二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! 七夕騒動篇
日時: 2011/02/25 19:46
名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)

 ポルタと申します。
 二次小説を書くのは初めての初心者です。

 さて今回は「銀魂」の二次創作小説となります。
 
 文章っていうか、文才が死ぬほどない奴なので、どうか手加減をお願いします……。

 この小説を見て下さったあなたは偉人です。
 コメントを下さった方はマジ神様です。

 どうぞ、ごゆっくりしていってください!
 

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Re: 《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! 七夕騒動篇 ( No.105 )
日時: 2011/02/25 16:24
名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)

>あまなっちゃん

 返信遅れてごめんなさい!
 ドS仲間が続々と……どうしましょう。

 これから更新しますね!

Re: 《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! 七夕騒動篇 ( No.106 )
日時: 2011/02/25 16:44
名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)

(壱里 side)

「き、鬼兵た——」

 私は、声にならない声を上げる。
 来島また子は、二丁の回転式拳銃を構えたまま、動かない。

「……鬼兵隊っす。ところで、いいんすか?」
「え?」

 私が頓狂な声を上げ、辺りを見回すと——、

「……っ!」

 織姫と彦星がいない——!

『いけませんね。子供がこんな時間に夜遊びしてちゃあ。お巡りさんに見つかったら、補導されますよ』

 別方向から、声がした。
 ノイズと雑音の混ざった、粘り気のある声。
 来島また子の、小型通信機から聞こえてくる。

「とか言って、毎晩夜歩く女の子ナンパしてんのは先輩っすよ! お巡りさんに補導されるのは先輩っす!」
『あれくらいの女の子がちょうどいいんですよ』
「どこがっすか! ロリコンも大概にするっす!」

 ……あれぇ……?
 なんか、意外とほのぼのしてる?

 緊迫感がないんだかあるんだか、はっきりしない空気の中で、通信機の相手が名乗る。

「万事屋一行、それにお嬢さんお坊ちゃん方。私、武市変平太と申します。以後お見知りおきを。……さて、織姫と彦星は私の策略により、違う場所に移動してもらいました。生かしてはおきますよ」

 そして、武市変平太は言った。


「……どちらか、一人だけですけれどね」


 不気味な雑音と混じり——一層、薄気味悪い声。
 
 どちらか一人を生かしておく——それはつまり、



 どちらかが、殺される……?



 私は、走り出した。
 走り出すしかなかった。

「壱里っ!」

 兄ちゃんの声が聞こえる。
 
 助けに、行かなくちゃ——、

「行かせないっすよ」

 がきり。
 撃鉄の起きる音。


 撃たれる——!!


「危ねぇっっ!」

 

 









 

Re: 《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! 七夕騒動篇 ( No.107 )
日時: 2011/02/25 17:10
名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)

(壱里 side)

 私は、目を開けた。
 目の前が暗い。でも、温かい。

 まるで、人のぬくもりのような——……。

「……っく」

 そんな、短い呻きが聞こえた。
 歯を食いしばっているのが分かる。

 私は、顔を上げた。

「に……」

 

「兄ちゃんっ!!」



 兄ちゃん。
 月詠零だった。

 私のことを——身をていして私のことを守ったのは、兄ちゃんだった。

 地面に、ぽたぽたと血が滴る。
 それは、水溜りのように地面を紅く染めていった。

「零さん!」
「零、大丈夫アルかっ!?」
「おい、しっかりしろ!」

 声が、遠くに聞こえる。
 銀さんの声も、新八の声も、神楽ちゃんの声も、遠く聞こえる。

「対したおにーちゃんっすね」

 来島また子は、やれやれと首を振る。

「ただの優男かと思ってたっすけど、案外そうでもなさそうっすね。だって、妹の盾ぐらいの役割は果たせたんすから」


 私の中で、何かが切れた。


 歩みを進めて、来島また子の乗っている屋根に飛び移る。
 正面から向き合う形になった。
 
「……何の真似っすか?」

 来島また子は、猫のような目を細めて訊く。
 私は、答えた。

「……見ての通り。戦うんだよ」

 と。

「本気っすか」
「本気だよ」

 向かい合ったまま、私は答えた。
 来島また子は、そのまま拳銃を構える。

「鬼兵隊だけに、鬼ごっこでもするつもりっすか?」

「ごっこじゃないよ。私は——戦う鬼になる。あなたが鬼兵隊って言うなら、私は本物の鬼になってやる」

「そうっすか」

 来島また子は、がきり、と撃鉄の起こる音を響かせた。
 
 そして、今宵(こよい)——、




 鬼同士の戦いが始まる。

 



