二次創作小説(紙ほか)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- (新)妖界ナビ・ルナ×少年陰陽師 【参照400達成!】
- 日時: 2013/04/26 21:43
- 名前: 朱鳥雀 (ID: Um7bp1Xg)
こんにちはっ!☆
風龍神奈、紅葉秋菊と同一人物の朱鳥雀(あかいとりすずめ)です!
まだ完成していないのに、やたらとスレッドを作ってしまって、申し訳ございません。どうしても書きかくて、書くことにしました。
温かい目で見守って下さいっ!☆
注)ルナ達が、妖界から人間界に戻ってきた頃の設定です☆
少年陰陽師は、さやみね編が終わった後の設定で、清明達も、戻ってきている設定です☆
偽名が多いので、別の名前に変わったりしますが、その時はご容赦ください。
- Re: (新)妖界ナビ・ルナ×少年陰陽師 【参照50達成!】 ( No.4 )
- 日時: 2013/01/05 22:35
- 名前: 朱鳥雀 (ID: an.s4YRU)
ルナがチョーカーで紙を結び、低い声で問う。
「…出来るなら、正体がばれたくなかった。…昌浩は陰陽師だから、私達の事、殺すと思って…」
そう言うルナの頬を、幾重にも涙が流れ落ちる。
「…ほんとに、昌浩にだけは…!」
涙を流すルナの許に来て、昌浩はそっと、ルナの涙を拭った。
「……」
ルナは俯き、無言になった。
黙って俯いたまま、涙を流すルナに、優しく昌浩は言った。
「大丈夫。俺も、紅蓮達も、高淤の神も、誰もばらさないし、殺しはしない。…大事な仲間、だもんな」
「!」
ルナははじかれたようにして、昌浩を見た。
酷く優しい、顔をしていた。
「…だからな、大丈夫」
「……」
ルナはそのまま、昌浩に抱きつき、大きな声で泣き始めた。
ルナより若干背の高い昌浩は、ルナの頭を優しく撫でる。
「……」
その様子を、高淤の神は見つめていた。
流石、あいつの後継だ。こういうものも、持っているのだからな。
高淤の神が見ているのに気付いて、昌浩は慌てて、謝った。
「申し訳ありません。このような、お見苦しいところをお見せしてしまって…」
「よい。面白いものを見せてもらったからな。…流石晴明の後継者だ…」
語尾を小さく言って、貴船の祭神は、白銀の龍に戻ると、天高く飛翔していった。
「……」
未だに泣いているルナを昌浩は撫でた。
それを見ている、勾陣が、訊いた。
「昌浩、その者達は、どうするんだ?」
「!!」
しまった。そのことを考えてなかった。
慌てて策を巡らせ、昌浩はあるひとつの方法を考えた。
「…俺達の家に、連れて行く」
「!!」
勾陣の顔を驚きがよぎる。
「それは、安倍邸に、住まわせる、ということか?」
「そこまでは考えてないけど、とりあえず、じい様なら、何か知ってそうだし…」
「…そうするのなら、もう下りたほうがいい。早いほうがいいだろう」
「そうだね」
一同は、車之輔の許に戻った。
- Re: (新)妖界ナビ・ルナ×少年陰陽師 【参照50達成!】 ( No.5 )
- 日時: 2013/01/11 22:37
- 名前: 朱鳥雀 (ID: TKvpVzsu)
2 攫われた、ルナ
「…と、いうことなんですが、なにか手立てを知りませんか?」
「……」
昌浩が連れてきた人物を見て、晴明は質問に答える前に、言葉を失った。
何故そうなったかというと、時は半刻前に遡る…。
車之輔に送ってもらった一同が、安倍邸についたのは、亥の刻だった。
「車之輔、ありがとう」
昌浩がお礼をいうと、車之輔は、軛 (くびき)を鳴らして、橋のたもとに戻った。
「さて、どう説明すればいいかな…」
と考えながらも、昌浩はとりあえず、晴明の部屋に行った。
勿論、ルナ達も連れてだが。
「じい様、失礼します」
一言断ってから、昌浩は晴明の部屋に入った。
「なんじゃ、昌浩」
晴明が胡坐(あぐら)をかいて、問う。
昌浩はその前に座りながら、訊いた。
「あの、とある人を連れてきたんですけど…」
「その、とある人とは?」
「今、呼びます…」
そう言って、昌浩はルナ達を呼んだ。
「何?」
「入ってきて、ルナ」
「う、うん…」
ルナとソラウ達は、晴明の部屋に入った。
「じい様、この人達なんですけど…」
「…!」
晴明の顔が驚きに変わった。
