ顔を向けた。
 燐は今にも成仏してしまいそうな明智光秀を示す。体の半分が消えかかっていて、もう確実に成仏するだろう。それを支えているのは、まだ無事な豊臣秀吉だ。いや、あのゴリラではなく。

「……よし、最後に遺言を聞いてやる。何かいい残す事はあるか」

 炎神を消えてしまいそうな光秀に向けて、翔は言い放つ。
 光秀は自嘲気味に笑うと、「一言だけ」と言った。

「殿、本能寺——すいませんでした」

 それを聞いた織田信長、悲鳴を上げて成仏しかけてしまう。何、この連鎖。

「止めてよ、そんなの! 涙でてきちゃうじゃん! マジでお前、泣かせに来たの?!」

 信長は己の顔を覆って叫びまくる。しかし、成仏する体は止められない。
 やがて床に倒れ、秀吉に助けられる。

「うぅ……秀吉。最後に一言、聞いてくれるか?」

 苦しそうな声で、信長は言う。
 翔は明智光秀の魂を天国の門へ押し込めながら、信長の遺言を聞いていた。

「アル○ゲ○ン、○タヤに返しといて」

「謝れぇぇぇぇ! 猿って言ったの謝れぇぇぇぇぇぇ!」

 やっぱりな、と翔は思いながら成仏しかけているのを面倒くさいからこのまま判決するかと信長に刃を突き立てた。
 水蒸気となって消える信長。
 ただ1人残された秀吉に、翔は優しい口調で問いかけた。

「テメェもあの2人の後を追って逝くか?」

「止めて止めて! まだ逝きたくないよ!」

「知るか。そんなんだったらな、俺の仕事が増えるんだよ! そんなのはまっぴらごめんだ。死ね!」

 秀吉に炎神を振るい、天国の門へと魂を導いた翔。これで宴会に参加していたスタンドどもは狩った。
 一応翔はその場に待機する事にする。何故なら、政宗や幸村達の戦国武将ども、勝呂と燐の武器に死神の力を若干付与し、ここに魂を導くように仕向けたからだ。
 炎神を担いで、スタンド達がやって来るのを待つ。
 刹那、遠くの方で爆発音がした。

「……始まったか」

 翔は虚空を見上げてつぶやいた。

「何が始まったんですかねぇ?」

「よぉ、子猫丸。今までどこに行ってた」

 翔の隣にはいつの間にか子猫丸が立っていた。もちろん、スタンドである。閣下となっている為だ。
 子猫丸は苦笑いを浮かべて、

「杜山さんとか志摩さんで温泉に行ってました」

「あぁそうかい」

 見なかったけどな、と言いつつ翔は転がった酒瓶に目をつける。酒瓶の口からは透明な液体が流れ出ていた。
 遠くの爆発音はさらに激しくなる。
 武将達やエクソシストどもが戦っている訳ではない。
 銀時とお岩の戦いだ。

「……さて、俺も参戦してくるか」

「行ってまうんですか?」

「あぁ。子猫丸、お前は絶対に救ってやる」

 翔はにやりと笑うと、子猫丸の坊主頭を軽くなでた。死神ゆえに、魂には触れる事もできるのだ。
 子猫丸はにっこりと破顔した。

「えぇ。待っとります」

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.35 )
日時: 2012/07/12 22:47
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

 いつの間にか、彼女の周りには幽霊しかいなくなった。
 これは、とある死神の観察日記である。
 彼女は昔からある霊視の力を使って、幽霊を空に返す仕事をしていたのだ。
 だが、彼女の夫が亡くなってから彼女は変わってしまった。返すべきであるはずの幽霊は、1点に縛られてさまよい続ける事になった。

 彼女の名前はお岩。
 旅館の女将。


第3章 幽霊は本当に出ないから安心して


 さて、これは一体どう説明するべきなのだろうか。
 翔は炎神を担いで、首を傾げた。
 今目の前に広がっている光景は、お岩のスタンドであったはずのTAGOSAKUが暴走している。暴走して、その他の幽霊まで吸収しようとしている。
 そしてついでに、銀時・神楽・新八・お妙はもちろん、武将達と燐・勝呂までもが幽霊になっていた。どうしてこうなった。

