二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- —雨夢楼— ≪ボカロ曲小説≫参照200突破感謝!
- 日時: 2012/01/13 22:31
- 名前: 夏茱萸 (ID: lkF9UhzL)
初めまして、またはお久しぶりです。
今回もまたボカロ曲を勝手に解釈&小説化してしまいました;
そしてもう一つの『秘蜜〜黒の誓い〜』の方と同時進行になると思いますので、更新の方が遅くなってしまう可能性があります><
それでは簡単な注意書きを…
*荒らし・チェンメは一切お断り!
*更新遅いのは嫌だ!
*神小説にしか目は通せない!
*リンorミクorレンが悲しい目に合うのは嫌だ!
以上の方はバックした方がよろしいかと…
それでは、始まります。
‡更新履歴‡
1/12 第五帳〜少女はいつまでも夢を見る〜>>22 NEW^^
1/13 第六帳〜少女は不安を胸に隠し生き続く〜>>23 NEW^^
‡特別企画・貰い物等‡
**参照100突破☆特別企画! >>20
*登場人物紹介 >>2
*序章〜少女は来ぬ人の迎えを待つ〜 >>1
*第一帳〜少女は対照的な自分と出会う〜 >>3
*第二帳〜少女は罪と共に生きる〜 >>7
*第三帳前篇〜少女は離れることに怯える無意味さを知る〜 >>11
*第三帳中篇〜少女は離れることに怯える無意味さを知る〜 >>15
*第三帳後篇〜少女は離れることに怯える無意味さを知る〜 >>18
*第四帳〜少女は無知なままで人を傷つける〜 >>21
*第五帳〜少女はいつまでも夢を見る〜 >>22
*第六帳〜少女は不安を胸に隠し生き続く〜 >>23
- Re: 雨夢楼〜儚い少女の夢物語〜 ( No.1 )
- 日時: 2011/08/16 13:54
- 名前: 夏茱萸 (ID: 8we7jWSg)
序章〜少女は来ぬ人の迎えを待つ〜
儚い言葉ね。
最後に貴女が残した言葉は…
『迎えに行くよ、待っていて』
あれから何年も時を重ね、変わりゆく季節を何度目にしたことでしょう。
いつまで待っても、貴女は…
けれど、それでも私は。
貴女の迎えを、いつまでもずっと
信じて待っています……————
- Re: 雨夢楼〜儚い少女の夢物語〜 ( No.2 )
- 日時: 2011/08/16 14:26
- 名前: 夏茱萸 (ID: 8we7jWSg)
☆登場人物紹介☆
*鏡野鈴華〜Kagamino Rinka〜
【鏡音リン】(19歳)
美夜屋という遊郭の花魁。苦労の甲斐あって店一番の花魁となる。
美香の迎えを待っている。
常に憂いの帯びた目をしている。
*初奈多美香〜Hatunata Mika〜
【初音ミク】(20歳)
艶子屋という遊郭の花魁。遊郭街一番の店で店一番となる。
鈴華にとある約束をして去ったまま、連絡をしていない。
常に明るく笑っている。
*鏡野蓮華〜Kagamino Renka〜
【鏡音レン】(19歳)
艶子屋の常連。年齢を偽って遊郭に出入りをしているが、今のところ気付かれていない様子。
常に優しく微笑んでいる。
※主な登場人物はこの三人ですが、更に増える可能性大です。
リンレンミクの年齢と名前を少し(ん?結構?)弄ってます。
- Re: 雨夢楼〜儚い少女の夢物語〜 ( No.3 )
- 日時: 2012/01/12 18:11
- 名前: 夏茱萸 (ID: lkF9UhzL)
- 参照: http://w5.oekakibbs.com/bbs/oe-kakiko2/data/137.jpg
第一帳〜少女は対照的な自分と出会う〜
はらりと白く美しい粉雪が、少女の身体に落ちていく。
少女はそれを手で払いながら、凍えないように手に息を吹きかけた。
ここは町から外れた遊郭街の一角。
人目のない暗く湿ったこの場所で、少女は小さく息をしていた。
「寒い、よぉ…どうして…私がこんな目に合わないといけないの…?」
