二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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イナズマイレブン 黒田エリの好きな人
日時: 2011/06/05 19:39
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: LQ45f2Hx)

 始めまして、紅花と申します。
 
 注意事項↓
 1オリ設定とオリキャラが出てきます
 2荒しとパクリはやめてください
 3駄作です
 
  上に当てはまる人は、回れ右!


 
 登場人物↓ 増えます
 黒田 エリ くろだ えり ♀ 
「あたし、男どもとグラウンド走り回ってるほうが性に合うんだよねー」
 主人公。明るく活発で大雑把。涙もろいが男勝り。
 背が高く、好きな人が自分より背が低いためそのことを気にしている。
 小説大好き、絵をかくのが好き。土日は家でごろごろ。
 猫の品種に詳しい。変なことをたくさん知ってるわりには非常識。
 
 若田 進 わかた すすむ ♂
「学校と違うんだよねー、ここにいると」
 エリのクラスメート。学校にいると、大人しく無口で物静かで博識な男の子。
 しかし学校からでると一変して元気で明るく生意気で毒舌になる。
 二卵性の双子の弟。ただし、兄より背が高い。

 ナナ ♀
「とし? そんなもの、忘れたわ」
 ホームレスの少女。ミステリアスな雰囲気。
 全然ホームレスには見えない。推定七歳。

 谷村 律 たにむら りつ ♀
「えっと……佐久間先輩のファンです!」
 帝国の女の子。佐久間と同じ眼帯をしている。
 ビビリ、小心者、あがり症。恥かしがりやで超内気。
 おばけやしきに入ったことない歴とホラーみたことない歴13年。

 切先 刃 きっさき やいば ♂
「名前? ああ、俺がつけたんだが、どうした?」
 雷門中にきた転校生。律儀な性格で、どんなに嫌なことでも、申し付けられるとかならずそれをする。
 超☆非常識。本名は剣寺。

 剣寺 白刃 つるぎでら しらは ♀
「オレは白刃。あん? 名前? 名前が全てじゃねぇだろ?」
 刃の実の姉。柔道黒帯。オレっ子。
 鬼道に一目ぼれして雷門に転校すると決めた。

 黒田 ミリ くろだ みり ♀
「ち、ちっちゃいは禁句です!」
 エリの誇り高き姉。成績優秀、品行方正。
 身長はエリに奪われたらしく、高3となった今も栗松と同じくらいの身長。
 イタリアに留学中。

 笹目 雪 ささめ ゆき ♀
「ん? 治くんの顔は兇悪じゃないよ〜」
 吹雪の従妹。オサーム様の彼女。
 柔和で穏やかで天然ででもキレると怖い。

 目次
 第一章 スタートまで 
 第一話 「黒田エリ」 >>1
  だいじょうぶ? と聞かれた。アルトで。
 第二話 転ぶなよ! >>2
  はい、もう転びません。
 第三話 拒絶 >>3
  彼女は暖かかった。
 第四話 台湾 >>4
  遠いのかな、台湾は
 第五話 ナナ >>8
  絶対に、気のせいだ。
 第六話 高雄 >>11
  黒田さん
 第七話 日本へ >>12
  are you ok?

