二次創作小説(紙ほか)
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- 東方怨崎録【ハーメルン様へ引っ越し】
- 日時: 2016/04/28 20:29
- 名前: こんにゃく春風 (ID: 2qFw4l..)
プロローグ
「はぁ、もういやだ…」
少年のため息が通学路に一つこぼれる。
少年は今でいうDVをうけていた。 それも、実の親から。
『ここにいたくない』という思いが、その幻想郷へのとびらを開けたのかもしれない。
そして、次の瞬間 そこに少年の姿はなかった
「ふふふ、幻想郷は『来る者拒まず』さあ、いらっしゃい。」
少年のいたところから、女性の声が聞こえてきた。
——少年、後の名を、『怨崎 信』といった……
さあ、始まりました。東方怨崎録!! この作品は、東方Projectの二次創作に当たります。主人公はDVを受けている少年です。至らないところがあると思いますがよろしくどうぞ!!
あ…後コメントもしてください!!大歓迎ですよ〜
怨崎信登場! 幻想郷の日常篇
第1話 対面 >>01
第2話 幻想 >>02
第3話 4話 5話 紅魔館『内』異変 前 中 後篇 >>03 >>06 >>07
第6話 雷鳴 >>08
第7話 CRIMSON BOYの来訪 >>11
第8話 猛者達の決闘 >>12
第9話 人生に必要なものは笑顔と危険の香辛料 >>14
第10話 執事長の1日 >>15
第11話 墨染め桜の木の下で >>20
第12話 13話 14話 温泉旅行に行こう! 前 中 後篇 >>22 >>23 >>27
覚醒、英雄伝へのプロローグ篇
To be continued
特別篇
異世界の探偵は依頼をこなしたい >>17
数えたら眠くなりそうな雲の下で >>18
イラスト
怨崎信 >>16
キャラ資料集
怨崎信 >>21
番外篇
Ⅰ 紅魔館生活はやめられない >>24
〜すぺしゃるさんくす〜
暁様作【東方探偵屋】より鍵宮蓮様
- Re: 東方怨崎録 ( No.1 )
- 日時: 2016/03/25 18:50
- 名前: こんにゃく春風 (ID: ZgzIiRON)
01 対面
少年は、夢を見ていた。 夢といえるほど確かなものでもなかったが、『自分は自分の意識下にいる』ということを、少年は初めて実感した。
「ここ…どこだ?」
とまどっている少年に、とつぜん『声』は語りかけてきた。
「あなた、『スキマ』を開いたのね……と、言っても開かせたのは私なのだけれど。」
声は女性だった。
「誰だ……どこにいる?!」
「そう身構えないでちょうだいな。落ち着いて…」
まるで、生まれたての赤ん坊をあやすような女性の声に、少年は少しずつ落ち着きを取り戻した。
「おちついたぞ。だから頼む、姿を見せてくれ。このままだと不安でかなわない。」
その頼みを了解したのか、声の主は姿をあらわした。不思議な形の傘を持った、美しい金髪の女性だった。
「こんにちは……かしら、それともこんばんは……かしら、まあ、 どちらでもいいわ。私の名前は、八雲紫。あなたをあの世界から連れ出したのも、これから別の世界へ連れて行くのも私よ。」
そして八雲紫は説明してくれた。
少年が行く世界は、幻想郷だということも含めて、何もかも。
「ただ、あなたをどこへ置いていくかは、まだ決まってないのよねー」
楽しそうに紫は言った。それを聞いた少年は、
「え、俺おいて行かれるのか!?」
と、驚いて言った。
「? とうぜんよー あなた、知らない土地に放り込まれて、一人でいきなり生きて行ける?」
「そりゃ無理だけど……ってそうじゃなくて、あんたの所に居候させてくれないのかってこと!!」
「あ、それは……ごめんなさい、やっぱりむりだわ。」
それを聞いた少年は、落胆した。 落胆したが、楽しそうだった。 これからは、あの親の元を離れて生きていける。 そう思ったから。
「最後に一つ聞かせてくれ、なぜ俺を幻想郷に来させようとした?」
「はーい質問終わり! 少年よ、大志を抱け!!」
まだ最後の答えを聞いてない、そう言おうとしたが、意識はそこで途切れていた———
幻想郷 妖怪の山
白狼天狗の犬走 椛は、泥にまみれた少年を見つけた。
「外来人、ですね。なら私が看るより、守矢神社につれていったほうがいいですかねぇ。」
少年は、数分後に目を覚ました。 傍らに緑髪の女性が立っている幻想郷の守矢神社で————。
- Re: 東方怨崎録 ( No.2 )
- 日時: 2016/02/10 22:52
- 名前: こんにゃく春風 (ID: ZgzIiRON)
02 幻想
どうしてだろう と、彼は思った。
痛みは消えている。
彼女が———この緑髪の女性がやったのだろうか。
きれいだ。 八雲紫は「美しい」と形容するにふさわしいが、この女性は、「きれい」だ。 間違いなく。
「どうしてだろう……」
「あーっ!やっとこさ口きいた! もう、こちとら大変だったんだよ、いきなり天狗が駆け込んできて『この少年を助けてやってください』なんて言うもんだから、びっくりして治療だけはしたけど、三時間も寝てたんだからねー!!」
その声を聴いて、彼は驚いた。 いつのまにか、 目の前に金髪の少女————というより幼女、がそこにいたからだ。
趣味の悪い帽子をかぶっている。まるで———カエルのような。
隣には、椛の髪飾りを付けた紫髪の女性もいる。
「あ、諏訪子様、神奈子様!!」
「………様?」
様、というのは、彼の嫌いな言葉である。
「そうです、こちらが諏訪子様と神奈子様。この守矢神社の神様でいらっしゃいます。 私は早苗、巫女です」
そこまで聞いた彼は、突然、狂ったように笑い出した。
「ハ、ハハハハハハ!! いやー、奴も俺を変わったところに飛ばしてくれたもんだ わるいがね、早苗さん。 俺は神様なんて、これっぽっちも信じちゃあいないんだ」
「だろうね」
とつぜん神奈子が口を開いたので、彼は驚いた。
「いや、悪い。治療するときに、君の身体を見せてもらったんだが、
打ち身をした痕以外にも無数の傷跡があった—————何があったのか、話してくれるかい?」
「…………俺の家は、小さな会社をやっていたんだが、二年——もう二年前になるのか………俺の祖父、資産家だった祖父が死んで、その金が、おやじに残された。
親父は会社を大きくし、兄貴に継がせた。 そして俺と妹は、「いらない子」になったんだ。」
そこまで言って、彼は、おいてあった緑茶を一息で飲み干した。
「おれは妹に金を持たせ、逃げるように言い聞かせた。 そして…」
「自分は何も持たず逃げている途中、紫につかまった、と」
彼は首を縦に振った。
「憎い……ですよね」
「当たり前だよ、実の親に愛されず育った俺の気持ちが、お前らに、分かって、たまるかッッ!!」
語気が鋭くなったその刹那、彼の身体から鈍色の玉が無数飛び出した。
幻想郷における攻撃手段『弾幕』、彼はそれを操る資格を手に入れたのだ。
「わかりました。 どうせ名前も言わないんでしょ。 あなたの名前は『怨崎 信』。能力はさしずめ『怨みを糧とする程度の能力』でしょうか」
早苗の声が聞こえてから数秒間、神社を静寂が支配した。———そして、だれからともなく笑い出した。
「ありがとう」
彼の声は笑い声の中に消え去ったが、きっと彼女らには届いていただろう。
これが幻想郷における『四英雄』の一人、怨崎 信の、第一の覚醒だった。