二次創作小説(紙ほか)

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フェアリーテイル ー砂時計ー
日時: 2013/12/20 06:54
名前: 秋刀魚 (ID: qToThS8B)

自己紹介>>1

こんにちは初めて書かせて頂きます。
秋刀魚と申します。

色々拙い所も有りますが生温かい目で見守ってくださいませ。


ー本作品での諸注意ー

・天狼島終了からスタート
・色々と吹っ飛んでいる(下手)
・gdgd当たり前(説明不足)
・オリキャラ有
・恋愛有(2割位?)
・戦闘有(一章中盤から急増予定)
・微グロ(本当に少しです)
・オリジナル シナリオ
・学生の為更新遅め
ーーーーーーーーーーーーーーーー

それでも構わないと言ってくれる方は、色々な意味でお楽しみ下さい。

質問、指摘等有りましたら宜しくお願いします。

ーまとめー
>>1->>2→どうでも良い紹介等です。(飛ばしても大きく本編には関係有りません。)

☆第一章・守護者☆
>>3->>11
>>3【月】>>4【昨晩の正体】>>5【いつも通り】
>>6【誰かに用か?】>>7【急展開】>>8【アカイ/ユメ】
>>9【アカイ/ヘヤ】>>10【ギルド】>>11【ギルドその2】

☆第二章・アトラス編☆
>>12〜現在進行中!
>>12【クエスト】>>13【小さな疑問】>>14【恐怖対象】
>>15【貴女に送る1つ目の言葉】>>16【雨の公園】
>>17【ギルドその3】>>18【違和感】>>19【雨夢】
>>20【目覚まし時計】

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.2 )
日時: 2013/11/28 19:42
名前: 秋刀魚 (ID: qToThS8B)


第一章・守護者

>>3

ルーシィside

静かなギルド。
…………数時間前までは騒がしかったけど。

床を見れば知り合いが酒に溺れているまま寝ている。きっとカナ以外は二日酔い直行ルートだろう。
そう思いながら、隅の席に座る私はオレンジジュースを一口飲み、窓から空を見上げた。

残念ながら雲が厚く星は見えないが、月は淡い光を放っていた。

(……………………好き、たまらなく)

誰に向かって思った訳でも無く、なんとなくそう思う。
いや、それは正確な表現では無い。
時々月を見ていると 無性に思うのだから、…月に対してだろうか?

カランと氷をコップ内で転がす。

(酒飲んでないけど、酒気にでも当てられたのかな…)

残り少ないジュースを一気飲みし、席を立つ。
(帰ろ…)

ここで寝てしまっても良いのだが柔らかいベッドに入りたい。

7年ぶりのベットに、ね。

ギィッと音を立てる床を踏みながら
皆を起こさない様に歩く。
途中グレイが相変わらずの半裸で寝ていたので隣に有った彼の服を上に被せる。…風邪は引かないと思うけど。バカだし氷男だから。

私はギルドを後に…月を後ろにして歩く。

街の街灯が闇の中で私を案内してくれる。7年の間に取り付けられているらしく、かなり明るい。お陰で転ばなくて済む。

「きゃっ」

そう油断したのが私の悪いクセだ。
案の定、足を躓かせフラリと体が斜め前へと傾く。

不運な事に咄嗟過ぎて手が前に出ない。(やっぱり酒気に…)

ぶつかるスレスレ、目を閉じる。…が、いくら待っても覚悟した衝撃は来ず、反対に温かい温もりが体を包む。
その温もりが心地が良くて、無意識の内に意識を手離す時フッと微笑む音と

