二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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バトテニ−地獄−
日時: 2010/02/07 17:15
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 こんにちは。 亮です。
 前のスレのURLが使用禁止ワードになってるみたいですね((汗
 60話まで来て、キリもいいし、スレの整理をかねて新しく立て直しました。
 −無駄な感情−に更新している小説をこっちに移すだけなので、たいしたことはしませんが((笑
 19話を除く、8話からから26話までの
 データが消えてしまって無いので、多少分かりづらいかもしれません。
 ご了承下さい。
 こっちの整理に時間が掛かるので、新しい更新は−無駄な感情−のほうを見ていただけると助かります。
 ↑意味不明ですね・・・
 ま、どっちも更新する、というコトです。


 気軽にコメ・感想・アドバイスなどお願いします〜
 意味不明な表現や、誤字なども含まれると思うのでどんどん指摘してくださいねッ


 では、始まります。



 

 俺たちは、何処で道を踏み外したのだろう。
 何処で何を間違えたのだろう。
 どうして、あの日、俺たちは離ればなれになってしまったのだろう。

 
 キミは今、何をしている?

 
 この空の下。
 きっと何処かで生きている。

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Re: バトテニ−運命− ( No.11 )
日時: 2010/02/06 19:36
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

19 芽生え




どうすればいいんだ?

俺がタカさんに託された思い。
それは“香澄を守る”ということ。
だけど、どうすればいいんだ?

守るったって、誰から守るんだ?
“守る”ということが“優勝”させてやるということなら・・・
ここにいるヤツを殺して、香澄だけを行き残させれば良いのか?

・・・それは違う。
そんなことをしても、香澄は守れない。
それどころか、深く傷つけてしまう。

だったら、俺は・・・

この運命から逃れたい。
大人達に逆らって、運命を変えたい。


皆で、生き残りたい。


「生き残ろう、皆で」(桃)


桃が突然言った。
決意に満ちた眼差し。
何としても生き残りたい。
1人でじゃなく、皆で。


「ムリに決まってんだろ・・・優勝者は1人って決まってる」(海堂)

そして言葉をつまらせた。
きっと、跡部のコトを考えたんだろう。
むやみに爆発のコトを口に出したら、日吉のコトを思い出させてしまうかもしれない。

海堂が黙った理由を察した跡部は、自分で言った。

「最後まで残ったとしても、首輪が爆発して皆が殺される」(跡部)

跡部は、強くなったのかもしれない。
日吉のことは忘れない。
だけど、日吉の死が教えてくれた現実。
これを静かに受け止めていた。

「気ィ遣わせたな、海堂」(跡部)
「そんなことないッスよ・・・」(海堂)


香澄は思った。
竜崎先生と・・・大人と・・・正々堂々戦えば・・・

私たちは、この運命から逃れることが出来るかもしれない。


「戦おう、大人と」(香澄)

Re: バトテニ−3つの決意− ( No.12 )
日時: 2010/02/07 17:07
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 27 主催者



何故だか分からない、だがスピーカーから聞こえたのは、若い男の声。

「皆さん、初めまして☆ 中務っていいま〜す
 ここからは俺がこのゲームの監督だから、ヨロシクねッ」(中務)


聞こえたのは、男の声。
竜崎先生ではなく、男の声。
やけに明るく、“初めまして”なんて言って、自己紹介までした。
誰なんだ、この男は。


「まず、死亡者の確認と禁止エリアを言うね。
 えっとね〜青春学園、河村隆くん、氷帝学園、滝萩之介くん、立海大付属、柳蓮二くん、仁王雅治くんの 4人だよ〜 残りは23人! 頑張ってね!
 それと、禁止エリア! A-2、C-7・・・D-8も禁止エリアね。 死にたくない人は速やかにそこを 出ること」(中務)


「ここは・・・禁止エリアだな」(跡部)
「ですね」(香澄)


それよりも・・・この男は誰なんだ?