「昌浩、もしやこの方達は…」
晴明の言葉がそこでとまる。
「じい様が思ってるとおり、妖怪、と半妖で、陰陽師の血もついでる『伝説の子』…らしいです」
昌浩の言葉を合図に、ソラウとふうりが、獣姿に変わり、ルナも第三の目を開眼した。
「………」
晴明は、言葉が出なかった。と、幾つも神気が降り立つ。
そして、朱雀、天一、玄武、太陰、青龍が顕現した。
「…こいつらは、一体誰だ?晴明」
朱雀が、晴明に問う。
「わしより、昌浩のほうが知っている」
晴明はたったそれだけ言った。
「昌浩、こいつらは誰だ?妖と晴明のような半妖を連れて来て」
「ルナ達は、貴船神社近くで、見つけたんだよ。…彼女達によれば、未来から何故かこっちに出てしまったらしいけど…」
「!!」
未来と聞いて、そこにいた者達は驚きを表情に変えた。
「本当か、昌浩?」
朱雀の問いに、昌浩は肯定する。
青龍は不機嫌そうに舌打ちすると、隠形(おんぎょう)した。
「昌浩、ほんとにほんとなの?」
太陰に問われても、昌浩は首肯した。
「…あの、本当です」
不意に響いた声に、一同は注目した。
声の主は、第三の目をチョーカーの銅板で封印した、ルナだった。
ルナは続けて言葉を紡ぐ。
「本当なんです。妖界から、人間界に行って、本来なら平安京(ここ)ではなく、夜鳴島というところに出る予定だったんです。それが、こんなところに出てしまって。…お願いします、私の事はどうしてもかまいません。ただ、ソラウとふうりは助けて下さい」
「!!」
ソラウとふうりが驚く。
と、すぐに人間姿になった。
「ルナ、止めてくれ。僕達のことで、そんなことを頼まないでくれ」
「そうよ、ルナだって…」
「いいの、私は。両親はいないし、さらに大事なタイ君もいないんだもん。ソラウとふうりは探せば、お兄さん達に会えるでしょう?」
「……」
ルナは、二人の腕をほどくと、昌浩の許に来た。
「ソラウ達のこと、お願い…」
そう昌浩に囁くと、ルナは晴明の部屋を飛び出した。
振り返らずに、走り去る。
「……ルナ!」
はっと我に返ったソラウだったが、もう遅かった。ルナの姿は何処にもなかった。
「ルナ…!」
- Re: (新)妖界ナビ・ルナ×少年陰陽師 【参照50達成!】 ( No.6 )
- 日時: 2013/01/19 23:11
- 名前: 白野空虎 (ID: dOXXXtu8)
ふうりも辺りを見渡す。
辺りにいないことを確認して、ふうりは妖精姿になると、外に飛び出していった。
それを確認して、ソラウは倒れた。
「!!」
それに気付いた昌浩が支えようとしたが、出来ず、かわりに朱雀が支えた。
ソラウの顔は俯いていて、分からないが、どうやら気を失っているようだ。
「朱雀、俺の部屋の横の、空いてる部屋に横たえさせてくれない?」
昌浩の願いに、
「分かった」
と言って、朱雀はソラウを担ぐと、晴明の部屋を出て行った。天一も、その後に続く。
「……」
朱雀の姿が見えなくなってから、昌浩は肺がからっぽになるまで息をはきだした。
どうしよう。ルナがいなくなってしまった。やばい、確実にやばいよ。
頭の中で必死に策を巡らせる昌浩に、晴明は言った。
「昌浩や」
「はい?」
「探しに行きなさい。六合(りくごう)達に、玄武と太陰、白虎をつける。…人数が多いほうが、探しやすいだろう?」
祖父のさりげない気遣いに、
「ありがとうございます、じい様」
昌浩はお礼を言って、晴明の部屋を出た。
* * *
昌浩達が探す中、ルナは一人、西洞院大路(にしのとういんおおじ)と四条大路(しじょうおおじ)が交差する場所にいた。今は子の刻なので、牛車や人等、だれもいない。
「はぁ…」
ルナは小さく溜息をついた。
何で、こんな場所に来てしまったんだろう。何で、ソラウ達を昌浩達に任してしまったんだろう。
さっきの行いが、ルナをじりじりと責める。
そんなルナの背後に、影。
影はゆっくりと近づき、そして、
「!!」
ルナの口を塞いだ。
逃れようともがくルナの体に、何か、ねっとりとしたものが四肢に絡みついた。
そのまま、体を固定される。
ルナは、背後を見た。
闇のような色をした、アメーバのような妖怪が、ルナの背後にいた。赤い目が炯炯と光る。
アメーバのような妖怪は、ゆっくりとルナを異界に引きずり込もうとした。