「そろそろ目を開けては如何?」

知らない声が耳に入る。
驚きで無理矢理 目を開ける。

目に飛び込んで来たのは夜中だと言うのにまるで 其処だけ朝が来た様な青い目と対照的な夜にお似合いの月光に良く似る金髪をした青年だった

羞恥でカァアと体に熱を帯びる。

「あ、あああ、あのっ…」

頭も舌も上手く回らない。
しかも、そのミスに体が更に熱を出す。
青年が どんな解釈をしたのかは分からないが、微笑むと「立てる?」と聞いてきてくれた。

「はい、え、と… すみません」

カッコ悪い所をコレ以上、見せたくなくて直ぐに立つ。
幸運な事に何処も挫いていない。

「ありがとうございましたっ」

それだけ言い頭を少し下げ、その後は家まで全力ダッシュする。
先程の事が有ったからだろうか、酒気も消え何処か爽快感が有る。
熱も少しずつ消えてきた。

しかし心の中には何とも言えないモヤモヤが覆い被さっていた。

(ああ〜名前位聞けば良かったぁあ)

後悔後に立たず、とは この事だ。
しかし もう会うことは無いでしょう。と迷いを切り 更に速度を上げた

早く寝てしまう為に。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.3 )
日時: 2013/11/29 19:13
名前: 秋刀魚 (ID: qToThS8B)

昨晩の正体>>4

ルーシィside

朝ギルドに行く前、昨晩青年と出会った場所に足を運ばせた。
が、勿論其処には あの青年は居ない

(折角御礼言おうと思ったのに…)

肩を落とし、渋々とギルドに行く。
今月も例の如く家賃がヤバい。
またお願いして仕事を手伝って貰おう。そう考えながらギルド前に着くと何時も以上の騒ぎ

(一体何なの?)

中に入ると、異様な光景が有った
グレイとナツ…良く知る2人だが、その2人が私と目が合った瞬間に頭を下げたのだ。

「す、すまねぇ!!ルーシィ!」
「俺も 謝る、すまない!!」

「えぇと…?」
2人に謝られる事をされただろうか?
訳が分からないと眉を寄せていると奥からクスクス笑いながらミラさんが登場した。

「ルーシィちゃん昨日オレンジジュース飲んでいたでしょ?」

何のことやら分からないまま頷く。

「実はアレ、薬入りだったの」

「へぇー、って、えぇっぇえ!!」
語尾にハートマークが付きそうな程のほんのりさに騙される所だったが薬とは危なくない!?
流れを読むと2人が私に呑まそうとしたのは分かる。
あのグレイとナツの事だから変身薬とかだろう。

「何の薬ですか? もう病院空いてますよね!??」

今にも駆け出しそうな私の手首をミラさんは呆気なく捕まえる。

「薬の正体は惚れ薬よ。効果は半日弱。…もう切れてるわ」

「はぁ?」
一瞬聞き間違いだと思ったが、周りを見てー2人は顔を逸らしギルド内は大爆笑からして本当だろう。

「何でまた私に、そんなのを…?」

2人に問い掛けても謝罪が返ってくるのみ。
なのでミラさんに聞くと、次は2人らしい回答が返ってくる。

「ロシアンルーレットですって。
ギルド内全員で」

「私そんなの参加していません!」

キッパリ言うと、グイッと肩を引かれガツッと頭が何かに当たる。

「まぁまぁ良いでは無いか」

鎧を着た緋色の美女ーエルザは「うむうむ」と頷く。

(いやいや、自分には 良くないんですけれど…?)
エルザの鎧に打ち付けられ頭が微かにジンジンと痛む。

「………分かりました、けど…何でグレイとナツが?」

「言い出しっぺだから?」
首を傾げ疑問風に言うミラさん。
それは遠巻きに「で、どうだった?」と聞いている。

見れば周囲も後ろめたさよりも、好奇心の方が大きい様で、中にはナツ達にグットをしているバカ者までいる。
まだ鎧に私を付けているエルザも同様に何処か楽しんでる様だ。

「あ、あるわけないじゃん!
不良品だよ、きっと!」

あははっと誤魔化す。
昨晩の事を思い出したから。
そこで皆残念そうな顔をし口々に何かを言い合っている。

そして酒を又 飲み始めーーーたら本当に良かったのに。

ミラさんが指を立て、軽く私の鼻に触れる。
「嘘よね?アレ強力な奴だし、しかも一気に呑んだから」

(ああ、本当にミラさんには叶わないな…)