 第二章 恋する乙女(?)は全力投球!
 第八話 夢よりも恋をおっかけてます! >>16
  ……え? 世間知らず? でも、私、太陽が東からあがって西に沈むこと知ってるよ。
 第九話 マネキン >>20 ホラーっぽい
  でも、たしかその向日葵の所為で、俺、睡眠不足になったんだよね?
 第十話 意外な姉弟と眼帯少女 >>21
  ほら、私達、よく似てるでしょ?
 第十一話 諦める才能 >>24
  私、傍にいられるだけで、貴方の後姿を見ることができるだけで、幸せだから。
 第十二話 郵便配達の男の子 >>25
  そうだよ。人生、そんな甘くない。
 第十三話 〈潜む者〉 >>26
  努力するってことを、学びたい。
 第十四話 幸せな時間 >>29
  幸せな時間はたった一言で、小さな行動で——壊れてしまう。
 第十五話 〈潜む者〉のせせら笑い >>30
  これが本当の貴方なの? 
 第十六話 triangle >>31
  もう、後戻りはできない。
 第十七話 生贄 >>32
  私を止めたければ、生贄をよこせ。
 第十八話 多重人格 >>40
  マジありえないから!
 第十九話 壊れやすいもの >>43
  なんで、なんで壊れやすいものが、この世に溢れているんだろう。
 第二十話 エリの姉 >>44
  身長は栗松。
 第二十一話 レーゼと私 >>45
  私は、〝黒田エリ〟と言う名の女子しか、生贄にする気がしないのだよ。
 第二十二話 名字を隠した少女 >>47
  名字は不明。本人が隠したいらしい。
 第二十三話 壊し魔 >>48
  私の父の名前は、影山澪冶。
 第二十四話 二人の少年の会話の内容 >>49 
  あぁ、お前が誰のこと好きかも知ってるぜ?
 第二十五話 若田の毒舌攻撃 >>52
  ブラック化した若田を止められるのは、恐らく彼の双子の兄だけです。
 第二十六話 ツンデレなポニテ二人 >>53
  猫は三年の恩を三日で忘れる——でも、俺は三秒で忘れるからね。
 第二十七話 澪の挑戦 >>54
  ポジティブ、それがとりえだ!
 第二十八話 男子と女子の会議  >>55
  似たもの同士の男女の会議 
 第二十九話 シスコンの妹様  >>56
  鬼道キャラ崩壊です注意。
 第三十話 でーと >>60
  いつらに捕まったら、なにされるかわかんないから。
 第三十一話 マキちゃん  >>62
  波乱に満ちた恋する乙女の毎日
 第三十二話 日曜日の公園 >>65
  直球って、何?
 第三十三話 ミリの正体 >>66
 はじめまして。いいえ——久しぶり。
 第三十四話 お陽さま園 >>67
  こまかいことは、あとまわし。
 第三十五話 三角関係が四角関係になる日 >>68
  今までの、帳消し。
 
 第三章 四角関係
 第三十六話 御影と戦国  >>69
  喧嘩するほど仲がいい。
 第三十七話 スランプ中の神  >>72
  ——私、一年中貴方のこと思ってたんだから。
 第三十八話 刃のお姉さん >>73
  恋する乙女はトラブルメーカー。
 第三十九話 綱海と剣寺 >>74
  はじめまして! 剣寺白刃です!
 第四十話 ちょっと調子にのってきた >>75
  本当にお願いだから仲良くしてね。
 第四十一話 中秋節  >>78
  明日はお休み! ……だといいな
 第四十二話 好敵手 >>79
  そう、俺たちは好敵手(ライバル)。ねぇ、だから仲良くしよ?
 第四十三話 デートしよ? >>80
  あのさ、音無さん。
 第四十四話 春奈の苦悩 >>81
  私って悪い妹だね。
 第四十五話 音無と切先にとって一番恐ろしいホラー >>82
  世界一恐ろしいホラー。
 第四十六話 どうでもいい雑談 >>86
  本編との関連なし。
 第四十七話 男勝りな白雪姫 >>87
  でも、大好きだよ。
 第四十八話 髪の毛マフラーカップル >>89
  十月一日、金曜日の秋祭りにて。黒田エリ。
 第四十九話 かわいそうな女の子 >>94 
  二見さんは再び倒れた。
 
 第四章 愛してるとキス、さあどっち?
 第五十話 新たな一角 >>105
  妬けるなあ。



 短編っぽいものや番外編
 カゲトのガールフレンド >>35 
 連想ゲーム。ちょうくだらない。 >>46 
 お酒の力にご用心 >>97
 ヒロトと玲名と緑川 >>99>>101
 五秒−“クララ” >>106-107
    
 私の駄作にコメントをくださった神さま
 氷橙風 さま
 日奈 さま
 海刀 さま
 空梨逢 さま
 レモンティー さま
 癒玖刃 さま
 ユキナ さま

 お知らせ >>10

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Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.22 )
日時: 2010/09/04 07:36
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

谷村になりたい。

どうもすみません最近おかしいふーがコメにやって参りました。あ、来ないでほしいですよねゴメンなさいだって神文なんだもの!

