二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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バトテニ−地獄−
日時: 2010/02/07 17:15
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 こんにちは。 亮です。
 前のスレのURLが使用禁止ワードになってるみたいですね((汗
 60話まで来て、キリもいいし、スレの整理をかねて新しく立て直しました。
 −無駄な感情−に更新している小説をこっちに移すだけなので、たいしたことはしませんが((笑
 19話を除く、8話からから26話までの
 データが消えてしまって無いので、多少分かりづらいかもしれません。
 ご了承下さい。
 こっちの整理に時間が掛かるので、新しい更新は−無駄な感情−のほうを見ていただけると助かります。
 ↑意味不明ですね・・・
 ま、どっちも更新する、というコトです。


 気軽にコメ・感想・アドバイスなどお願いします〜
 意味不明な表現や、誤字なども含まれると思うのでどんどん指摘してくださいねッ


 では、始まります。



 

 俺たちは、何処で道を踏み外したのだろう。
 何処で何を間違えたのだろう。
 どうして、あの日、俺たちは離ればなれになってしまったのだろう。

 
 キミは今、何をしている?

 
 この空の下。
 きっと何処かで生きている。

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Re: バトテニ−決める− ( No.21 )
日時: 2010/02/07 17:11
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 35 あなたのように



「越前!!」(手塚)

手塚が叫ぶ。
リョーマは不意をつかれた手塚をかばった。
咄嗟に出て行ったせいで、自分は上手く交わせなかった。
背中に大きな傷が出来ていた。

「越前ッ!!!」(手塚)

リョーマは手塚に寄り、下を向いていた。
呼びかけても動かない。


死んでしまったのか?
あの一撃で。
俺をかばった、あの一撃で・・・?

俺が弱いばっかりに。
戦う決意をしたつもりで居て、いざとなったら、やはり怖かった。
幸村のすきがあれば殺さず説得しよう、なんて甘い考えだったのか。
自分も越前も守ろうなんて、都合の良い考えだったのか。
俺の一瞬の隙。
それはきっと、甘い考えがもたらしたモノだろう。
自分の気持ちが中途半端なのに無理矢理戦おうとして、
生きたいのにカッコつけて命をかけて仲間を守るとか言って・・・
結局は、なんの決意も出来なくて、仲間を傷つけた。
自分の気持ちが分からない。

それだから、俺は弱いままなんだ。

コイツは、一瞬で決意した。
“自分を捨てても、他人を守る”という決意を。



「て・・・づか、ぶ、ちょ・・・」(リョーマ)


とぎれとぎれに手塚を呼び、リョーマがゆっくりと上を向く。


「越前?!」(手塚)
「ぶちょ・・・う・・・ 大丈夫・・・ですか?」(リョーマ)
「大丈夫だ、お前がかばったからだ。 越前」(手塚)


俺が助かったのは・・・お前の勇気のおかげだ。


「そうッスか・・・? 俺・・・少、しは・・・強く、なれましたか?」(リョーマ)


アンタに追いつきたくて、強くなりたくて。
アンタの背中ばかり見てるのがイヤになった。
ただ・・・アンタのように強くなりたかっんた。


「お前は強い、越前。 お前が居なけりゃ、俺は・・・」(手塚)

いつになく、手塚が弱気なことを言う。
悲しみにみちた表情で。
そんな手塚を、リョーマは知らなかった。

「よく・・・言うよ、アンタの方が、よっぽど・・・
強い、くせに」(リョーマ)
「越前・・・」(手塚)


強くなんかない。
今までお前が見てきた俺は、決して、俺1人の力じゃない。


「お前達が、居てくれたおかげなんだ。 俺が強くいられたのは」(手塚)


だから、1人になれば駄目になった。


そう語る手塚を、リョーマは不思議な顔で眺めた。

「部長、でも・・・そんな顔、するん・・・スね」(リョーマ)
「悪いか?」(手塚)
「別に」(リョーマ)


今なら、ちゃんと決意が出来そうだ。
俺は、仲間のために命をかけよう。
俺を強くしてくれた、仲間のために。




しばらく、俺は2人を見ていた。
何故だか分からない。
だけど、無性に腹が立った。


何故だか、分からない。


無性に、羨ましく思えた。



殺そう。


俺には、仲間も守るモノもない。
俺には、自分しかないんだ。



グサッ



俺は容赦はしない。
だから、キミが準備が出来るのを、待ったりしないよ?