グレイとナツは、いつも通りに喧嘩を始めていた。それを横目で見、今日何回目かの溜息をつく。

「…昨日、帰ろうとした時…その人に助けられて………」

「まぁっ!」「ほほう?」
完全に面白がっているミラさん&エルザ。
もうヤケだと 全部隅々まで私は2人に話すと、逃げる口実ついでに首謀者のナツ&グレイを説教した。

流石にジュビアも空気を読んだらしく、グレイの横で「恋敵恋敵」と連発しているだけで止めはしなかった。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.4 )
日時: 2013/12/12 16:35
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

いつも通り>>5


エルザside

バーに座りフゥと溜息をつく

(惚れ薬、か…)

ロシアンルーレットゲーム。とミラは言っていたが、それは年頃の娘の心を遊び道具にしたのと同様では無いのか?
…ルーシィ自身、深く気にしていなかった様だったので、私も、からかったが。

「………………、………。。」

何かが聞こえる。

(そんなに深く考え毎をしてたか…)

頭を揺らし、切り替える。
そして隣を見て和む。

「好き…恋…恋愛…」
乙女らしい単語を並べ首を傾げる隣に座る金髪の少女を
見てると、心が温かくなってゆく。

(まるで妹を持ったようだな)

無知過ぎる故、色々と危なかっしいが、その分は私達がカバーすれば良い。末っ子は少々おてんばの方が可愛い

(さて、その無知妹を からかうとするかな)

「ルーシィ、平気か?」

声を掛けても聞こえないらしく、まだ何やら呟いている。

「何を そんなに悩んでいるんだ?」

そっと頭を撫でると、心地が良い肌触りだ。シャンプーでも変えただろうか?
本人は やっと気が付いたらしく、物凄く深刻な顔付きで私を見る。

珍しい顔付きを見、勝手に此方も表情が険しくなる。

「エルザ」

まるで陶器を扱うかの様に言葉を選んでいる事が分かる位の真剣な声色に圧倒され思わず撫でる手を止める



「…………………私、恋した事無かったみたい」


「…………は?」
(それで悩んでいたのか…)
至極今の真剣さを他の所に活用して欲しいと願うのは私だけか?

下らないと思う反面、まぁそこがルーシィの良い所の1つだ。と思う。

「で、何で そんな事を思った?」

ルーシィは 眉を寄せ、ほんのり頬を赤くした。

「今まで昨日の様な感情なった事無かったから…かな?」

「だから先程から好きとか恋愛とか言ってたのか…」

「っ! 先程って!」
タコの様に赤くしたルーシィの反応が面白く、更に追撃してみる。

「ああ、かなり大声でな。何なら先程まで側に居た…そうだな、ウエンディにでも…「嘘よねっ!?」

嘘だと言ってよっ!そんな心の声がキッチリ顔に出ているルーシィの頬を指で優しく押す。

「嘘だ、しかし言っていたのは本当だ。」

頼んでいたシェリーを一口飲む。
ルーシィが心配そうに此方を見るが問題無い。
今日は仕事が無いしな。

「別に良いじゃないか。過去を見ず未来だけを見れば」

ルーシィは「そうよね」と笑う。
2人で笑い合ってるとミラが、「ルーシィが1つ大きくなったサービス」と評して、やや透明感が有る赤めの飲み物を差し出す。

「…ん?」

クンと匂いを少しだけ嗅いだだけでも分かる酒の独特の匂い…
まさかっ!