風丸さんの夢かなり怖いじゃないですか……怖すぎますよ……私そんな夢見たらその日ちゃんと生活できるかどうか。
ゆーとが! ゆーとが可愛い! なんか! 可愛いです! あきおも! あきお大好きだぜ!
向日葵の所為でww まあそうですよねw いい加減にしていただきたいですよねwww

腹蹴りやめてなかったのかよwwww 被害者www
エリちゃん迷惑ばっかかけてますね……風丸的にどうなんでしょう。
……え!?? ちょ、カゲト? カゲト、だと……? 異母弟とかどういうことだぁーー!!!
似ていていいことないwww カゲトwwww あとで腹蹴りされるんですねわかります。
さっくんさっくんさっくんさっk(ry 可愛いよさっくん愛してるーっ!
wwwGowwwwwww ちょwwwww 頬と額wwwww シスコン自重しろwwww(だからお前が
ゆーとwwww お前もシスコンにwwww 人に言えることではww(いい加減黙れ
谷村ぁーーー!! お前、そこ代われ。(絞
やべ、この子超可愛い。可愛すぎるよでもさっくんを奪うのは俺だ☆(自重

あーホントゴメンなさいもっとましなコメントできないのかって感じですよね。
でも応援してますんで! 更新頑張ってください!
……あと、あの呼びタメおkですか?

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.23 )
日時: 2010/09/04 16:27
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: EHM01iHp)

氷凍風さん
風丸くんの夢は怖いですね。
ああ、顔赤くなってるゆーととあきおが見たい!きっと可愛いはず!!
はい、向日葵の所為です。この枯れない向日葵、迷惑ばっかりかけるんです。枯れないから余計大変です。
はい、腹蹴りはやめてなかったみたいです。
気に障ることを言ったらとりあえずお見舞いする。ってかんじですよね。
風丸はどう思ってるの?
風丸「あいつの告白に答えたあの時の俺の心境がわからない」
……だよなぁ。あ、でもわかれないの?
風丸「てめーがわかれさせないんだろうが」
しかたないじゃん、「黒田エリの好きな人」っていうタイトルをどう思ってるのさ。
風丸「エリの好きな人を変えろ」
らららー、きこえない。
異母弟ですー。エリとカゲトは。
たぶんカゲトはもうエリの腹蹴りを避けるテクニックを習得しているのでは?
豪炎寺は完璧なシスコン。額と頬。すごいですよね。
手の甲に「夕香がいないと生きてけません」って書いてあったりして。
ゆーとにもいえないよね。うん。ゆーとだってはるちゃんのことを考えてたもんね。
やっぱシスコンキャラは普段クールだけど妹には甘ったるいんだよね〜。
りっちゃん、代われだってさ。可愛いって言われたけどさっくん奪うのは氷凍風さんだってさ。
律「どっ、どうぞっ!わ、わたし、近くに居られるだけで、し、死にそうなほど幸福なので!」
うわー、ビビリ発揮。
いえいえ、またきてくださいな。氷凍風さんのコメント見るとこんどはなにおもしろいこと書いてあるのかなーと期待してきます。
更新頑張ります☆

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.24 )
日時: 2010/09/04 20:05
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: W3jWtiQq)

 第十一話 諦める才能

 *
 唇の隙間から漏れた言葉は、誰にも届くことなく、空へと消えた。
 *

 二見百。
 二年C組の女生徒。
 そして——風丸一郎太の従妹。

「差し入れ持ってきたの。食べる?」

 小さく、囁くような甘い声。はにかむような笑みを浮かべ、クーラーボックスを開ける。
 おおっと、サッカー部の連中からどよめきがあがる。
 彼らは美味しそうに中にあったケーキを食べる。