「竜崎先生は、どうしたんだ?」(海堂)


あんな裏切り者のババァ、知ったこっちゃねェけど。
やはり、恩師だ。
気になってしまう。


「あッ そいうえば皆、俺が何者なのか気になってんでしょ?」(中務)


まるでこっちの様子を見ているかのように、中務が言う。


「俺はねー・・・このゲームの主催者ってヤツかな。
 それと、キミたちの大好きな竜崎先生は、途中からこのゲームに反対し出しちゃってさー
 めんどくさいから・・・」(中務)


まさか・・・まさか・・・
この男は・・・


「眠って貰ったよ」(中務)


“眠る”
中務の言う“眠る”は“死んだ”と言うことなんだろう。
まるで日常のことのように、平然と言う。


そのまさかだ。
中務は、竜崎先生を・・・殺したんだ。


「竜崎先生・・・」(香澄)


香澄が呟いた。
目には、涙が滲む。

“反対した”
中務の言葉が、頭の中にこだまする。
竜崎先生は、もう、心を失ってしまったんだって。
私たちを見殺しにして居るんだって。
諦めていた。
すがることも出来ないほど、あの人の目は冷たかった。
だけど・・・心を失っては居なかったんだ。
私たちのために・・・反対してくれたんだ。

なのに、なのに、私たちは。
裏切り者と決めつけ、憎み、恨むことしかしなかった。
誰も、それでも尚信じようとはしなかった。


「ごめんなさい・・・先生・・・」(香澄)
「香澄・・・」(桃)


桃は、香澄の肩を静かに抱いた。
桃の目にも、涙が滲んだ。

強くなるって、決めたのによ・・・
涙って、こんなに簡単に出てくるモンなんだな。


「青春学園の諸君、ゴメンね?」(中務)


“ゴメンね”
そんな言葉で片づけるのか。
人の死を。


「ここまでにしようかな、今回の放送は。 んじゃ、次からはちゃんと6時間ごとに放送するよッ
 またね☆」(中務)



放送が終わった。
5人は静まりかえる。

あまりにも、突然すぎる出来事。
新しい敵の登場。
ムカツクはどに明るい、このゲームの主催者。

最低だ。


「出ましょう。 禁止エリアなんで、危ないです」(香澄)

冷静に香澄が言う。

「あ、あァ」(赤也)


皆を支えたい。
私には、それぐらいしか出来ない。
いつも笑っていよう。
それだけで、安心する人が居るならば。


「頑張りましょうねッ 必ず、生き抜こうよ!」(香澄)



香澄がそう言って振り返る。


その時思ったんだ。

こんな状況でも、いつもと同じように笑顔を作れるキミが、


すごいって、思ったんだ。

Re: バトテニ−3つの決意− ( No.13 )
日時: 2010/02/07 17:07
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)


 28 覚悟



「こっちだ、長太郎」(宍戸)
「はい」(長太郎)


宍戸と長太郎は始まってからすぐに合流した。
2人とも武器はハズレではなく、人を殺せるモノだった。

長太郎は、これで人を傷つけるコトなんて考えていなかった。
宍戸は、人を守るためならこれを使う覚悟が出来ていた。


俺は、コイツを守りたい。
レギュラー落ちしたとき、俺はコイツに救われた。
コイツが居たから、俺はレギュラーを取り戻すことが出来た。
だから・・・今度は俺が、コイツを救いたい。

コイツの綺麗な心を、傷つけないために。
コイツの綺麗な手を、汚さないために。

俺が、命に代えても守る。

日吉の死から立ち直れていないコイツに、戦うコトなんて出来ないだろう。


「大丈夫か?」(宍戸)
「え? 平気ですよ」(長太郎)


大丈夫じゃねェだろ。
いつもと同じように振る舞っているのかもしれねェ。
だけど・・・何かが違うんだよ。


「体力的なこと訊いてんじゃねェよ。 もう1度訊く。 大丈夫か?」(宍戸)


分かっていますよ。
宍戸さんの訊きたいことくらい。
それに、俺のことをどれだけ心配してくれているかも。
だからこそ、俺は宍戸さんに本音は言えない。
宍戸さんに、俺の素直な気持ちなんて言えません。


「大丈夫です。 心配しないでください」(長太郎)


