二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ
日時: 2012/12/21 19:28
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: MxORj1uQ)

どうも、メロンソーダともうします。
これは、イナズマイレブンととんがりボウシをコラボした小説です。
悪口、荒らし等は禁止です。

〜注意〜

・更新スピードは超遅い
・イミフなところあり
・ナレーションは基本一人称
・他の小説、アニメ、ゲームからネタをお借りしています
・たまに流血表現があるかも
・とんがりボウシのキャラはみんな擬人化されてる

これらが許せる人は、どうぞ

♪目次♪

第1話 噂話 >>01
第2話 扉  >>02
第3話 突き飛ばされた少林 >>03
第4話 異常 >>05
第5話 扉の中 >>07
第6話 落下 >>09
第7話 異世界 >>10
第8話 町並み >>14
第9話 魔法界 >>17
第10話 人間界の異常 >>22
第11話 魔法学校の校長 >>23
第12話 ツリーハウス >>25
第13話 釣り >>26
第14話 魔法学校と仲間 >>29
第15話 とある少女の陰謀 >>34
第16話 突然の呼び出し >>35

 〜「禁断の書」編〜

第17話 禁断の書  >>38
第18話 調べもの  >>47
第19話 ベリーⅠ  >>52
第20話 止まった時間  >>59  

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Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.22 )
日時: 2012/09/06 16:04
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: nWEjYf1F)

  10

 豪炎寺〜雷門中「部室棟裏」にて〜

 ありえない!
 少林が消えた時、俺は心の中でそう叫ばずにはいられなかった。さらに、円堂、それに彼を追いかけて行った半田、さらには風丸たちまでもが消えてしまった。
 実のところ、俺も扉に飛び込もうとしていた。しかし染岡と土門に遮られ、結局その場に立ちすくんでいることしかできなかった。

「よせ、豪炎寺!」

「今はだめだ!」

「なんで・・・なんであいつらは・・・」

 壁山はなにかにおびえるように縮こまり、ブルブルふるえていた。やはり、少林への罪悪感ゆえだろうか・・・。

「とりあえず、夏未に・・・」

 そうつぶやいて携帯を手にした時、耳元で響いていた風音が、不自然なくらいに急に止まった。
 それだけではない。雲も動きを止め、木々もざわめくのをやめた。
 寒い。
 気温が一気に五度くらい下がった感覚だ。

(な、なんだ?)

 空を見上げる。空気が、世界が・・・。

 動きを、止めてしまったみたいだ。

「白恋中から、さっき連絡が入りました。吹雪さんが、消えた・・・そうです」

 春奈が、呆然としている俺たちに告げた。
 何が起きているのか。
 何も確信がもてないまま、俺は黙って動きを止めた時計の秒針を見つめていた。

Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.23 )
日時: 2012/09/07 16:44
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: nWEjYf1F)

11

 半田〜フェリシダ王国 レーズンタウンにて〜

 円堂似の少年は、カーチェス=フェリシンと名乗った。この青の国・・・フェリシダ王国の王子なのだという。
 クロードが案内してくれた場所は、クリスタル状のレンガで造られた、小さな塔の中だった。ごくわずかだが、淡い光を放っている。
 その不思議な見た目にしばしぽかんとしていた俺は

「半田、入るよ」

 というマックスの言葉で我に返り、慌ててその建物の中に入った。

「校長、相談があります」

 クロードが中に入るなり声を張り上げた。
 俺たちは、クロードが声を掛けた相手よりもまず、塔の中の異様な光景に目を凝らした。
 部屋を埋め尽くす無数の本。それ自体は俺たちの世界にある図書館にも存在するので別段驚くことではない。異様なのは、それらの本の何冊かが・・・宙に浮いているということだ。
 部屋の奥には塔状に本が積み上げられていて、いつ崩壊してもおかしくないほど高い。そして、その上に・・・。