「ルーシィ、呑むなっ!」

しかし時遅く、ルーシィのグラスは空。よほど喉が渇いていたのだろうか。

そして本人は…

「うへへー、あんれぇ?エルザがぁ、2人?…いっぱぁああーーーい」

頬を先程よりも赤く染め、無邪気に足を揺らし、更にボトルからグラスに酒を次ぐ。

思いっきり酒臭い。

「ミーラーーー!??」

いつの間に目の前に来ていたミラは顔に手を当て「まだ無理だったのねー」と残念がっていた。

「ルーシィは酒に弱いんだっ!
そんなのにアルコール度が高い奴、飲ませたら「きゃああぁあっ!!」

会話を遮る悲鳴に驚き後ろを見ると、ルーシィが後ろからグレイに抱き付いていた。悲鳴はジュビアの物だろう。

グレイとナツは仲良くしていた様で、話の途中に抱きつかれて驚き顔中が真っ赤。
ナツは大笑いで、ジュビアは「離れて」と無理矢理剥がそうとしている。

(しかし何故 抱きついた…?)

その回答は直ぐに本人から返ってきた。

「冷たぁーいっ、気持ちいー」
目を閉じながら無邪気に爆弾発言をし更に力を強めるルーシィ。

「うわっ、る、ルーシィ!??
変な物でも食ったかっ!?」

グレイは氷の魔道士、体温も低温な為、確かに熱くなった体には丁度良いかも知れないが…

(しかしマズイな…)

これを見て、何故ルーシィがグレイに抱きつく状況が出来たかを正確に知っている者はルーシィが酒を呑んだ事を知っている私とミラ位だ。

この分だとジュビアが…
「きぃいいぃいいっ!!グレイ様も何で顔が赤いんですかぁっ!!」

恋敵ーっ!とジュビアがルーシィの肩を揺さぶる。+大雨付き

過激な振動それとも雨による音か…何が原因かは分からないがルーシィが微かな呻き声を上げ、目を開ける。

それと同時に悲鳴とパァーンと乾いた打撃音が聞こえる。
「いぃやぁああっ!」

グレイから直ぐに離れ、わなわなと肩を動かすルーシィに、ぶたれた頬を摩りながらもグレイは文句を言う

「…お前から抱き付いてきたんじゃねーか…」

「えっ! 本当!?ごめんっ!!」

「ったく」

グレイが強く言ったり反撃に出ないのは、一見戻った風に見えるが微かにフラつき顔も まだ熱っぽいからだろう。口調もまだフニャとしてる。

「んっ…」
足元まできた水を幼児の様にピチャピチャ手で弾くと、また夢の中に入ってゆく。

「それにしても珍しくないか、ルーシィが俺に抱きつくなんて…」
ルーシィのおでこに手を当て熱を測る。「熱は少し高めだが…」と困惑気味な顔を作る。

「おおっ!そういえばな」
腕を組みながらルーシィの顔を覗き込む。

「めずらしい…? と、言う事は…」
更に雨が強くなる。流石に これではマスターに申し訳ない。席を立ち、グレイからルーシィを取り、担ぐ。

「ルーシィは先程酒を呑んでしまってな、もう今日は無理だろう。家に送る。グレイ、ルーシィの家の鍵を作ってくれ」

一同が顔を見合わせ、笑い出す。
そして、いつも通りに戻る。

グレイは今鍵を作ると溶ける。と言い、ルーシィを私から預かると「俺が送ってくる」とルーシィを おんぶしてギルドを出た。
勿論ジュビアも同伴だ。

(そういえば…)

ナツが静か過ぎると思い、周囲を見渡すとリサーナと何かを話していた。

(………つかれたな…
もう今日は休む事にしよう)

そこそこ高価格な仕事を見繕い、明日に備えギルドを出る。
途中の店で林檎を1袋分買い占め、齧りながら家路を辿る。

そして女子寮が やっと見えてきた時、門の前に見知らぬ人物が立っていることに気付く。

(あいつはっ…!ルーシィが言っていた!)

この目で本人を見たわけではないが
証言と良く似ていた。似過ぎだ。

(昨日、ルーシィを助けたのは偶然では無かったのか?
実はルーシィの周囲を探っているのか?
ならば その理由は?)