「手作りなんスか?」
 
 と言う壁山の問いに、はい、と微笑んで答える。
 どんなに太陽の下にいても、やけることのない白い肌。
 眉の上で切り揃えた黒い髪。髪の毛をポニーテールにしたこの女の子、二見百って言う。
 私の友達だ。
 だけど、同時に、ライバルでもある。

「おしとやかなレディーですねー」

 手と手を合わせて、はぁぁ、と羨望の溜息をつきながら、ハルちゃんが言った。
 確かに、彼女はお嬢さまだ。それはもう、なっちゃんに負けないくらいの。
 化粧用品を扱う会社の社長がもうけた娘。
 皆に差し入れをもってきただけにみえるが、わたしも一応恋する乙女、彼女の狙いはわかっている。
 
「美味しいよ、百」

 一郎太だ。
 一郎太になれなれしく名前で呼ばれるなんて……!私のことは黒田さんって呼んでたじゃない。
 なぁに? 浮気? 野蛮な娘よりおしとやかなレディーを選ぶわけね。どうせわたしは野蛮よ!
 うぅ〜、と唸りつつ、なんだか泣きたくなる。わたしはいつの間にか「恋する乙女モード」に突入していた。
 さっさとわたしとわかれちゃえばいいのよ、そんなに二見さんのことが好きなら!
 唇を尖らせる。二見さんが一郎太の従妹であることは知っていたけど、二人はあまり似てない。
 二見さんは知っているのだろうか、わたしと一郎太が付き合いはじめたことを?
 わからない。でも、わたしが男の子なら、二見さんを選ぶだろう。
 自分より背が低く、年も下で、可愛くて、愛嬌もあって、性格もよくて。
 だれが野蛮な男っぽくて自分より背が高くて年上の女を好きになるって言うの?
 きっと一郎太はむりやりわたしの彼氏になったんだ。
 だって、そうとしか思えないじゃない。
 わたしの強引さに引っ張ってかれた、それだけ。この間もわたしの所為で睡眠不足。
 わたしの所為。全部わたしの所為。
 強引で、だから一郎太はわたしに無理矢理付き合っているんだって。
 そう思ったら悲しくなった。
 わたしに才能なんかない。
 あるのは諦める才能とぐうたらする才能だけ。
 そんな才能、いらない。
 二見さんは絵も上手だ。デッサンが凄く得意で、先生が「もう貴方に教えることはありません」って言われたぐらいだし。
 わたしって、ほんと、役立たず!
 気に障ることを言われたら、理性と女としてのプライドなんてかなぐり捨てて、腹蹴り、腹蹴り、腹蹴り!
 野蛮だよね。ちょっとむかついただけで腹蹴りするなんて、さ。
 もういいよ。私のことが嫌いなら、それでもいい。
 でもわたし、努力するよ。
 好きになってもらえるのなら、振り向いてくれるのなら。
 わたし、一年でも十年でも、努力するから。


「あっ、やばい。国語のノート持ってかえるの忘れた〜!」

 友達のはるちゃん、りっちゃん、あきちゃん、鬼道、佐久間と一緒に帰路についていると(ふゆちゃんはお父さんと帰っちゃった。なっちゃんはベンツのお迎え、鬼道ははるちゃんと一緒に帰りたいらしい。佐久間が同じ道だからりっちゃんがきたみたい)、国語のノートを忘れている事に気付いた。

「早くもってこい」
「私達、ここで待ってますから!」
「あ、うん。ありがとね!先にいっちゃってもいいから。だからといってほんとうに先にいっちゃうと悲しいかもよ〜!」