Re: 《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! 七夕騒動篇 ( No.108 )
日時: 2011/02/25 19:36
名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)

(語り手side)

 戦いを繰り広げる壱里と来島また子——そこから離れたところに、零と万事屋一行はいた。銀時は、じっと戦いを見守っている。

 新八と神楽は、包帯になるようなものを探しに行っていて、そこにはいない。

「……やっぱりいい兄ちゃんの下だと、いい妹が育つなあ」

 銀時は、独り言のように呟いた。
 零は答えない。

「兄貴のためにあそこまでやれるなんざ、大したもんだな。本物の鬼だってよ」

 銀時は、おどけるような口調で言う。
 零は答えない。

「しかし——本物の鬼ってのは無理があるだろ」

 問いかけるように、銀時は言う。
 零は答えない。

「鬼ってのは、人を傷つけるために戦う。人を喰らい、殺すのを目的として戦ってる。……壊すためにな」

 銀時は、遠い目で言った。
 かつての戦友を思い出しているのかもしれない。
 随分と、進む道は変わってしまったが——。

 零は答えない。

「でもあいつは、お前を守るために戦ってる。人を守ろうと必死に戦ってんだよな。そういう意味で、あいつは鬼にはなれない」

 そういって、銀時は目を細めた。
 零は答えない。

「そして、お前もだよ」

 銀時は続ける。
 零は答えない。

「お前も、妹やら俺らやら守んのに必死で、自分の傷なんてかえりみない奴だよ。——だから」

 銀時は振り返った。
 そこに——零はいなかった。



「そんな瀕死の重傷でも、戦おうとしてるんだよな」



 零は——答えない。
 なぜなら、とっくに零は自分の戦いに参加しているからだ。

 点々と滴る血が、道を作っている。
 それが一番の証拠だった。

「やれやれ。……俺達も参戦するかね。守る戦いには慣れてるからな」

 零は答えない。
 答えなど、とっくに分かっているからだ。
 
 

 

Re: 《銀魂》アルバイト剣士、月詠壱里参上! 七夕騒動篇 ( No.109 )
日時: 2011/02/26 11:30
名前: ポルタ (ID: MMm5P7cR)

(零 side)

 灰色に包まれた夜の暗闇。
 音のない、吸い込まれそうな深い闇。
 さすがに不気味だ。

 さっき、銀さんや壱里から離れて、しばらく経った。
 新八さんと神楽さんの、僕を探す声も聞こえなくなった頃である。

「……ふー、やっぱり夜は怖いですね」

 といって、僕はやれやれと肩をすくめた。
 心にも思っていないけれど。
 大体、裏世界の仕事は夜だから慣れている。

 というか、声を出したら血がどびゃあ(自主規制)……だからな。

「唄でも歌いますか」

 織姫と彦星にちなんで……と、僕は呟く。

「笹の葉さらさら、軒端に揺れる……♪」

 あれ?
 歌詞忘れちゃいました。
 国民的童謡の歌詞忘れるって、非常識すぎるだろ。

 壱里でも歌えますよ、これくらい……。

 と、そのとき。
 背後から、


「金銀、砂子……でござる」


 と、唄の続きが聞こえた。
 僕は刀を抜き、振り返る。

「ああ、そうでした——ありがとうございます!」

 背後の相手も、動いていた。

「礼には及ばんでござるっ!」

 ぎいいいんっ!

 刀が削りあう音。
 闇夜に、明るい火花が溶けていく。

 そして、同時に身を引いた。

 薄暗い中にも目が馴れ、相手がはっきりと見えた。

 濃い青の上下。
 サングラスで、目はうかがえない。
 ヘッドホンを耳にしたままで、音漏れがする。
 三味線を構えた、その男。

「名をなんと言う? 白夜叉には見えんが」
「僕は、月詠零と申します。あなたは——」


「拙者の名は、河上万斉でござる」


 河上万斉、とその男は名乗った。

「鬼兵隊の、でしょう?」
「ご名答でござる」

 河上は、静かに頷く。
 よし、戦う相手見ぃつけた。

「妹に遅れを取ることはできませんし。……やりますよね? 貴方も同じでしょう、万斉さん」

「他の奴らに遅れを取るのも嫌だしな。やるでござる」

 そして、静けさが戻る。
 闇に、河上のヘッドホンから漏れる音楽だけが響く。

 月詠零VS.河上万斉。

 始まりの鐘は、安っぽい雑音だった。


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