二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- るろうに剣心 —銀魂—
- 日時: 2010/09/01 22:33
- 名前: song (ID: kulimlUM)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=vqQR8QWI2xQ
songです。銀魂がついに映画化! 嬉しい限りです。触発されたワケじゃありませんが、ここに『るろうに剣心』と『銀魂』のコラボ二次小説を立てようと思います。
楽しく読んで頂けたら嬉しいです。
ちなみに、この小説は一度消えた物ですので、あらかじめご了承を。感想・意見など気軽に書き込んで下さい。待ってます!
- Re: るろうに剣心 — 銀魂 — ( No.2 )
- 日時: 2009/12/09 00:34
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11516
第1話
生と死に何の違いがある?
少なくとも我々はそんな陳腐な疑問を抱くことなどまずない。
なぜなら、死んだ者の行く末など考えに及ばないからだ。
だからこそ、苦しみ
だからこそ、悲しみ
だからこそ、慈しみ
だからこそ、哀れみ
だからこそ、憎しみ
だからこそ——……誰よりも人を多く死へと導いた男は安穏と生きることができる。
その男・緋村剣心。未来の命を愛でるあまり起こった憎愛と破滅の物語がここから始まる。
明治十一年、六月二十四日——……
「剣心、所長さんがお見えになったわよー?」
洗濯物を取り込む剣心に薫はそっと声をかけた。
「あぁ、薫殿、かたじけない。今行くでござるよ」
笑顔で返す剣心。
「ホラ、急いで! 」
「おろろ……」
切羽詰ったような面持ちで薫は剣心をせかした。
しかし、切羽詰っているのは薫だけではない。
「おぉ、緋村さん! お待ちしておりました」
涼しげな季節にも関らず、浦村所長の顔には汗が浮いていた。
「何か……あったようでござるな」
それを察したのか、話は剣心から始まる。
「今までに無い、異常事態です! 」
「神隠し……? 」
神妙な空気の中、薫と剣心は顔を見合わせた。
「無論、噂の類ではありません。事実、今日も含めこの一週間で全国で200人以上の行方不明届けが出ております」
「200人…… !? 」
とんでもない数字に二人は驚く。
「はい。そこで込み入って緋村さんにお願いが……」
三つ指を構えて所長は言った。
「いや、しかし所長さん、拙者は剣客。妖術極まる所業に、まして神隠しともなると拙者の専門外でござるよ……」
「もちろん存じております。お願いというのは神隠しそのものではございません」
「おろ? 」
「被害者の周囲の人間の証言では、人に会う約束があるからと断って出て行ったきり帰らないというモノが大多数で……」
段々と事件の感覚が明らかになっていく。
「して、その人とは……? 」
剣心は核心を突いた。
「『高杉 晋助』一部の証言からこの名が上がりました。しかし、素性どころか存在すら明らかになっていません……が、聞いたことのある名だと思いませんか? 」
所長は剣心に問いかける。
「この『高杉』という苗字が気になるでござるな」
「たかすぎ? 」
剣心の発言に薫は首を突っ込んだ。
「高杉晋作……——幕末期での長州派勢力の中核の一人だった男の名と似すぎているでござる」
懐かしい名を剣心は思い出した。
「本人は肺病ですでに亡くなっています。ゆえに同一人物でないことは確かですが、関係が全く無いとは言いがたい。そこで、高杉氏と接触があった者を徹底的に洗っている次第です」
「なるほど……」
一種の核心を剣心は持った。それは、この事件の鍵となる。
- Re: るろうに剣心 — 銀魂 — ( No.3 )
- 日時: 2010/09/01 21:33
- 名前: song (ID: kulimlUM)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11516
「一つだけ……心当たりがあるでござる」
突然剣心は深刻な表情で言葉を発した。