お願いだから、心配しないで。
そんなに心配されると、悲しくなってしまいますから。

長太郎は、少しだけ笑って見せた。
いつもの笑顔とは比べものにならないほど、やつれては居たけれど。


「そうか?」(宍戸)


宍戸はまだ納得していないようだったが、少しだけ笑った長太郎を見て、自分もはにかんだ。


「ったく、跡部のヤローや、他の連中は何処に居るんだろうな?」(宍戸)
「そうですね・・・でも、跡部部長も、他の皆さんも大丈夫ですよ。 きっと」(長太郎)


長太郎がそう言い終えた時、宍戸の目に人影が映った。




誰か来る・・・



守るんだ、コイツを。


「長太郎、そっちから逃げろ」(宍戸)
「え?」(長太郎)


守ってくれるんですね。 俺のこと。
戦いから、遠ざけてくれるんですね。
あなたのことだから、今度は俺が守るとか思って居るんですか?


正直、俺は怖いです。

人が傷つくのを見るのが。
人が血を流すのを見るのが。

人の最期を見るのが。


だけど、あなたがこの世から居なくなってしまうことの方が、よっぽど怖いです。


宍戸さん。
俺の覚悟、知っていますか?


「ありがとうごさいます、宍戸さん」(長太郎)

「早く行けッ」(宍戸)




諦めないその心。
いつでも俺に勇気をくれた。

そんなところを、いつも、いつも———————




「すっごく、尊敬していました」(長太郎)



「長太郎? 何言って・・・」(宍戸)




ガンッ




頭が、鈍い音を立てた。


Re: バトテニ−3つの決意− ( No.14 )
日時: 2010/02/07 17:07
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 29 バカ野郎




長太郎が、俺の頭を何かで殴った・・・?!
殺そうとしてんのか?
殺そうとでも思ったのか?
何でだよ、長太郎・・・!!
尊敬してましたって・・・何だよ・・・


意識が遠のく。
視界がぼやけてきた。


痛ェ。痛ェよ、長太郎。


「さようなら」(長太郎)


最後に、長太郎の泣いた顔と小さな声が聞こえた。


どういう意味だよ・・・






ごめんなさい、宍戸さん。
俺には、こんなコトしかできません。
あなたを守る方法は、これしか思いつかなかったんです。
あなたの位置からは見えなかったかもしれません。
ですが、俺には見えたんです。
アイスピックを持って、不敵に笑っている幸村さんが。

俺があなたを殺した、と幸村さんが錯覚すれば。
あなたを助けることが出来ます。


あの人は、狂っている。


だから、俺はあなたを・・・


ごめんなさい。



「氷帝の・・・鳳くんだね?」(幸村)
「幸村さん・・・」(長太郎)
「隣にいるのは、宍戸? キミが殺したんだ?」(幸村)

長太郎は頷いた。

「じゃあ、俺がキミを殺そうかな」(幸村)


生き残りたい。
生き残って貰いたい。

正反対の思いが交差した。





「ん・・・」(宍戸)



ズキンッ



殴られた後頭部が痛む。


俺は・・・生きている・・・?


ゆっくりと体を起こすと、隣には忍足侑士が居た。
火がたかれている。
もう夜になっていた。


「お、忍足! ・・・ッ」(宍戸)
「まだ殴られたトコロが痛いやろ?」(忍足)

頭には、包帯が巻かれていた。

「これ・・・忍足が?」(宍戸)
「あぁ。 偶然通りかかったんや」(忍足)

そう言って、忍足は暗闇の中を見た。



「鳳、死んでしもたな」(忍足)



「な・・・ッ!?」(宍戸)


忍足の言ったことが信じられない。
ウソだろ? 長太郎。
長太郎の涙の意味が、やっと分かった気がする。
俺を殺そうとしたんじゃねェ。
まさか、お前・・・


俺をかばって・・・?