徐々に、ルナの体が引きずり込まれる。
ルナは懐から符を取り出すと、片手で何とか印を結び、放った。鳥に変化した式はそのまま、とある方向へ飛び去る。
それを見届けて、ルナの意識は闇の中に落ちた。
* * *
「ルナ、何処だ…」
昌浩と物の怪は、西洞院大路と三条大路が交差する場所にいた。
太陰と玄武は、朱雀大路、六合と勾陣は東洞院大路(ひがしのとういんおおじ)で、ルナを探している。白虎は、空から探している。
今は子の刻に入ってるので、昌浩は自分に暗視の術をかけている。
「何処だ、何処に行ったんだ、ルナ…!」
悲痛な声で呼びながら、昌浩は必死に探す。
と、昌浩の横に、神気が降り立ち、十二神将土将天一が顕現した。
「昌浩様、これを…」
天一が差し出したのは、式だった。
「先ほど、ソラウ様の許にこられて、そこで鳥から式に戻ったのですが…」
「分かった。ありがとう、天一」
「いえ。晴明様や昌浩様のお役に立てるのならば、この上もなく光栄です」
そう言って微笑む天一に、
「うん。本当にありがとう。じゃあ、朱雀の許に戻って、ソラウさんを守ってて」
「承知しました」
昌浩はそう言った。
天一も了解し、ふっと隠形すると、朱雀の許に向かった。
それを見届けて、昌浩はソラウの許にきた紙に戻った式を見る。
「何…?えっと、西洞院…と、四条…?」
そこまで呟いて、昌浩は気づいた。
「…もしかして、そこにいるんじゃ…」
そう呟くと同時に、昌浩は走り出す。
「六合」
呼んだ瞬間、六合が昌浩のすぐ横に降り立った。
「何だ?」
「勾陣達に、西洞院大路と四条大路に来てって、伝えて」
- Re: (新)妖界ナビ・ルナ×少年陰陽師 【参照100達成!】 ( No.7 )
- 日時: 2013/01/26 23:05
- 名前: 朱鳥雀 (ID: rRtxGeJP)
昌浩が用件を言うと、
「分かった」
ただ、それだけ言って、六合は隠形した。
「ルナ…」
昌浩が小さく呟く。その声を、物の怪は聞き逃さなかった。
「…っ、いない…!」
ルナの放った式にかいてあった場所に来たが、誰もいなかった。
と、昌浩達に数秒遅れて、六合達が現れた。
「昌浩、式にかいてあったのは、本当か?」
勾陣が問う。
「うん、本当。…場所は此処なんだけど…」
言いかけて、昌浩は空気中に漂う不穏な空気に気付いた。
「これ…妖気だ…。……っ、まさか…!」
「……昌浩、お前、妖怪に攫われたと考えてるな」
「!!」
物の怪に指摘され、昌浩の体はびくりと震えた。
「多分、そうだと思うぞ。…此処にいた痕跡が、妖気によって、完全に消されているからな」
「もっくんも?」
「俺もだが、勾もそう思っていると思うぞ」
「勾陣、ほんと?」
「ああ、騰蛇の言うとおりだ」
昌浩は残りのメンバーを見回した。
皆、そう思っているようだ。
「……なら、どうやって異界に…」
昌浩が言いかけた瞬間、目の前に黒い空間に開き、昌浩と物の怪、勾陣、六合を飲み込んだ。
「!!」
太陰達が反応したときには遅く、四人が吸い込まれた空間は消えた。
「…此処は…」
「どうやら、相手が引き入れてくれたようだ」
「って事は、異界…?」
「ああ」
昌浩達四人は妖怪によって異界に引き入れられた。しかも、ルナがいる可能性がある。
「あれ、勾陣や六合は?もっくん」
「さあな。俺達の周りに気配が無いから、何処か違う場所に飛ばされたのかもしれん」
「そう」
「ともかく、探しに行くぞ」
「うん」
物の怪は瞬きひとつで本性に戻ると、歩き出した。
昌浩もそれに続く。
「大丈夫、かな……」
ふと、昌浩が呟いた言葉には、思いが二つ含まれていた。
その意を感じ取った騰蛇—紅蓮は、
「……多分、大丈夫だろう……」
と答えた。
暫く進むと、不意に目の前が明るくなった。
と、そこに、—アメーバのような妖怪に全身を固定され、気を失っている、ルナと見知らぬ僧がいた。
「ルナっ!」
昌浩が叫ぶ。と、気を失っていたはずの、ルナの瞼がゆるゆると開いた。
視線が彷徨い、ややあって、昌浩のところで止まる。
「昌…浩…っ」
そう言って、ルナの瞼はまた落ちた。
「っ!!」
昌浩は一歩、踏み出そうとした。だが、動けなかった。
「…何の心配もいらない。小娘には眠ってもらっただけだ」
ルナを固定してる妖怪の隣にいた僧が口を開いた。
「お前、ルナに何をした…!」