「おぉ! 」
歓喜に所長は喜ぶ。
「剣心? 」
しかし、薫は表情の堅い剣心が心配になり、声をかけた。
「——幕末のさなか、禁門の変で長州の力はガタ落ちした時、ある長州派の男がどこからともなく財源を確保し、後の幾多の戦いで多大な貢献度を示した。が、当然その金には裏があると判断した高杉さんはその男に接触を試み、自身もその男を利用し大事を成し遂げた」
所長は唾を飲み、剣心の説明をただただ聞いていた。
「その男の名は長州派維新志士・山口 一休斎(やまぐち いっきゅうさい)。当時から不穏な動きが多く、拙者も桂先生から厳重警戒が下されていたほどでござる」
「でも、それと今回の神隠しと何の関係が? 」
薫は痺れをきらして質問する。
「厳重警戒の理由はもう一つあるでござるよ。それはヤツの異名『切り裂き一休』。人間業と思えぬ残虐性に由縁するでござる。詳細は分からぬが、ヤツの暗殺は死体を残さず、大量の血だけが広がることで有名でござる」
「死体を残さない? 」
驚愕が薫を襲う。
「もちろん、拙者とて信じられることではござらん。ただ、妖術にも似た所業・・・・・可能性は低くないでござる」
「わ、分かりました! ご協力感謝しますぞ! 」
すると、所長さんはあたふたと所へ連絡しに戻ってしまった。
「剣心」
「ん?」
「何者なの……その人」
薫はひょんな質問を剣心にする。
「それが分かればこの事件も早々に片付くと思うのでござるがな」
「そうだよね……」
「さてと……」
おもむろに剣心は立ち上がった。
「あら、出かけるの剣心? 」
薫は首をかしげて剣心に問う。
「あぁ、雨も上がったし夕刻には帰るゆえ、しばし空けるでござるよ」
そう言って剣心はそそくさと部屋を出て行ってしまった。
「そう……」
疑問には思ったものの薫は特に心配はしなかった。
「おう、剣心じゃねぇか。どっか行くのか? 」
剣心が道場の門をくぐろうとしたその時、外に左之助が立っていた。
「左之こそ、どうしたでござる? 」
「あぁ、また金が無くなっちまってよ」
「タダ飯目的でござるか……」
呆れて剣心は言う。
「ケチケチすんなって、いいじゃねぇか一食くらい」
遠慮なく左之助は剣心の肩をバンバン叩いた。
「それは薫殿に聞くでござる。それに拙者たちはもう昼食は済ませて夕刻まで飯はでないでござるよ」
「なぁにッ !!! 」
空腹の左之助にとってこれ以上ないショックだろう。
「あぁ、ニボシでよければ台所に何本か残ってたでござるが——」
「俺は猫かッ! っと、それよりどこ行くんだ? お前ぇのことだ、ただの散歩ってわけじゃねぇだろ」
剣心は鋭い反撃を食らった。
「左之も感づいてはおろう、最近の神隠しのことを」
「…………」
左之助は聞き伏して黙っている。
「一応、所長殿にも拙者の心当たりを述べたが、突き止めるには時間がかかろう。その間、拙者がヤツを引き付けるつもりでござる」
これからの経緯を剣心は静かに口にした。
「——ってことはお前ぇは黒幕の居場所を知ってるってことか?何でそのことをヒゲメガネに言わねぇんだ? 」
左之助は神妙な面持ちで二重に問う。
「言えば、警察が犠牲になるでござるよ。所長殿の手前ではヤツを直接知らないフリをしたが……」
剣心は言葉を濁した。
「ふーん」
しかし、左之助にはそれだけで理解した。
「かたじけないが、拙者の留守中神谷道場を任せるでござるよ……」
「おう、お前ぇはとっとと片付けて早く帰って来い」
承諾と結託を終えて剣心は一休斎への道のりを歩き始めた。
- Re: るろうに剣心 — 銀魂 — ( No.4 )
- 日時: 2009/12/09 00:36
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11516
神谷道場から数十分。竹林の奥に細々と立つ小屋の前に剣心は立った。
「長州派の最東の元隠れ家。ここでござるな……」
小屋の中からただならぬ気配を剣心は感じ取り、ゆっくりと近づいて行く。
「ドンドン」
剣心は多少力を込めて戸を叩いた。
「誰だ? 」
すると酷く鈍い声が返ってきた。
「元長州派維新志士・緋村抜刀斎。一休斎、話があるゆえ、ご足労願う」