 そう言って笑うと、私は雷門へと走った。

「あ〜、うざうざ。四階の、しかも階段に一番離れてる教室ってありえね〜」

 はぁはぁ言いながら階段を駆け上る。
 そして教室の前につく。すると、声が聞こえた。

「ねえ、一郎太、どうしてあの子のことが好きになったの?」
「どうして、って……」

 一郎太と二見さんの声!
 わたしの背筋が凍りつく。恐る恐るできるだけ声を立てないようにして、ドアを開けて、中を覗き込む。
 中を見て、鳥肌がたった。
 二見さんが、一郎太の両腕を掴んでいた。ふっくらした頬が赤く染まっている。
 ふわりと、雫が二見さんのふっくらした頬を伝っていく。
 胸がずきんと痛んだ。二見さんも、すきなんだ。一郎太のこと。
 知ってた。知ってたけど、目の当たりにすると、痛かった。
 だって、信じようとしなかった自分がいたから。否定しようとしていた自分が居たから。
 誰とも奪い合いたくなかった。でも、一郎太は人気者だった。
 二見さんの唇と一郎太の唇までの距離が縮まっていく。
 それ以上見てられなくて、私は階段を駆け下りた。
 熱い涙が頬を伝っていた。
 はるちゃんたちが居るところにいって、涙を見られないように手の甲で拭う。
 お母さんに買い物を頼まれたとか適当な理由を言ってその場を抜け出す。
 みんな、心配そうな顔をしていた。
 そんな顔しないでよ。
 私、誰かが心配している顔を見るの、大嫌いなんだ。
 ベッドの上に横たわった。
 涙は横に流れる。
 声は出さず、ただ涙だけが零れていく。
 私、もう諦めるよ。
 一郎太のこと。
 二見さんと争いたくないの。
 だって、二見さんと友達でいたいから。
 それに、私に、勝ち目なんてないもんね。
 だから——諦める。
 私って、諦める才能ならあるもん。
 幸せになってね。

 *
 私、傍にいられるだけで、貴方の後姿を見ることができるだけで、幸せだから。
 *
 

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.25 )
日時: 2010/09/04 21:12
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: W3jWtiQq)

 第十二話 郵便配達の男の子

 *
  他人の失敗から教訓を得る。残忍だけど、役に立つ
 *

 むー、だるい。
 泣くのももう疲れた。今日はうちでぐーたらするぞ!
 ベッドの上に寝転がり、小説を読む。小林深雪先生の「ホンキになりたい」。
 この本は四つの短編で出来ているんだけど、中に山内真琴っていう女の子が出てくる。
 で、この女の子が私によく似てるんだ。
 男の子っぽい性格で、その事に悩んでる。そんな真琴ちゃんの気持ちが痛いほどよくわかる。
 あっ、先生に電話するの忘れたぁ〜!
 理由どうしよう? 「失恋のショックから復帰できません。今日は休みます」なんていうつもり?
 ありえないから!
 で、最終的には、「熱」。
 ふーっと溜息をつく。
 中学二年(年は15だけど)で一人暮らしの女の子、黒田エリは、昨日、失恋しましたぁ〜!
 勉強する気にもなれません。
 走る気にもなれません。
 好きな人に会う気にもなれません。
 う〜あ〜、せつないよぉ〜〜〜!
 って思ってると、ピンポーンとチャイムがなった。
 だれ?
 あ〜、だる。
 こっちだって仮病するつもりはないんだよ、全く。
 でも、あの人に会いたくないんだ。
 会ったら、その場で泣き出しそうな気がしたから。
 もしあの人だったら、鼻先でドアを閉めてやる。
 そしたら、二見さんと幸せになれる。
 私なんかより、二見さんと一緒のほうが、幸せだよね。
 ドアを開ける。
 すると、男の子が立っていた。
 私と同じくらいの年の男の子だ。
 服装に、緑色の自転車からすると、郵便配達をしているのかもしれない。
 若いのに、私と同じ年なのに、大変だな。
 きっと、私みたいに失恋しても、頑張って仕事しなくちゃならないんだもんね。
 そうだよ、人生、そんな甘くない。
 私は改めてその子を見た。
 日焼けした肌、尖った顎。あの人ほどじゃないけど、整った容姿。
 黒い目は、ちょっと鋭い。だけど、なんだか親しみを感じられる、子犬みたいな雰囲気を感じる事ができる。愛らしい眸だ。
 柔らかくて、綺麗な若葉色の長髪をポニーテールにしている。天然パーマなのだろうか、すこしくるくるっと巻いている。
 綺麗な鼻筋、小さな唇。私とあの人より、少しだけ背が低くて、痩せてる。
 あの人は足に筋肉がついてた。あんまりよくわかんないけど。でも、この男の子はない。
 とても痩せている。壁山に見習えと言いたいぐらいだ、と呟いて笑う。
 なにを笑っているのだろう?と、きょとんとした目で首を傾げる少年。
 とても男の子とは思えない、愛らしい仕草に思わず笑ってしまう。
 あの人のことを思い出す。あの人や鬼道が大人なら、彼は子どもだ。
 そして、私は気付いた。
 この子、見たことある。
 台湾に居たころ。ニュースで。
 思い出してみる。
 廃墟の上に立ち、黒いサッカーボールを踏んでいた少年。
 確か、ジェミニストームのキャプテン、レーゼとか言ってた。
 すっごく尊大な態度で。不思議な服を着て、星の使徒とかなのってたやつ。

