二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(移転しました
日時: 2013/03/14 14:58
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)

新館に移転しました>>77-78


@リクエスト募集中>>63


ボカロの曲を小説にしています。
初めて書くものなので文章表現が乏しいですが、温かい目で見てやってください。

なんだか一人で趣味が暴走しておりますがアドバイスやリクエストなどコメントもらえると号泣します(ry

更新率割と高めです。短編は予告なく消えることがあります

※修正前のBad End Nightは、Crazy ∞ nighTも混ざっております。Twilight Nightは混ざっていない為、書き直し中>>71。(三作分け予定)また、ほぼ自己解釈混ざりです


—長編—

(完結 修正中は未完)
【Bad ∞ End ∞ Night】 作詞作曲:ひとしずくP様×やま△様 feat.VOCALOID×8
[(完結)役者&目次>>5
[(修正中)役者>>71
1頁>>74  6頁   11頁  16頁
2頁    7頁   12頁  17頁
3頁     8頁   13頁  18頁
4頁     9頁   14頁  19頁
5頁     10頁  15頁  20頁

(完結)
【Arrest Rose】作詞作曲:natsuP様 feat.VanaN'Ice
[警部科(登場人物)]>>25
第一夜>>26  第六夜>>38  第十一夜>>57
第二夜>>30  第七夜>>41  第十二夜>>58
第三夜>>31  第八夜>>46  後書きと解説>>59
第四夜>>35  第九夜>>47
第五夜>>37  第十夜>>55

(未完)※グロテスクな表現有り
【13943号室】作詞作曲:natsuP様 feat.VanaN'Ice
[囚人(登場人物)]>>29
>>32  Ⅵ>>54
>>39  Ⅶ>>68
>>40  Ⅷ
>>52  Ⅸ
>>53  Ⅹ

(未完)
【魔女】作詞:リョータイ様、すずきP様 作曲:すずきP様 
feat.巡音ルカ コーラス:神威がくぽ、初音ミク、鏡音リン、鏡音レン
[物語(登場人物)]>>33
>>34 6
>>36 7
>>42 8
>>61
>>70

(未完)
【千本桜、和楽・千本櫻】作詞作曲:黒うさP様 和楽作詞:綾部ふゆ様 feat.初音ミク、猫村いろは
[将(登場人物)]>>49
>>50 禄
>>51 質
>>56 夜
>>62
呉>>

(連載予定)
【鏡の魔法】作詞、作曲:ひとしずくP×やま△ feat.鏡音レン コーラス:鏡音リン、神威がくぽ
[歌詞]>>69


—短編—
@ボカロたちの日常に出てくる主な設定>>43
@短編:歌姫の黄色の双子の姉>>48
@GoGoマリオ!(短編連載)>>44
@千年の独奏歌(短編連載/リク)>>66
@短編:公爵状態>>67

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Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.34 )
日時: 2012/11/24 14:25
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)
参照: リン&レンのお母さん、MEIKOさんでお願いします←



「お父さーん」
居間のほうから、カイリの方へ双子——セレンとリンカ——が駆けてきた。

「こらこら、走ると転ぶよ」
カイリが少し笑って双子にそういうと、セレンはカイリの座っているソファの隣に座りながら少し怒ったような表情を見せた。

「オレもう六つだもんっ、そんな分けないし」
「とかいって転んだの誰だっけ?」
クスクス笑いながらセレンを弄るリンカ。

それにセレンが『何だよーッ!』と言い返すのを見て、
父であるカイリは二人の様子を微笑ましく思う。

「今日ね、あたし達、お母さんに本買ってもらったのー」
拗ねるセレンを他所(よそ)に、リンカが嬉しそうに
両手で抱えた絵本をカイリに手渡した。

『まじょ』
表紙にはそう書かれていて、ピンクの髪の女の人が描かれている。

この話は、と思い、カイリはぱらぱらと絵本を捲っていった。

あるところに魔女がいたそうだ。
その魔女は王子様と恋をして、でもそれはいけないことだからと、
魔女は捕らえられ、最後には悪魔になって飛んで行った——。

——こんな話だ。
だが、カイリの胸にはどこか引っかかる部分がある。
カイリも、子供の頃一度この童話を読んでもらったことがあった。

その時のことは曖昧だが、少し、話が違う———?