「やあ、クロードくん。なんですかな、相談とは」

 ・・・太陽だ。
 存在がまぶしいとか、明るいとか、そんなんじゃなくて、本当に、見た目が・・・顔が、太陽の形をしている。

「クロード・・・あいつ誰?」

 円堂の言葉に、クロードは声をひそませた。

「赤い屋根の建物、見た?あそこがレーズン魔法学校。そして、あの人が・・・校長だ」

 校長は立ち上がると、悠然と本の階段を下り、俺たちの目の前で足を止めた。

「フム・・・彼らは・・・?」

「異世界から来たそうです」

 クロードが表情ひとつ変えずに説明し始めた。その間校長は無表情のまま黙っていたが、カーチェスは未だに信じがたい、と言いたげな顔をしている。

「ホントかよ、クロード。異世界・・・って・・・不思議時間にもなってないのに、そんなことありうるのか?」

「莫迦なカーチェスでも、そのくらいのことは疑問に思えるんだね」

「あったりまえだろ!」

 カーチェスは憤慨して大声を出したが、校長の視線を感じてすぐに口をつぐんだ。

「そうですね・・・」

 カーチェスから視線を外し、校長は静かに目を閉じた。

「クロードくんの、そして彼らの言うことが全て嘘偽りない真実だとすれば・・・彼らの世界に、危機が訪れたということかもしれません」

「俺たちの・・・世界?」

 緑川が眉をひそめる。

「つまり・・・魔法界に一番近く、似た形の生き物が住み、同じ言語を使う世界っていったら・・・人間界だよね?」

「その通り・・・」

「!! なっ・・・」

 唖然とする俺たち。
 校長は諭すように言葉を続けた。

「具体的なことは分かりません。しかし、そう断定するのが妥当でしょう。不思議時間が起こらぬ限り、異世界から誰かが訪れてくることなど、ありえない。異世界を繋ぐ空間にそういとも容易く足を踏み込めるなんて、滅多になかった」

「不思議時間って、なんですか?」

 吹雪が質問した。

「魔法界と、どこかの異世界が繋がって、奇怪な空間が現れる時間帯のことだよ。ここレーズンタウン特有の現象で、意図的に引き起こすことだってできる。その直後、必ずなにか事件が発生するんだ」

 クロードが簡潔に答えてくれた。その話しぶりというか、振る舞いというか・・・彼の雰囲気は、なんだか賢い印象を与える。そのへんは学校の赤点及び居残り組のマックスとは大違いだ。

「そして、君たちには酷かもしれませんが・・・」

 校長が言う。

「君たちは・・・しばらく、元の世界には戻れないかもしれません。大げさに開放された異空間は、そのあと大げさに閉ざされてしまうのです。百年ほど前にも、似たような現象があったらしいですから」

「・・・そんな・・・」

 向こうに残っているサッカー部のみんなの顔が、ありありとよみがえってきた。
 もう会えない?みんなに、もう二度と?
 そんなことって・・・

「二度と戻れないわけではないでしょうが・・・」

 俺の気持ちを読んだかのように、校長は続ける。

「しばらくは・・・様子をみましょう。・・・そこで、君たち8人には、一番この町で大きい家と、家具、それに約3名に、レーズン魔法学校に入学する権利を与えましょう」

「学校・・・魔法界の!?」

「明日までに決めておいてください」

 校長はそう言い残し、杖を取り出すと、光を放ちながら消えた。
 気付けば、俺の手には小さな鍵が握られていた。

「・・・あ、それ、家の鍵だね。僕、その家の場所知ってるから案内しよっか?校長のことだし、もう準備されてるよ。きっと」

 クロードは、校長ならできて当然という表情で塔から出て行った。

Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.24 )
日時: 2012/09/09 11:06
名前: 流れ星 ◆OeCoxwktXs (ID: nWEjYf1F)

校長出た!あと、個人的にクロードくん好き☆
ほかの国の子も気になるなあ・・・。不思議時間のことも明らかになったしね。

あと、誰が魔法学校に通うの?気になるっっっ!!!

あ、それに、私けっこう少林お気に入りだy((斬
メロンソーダの小説楽しみにしてる♪

Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.25 )
日時: 2012/09/10 02:09
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: nWEjYf1F)

  12

 クロードとカーチェスに連れられ、俺たちは塔を出るとボロくさい橋を渡ってすぐの小さなツリーハウスへとやってきた。そこからは石畳の噴水広場が見える。銀行(?)と郵便局(?)が二軒並んで建っている。

「ここだよ」

「? ほかと大きさ変わらないじゃないか」

「まあ、入ってみれば分かるさ」

 円堂のもっともな疑問をいなしながら、クロードは俺から受け取った鍵をドアの鍵穴に差し込んだ。ガチャッと音を立て、入口が開く。そっと中を覗き込んだ俺は、その広さに圧倒された。10人は余裕で住めそうな面積だ。タンスやランプ、ソファにベッド・・・。生活必需品も全てそろっている。

「な、広いだろ?この世界じゃ外見より中身重視なのさ」

 カーチェスの言葉に俺は「これも魔法なのか?」と訊ねたかった。しかし、考えてみれば・・・これは、愚問に過ぎないだろう。

「・・・で?誰が入学すんの?」

 目的語をすっとばして訊ねてきたクロードだったが、何のことなのかは訊き返すまでもない。魔法学校のことだ。

「う〜んと・・・」

 円堂はしばし悩んだあと、「じゃんけんで勝った3人!」という単純極まりない決め方を提案してきた。しかしこれに反対する者もなく、結局じゃんけんがその場で行われ————。