「あの、手紙、持ってきました!」

 元気よくいうレーゼくん。差し出した手紙を受け取る。
 
「あの……君って、ジェミニストームのキャプテン、レーゼ?」

 恐る恐る聞く。すうっとレーゼくんの顔が青ざめた。
 レーゼくん、後悔しているのかな、中学を破壊したこと。
 レーゼくんはにこっと笑みを浮かべた。ひと懐っこい笑みだった。

「レーゼは宇宙人ネーム!俺には緑川リュウジって名前があるんだから」
「……髪の色?」

 今度はレーゼくん、じゃなくてリュウジくんは顔を真っ赤にした。
 たぶん、リュウジくんはそれを気にしているのだろう。

「ご、ごめん。気にしてるって、知らなかった……」
「いいよ。よく言われるもん」
「でもなんで郵便配達なんかしてるの? うちが貧乏とか?」

 リュウジくんはきょとんとした表情になった。

「あれ? 君、もしかして前まで外国に居た?」
「うん、そうだけど」
「それじゃあ知らないか……」

 リュウジくんは一瞬、ちょっと淋しそうな顔をした。
 でも、次の瞬間には、あの人懐っこい笑みが戻っていた。

「エイリア学園の子供たちはね、みんな『お陽さま園』って孤児院に住んでるんだ」
「え……ご、ごめんなさい」

 なんか私って謝ってばかり。だから失恋するんだよ、私。
 あり? いつのまに失恋って話に?
 ああ、二見さんとあの人がキスしたからか。
 あー、思い出したくねー。話題かえよっと。

「じゃあ、なんで郵便配達なんかしてるの?」
「うん、もとは日本代表、イナズマジャパンの選手だったんだけどさ、体力不足ではずされちゃたんだよ」
「体力不足かぁ。見てわかるよ。イナズマジャパンの選手は足に筋肉ついてるけど、あんたないもんね」
「うわ、ざくっと言うね。まあいいや、で、郵便配達で鍛えてるんだよ、基礎体力をね」
「じゃあ、学校は?」
「うん? みんなライオコット島にいっちゃってるときがおおいからなぁ。俺がいなくても大丈夫かなってかんじ。君は?」
「私はサボタージュ。失恋したから」
「ぶっ。なにその理由! おかしいよ!」
「あ〜、吹きだしたっ! ひっどぉ〜い!」
「ねぇねぇ、こんな言葉しってる?」
「あっ、話題変えた!」
「『他人の失敗から教訓を得る。残忍だけど、役に立つ』」
「うわ〜、話題変えるの上手だね。あっ、でも私、知ってるよ。台湾で聞いた事ある」
「スゴイ言葉だよね。なんか感心しちゃったよ。……ってあ、早く次のうちにいかなきゃ!」