「どうしたの、お父さん」
セレンにそう声をかけられて、はっと我に返る。

ああ、ごめんね、と誤ると、双子はパッと笑顔になり、
「お父さん、読んでー」とせがんだ。

「分かった分かった」
カイリが笑って返すと、静かに絵本を読み出した。

「あるところに、ひとりの魔女がいました———」


***


『魔女』


「ガクルム皇子ー!?一体どちらにいらっしゃるのですか!?」
「困ったな・・・あと少しで立食会だと言うのに・・・!」
「全力で探しあげるんだ!」

使用人や召使達がばたばたと走る音が王宮から聞こえていた。
そんな中。
一人木影に身を潜める人間がいた——。

その近くから足音がしなくなると、その人物はそっと陰から出てきた。

紫の長髪を一つに結った、長身の人物・・・、
ムーデッド王国第一皇子・ガクルム=ムーデッドである。

異国の服装——着物を上に纏い、ラフなズボンを履いたという
いかにも質素な格好で、とても皇子には見えない。

ガクルム——通称・ガクはあたりの様子を伺ってから
裏門を潜り抜け、王宮を出て行った。・・・一人で。

Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.35 )
日時: 2012/12/01 19:23
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)

第四夜

——思えば、僕、なんで囚人なんだろう・・・。
カイトはふと思う。
気がつけば、あの血の臭いが充満していた。わけがわからなかった。

考え出すと、更に分からなくなった。
はぁ、と軽くため息をついて、眼を伏せた。
・・・考えるのはよそう。

そして、思考停止させてから、カイトははっと思い返した。
——そう言えば、僕、まだ助けてもらってお礼言ってない!

カイトはかけられていた黒い布をバッとはぐと、
ガクたちが集まっている机のほうへ向かう。

レンが真っ先にこちらに気づいたが、すぐに眼をそらした。
ほんとに人見知りが激しいんだな、とカイトは思う。

「・・・怪我人は休んでいろ」
ガクが低い声で、こちらへ来るのを遮る様に、言った。
だがまたそれを遮る様に、組みがガクの額をツン、と弾く。

「・・・骨の位置に当たった」無表情で返すガク。
「頭蓋骨破壊☆いいじゃないの、彼も『秘部』に入るんだから。いい加減そのお堅い脳をほぐしなよ、お兄ちゃん」
ピキ、とガクの辺りに張り詰める空間が崩壊した瞬間だった。

「お兄ちゃん言うなっ!」
顔を真っ赤にしてグミに向かって叫ぶ彼。
それに対して、

「あはははー、照れちゃってぇ」
「ガクがデレたー」
そこを弄るグミとレン。
マセガキって怖いなぁ、カイトは呑気にそう思う。

Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.36 )
日時: 2012/11/30 17:52
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)



「町はいいなぁ・・・」
一人王宮を抜け出した皇子は町をふらつきながら呟いた。

ガクルム——ガクは、同じ年辺りだと思われる男女に目をやる。
楽しそうに物を食べて、会話をして。
彼らは庶民だ。だが、ガクにはその様子がとても羨ましかった。

王宮での行動は、王子と言えど、全て制限されている。
客に会って、笑って、決められた仕種をして、
のちには決められた王室の女と結婚して、跡継ぎを残す。
行動を制限され、恋愛も出来ず——

自由を、奪われている生活だ。
庶民達は王族を羨ましがるが、
ガクにとって、食事も毎回あの作法にはうんざりだった。

はぁ、とガクがぼんやりと辺りを眺めていると、

「あ・・・」
向こうの街頭の近くで、
女性が頭につけていたヘッドドレスが風に吹かれ、飛んでしまった。

「っと」
こちらへ飛んできた髪飾りを止める。

女性がこちらへ向かって走ってきた。
「どうぞ」
ガクがそういって、女性に髪飾りを手渡すと
「すいません・・・ありがとうございます」
受け取りながら彼女はお礼を言った。

「いえ」

その日はそれで終わった。

Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.37 )
日時: 2012/12/01 19:45
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)

第五夜

「私は・・・もう、御主らの傍に居られないのに」
二人に聞こえぬように、ガクがそうぼそりと呟いた。
カイトにはその言葉が心に強く刺さった。

それが何故なのかはわからなかったが。
どこかで、聞いたことのあるような・・・・・・
ふ、と眼を伏せた。

そして、気がつくと、ガクに声をかけられていた。

「・・・カイト、殿?」

『もう傍には居られない  君が見えない あぁ…
忘れて消えるから  消えそうな夜 』

自分が知らないメロディを、カイトは唄っていた。

「は、え?」
自分でもよくわからない。カイトは突如あたふたと慌てる。
何か、自分に別の人格が入ったような感じがしたから。

そして、あの騒いでいた二人も黙り込んでいた。

その様変わりした空気の中で、ガクが口を開く。

「『気持ちは残ったまま  記憶だけ残酷に』・・・・」
するとレンがガクのほうをチラリと見やり、
まだ高い少年声で後を継ぎ、後にガクが入りメロディが重なっていく。

「「『思いを消し去り  僕の前から居なくならないで壊れそう
幸せになって  僕の手の届く場所にいて居なくならないで
永遠が欲しかった  君を困らせてしまったね
どうかそこで待っていて  君を捕まえに行く』・・・・」」