Re: バトテニ−決める− ( No.22 )
日時: 2010/02/07 17:12
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)


 36 ここまでだ




森から少しはずれたところで見たのは、蓮二の死体。
そこから少し離れたところで見たのは、仁王。
その反対側で見つけたのは、ブン太とジャッカル。

蓮二は何か尖ったモノで殺されていた。
仁王とブン太とジャッカルは、包丁のようなモノで斬りつけられている。

残るは、幸村と柳生と赤也と自分。
信じてやりたい。
他の3人を信じたい。
アイツらはそんなことは絶対にしない。
仲間を裏切ってまで、自分だけ生き残ろうなんてしない。
そう、胸を張って言いたい。

だが、言えない。

少し前に、幸村に会った。
会ったと言うよりは、こっちが見かけただけだ。
片にはおられたユニフォームには返り血であろう血が付き、手に持っているのは血で汚れたアイスピック。
声を掛けよう、そう思ったのに体は動かなくて。
いつだってアイツを支えてきた。
だけど、支えられない。
仲間なのに、“怖い”と感じたんだ。

アイツの心は、壊れている。
もう、前の幸村ではない。

本当は、なんとなく分かっていた。
幸村が1番壊れやすそうだと、なんとなく感じていた。
俺は壊れていくアイツを見たくなかった。
壊れてしまったアイツに殺されたくはなかった。
だから、壊れやすそうだと感じていたが、あえて探しはしなかった。
そのせいで、蓮二は殺された。

何処にいるかも分からない。
何を考えているかも分からない。

分かるのは、奴が乗っていると言うことと、自分の無力だけだ。


「真田くん?」(柳生)

何処からか、聞き慣れた声が聞こえた。

「柳生か? ・・・ッ お前・・・」(真田)

言葉を失った。
柳生のユニフォームも、幸村と同じように血で染まっていた。
そして、手には包丁。

「お前か・・・! 仁王とブン太、ジャッカルを殺したのは!」(真田)
「1人足りません」(柳生)
「何?」(真田)
「真田くん。 あなたも私に殺されるのです」(柳生)


俺は、生き残ろうとは思わない。
だが、ただで死のうとも思わない。
人を殺そうとも、思わない。
俺は・・・心を失った仲間達に、心を戻してやろう。
思い出させてやろう。
仲間を。
大切な思い出を、守ってやる。


「残念だが、俺は死なない」(真田)
「はい?」(柳生)

「やらなければならないことができた」(真田)

もう、迷わない。

「ここまでだ、柳生・・・!!」(真田)

お前を止める。
たとえ、お前を殺すことになろうとも。


お前の心を、守ってやる。



そのためなら、死んでもかまわない。

Re: バトテニ−決める− ( No.23 )
日時: 2010/02/07 17:12
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

37 幕開け




「はーい、12時になりましたァ 放送の時間だよ〜」(中務)

森の中を歩いていると、放送が始まった。
3日目も、もう半分が過ぎたということだ。

「まずは死亡者ッ 立海大付属、丸井ブン太、ジャッカル桑原、柳生比呂士・・・位かな。
 後は、禁止エリアね。 A-10、C-2・・・」(中務)

「これで、立海は俺と真田副部長と幸村部長だけか・・・」(赤也)
「赤也・・・」(香澄)
「青学は、まだ結構無事みたいじゃん」(赤也)
「うん」(香澄)

2人が話しているのを聞きながら、何気なく森の中を見た。
不意に、足が止まる。

何だ? アレは。

目をこらす。
木の影になって、よく見えない。

アレは・・・あの人影は・・・樺地・・・?