 そんな時、私の心に、なにかが芽生えた。
 あの人を二見さんに譲って、ウチの中でゴロゴロしているつもり?
 だめじゃん。元気にならなきゃ。
 目の前にいる、この子だって頑張ってるんだから。
 なら。

「あのさ、お仕事終わるのっていつ?」
「え? うーん、あと一時間ほどで終わるかな。ちょうどお昼の時間だから」
「じゃあさ、私のうちにきてご飯たべない? 風丸一郎太って人について話したい事があるの」
「あっ、さては風丸の彼女?」
「ううん、元カノ。それからサッカーしようよ。私も好きなんだよ。こう見えてサッカー部のマネージャーなんだから」
「ほんと?」

 リュウジくんの目がきらきら輝き始めた。

「じゃあ俺、リクエストするね。天むすたべたい!」
「天むすかぁ。コンビニいって探してくるね」
「じゃあちゃっちゃとすませちゃうね。ばいばい!」

 リュウジくんの姿が遠ざかっていく。
 私は手紙を見た。

「黒田エリ様 お陽さま園 吉良瞳子」

 ……お陽さま園の人が、一体私になんの用なの?

 *
 そうだよ、人生、そんな甘くない。
 *
 
 

Re: イナズマイレブン 黒田エリの好きな人 ( No.26 )
日時: 2010/09/04 22:20
名前: 紅花 ◆iX9wdiXS9k (ID: W3jWtiQq)


 第十三話 〈潜む者〉

 *
 はい——私にできることなら。
 *

『始めまして。
 ネオジャパンの監督、吉良瞳子です。
 黒田エリさんですね?
 貴女のことは存じています。
 チーム[ブロッサム・クイーン]のキャプテン兼ミッドフィルダー。違いますか?
 エイリア学園言う学校があって、一時期、日本で中学の破壊活動を続けていました。
 それと[ダークエンペラーズ]を食い止めたのは、イナズマジャパンです。
 貴女に、お陽さま園に来ていただきたいのです。
 なぜか、と説明すると、話が長くなるので、一度こちらにきてくれませんか?
 その時は、ご連絡ください。

 ○○‐○○○‐○○○○

                 吉良瞳子』

 ……何がいいたいんだこの人。
 エイリア学園を食い止めたのはイナズマジャパン。それが私になんの関係があるんだろう?
 まあいいや、考えるのも時間の無駄。天むす探しにいこう。
 あ、先に電話しといたほうがいいかな。今日の午後四時にしよう。

『はい、もしもし。お陽さま園です』
「あの、吉良瞳子さんですか?」
『はい』
「始めまして、黒田エリと申します。手紙、届きました。ありがとうございます!」

 私って敬語苦手なんだよ〜。本読んでもわかんねぇし。

「今日の午後四時にいきますね。あと、その、理由とかは……」
『理由、ですか? ああ、理由はですね……』
 
 受話器の向こうで、ふうう、っと息を吐く音が聞こえた。

『貴女しかいないからです。——暴走した緑川リュウジを止められるのは』

 は?
 暴走したリュウジ?
 なにそれ?
 意味不明!!
 詳しい説明求む!!

『話すとやはり長くなるので、お陽さま園でお話いたします。では、今日の午後四時』

 ああ〜、切っちゃった!
 この瞳子って人、マイペースだなぁ。
 着替えて出かける。コンビニなら坂下にある。
 坂をとっとっと、と走っていき、コンビニに入る。
 クーラーの風が涼しいけど、すこし寒すぎない?
 おにぎりを探す。天むす、天むす……あった!
 おにぎりと天麩羅がプラスしたみたいなモノだ。
 五つ買う。体力つけるんだったらたくさん食べないとね。
 ついでにコーラを買っておく。それから自分には、パン。ダイエット中なんだもん、しかたないでしょ。
 