頭で大量の疑問が湧き上がる。が、それを振り払う。

(前の事件で少々ルーシィ関係には鋭くなり過ぎてるな)

バカバカしくてフッと笑う。

そして青年が此方の気配に気が付き、顔を上げたと同時に声を掛ける


「誰かに用か?」

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.5 )
日時: 2013/12/01 21:08
名前: 秋刀魚 ◆j5KZfkTVqc (ID: qToThS8B)

「誰に用か?」>>6

ーーーフェアリーテイル女子寮前ー

ここは街人が待ち合わせする様な場所ではない。…少なくとも私は見た事は無い。

やや金髪混じりの茶髪に青の目をした私よりも、やや高めの背の青年は少し困った顔をする。

「フェアリーテイルの魔道士さんですか?自分リア・サクリファイス・ドールと申します。ルーシィ・ハートフィリアさんを御存知ですか?」

ハートフィリアと聞き、思わず身構えてしまう。

「ルーシィに何の用だ?あの子に手を出したら唯じゃ「御存知なんですねっ!?」

人の話を聞かずに、わーっと騒ぐリア。どれだけルーシィを探していたのだろうと疑問に思う。

(話してるとリズムが狂うな…
まぁ、いい)

「ルーシィとお前は友達か何かか?」

リアは首を横に振る。
「あの方は自分の主です」

「ではリアは星霊なのか?」

「それとは違いますね、自分は人間ですよ。例えるなら狛犬こまいぬ?」

「こまっ!?」

(他の例え方は無いのかっ!!?)

心の中で全力でツッコミを入れる。
リアには若干引きつった顔を見せている筈なのだが平然と返事しただけだった。

「昔、主であるルーシィ姫と契約したのですが今迄、当時の御命令の為 お側に居られませんでしたっ…」

顔を見ずとも雰囲気だけで痛々しい
此方も顔を歪めてしまう。

「そうか…でもルーシィは女子寮で生活しておらんぞ」

その途端、噛み付くかの様に肩を掴まれる。

「場所は何処です!?御存知なら包み隠さずっ!」

敬語は崩して居ないが、なんというか印象が変わる。

(余裕が有る奴だと思えば…やれやれ)

「私は仲間を売る気など無いんでな
例えお前の話が本当でも教える気は無い…っ!」

(何かが来るっ!)
考えると同時に斜め後ろに大きく飛ぶ。

「お前っ!」

ガガガガッと今迄居た所に無数のナイフが重々しい音付きで刺さっていた。

リアは俯いていて、表情が読み取れない。しかし明らかに狙ってきてるし、それにーーー

(殺気が凄い飛んでるな…)

近くの木の太めの枝に飛び移り、林檎が詰まっている袋を置くと、フワリ飛び降りながら換装する。

ガチャと軽やかな金属音を立て着地

リアをもう一度見る。

見れば見る度に先程の好青年の印象が薄れ、危険人物と感じてしまう。

そして両者何も話さず動かない。

それを破ったのは相手だった。

呻き声を上げ、頭に手を当てている分からして頭が痛いのは分かるが…
どう見ても何処か不自然だ

「お、おいお前…」

余りもの苦しみ様に耐え兼ねて声を掛ける。
しかし返って来たのは驚き。

「…………逃げ、て……はや…く」

涙で顔と地面を濡らしているリアには先程まで周囲に充満していた殺気などなく、その目には"逃げろ"と急かす色ばかり。

「っ」
切に訴えるその目に押され、ろくに状況が分からないまま換装を解き、来た道を戻る。

ルーシィの元に。

Re: フェアリーテイル ー砂時計ー ( No.6 )
日時: 2013/12/05 17:59
名前: 秋刀魚 (ID: qToThS8B)


急展開>>7

グレイside

金髪の少女…ルーシィをおんぶしてギルドから少し歩くと、彼女の家が見えてきた。

「おい、もうそろそろ家だぞ?」

軽く揺さぶっても起きる気配は無く
唯「んぅ〜」と赤ん坊の様な返事が返ってくるだけ。

おまけに隣を歩くジュビアはジュビアで「グレイ様、帰りはジュビアをせ、せせ、背負って…キャァア!」

何やらボヤ付きながら顔を赤くしている始末。
全く女って訳が分かんねぇ………

キィンと音を立て、毎度お馴染みの家の鍵を作ると、カチャッと呆気なく扉が開く。

ジュビアには玄関で待ってもらい
本当に警備は大丈夫なのか?と心配になりつつも、ルーシィをベットに下ろし、布団を掛ける。

掛けた時、呻き声と共に何かを言っていたが、聞かなかった事にし、
最後に髪を撫で「おやすみ」と呟くと部屋を後にした。

(ん?)