「跡部さん? どうかしたんッスか?」(赤也)

「・・・樺地」(跡部)
「え?」(赤也)

「樺地ッ!!!」(跡部)

そう叫び、跡部は森の中へ走り出した。
香澄達には何も告げずに。

「あ、跡部さんッ?!」(香澄)

香澄が呼んでも、振り返りもしない。
香澄に見えたのは・・・—————涙だ。

「待って下さい、跡部さんッ」(香澄)
「俺たちも行きま————・・・」(桃)

「来るなッ!!」(跡部)

桃の言葉を遮り、1度も香澄達を見ないで跡部は言った。

「絶対に、着いてくるんじゃねェ。 お前らには、音で合流する」(跡部)


ついさっきまで、助け合っていたのに。
支え合って来たのに。
突然突き放されてしまった。
何か理由があるのだろう。
その理由を、訊きたかった。
それなのに、跡部は走り去ってしまった。

「跡部さん・・・」(香澄)
「樺地に、何かあったんだろう」(桃)
「だろうな。 血相変えて走って行ったもんな」(赤也)
「ッけ ヤツを信じるしかねェだろ」(海堂)
「うん」(香澄)

あの涙の意味が分からない。
いつでも自分を支えてくれた、跡部の涙。
“泣くな、笑え”そう言ってくれた、跡部の涙。
香澄は、心配で仕方なかった。

「うっし、取りあえず、この近くにいる3人を探そうぜッ」(桃)
「そうだな」(赤也)
「がんばろ、皆で」(香澄)

信じるんだ。 跡部さんを。
今の私には、それしかできない。


「だんだん近づいてきたなァ」(赤也)
「このあたりだよな」(桃)
「誰なんだろ・・・」(香澄)
「森の中に入ってみるか」(桃)

桃を先頭に、香澄達は森の奥の方へ歩いた。
木が生い茂り、昼なのにほとんど光が差していない。
足下を見ながら慎重に歩いていると、急に桃が立ち止まった。

「どうしたの? 桃」(香澄)
「え、越前・・・?」(桃)
「リョーマ?」(香澄)

桃の足下を見ると、リョーマが蹲った状態で倒れていた。
背中には大きな傷がある。

「越前ッ!!!」(桃)
「リョーマッ」(香澄)

桃と香澄の声を聞き、海堂もリョーマのもとへ来た。
香澄は、まだ息のあるリョーマを抱きかかえる。


「・・・幸村・・・部長?」(赤也)


赤也は一点を見つめ、名前を呟いた。
香澄もその名に驚き、赤也が見ている方を見る。



地獄だ。
本当の幕開けはここからなんだ、と教えられた気がした。

Re: バトテニ−地獄− ( No.24 )
日時: 2010/02/07 17:15
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

     


         【四章】 -地獄-



        地獄の幕開け。
  
        強くなったつもりでいた。
  
        仲間を守れるだけの強さを手にしたつもりでいた。

        地獄では、この強さは通用しないのだろうか。

        信頼という名の強さだけでは、この地獄で生き残ることはできないのだろうか。

        時には・・・非情な決断をする強さも、必要なんだろうか。




 38 地獄の幕開け



「幸村、部長・・・ッ」(赤也)

赤也が呟く。
その声が聞こえたのか、幸村はゆっくりと香澄達を見た。

「やァ、赤也。 それと青学の皆。 なんだか、久しぶりだね」(幸村)

言っていることとやっていることが違う。
言うことはいつもの幸村だ。
優しくて綺麗な声。

だが、幸村の前で倒れているのは・・・ 手塚だ。

「幸村さん、あなたが・・・リョーマと部長を・・・?」(香澄)

そんなことは訊かなくても一目瞭然だ。
倒れている2人と、アイスピックを持ち血まみれの幸村を見ればすぐに分かる。
でも、香澄は訊いた。

本人から、事実を聞きたかった。

「そうだよ」(幸村)

血まみれの姿に似合わない笑顔で、幸村は言う。

「そんな・・・ッ」(桃)

桃は、小さく舌打ちをした。
この人は何故、笑顔なんだろうか。
人を殺し、傷つけているのが分かっていないのだろうか。
香澄と同じ笑顔なのに、何故ここまでも違うのだろうか。
その笑顔が、何故こんなにも寂しそうに見えるのだろうか。