体の中で何かが燃え上がる。それを道反(ちがえし)の丸玉が抑制する。
「何を?お前達を…安倍家を誘い出す為に、利用しただけだ。…まあ、全員誘い出せなかったが、晴明の後継であるお前を誘い出せたのだから、小娘は役に立ったがな」
「…っ、よくも、ルナを…!」
怒りのあまり、昌浩は叫んだ。
「オンアビラウンキャン、シャラクタン!」
昌浩の全身から霊力が迸り、ルナもろとも当たる。
妖怪がひるんだ隙に、物の怪が一瞬にして本性に戻り、ルナを奪い去る。
- Re: (新)妖界ナビ・ルナ×少年陰陽師 【参照100達成!】 ( No.8 )
- 日時: 2013/02/01 21:48
- 名前: 青洞龍牙 (ID: .XV6mGg/)
普段だったら、紅蓮の神気に当てられて怯えてしまうのだが、ルナは現在意識不明なので、幸か不幸か助かっていた。
「僧は…!?」
ルナは救出出来た。が、ルナを攫った妖怪を使役する僧は。
僧は昌浩の霊力をくらったのにかかわらず、平然と立っていた。
「何故…!」
だが、僧は昌浩の問いに答えず、にやりと笑うと——
「き、消えた…」
消えた。何も術は使っていない。使役している妖怪とともに、昌浩と紅蓮の目の前で煙のように消えたのだ。
「……」
昌浩が無言になる。
と、二人が無言になっているところに、六合と勾陣が来た。
「昌浩、騰蛇、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。それに、ルナも見つかったし…」
昌浩が紅蓮を一瞥する。勾陣も六合も、紅蓮を見た。
紅蓮の腕のなかで、ルナが意識を失っている。
「…俺じゃないぞ、こいつを攫った妖怪を使役してる僧がやったんだぞ」
「分かってるから。…紅蓮、ルナを勾陣にわたしてくれ」
「分かった」
紅蓮はルナを勾陣にわたした。勾陣が昌浩の意図を察し、ルナを背中に背負う。
「………とりあえず、異界から戻ろう」
昌浩の言葉を合図に、六合が頷く。
「我らが通ってきた軌跡を通れば、人界に還れる」
六合が歩き出す。残りのメンバーは、六合についてった。
一同は、安倍邸に戻ると同時に、二手に別れた。
「勾陣は、俺の部屋の隣の空き部屋に、ルナを寝かせにいって。とりあえず、六合もつけるから」
「分かった」
勾陣と六合は、空き部屋の方へ歩き出す。
「もっくん、俺達はじい様に知らせに行こう」
「そうだな」
二人は、晴明の部屋のほうへと歩き出した。
てっきり寝ていると思った晴明の部屋に、微妙な明かりがついていた。
それを確認した昌浩は、晴明に呼びかける。
「じい様、昌浩です。入ってもよろしいですか?」
ややおいて、中から反応が返ってくる。
昌浩は一礼すると、部屋の中に足を踏み入れた。
「じい様、ルナ…さんは、見つかりました」
「そうか」
「…でも、ルナさんが見つかったのは、異界の中なんです」
「!!」
異界で見つかったと報告され、さすがの晴明でも、瞠目した。
「それは、本当か、昌浩」
「はい。見つけたとき、ルナさんはねっとりとした妖怪に固定されていて、その妖怪を使役している僧が隣にいました」
「……」
晴明は、思わず沈黙した。
「…その僧は、過去にいた、丞按(じょうあん)のような、僧だったか」
「いいえ。どうみても悪霊にしか見えない僧でした。ただ、霊力は、丞按に匹敵するぐらいはあったと思います」
「そうか…」
晴明は軽く嘆息すると、昌浩に言った。
「昌浩や。もう休みなさい」
「…分かりました。お休みなさい、じい様」
「おやすみ」
昌浩は晴明に一礼すると、自室へと向かった。
昌浩がいなくなってから晴明は深々と溜息をついた。
「何だ、昌浩にでも言えない事があるのか」
晴明の膝近くに、物の怪がいた。
「いや、何も無いよ…」
「…………」
物の怪は暫く晴明を見つめたが、これ以上何かしても、しらを切りとおすだろうと思った物の怪は大人しく部屋を出て行った。
その様子を、隠形していた勾陣が見ていた。
次の日。
昌浩は、ルナを助ける際に妖怪と対峙したので、今日から三日間、物忌(ものいみ)だ。
妖怪と出会うとその妖気で身が穢れてしまうので、物忌して精進潔斎(しょうじんけっさい)しなければならない。
その為、昌浩は物忌なのだ。
「…暇だ…」
自室の茵(しとね)に横になって、昌浩は呟いた。