「立海大の幸村や。 アイツがこのゲームに乗っとる。鳳は幸村に・・・」(忍足)

忍足の言葉を遮るように、宍戸が胸ぐらを掴んだ。

「忍足ッ! 何で長太郎を助けなかったんだ! 見ていたんだろ? 何でだよ!」(宍戸)

忍足を責めても仕方ない。
だけど、責めずには居られなかった。


心の中では、長太郎の力量を決めつけ、守っているつもりで守られていた、情けない自分を責めながら。


「宍戸・・・ 離せや」(忍足)
「・・・悪い」(宍戸)

忍足は、少しだけ笑みを見せた。



「守りたかったんやろな、大事な先輩を。ほんまに、アイツらしいな」(忍足)
「・・・」(宍戸)
「アイツ、ゆうてたで。自分や皆を責めないでくださいって。それと、殴ってすいませんって」(忍足)
「何もかも、お見通しなワケな」(宍戸)
「せや」(忍足)


バカ野郎・・・長太郎・・・


「バカ野郎・・・」(宍戸)






「はーいッ 放送を始めマースッ 今回の死亡者はちょっと少ないぞーッ 氷帝学園、鳳長太郎くんだけなんてさー・・・」(中務)




12時。
放送が始まった。
いろんな思いを乗せて、時が過ぎていく。
2日目が終わろうとしていた。

Re: バトテニ−3つの決意− ( No.15 )
日時: 2010/02/07 17:08
名前: 亮 (ID: 2nrfRM.C)

 30 存在価値



「はーいッ 放送を始めマースッ 今回の死亡者はちょっと少ないぞーッ  氷帝学園、鳳長太郎くんだけなんてさー・・・」(中務)


深夜の放送が始まった。
香澄達5人は、大人の居る塔を目指して歩いていたが小屋も見つからず、野宿することになった。
香澄にとって、野宿というのは初めての体験だった。

夜の風がこんなにも冷たいとか、
草がこんなにもくすぐったいこととか、
何もないところで見る星がこんなにもキレイだとか・・・

こんな時になって初めて知ることばかりで、なかなか寝付けなかった。


長太郎くんが・・・死んでしまった。
思い残すことはなかっただろうか。
大切な人には、会えただろうか。
変だよね、長太郎くんと話したのなんて指で数えられるほどなのに、
人が一人、私の前から居なくなるってだけで、
どうしようもなく怖くなる。
どうしようもなく、悲しくなる。

“思い残すことがない”人なんて、居ないんじゃないだろうか。
皆、1つは思い残すことぐらいあると思う。
だからこそ、生きている私たちは死んでしまった人の分まで・・・

精一杯、生きなくちゃいけない。


「死亡者も少なくておもしろくないし、これからは6時間後とじゃなくて12時間ごとにするよッ のこり3日間! 頑張ってね♪」(中務)


明るく、中務が言う。
“頑張ってね”なんて言われても、人を殺すためになんて頑張れない。


「・・・香澄?」(赤也)


暗闇で、赤也が香澄を呼んだ。
自分以外起きていないと思って居たが、赤也も寝付けていないらしい。


「赤也・・・起きてたの?」(香澄)
「香澄に、言いたいことあって」(赤也)
「何?」(香澄)


赤也は、少しためらった。
香澄が、真っ直ぐな綺麗な瞳で自分を見るから。
なんとなく、恥ずかしくなった。


今、言わねェと、もっと言いづらくなるよな・・・


「あん時さ、助けてくれてありがとな・・・」(赤也)


香澄が抱きしめて、俺に“信じろ”って言ってくれなかったら・・・
俺は、自殺していたか、殺されていただろう。
どちらにせよ、たぶん生きてはいない。


香澄は、思いがけない赤也の言葉に顔を赤らめた。


「違うよ、あの時は桃が・・・」(香澄)
「違わない。確かに運んでくれたのは桃城だけど、俺の心を助けてくれたのは、香澄なんだよ」(赤也)


「いつもどうり笑ってくれて、すっげェ安心したんだよッ」(赤也)


「赤也・・・」(香澄)
「俺はもうちょっと起きてるけど、早く寝ろよッ」(赤也)
「うん、ゴメンね」(香澄)




嬉しかった。
涙がこぼれるほど。
自分の笑顔で、救われた人が居る。
安心してくれる人が居る。


自分の存在価値を、身にしみて確認した。


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