「……なぁ」

「訊くな! 何も訊くな頼むから訊いて来るな!」

 銀時が反論した。いやいや、これは突っ込まざるを得ないだろ。
 燐達の体はそこに転がっているが、どうも銀時の本体が見つからない。誰かに乗っ取られたか。

「おい、銀時。テメェの体は?」

「あん? ザビエルに取られたんだよ!」

「……」

 よし、あいつは燃やす事に決定した今決めた知るかもう幽霊になったからには俺が覇権を握るのじゃわははは、と心の中でダークな事を考えている翔なのだった。
 すぐに正気に戻り、炎神を構える。

「今すぐ幽霊どもを解放してやる! そのまま天国へと昇天させてやらぁ!」

「お前ら! すぐに私の体に避難しな!」

 なんと、木に掴まっていたお岩が、手を差し伸べたのだ。——尻から。
 いや、誰が入るかそんなところから! と翔は内心で突っ込んでおく。
 すると、TAGOSAKUがしゃべりだした。

「……オイワ。1ツニナル。ミンナデ1ツニナルンダ。ソウシタラオイワハモウサビシクナイ」

 そういう理由で暴走しているのか、と翔は思った。そして無理やりにでも魂を送る為に炎神を構えた瞬間。
 お岩が掴まっていた木が、メキメキと折れ始めた。このままではお岩もあの幽霊の軍勢に巻き込まれて命を落としてしまう。

「ババァァァ!」

 そしてまさかの銀時も、自分が掴まっていた木から手を離して吸い込まれようとするお岩へと手を伸ばす。
 翔はハッとした目で、主の名前を叫んだ。

「銀時ィィィィィィィイイイイ!!」

 吸い込まれようとした。
 だが、それは阻止された。

 あのレイという女の手によって。

 レイはお岩の体を押して、TAGOSAKUが吸収しようとしている道から外す。

「レイ!」

「女将は1人じゃないよ。……みんな、女将の心の中にいるよ」

 レイは、TAGOSAKUに吸い込まれてしまった。
 銀時達が紐のようにつながってお岩を掴んでいる。お岩は唖然とした様子で、TAGOSAKUの方を見ていた。

「そうか……私の方だったね。みんなをこの場所に縛りつけていたのは。それでもずっと、私のそばにいてくれていたんだね。ありがとう——みんな」

 お岩の涙が、風に乗ってTAGOSAKUへと届けられる。
 その時だ。
 涙がTAGOSAKUに触れたん瞬間、温かな光があふれ出したのだ。

「……未練が断ち切れたか!」

 翔は炎神を握り直し、天国への門を開通させる。煌々と輝く白い門が曇天へと浮かび上がった。
 その中へ吸い込まれる際に、縛り付けられていた幽霊達は次々にこう言う。

 ——大丈夫。女将は1人じゃないよ。

「あー、数えんの面倒」

 死神の裁判を終えた翔は、炎神を背中のホルダーに収めた。

「来世では幸せに生まれて来るようにしろよ」

***** ***** *****

「ハァ。まったく散々だったぜ」

 燐は大きなため息をついて言う。確かに、彼の場合は従業員として働いていた。魔神の息子のくせに。

「で、テメェは1人でやっていくつもりなのか?」

 翔はお岩に訊いた。
 彼女はこれから1人でこの旅館を切り盛りして行かなくてはならない。なのに、お岩は笑いながら自分の胸を指した。

「私にはみんながいるよ。心にね」

「そうかい。だったら困ったらいつでも呼べや。時間外労働は金は出ないけど、やってやってもいいぜ?」

 ま、死神だしな、と翔は笑った。あとから銀時の「おーい、翔。行くぞ」という声で、翔は階段を下りて行く。

「お岩さん、1人で大丈夫なのかな?」

 しえみが心配そうに階段を下りて行く。
 翔が「心配ねぇよ」と答えた。
 実は、翔は禁術を使って1人だけ幽霊を呼び戻したのだ。彼女もまだ未練があるものだから、しょうがないと思ってのことだった。


 お岩が見たのは、1人の女性の幽霊。
 レイだった。

「あたしも、1人の男の背中を流したくてね」

 レイはそう言って、ウインクをした。

Re: 炎神暴君★リシタニア2-銀魂×戦国BASARA3×青エク- ( No.36 )
日時: 2012/07/19 22:04
名前: 山下愁 ◆kp11j/nxPs (ID: GlvB0uzl)