 お昼になって、擦り傷だらけのリュウジくんが帰ってきた。

「やっほー。来たよー。天むすカモン!」
「その前に手ぇあらってこい」
「えぇー。おなかすいて動けない」
「嘘つけ。見たぞ。お前が猛スピードで自転車こぐの」
「あっ、見てたのかよ。鋭いよなー」
「鋭い、かねぇ? とりあえずシャワー浴びて来い」

 はいはい、と言いながらお風呂場まで歩くリュウジくん。
 久しぶりだなぁ、気軽に話せる男友達って。
 だって、一郎太に好きになってもらおうとして、必死で頑張ってたもの。
 一郎太以外の男の子と話す機会がどんどん減ってった。
 意識してるんだよ、ってわかって欲しかったけど。
 一郎太はそれまで、私のこと、あんまり知らなかったみたいだ。
 どのくらいかして、風呂場からリュウジくんが頭を覗かせた。髪を解いている。濡れた髪が、顔に張り付いていた。

「あのさ、服」
「あるじゃん」
「でも、汚いよ?」

 その一言は、魔法の言葉。私は直ぐにズボンと白のTシャツを持ってきて放り投げた。

「ありがとねー」

 着替えると、なかなか合っていた。
 髪の毛をポニーテールにし、いただきまぁすと言って天むすを食べる。
 可愛いなぁ。
 なんか、「年下」って感じだ。
 姿は私とおなじくらいの年でも、精神年齢はまだまだ子どもなのかもしれない。
 そのあと、どれくらいかサッカーをやって、お陽さま園へいく。
 そして、瞳子さんと私だけで、話し始めた。

「あのね、リュウジは、血を見るのが嫌いなの」
「血」
「そう、血。彼の両親は殺されたの。リュウジは現場を目撃している」
「そんな……」

 そんなのって悲しい。
 私も小さい頃、母親のことが嫌いで、死んじゃえって思ったことがあったけど。
 母親の笑顔を見て、思ったんだよ。
 お願い、死なないで。
 ——って。
 どんなに叱られても、憎めなかった。
 だって、私、幸せだから。
 虐待されたりもしなかったし、病気で亡くしたなんてこともなかった。
 でも、ここにいる子どもは、全て、両親がいない、もしくは捨てられた子どもたち。
 なんだか悲しくなる。

「でも——でもなんで私が彼をとめることが出来るんですか?」
「貴女はとめたことがある。忘れたの?」

 えっと……六年生の時かな。
 日本に遊びに来た時、男の子を見つけたんだよね。
 深く帽子を被っていたけど、その下の、憎しみに満ちた目はよく見えた。
 
「リュウジは血を見ると、『レーゼ』になる。そして、建物を破壊しようとする。だから彼は建物を破壊することに専念した。マスターランクは建物を破壊するのが少なかったの、気付かなかった?」

 あの男の子は、そうだ、破壊しようとしていた。
 建物を殴っていた。八つ当たりみたいに。
 そうしたって、どうにもならないのに。
 見てると悲しくなった。この子はなにを考えているんだろうって。
 あれは、暴走してたの?
 その後、私は、彼を止めた——……

「そう。貴女は彼を止めた。他の誰も止められなかった。イナズマイレブンは、エイリア学園を止めることは出来ても、リュウジの中に潜む『レーゼ』をとめることは出来なかった——だけど、貴女はとめることが出来た。だから、貴女に頼みたいの」

 長い、さらさらした黒髪の女性——吉良瞳子さんは、頭を下げた。

「お願い。彼が暴走しそうになったら、止めて」
「それは、」
「ね?」

 悲しみに満ちた目で見つめられて、私は戸惑った。
 彼女は20歳くらいのはずだ。でも、何故か、老けて見える。
 きっと苦労してきたんだろう。
 
「はい——私にできることなら」

 *
 努力するってことを、学びたい。
 *


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