この時ばかりは、剣心も抜刀斎として名乗る。
「…………」
しかし、返事はない。
「貴様も知っておろう、一連の神隠しの件」
「抜刀斎殿にお伝えすることは何一つない。ご帰還頂きたい」
突然、一休斎らしき人物は丁寧口調で剣心に語りかける。
「そうはいかぬ。罪もない人々を巻き込んでいるんだ。そうそう黙って見過ごせぬ。拙者は手がかりを……——」
剣心が言い終わるか否かのその時——
もの凄い轟音と共に戸を壊し、かの男の姿が露になった。
「久しいでござるな。一休」
黒髪の長髪に長身痩躯、切れ長の蒼眼にボロボロの着物という無骨な格好をした男が剣心を睨みつける。
「その名で呼ばないで頂きたい。静かに隠居している所を邪魔されては敵わないのでな」
「貴様が隠居などと大人しく居座る男ではないことは知っている。何が目的でござる」
鋭く鋭く、剣心は核心を突いていく。
「……まぁいいだろう、遅かれ早かれ警察にも感づかれる頃だ」
そう言うと、一休斎は腰の刀に触れた。
「抜刀斎。貴様にはこの現の景色が美しく観えるか? 」
突然、一休斎は述べ始めた。
「俺にはこの混沌とした世界で生きるのにはいささか窮屈なようでな。しばし、この世を去ることにした」
そう言うと、刀を抜ききり澄み切った刃鳴りが撃つ。
「意味が分からない。地獄にでも引っ越すつもりでござるか?」
剣心には断命の言葉にも消えたようだが、それは違った。
「……世界は一つじゃない。いずれ分かる」
一休斎が意味深な言葉を吐いた瞬間、周囲を満たしていた空気が異様な気配を漂わせる。
「神隠しの真相を掴みたいと言ったな。ならば、望むようにすればいい」
一休斎の刀から発する閃光の刹那、剣心の意識は徐々に揺らいでゆく。
「ぐッ! 毒か……ッ !? 」
平衡感覚が失われ、途端に立つことさえ出来なくなった。
「安心しろ、毒じゃあない」
その言葉が最後だった。
- Re: るろうに剣心 — 銀魂 — ( No.5 )
- 日時: 2009/12/09 00:43
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11516
ここからの記憶はまるでない。
気付けば見覚えのない夜の草村に寝転んでいた。そして、今に至る、あくる日……
——ここは……どこだ?
「まずは、現在位置を把握せねば……」
場所さえ分かれば帰ることは出来る。そう剣心は軽く考えていた。
「……しかし、道を聞こうにも……完全に迷子になっていしまったでござるな」
仏頂面をして剣心は辺りをキョロキョロと見回し歩き回っている。
「ドンッ」
と、不注意極まって剣心は誰かとぶつかってしまった。
「気をつけろ! 」
それは剣心の身長の倍あるかと言う巨漢……の割りに変に細長い。
「これは失敬。以後気をつけるでござ——」
顔を確認しようと剣心は頭を上げたが、それが言葉を途切れさせる原因となる。
「あん? 俺の顔に何か付いてるか? 」
その巨漢の顔は紛れもなく人間のソレとは違っていた。
「い……いや」
剣心は硬直して言う。
「んん? 変な奴だ……」
そう言って男は去っていった。よく見れば、異様な姿の者はあちらこちらにわんさかといる。
「一体……ここは?」
今まで見たこともない異様な風体の生物が町を徘徊しているのだ。ゆえに、おいそれと道を聞く勇気はさすがの剣心も持ち合わせてはいない。
「うーむ……昨日のことを考えると帯刀しているのもまずいでござるな」
脳裏に昨日の武装した警官が浮かんだ。と、その時……——
「ウラァアッ!!! 」
「きゃあぁぁあ! 」
突然、男の唸り声と女性の悲鳴が剣心の耳に入った。
「あれは……」
剣心の目に映っているのは紛れもなく人間の少女だった。しかし……
「逃げんじゃねーよッ! 」
いかれているとしか言いようのない男ももちろん人間であったが、その後ろに複数の舎弟を従えその少女に襲い掛かろうとしていた。
「覚悟しろッ! 」
先頭に立つ男は手に持っていた木刀を少女に向かって振るう。しかし——
カンッという甲高い木打ちの音がその一帯の広がった。
「なぁ……」
唖然とする男の木刀は、その柄を刀の鞘の先端で受け止められ、振り下ろせない。