玄関にはジュビアの姿は無かった。
先に下に降りたと思い、また鍵を作り扉を閉め、用心の為、氷鍵を折る

そして、階段を降りると出店でジュビアが何かを買っているのが見えた

「ジュビア〜?」

ジュビアは直ぐに両手に小袋を持って戻ってくると、「どうぞ」と片方の小袋をくれた。

小袋から温かい…つーか熱い温度が感じられる。

「!、肉まんか!」

カサカサと袋を開くと御名答。
ふわぁ…と白い湯気が立ち、とても美味しそうだった。

ジュビアは自慢気に「あそこのお店美味しいので是非グレイ様にも」と
微笑んでいた。

「サンキューな
じゃ、俺も今度何か奢るぜ」

そういい笑い返すとジュビアは顔を赤くし目を見開いた。同時に折角買った肉まんも地面に落ちてしまった

しかし本人のジュビアは気づきもしない。
頬に手を当て、今にも踊り出しそうな程幸せそうだ。

(俺、そんな良い事言ったか…?)

思い当たる節は無い。
取り敢えず肉まんの事を指摘すると
「あ、本当ですね」と浅い返事のみ

「グレイ様、食べないと冷えますよ」

指摘をさせ気づくと自分も まだ1口も食べていない事を思い出す。
しかし落としたのが買った本人だとしても、俺1人だけで食べるのは少々気が引けるという物で…

「ほらっ」

肉まんを半分に分け、片方を渡す。

「そ、それはグレイ様の物ですっ!
ジュビアは平気ですので…」

「いいから、1人で食うよりも2人で食った方が美味いだろ?」

そう言うとジュビアは「そう、ですよねっ!」とゆっくりと肉まんに手を伸ばしーーー「おい貴様ら!ルーシィは何処だっ!??」
「エルザっ!?」

緋色の髪を棚引かせ俺の前にきた鎧の知り合いーエルザは、今にも鬼神仮しそうな顔付きで睨む。

(こ、こえぇえええぇえ!!!)

俺何かしたっけ!?と今までにない程に脳をフル活用する。

「恋敵なら もう送りましたよ」
若干不貞腐れた様にジュビアが勇敢に答えると「すまなかったな、後グレイ服を着ろ」と残し、走り去っていった。

ポカンとしていると直ぐ後ろで、本日何度目かの悲鳴を聞く。

「グレイ様がぁああっ!!」

(はぁ?)となりつつも下を見ると、
先程まで手元にあった肉まんが無様な姿で下に落ちていた。

どうやら先程のエルザ登場で驚いて落としてしまったらしい。
それにしても その嘆き様…街の人が誤解すんだろ!?

「おい、俺は肉まんじゃねーぞ?」

そう言っても聞いてないのか、何の反応無し。そして進路変更。
進む先は…ルーシィの家!??

「許すまじ、恋敵ーーーっ!ルゥシィイイイイィイイイ!!!!」

「え、ちょっ、ルーシィ関係無くね!?」

エルザと同じ位…いや、もっと速い速度でルーシィの部屋を目指す。

(ヤバイ、何か分かんねぇけど!)

急いで後を追う。

「!、良かった!」
部屋の前で水色の髪を見つけ、安堵する。

(思い止まってくれtーーー!?)

そう思ったのは表情を読み取るまで

ジュビアの顔には驚き、哀しみ。そしてーーー絶望。

ジュビアの隣に居るエルザも同様で

「どうした!?」

急いで彼女達と並んで部屋の方を見ると閉めた筈の扉は開いてあり、
ここから見える部屋の風景はーーー



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