二人が口を閉じるとグミがひゅー、と軽い口笛を吹いた。
「久々に聞いた、それ」

「オレだって久々だよー。まさか・・・あの、その」
カイトの方をちらちらと見ながらレンがしどろもどろに言う。

そこにグミが助け舟を出す。
「彼が知ってると思ってなかった?」
「そうそう」

再び和みだす二人の空気。
それと同時に、部屋のドアの取っ手に手をかけて、出て行こうとするガク。

「・・・・風に当たってくる」
「あ、待って、僕も付いて行っていいですか」
「好きにしろ」

いってらっしゃーい、と手を振るレンとグミにうん、と頷きながら、
外に出て行ったガクの後を追った。

Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.38 )
日時: 2012/12/04 17:15
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)

第六夜

暗い階段を上り、着いた先は地だった。
あの部屋は地下室だったらしい。
辺りは夜で、厚い雲が星を包み込み、月がその中で唯一輝いていた。

出た先は路地らしきところで、
路地の壁にもたれかかり、ガクは煙管を吸っていた。

カイトがそちらのほうへ向かうと、少し伏せた眼でこちらを見やり、
ガクがカイトにむかって厚い黒のコートを投げる。

ガクやレンのコートと同じようだ。
ただ、ガクは紫で、レンが黄の色のチェーンが、青になっていた。

「・・・それは、我々が所謂『制服』としている物だ。
この前仕立てて置いた。夜は冷えるだろう、羽織っておけ」
「あ。はい」

カイトは渡されたコートを血のこびりついたシャツの上に羽織る。
そして肩を並べて路地にもたれかかる。

「ありがとうございます」
「・・・・・」
「何か、こんな素性の分からない僕なんか助けてもらって・・・・
僕が一番僕のことわかってないって、格好悪いですよね」

無言で煙管を加えたままのガクに向かってカイトは喋りかける。
返答は、別のもので帰ってきた。

煙草。カイトの前に、ガクがずいと突き出し、吸うか?と首をかしげた。
「あ、えっと」
煙草は吸ったことが無いと思う。

それでも一応頷くと、ガクが火をつけてカイトに煙草を寄こす。
カイトは軽く頭を下げると、煙草を口に咥える。

「ガクさん、ガクさんは煙草じゃなくて煙管なんですね」
ふと思いついたことを口に出す。
「・・・ああ」返答が、帰ってきた。

「・・・・・なんか、古風」
「わ、悪いかっ」
ガクの纏う、近寄りがたい空気が一気に溶ける。

まさかの性格。
カイトは部屋を出る前のグミたちとの会話も見ても思ったが、かなり意外である。

少し面食らっていたカイトだったが、どこか笑えて来て噴出した。
隣でなっ・・・!、っとガクが切れる。

その少し離れたところで、先ほどこちらへやってきた
グミとレンと二人が大人二人のやり取りを見て、
噴出しそうになるのを本気で我慢していた。
もし笑い出したらガクたちにばれて、ガクに拳骨をくらうまで、だ。

「いいじゃーん、仲良さそうにしてるー。レン君も入っていけばいいのにぃ」
「あーはいすみませんー、オレは過剰な人見知りですよー、はいはい」
気の抜けた返事を返すレン。
この二人、本当に仲が良いのだろう。

「にしてもお兄ちゃんも、あの弄りやすい性格ねぇ・・・・」
「確かに!風貌と違って以外だよね、あの人もきっと驚いてるはずだね」
二人が笑い出すと、突如にして背筋に寒気が走る。

恐る恐る振り向くと、
「御、主、ら?何をこそこそとしておるのだ?」
いつもより声のトーンが低く聞こえる。

『カタナ』にガクの手がいったのを見て、
「す、すみませんでしたぁぁっ!!」
二人で全力疾走をしだした。

後ろに居たカイトが少し笑うと、
数分後にはカイト、レン、グミの各頭に瘤ができていたと言う。


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