「諸君、こたつが壊れたので新たなこたつを中古で買ってきた!」

 そう言って、銀時が何だか分からないこたつを差し出してきた。
 布団には模様のように札が張り巡らされている。見るからに怪しすぎる。
 とは言っても、現在万事屋には銀時と神楽ぐらいしかいないのだが。

「あれ? あいつらはどこ行ったんだ?」

「遊びに行ったネ。『子供は風の子いえっふー!』とか言いながら」

 神楽はどてらを着て、ソファの上でごろごろしていた。
 じゃあいいか。2人で堪能しようって事で、こたつをセットした——


第4章 こたつの魔術は偉大である


 新八が「おはようございます」と言って、万事屋のドアを開けた。

「おう、おはようさん」

 翔が歯を磨きながら、新八に挨拶をした。まだ髪の毛はセットされていないらしく、艶のある長髪を流したままにしている。ニット帽はしていない。
 そして新八は気づいた。この万事屋の主の姿が見当たらない事を。

「まったく、新しいこたつで寝ているんですかね?」

「あー、いや……その、だな」

 翔が言いにくそうに言葉を濁す。
 しかし、新八は聞かない。どすどすと歩きながら、銀時達が寝ているこたつ部屋の襖を開いた。
 スパァァァン! という気持ちのいい音がして、襖が開かれこたつにもぐり込んでごろごろしている銀時と神楽と定春の姿が見えた。

「まったく! 何をしているんですか、こたつでごろごろしないでください!」

「いいじゃねぇか、正月ぐらいごろごろさせろ馬鹿野郎」

「リアルの季節は夏だけどな。季節外れにも程がありすぎる」

 翔が歯磨きをしながら言う。隣では三成が同じように寝ぼけ眼で歯磨きをしていた。
 すると、ドアがいきなり——ブッ壊された。

「おっはよいーす!」

 闖入者・未月燐菜が入ってきた。怪力少女であり、惑星の力を使えるド天然少女がどうしてここに?
 まぁいいだろう。うん。

「新しいこたつを買ったらしいから、あやかりに来たよ」

「いや、何をあやかってどうするんだよ。つかテメェ、いつになったらドアをブッ壊さないで入って来れるんだ?」

 翔は燐菜をジト目で睨む。そして歯磨き粉を出すべく、1度洗面所へと戻った。
 一方の新八は、こたつにスイッチがないか探していたところ————

「な、ブラックホールだとぉぉぉぉぉおお?!」

 こたつの中にブラックホールがあって、吸い込まれた。
 その光景を見ていた燐菜、笑顔を崩さずこう言う。

「大丈夫?」

「だ、だいじょ、大丈夫じゃないです!」

 新八は何とか畳に爪のあとをつけながらも、這い出てきた。恐怖により、半分涙でぐしゃぐしゃになっている。
 三成はその光景に見慣れたのか、または興味ないのか、いつもの冷たい口調で、

「ブラックホールなど、当り前だろう。ピッコロなんちゃらを封じ込めたって言っていたし」

「どこの漫画ですか! ちょ、待ってください待ってください。抜け出せないんですけど!」

 こたつから抜け出そうにも、新八は出て来れない。どうしたものか。
 髪を結び、いつものようにニット帽子を装備してきた翔に助けを求める。

「翔さん、これ助けてください!」

「あーん?」

 翔は面倒くさそうに頭を掻きつつ、新八の腕を引っ張った。だけどこたつからは抜け出せない。
 なので、燐菜の怪力に頼る事にした。

「どっせい!」

 しかし新八は抜け出せない。どうしたものか。
 しばし2人が思考し————

「燃やすか。おい、三成。幸村と燐を呼べ。燃やすわ、これ」

「待ってください?! 僕どころか、銀さんと神楽ちゃんも死にませんそれ?!」

「安心しろ。多分そんな事は起きない多分」

「大事な事なので2回言いました?!」

 何なのもーっ! と新八が頭を抱え始める。
 翔はため息をついて、

「ま、しばらくしたら抜け出せられるかもしれねぇからな。俺は全員で買いだし行ってくるから。燐菜、行くぞ」

「合点承知の助でい! たくさん買いましょーっ!」

 ま、待ってぇぇぇ! という新八の悲鳴は軽くスルーした。


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