少女の家は貧しかった。どの家よりも、ずっとずっと貧しかった。
母親は薬も貰えずに病で倒れ、父親はこの生活に耐えられず逃亡。天涯孤独となった少女は、家も追い出され幼くして外での生活を強いられた。
わずかに残っている布の切れ端に身を包みながら、曇った空をじっとみつめた。
「きっと神様は、私に何か恨みでもあるんだわ…」
一人ぽつりと呟いたその言葉は、粉雪の中へと消えていく……はずだった。
「それは違うわ。恨みなんてもの、ちっぽけで欲深い人間なんかに持ったってつまらないもの。神様はきっと、優しくて心が大きい人なのだから」
まさか独り言の返事が返ってくるとは思わなかった少女は、驚いて声のする方へと視線を向けた。
「…誰…?」
にっこりと笑っている青緑の髪をツインテールに結った、愛らしい女の子。自身と同じように綻びた着物を着て、この場所に立っているということは彼女も何かしらの事情があり、外での生活を強いられた子なのだろう。
同じ状況のはずなのに、この子の瞳は明るく笑っている。
どうして…?
少女が黙り込んでいると、彼女の方から自己紹介を始めてきた。
「私の名前は初奈多美香、年は今年で10になったわ。訳あって今はここで暮らしているけど、きっとすぐにお迎えが来てくれるのよ」
「私、鏡野鈴華…年は今9才。お母さんとお父さんがいないから、ここで暮らしてるの…。どうしてお迎えが来るって分かるの?そんな人がいるのなら、ここで暮らす必要ないじゃない」
少女——鏡野鈴華は自身の紹介をしながら、疑問に思ったことを口にした。
一瞬彼女——初奈多美香は、きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに先程の笑みで鈴華に言った。
「だって、約束したもの!『迎えに行くよ、待っていて』って!そう、私のお兄様が言ってくださったわ」
「…お兄様?」
「うん。お兄様はとっても優しくってね、いつも私と遊んでくれたの。だけど、遠くに行くからそれまで待っててって…でも、待っていればお兄様はきっとすぐに来てくださるわ!」
「そうなんだ。お迎え、早く来てくれればいいね」
「うん!」
美香がこんなに明るく笑っていられるのは、お迎えがあるからなのかな…
俯きながら憂いを帯びた瞳で、鈴華は考えた。
———私にも、そんな人がいたらきっと…
「ねぇ、今鈴は幸せ?」
「え…?」
唐突に聞いてきた美香の瞳は、真剣だった。
今のこの状態で、幸せなんて誰が答えるのだろう。
「…幸せなんて、ありえない…」
もちろん鈴華も例外ではなく、思ったままを口にした。
「私は今、幸せなんかじゃないけど…でも、これから先に絶対いい事があるの。だから、それを考えたら今この状況でも、強く生きていけると思うの」
「…?」
「鈴はいま、すごく辛いって顔してる。まるで自分が、悲劇のヒロインにでもなったような…だから私は、鈴にそういう風に今の状況を捉えてほしいの。辛い思いをした分だけ、幸せも返ってくるってお兄様が言っていたわ」
鈴華と一つ年齢が違うだけで、こうも考え方が違ってくるのか。
それともただ単にこの子が楽観的で、鈴華が悲観的なだけなのか…
美香の言葉を聞いて、鈴華は初めて笑顔を見せた。
「…私にも、美香のお兄さんみたいな人がいたらよかったな…」
「鈴って、笑った方が可愛いよ。これからもっと、私と一緒に笑っていこう?」
「…一緒にいて、いいの?」
「私もちょっと寂しかったしね。鈴、これからよろしくね!」
満面の笑みで言う美香に、これからという言葉に
鈴華は涙を浮かべた。
今日は寒いはずなのに、不思議と温まっていく心身。
この薄気味悪い遊郭街の一角で。
二人は小指を絡め、誓い合った。
互いの傷を慰め、与え生きていくことを……————
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