「ヒロトと吹雪、それに半田だな」

 カーチェスはじゃんけんに勝った俺とヒロト、吹雪の顔を順に見回すと、「校長に報告だな」と言って出て行った。

Re: 【とんがりボウシ×イナイレ】 魔法界へのトリップ ( No.26 )
日時: 2012/09/11 15:54
名前: メロンソーダ ◆cSJ90ZEm0g (ID: nWEjYf1F)

13

 緑川〜フェリシダ王国 レーズンタウン「川沿い」にて〜

 ————暇。

 俺たちが魔法界に来てからはや一週間がたつ。
 ヒロトたちの学費は免除されているが、それ以外の生活費は全て自分たちで稼ぐ必要があった。この町の商店街にある魔法道具屋「かめや」のトメお婆さんのもとでバイトしたり、物を売ったりすればそれなりの金額が手に入った。
 そして、俺と少林が今やっているのは・・・釣り。
 水面が震えている場所が絶好のポイントだというクロードの教えを信じ、こうして長時間川に釣り糸を垂らしているわけだが———。

(全然だめじゃん)

 少林はというと、最初こそやる気に満ちていたが、今となっては表情が不機嫌そのものへと変わりつつあった。たまに「何なんだよ・・・」と悪態をつく声まで聞こえてくる。

「あ———もう!疲れたあ!!」

 とうとう少林は釣竿を投げ出し、その場にごろりと仰向けになった。

「おい少林。サボるな」

 叱ってはみるものの、彼からの返答は分かり切っていた。

「だって、全然かからないじゃないですか」

「まあ、そうだけど」

 俺もサボっちゃおうかな。・・・と思っていた矢先。
 突然、背後で草を踏む音が聞こえてきたので振り向くと、秋が腰に手をあて少林のことを睨みつけていた。曰く、

「少林くん、魚に釣竿持ってかれちゃうよ。なに寝てんの」

 少林、答えて曰く、

「町中の川沿いを歩き回って試してみたけど、全然魚がかかりません。無意味だと思います」

 秋のキツイ声反駁してなおも続く。曰く、

「それは、少林くんの根性がないからよ」

 少林も負けじと言い返す。曰く、

「根性とか関係あるんですか?魚いないのに」

 ・・・と、こうしたやり取りが数分続いたのち、俺と少林は再び川と対峙し魚を待ち続ける羽目になった。なんだかんだで、秋には敵わないということを痛感させるやり取りだった。
 しかし、少林は未だに地面に寝そべったままだ。

「いい加減、起きたら?」

 俺が少林を見下ろしそう言ったとき、突如少林が起き上がり俺の背後を指差した。

「みっ・・・緑川さん!」

「なんだよ」

「竿!」

「!?」

 はっとして振り向くと、なんと俺の釣竿の先がグイグイと引っ張られていたのだ。

「やっとかかったな!」

 俺は竿を握りしめ、思いきり引っ張った。しかし・・・相手の力も尋常ではない。川には黒く大きな影が映っている。巨大魚の類かもしれない。

「うわあ・・・でかいぞ!」

「サメだったりして」

「げっ・・・」

 思わず竿を持つ手が震える。

「冗談ですよ。俺も手伝います!」

 俺は少林が持ちやすくなるように竿を低くおろした。その間にも、魚は容赦なく俺を引っ張っている。

「せ——・・・のっ!」

 少林の馬鹿力には驚いた。魚は、あっけないほど簡単に陸に釣り上げられた・・・って。

「でかっ!!」

 それは、体長が俺の二倍はありそうな、巨大な錦鯉だった。

「こりゃいいぞ!塔の魚の書に見せてこよう!」

 と、二人で盛り上がっていたら。
 魚が、自力でピョンピョンはね出した。でかすぎてとてもおさえられない。次の瞬間、魚は川に向かってピョーンとはねた。

 バッシャ———ン!!

 もろに水をかぶり、俺と少林はただその場に突っ立っていることしかできなかった。
 重い沈黙のあと、少林が口を開いた。

「・・・緑川さん」

「・・・何?」

「今度は、ちゃんと大きさも考えなきゃダメみたいですね」

「ああ・・・そうだな」

 誰も見ていなかったのがせめてもの幸いだろうか。
 俺たちは、びしょ濡れのままとぼとぼ家へと戻っていった。


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