「テメェ・・・部長になにしやがんだッ!!」(海堂)

海堂はこみ上げる怒りを抑えきれなかった。
なりふり構わず、幸村に素手で殴りかかった。

「止めろッ 海堂!!」(桃)
「海堂ッ」(香澄)

2人の声なんて聞こえない。
ただ許せない。
俺たちの部長を、心の支えを、青学の柱を、コイツは奪いやがった。


「君たちも・・・助け合って生きるのかい?」(幸村)


「何?!」(海堂)

幸村は海堂の腹を思いっきり蹴る。

「クッ・・・」(海堂)

蹲る海堂を、更に痛めつけようと包帯を巻いている腕を蹴った。
それは、始めに乾に打たれた傷だ。

「止めて! 幸村さん!」(香澄)
「香澄は、ここで越前を守れ」(桃)
「桃?!」(香澄)

耐えきれなくなった桃も、幸村へと襲いかかる。
今度は、アイスピックを桃の喉元へあてた。

「・・・ッ」(桃)

もう幸村に笑顔なんてなかった。
悲しく寂しい瞳に、桃が映る。

「殺すよ?」(幸村)
「野郎・・・」(桃)


ここまで、あなたの心が荒んでしまっているなんて。


「ここまでバカだったとわね。 がっかりッスよ、幸村部長」(赤也)


赤也も飛び出す。
2人を相手にしないといけなくなった幸村は、ひとまず桃の喉元から手を引いた。
そして、2人を相手に戦い出す。

血が飛ぶ。
鈍い音も聞こえる。


・・・地獄だ。


戦うあなた達と、役立たずな私。

Re: バトテニ−地獄− ( No.25 )
日時: 2010/02/07 17:16
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 
 39 知ってるから




「幸村部長、アンタ、本当にこれでいいんスか?!」(赤也)

幸村の攻撃を避けながら、赤也は幸村に問いかける。

「自分だけ生き残ったって、失うばかりですよ?!」(赤也)

俺は、知っている。
生き残った後に、何かを失うことを。
生き残って生き残って・・・自分がそうする度に、誰かが犠牲になる。
そして、1人の世界には何もない。

「誰かと一緒に協力したり、助け合ったりしてもいいじゃないスか!」(赤也)

アイツらが、香澄が、俺を1人の世界から救ってくれた。
希望も自信も生きる意味さえもない世界から、俺を救ってくれた。


「俺たち・・・ずっとそうやって助け合って来たじゃないッスか!!」(赤也)


“助け合う”?
そうだね。 そうかもしれないね。
だけど違うんだ。
死ぬときは違うんだ。 誰だって1人なんだよ。

俺は知っている。
死ぬと言うことを。 生きると言うことを。
どちらにしたって、信じられるのはただ1人。
自分だけ。
ましてやこの世界では、生き残れるのは1人なんだよ。
助け合うのに、意味があるのかい?
信じることに、意味があるのかい?


「助け合って生きるなんて、しょせんはきれい事なんだよ」(幸村)


言葉が伝わらない。
ただ、すり抜けていくだけ。
幸村には、赤也の言葉なんて何1つ伝わらない。

「桃城。 おまえは、海堂を連れて香澄のトコロへ戻ってくれ」(赤也)
「は? 何言ってんだよ、2人でも倒せないのに1人じゃ・・・」(桃)

1人じゃ、殺される。
止めたくて戦う者と、殺したくて戦う者。
覚悟が違う。
殺そうという覚悟がある者は強い。
ためらうことがないから。

「大丈夫だから・・・下がってくれ」(赤也)
「でも・・・ッ」(桃)
「早く!!」(赤也)

また、助け合うのか。

「赤也。 俺の言うことが分からないようだね」(幸村)
「?」(赤也)
「君たちの、そう言うところが気に入らないんだ」(幸村)

アイスピックを振りかざす。

ああ、ダメだ。
今度こそ、避けきれない。  殺される・・・!!



「幸村ぁぁぁぁッ!!」(真田)



これ以上、お前の手を汚させないから。


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