「でかい図体で、婦女子を追い回すなど男の風上にも置けぬ奴等………おとなしく去れば見逃してやるでござるよ」
常人にならざる剣技で剣心は男達を意中に止めた。
「んだとォ! 」
後ろに構える男が剣心に殴りかかる。すると——
刹那、男の拳が剣心の頭上をよぎったか否かのその時、気付かぬ間にその男は鈍い音を立てて石垣に衝突して伏していた。
「貴様……今、何をした」
「もう一度言おう……おとなしく去れば見逃してやるでござるよ」
剣心の気迫と威圧で男達はいすくむ。
「う、うわああ! 」
得体の知れない力に男達はその場を一目散に逃げていった。
- Re: るろうに剣心 — 銀魂 — ( No.6 )
- 日時: 2009/12/09 00:46
- 名前: song (ID: p17IpJNR)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.php?mode=view&no=11516
「あ、あの、ありがとうございました」
剣心の背後からお礼の言葉が入った。
「ケガはないでござるか? 」
一層に剣心は少女の安否を確かめる。
「はい。大丈夫です」
少女は亜麻色の長い髪を後ろでまとめ、桜色の着物の上から藍色の羽織を身に着けていた。割と顔立ちも整っている。
「それは何よりでござる」
「あの……名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「緋村 剣心。そなたは?」
「志村 妙と言います。本当にありがとうございました」
非常に丁寧な言葉使いで妙と名乗る少女は体の向きを変えた。
「妙殿、よければ、送ってしんぜるが? 」
「よろしいんですか? 」
「あまり治安が良さそうに見えぬでござるからな……この辺りは。それに、折り入ってお願いがあるでござるよ」
剣心は苦笑いを浮かべ、妙に聞き入だす。
「何です? 私にできることなら……」
「ここはどこでござる……? 」
本来なら恥としか言いようのない。剣心は紛れもなく迷子だ。
「あらあら……」
「おろろ……誠に情けない限りでござる」
剣心は、しばし妙と会話を交わしながら一緒に歩む。
「……歌舞伎町でござるか」
「はい。先ほど緋村さんがおっしゃった通り、この辺りの治安は最悪ですが、それでも気の良い人たちが多いですから、町の団結力は大きいんです」
妙の言葉にはこの町を好く気持ちが溢れていた。
「左様でござるか……」
かつて流浪の旅侍であった剣心には、治安の悪さがいかに絶望を奏でるか、それが充分分かっていた。しかし、それでもこんなに明るい町を見たのは初めてであっただろう。
「ところで緋村さん……」
「ん? 何でござる? 」
「これから行くあてはあるんですか? 」
「いや、先告の通りの身ゆえ……」
剣心はトホホのどん底にいたのだ。
「あの……もし、よければ私の家に来ていただけませんか? 何もお構いできませんが……」
「いや、しかし」
当然、剣心は反応に困った。
「あ、ここです」
妙は足を止め、大きな門の前に立つ。
「お、おろ?」
「『恒道館』……剣術道場です」
「これは驚いた」
剣心も足を止め恒道館と書かれた看板を眺めた。
「どうかなさったんですか? 」
「いや、拙者が食客する家も剣術道場でござったゆえ……」
剣心には身の温まる共感をこの道場に覚える。
「そうだったんですか」
剣心と会話する妙の言葉にはわずかに嬉々が感じられる。そして、少しの間、無言が道場に前に蔓延った。が……——
「お、おおおお妙さん !? な、なぜに男と一緒? ホ、ホワイ !? 」
ガタガタと震える毛深い男が門の内側からその神妙な空気を破壊した。
「妙殿の家族の方でござるか? 」
剣心がそう言い切る前に傍らにいた妙の姿が消えている。
「何勝手に家に入っとんじゃゴリラぁぁあぁあッ!!! 」
剣心は人知を超えた人格の持ち主を目の当たりにする。
「ごぱぁあぁ……! 」
毛深い男が妙の蹴りで顔面を一蹴され倒れるまで剣心の思考回路が一時停止した。
「た、妙殿……? 」
妙の本性かもしくは二重人格に剣心は同様を隠し切れない。
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