二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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戦国BASARA リク受付中!!
日時: 2010/10/24 21:19
名前: びたみん (ID: X.h0sN1M)

こんにちは、はじめまして(。・ω・)ノ
びたみんと申します( ´艸`)★。、
このサイト様では、ハンター×ハンターの二次小説も書かせていただいております。
どうぞ、よろしければ構ってやってくださいヽ(・∀・ )ノ キャッ キャッ

物語のリクエストを受け付けております!!
BASARAのキャラに限ってですが…(´・ω・`)
詳しくはNo.4をご覧ください( ´艸`)★。、

◆取り扱い説明書◆
・恐らくBASARAの二次小説となります。
・「BASARA?まじないわ」という方、不快感を感じられる恐れがおおいにございます。
・短編長編入り混じります。
・もしも管理人が困っていたら助けてあげましょう。
・管理人は、チキンで鶏なので、驚かすとすぐに逃走しますので驚かさないようにしましょう。
・トリップものからパロまで、非常に雑食です。
・長文なのに駄文となります。
  …精進いたします+。・(Pд`。q)゜。+ 

。。以上。。

上記に承諾しかねると言う方、このスレッドで不快感を感じられるこかと存じます。
静かにブラウザ左上のボタンをクリックすることをお勧めいたします(´・ω・)ノ

お付き合いくださる方、ありがとうございます+。・(Pд`。q)゜。+ 
では、どうぞ駄文ですが、ご覧ください∑d(゜∀゜d)

PS.コメントなどの返信は、コメントして下さった方のスレに、直接返させていただいております(´・ω・`)
   スレを持ってらっしゃらない方への返信は、自スレでさせていただきます( ´艸`)★。、

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果報の死 ( No.1 )
日時: 2010/10/22 19:31
名前: びたみん (ID: xfd8kWkT)

————小太郎様、宵の空を御仰ぎください————

 黒い羽が宵に舞う。流麗な舞を舞って空を彩る。
 雲は月を弄び、星は遠く隠れて、月は光を反射する。
 城の頂に見える人影は、静かに夜空を見上げている。

「何を黄昏に浸っておいでですか?」

 白煙を絡めて女は男へと問いかける。
 男は、何も言わない。

「お尋ねいたしました自分が阿呆でございました。
 お忘れください」

 肩を竦めて女の忍は男を見る。

「小太郎様、参りましょう」

 静かにくノ一を見つめていた男は、こくりと頷く。
 白と黒の煙は、混ざり合って空気に溶けた。


 宵の空は美しいと、誰が言ったであろうか。兜によって目元は覆われていようとも、宵を見上げる情緒は残っている。
 笑いは無く、怒りは殺し、悲しみは捨て、喜びは感じず、ただ命を果たすのみ。
 忍びとはそういうものだ。
 
「小太郎様、宵の空を御仰ぎください。
 冬な星隠れ、夏な星がはしゃぎ、春な月は優しく、秋な虫歌。
 本当に四季とは美しいものではございませんか」

 そうだ、宵空の美を自分に説いたのは、このくノ一であった。
 忍びとして共に潜み、郷里を同じくして北条に仕える身。
 くノ一の顔へと視線を巡らせる。空を見上げるくノ一は、青い月光に照らされ、なんと美しいことか。
 喜怒哀楽を剥ぎ取った自分にも、審美の目はあるのだろうか。

「ふふっ
 何時からでしたでしょうか、小太郎様が私めを見てくださるようになられたのは」

 自分の視線に気付いたくノ一は、口元を隠していて表情は窺い知れない。
 主の声が聞こえる。視線を声の方向へと見遣れば、くノ一も気付いたようだ。

「氏政様が御呼びですね、参りましょう」

 白と黒の煙は混ざって色を変える。



「ふふっ
 どうなさったんですか
 早く私めを捨て置きください」

 血にまみれた体は、最早言うことを聞かない。
 どうしたことか、氏政様のところへ参じず、私の横に立ち尽くすのは小太郎様。

「……」

 そう、ただ立ち尽くすのだ。この人は、言葉を知らないのだろうか。声をきいた事がない。声どころか、顕著な感情も垣間見たことはなかった。

「わかっております。
 この体では、暫く動けますまい
 動けぬ忍びを使う程、北条に余裕はございません
 捨て置きください。
 他の者たちにもそうして参りました。
 己がそうなったところで、何という事もございませぬ。
 御見捨てください」

 横たわる私の傍らに、小太郎様は何時の間にか膝をついていた。
 此の人に、感情が宿ればいいと思っていた。
 悲しい時に涙を流し、喜ばしい時に其れを顕し、怒った時に声を荒げ、楽しい時に笑えば良いと。
 最後の時まで叶わなかったけれど、美しいものを美しいと思っていてくれたから。
 宵の空を見上げて、黄昏る時が多くなったから。
 この方の中で、私は残ったろうか。
 せめて笑ったままで。この人の中で少しでも存在を許されるのならば、最後はせめて、笑ったままで。

「どうなさいなした
 風魔小太郎ともあろうお方が、忍びの心得をお忘れになった訳でもございませんでしょう。
 このままでは生き延びてしまいます、どうぞこの首、里に見せしめくださいませ」

 失敗した者の末路はこうであると、見せしめては、里の者の気を締める。
 長く里の上忍として踊った自分ならば、その効果も大いにあろう。
 傷は癒える。その後もなんら変わりなく手足となる事は可能。それでも、傷を負った者に与える薬も、食糧も、時間さえないのが北条の現状。

「そう、そのままその刀でこの首、断ってくださいませ」

 静かに首に当てられた短刀は、力を込めようとしない。
 短刀を握った手ごと掴んで、己の首に食い込ませる。
 この方にも、やはり体温がある。初めて触ったのがこの場面で、何も悔いはない。

「苦のないよう、一瞬で終わらせることも私めにはお許しくださいませんか?」

 全身の筋肉を使って血を吐きながら起き上がる。
 その手から短刀を奪うと、己の首へと宛がう。冬の鉄は冷たく、月明かりを反射する刀は美しい。
 自分はなんて果報者であろうか。
 焦がれて止まないお方が傍にいて、愛する宵空と月に見守られ、最後を迎えられる。
 暖かい雫が頬を伝う。悲しくなど無い。これは、幸せに感動した涙だ。
 焦がれて泣いたのでも、悲しくて泣いたのでもない。ただ、感動の涙。何時振りであろうか。こんな純粋な涙を流したのは。

「小太郎様、御見苦しいものですよ。
 見取ってくださらずとも構いません」

 そう告げても、小太郎様は動かなかった。
 微笑んで、グッと柄を握り締める。ゆっくりと、食い込んでいく冷たい鉄を、肉で感じながら刃を進ませる。
 唐突に消失した凍りついた刃の感触に、ゆっくりと視線を巡らせる。

「どう、なさいました…?
 死に逝った…者たちには、私から詫びを入れましょう。
 他にも、なにか…」

 流しすぎた赤の液体で、言葉は途切れ途切れで、それでも紡いでいた音は、本当にもう出せなくなった。

「……ッ」

「こ、たろ…さ…」

 腕に抱かれている事実に、頭は付いていかない。
 頬に、鎧の感触がある。
 強くなって行く圧迫感に、なんて幸せな死に方かと、静かに目を閉じる。
 不意に緩んだ力に、取り込めなかった空気の侵入をよぎなくされる。
 訪れた振動は、煙となって移動したときのものだ。 この方は、一体どうやって私を殺すのだろうか。



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