二次創作小説(紙ほか)

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【ポケスペ】あなたとわたし【表紙できました】
日時: 2017/03/24 21:38
名前: Orchid (ID: HccPNei.)
プロフ: http://www.kakiko.info/upload_bbs2/index.php?mode=image&file=174.png

クリックありがとうございます。
はじめましての方はじめまして、お久しぶりの方お久しぶりです。
Orchid(おーきっど)でございます。
今から6年程前に利用させていてもらった者です。その時のHNは大庭です。
今回は6年前に書いた小説をリメイクして書こうということで復活してまいりました。
長いはじまりも何ですし、本編へどうぞ!

[>始めての方
:最低限のルールを守ってくれればいいです。最低限で分かりますよね?
:この小説にはポケスペキャラ×オリキャラ要素があります。オリキャラ逃げてな人は【戻る】連打
:ポケスペ、アニポケでのバトルスタイルの設定で書かせてもらっています。ゲーポケとは違い覚える技に達していなくても技を覚えていたりします。
:このゴールド達はマスク・オブ・アイスとは全く無関係です。その辺りはゲーム寄りですが、シルバーとクリスタルがはじめから登場して友達になっています。
:名前とキャラを借りているだけであとは完全にオリジナルでございます。それだけご理解していただけるとありがたいです。

◆本編
プロローグ >>1
第1章 すべてはここからはじまった
第01話 >>2
第02話 >>3
第03話 >>4
第04話 >>7
第05話 >>8
第06話 >>9
第07話 >>10
第08話 >>11
第09話 >>12
第10話 >>13
第11話 >>17
第12話 >>24
第13話 >>25
第14話 >>26
第15話 >>27
第16話 >>28
第17話 >>29
第18話 >>

一言
表紙はURL参照です。

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【ポケモン】 ( No.6 )
日時: 2016/09/05 21:43
名前: Orchid (ID: jxbxTUdV)

竜さん、コメントありがとうございます!

はじめてのコメントに「もしかして批判!?こっ怖い!?」と思ってしまいましたが……とっっっても嬉しいコメントに手が震えています。

ゴールドとクリスとシルバーが最初から友達設定〜
というのは、そうなんです!
はじめての方に向けに書いておいたのですが、ポケスペの原作を持っているとやっぱりごちゃごちゃしちゃいますよね!←

昔書いていたのですか〜!私も昔ここで書いてたのですが
スレが消えすぎて心が折れました笑

映像のほうですね!わかりました!
見に行きます!

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【ポケモン】 ( No.7 )
日時: 2016/09/05 21:44
名前: Orchid (ID: jxbxTUdV)

第4話 キラキラした朝


 風呂からあがり髪も乾かし終わる午後8時——
タイミングよくポケギアに着信が。もちろん、相手は決まっている。

「ゴールドさん?」
「おー」

 ゴールドしか登録していないのだから決まって彼しかいないのだが。
家の電話の癖にでつい名前を呼び、確認してしまう。

「旅の話の前に……マイ、怪我はないか?」
「は、はいっ(心配してくれてるんだ)だいじょうぶです、ありがとうございますっ」
「そりゃよかった。何があったか話してくれるか? 嫌ならいいんだけどよ」

 嫌なわけがない。こうして心配してくれる友達がいるなんて幸せ者だと改めて確認できる。
 研究所で図鑑が盗まれたことに対してゴールドは、前からゴールドも博士より図鑑を受け取っていたので怒りを覚えているようだった。
 そしてバトルで引き分けのような負けのような、今まで味わったことのない感情になったことも、すべて話した。その感情は博士には伝えていない。きっとゴールドだからこそ自然と言えたのだろう。

「なるほどなあ。まあ、旅の途中にでも見つかるかもしれねえしな。情報を集めながら旅をしていこうぜ」
「はいっ」
「で、いつ出発にする? 来月か?」

 旅の準備だ。それなりに知識やらをつけなくてはならないが、マイの応えは。

「あした」
「は? 悪いがもう一度言ってくれっか?」

 はい、明日です。と同じ答えを述べる。

「ったくお前はよォ……。まぁいい、明日迎えに行くから」
「はいっお願いしますっ」
「任せとけって」

 ゴールドも準備があるし、マイにも準備がある。その日の電話はすぐに終わった。
しかし、準備が終わってもマイは中々寝付けずにいた。遠足前の夜、のような。

(でも旅は遠足なんかじゃない。ぜんぜん違うんだよね。でもゴールドさんがいるから、絶対にだいじょうぶ)
(絶対に守り切る。何があってもやり遂げるんだ)

 知らないとろこで相手を信頼しきっている2人。人見知りだったマイも3年間でずいぶんと成長したものだ。


◆◆◆

 旅立ちの日。ゴールドがいつも通り迎えに来た。いつもと違うのは背中にはリュックを背負い、腰のベルトにはモンスターボールをぶら下げていることだ。
 格好は赤いジャケットに白いパーカが付いていて、黒いシャツが少しだけ見えて、下はふくらはぎから肌が見える黒い短パンをはいて動きやすさを重視しているように思える。
 マイはというと、ピンク色のパーカーを着ていて白くてミニのフレアスカートをはいている。さすがにミニスカートだけでも心細いのか黒いニーハイも忘れずに。

「ゴールドさんその帽子お気に入りですね」
「まあな、これがないと落ち着かねえ(髪型も決まらねえしな)」

 黒をベースにした帽子に黄色い太いラインが入っている帽子にゴーグルをつけているゴールドはいつも通りでなぜか安心を覚える。

「博士にちゃんと挨拶してきたな?」
「はいっ」
「俺も少し博士と話しをしてくるから。マイはここで待っててくれるか?」
「へ? わかりました」

 トラブルに巻き込まれたらゴールドが責任を取るつもりなのだろうか、金の瞳が力強く光りながら研究所に入っていく。
 マイと同じ金色の瞳なのに、どうしてこう違うように見えてしまうのだろうか、とガラになく考えてしまうマイ。

「マイちゃん!」
「あっゴールドさんのお母さん!」

 ゴールドを見送りに来たのだろう、ゴールドの母親がマイに声を掛けた。ゴールドの母親は彼に似て、いや彼は母に似て、とても気さくでいい女性だ。
 毎日お世話になっているようなもので、彼女に会えないことも寂しさを感じる。

「頑張りすぎないでね、はいコレ。たくさん走れる靴よ。もうひとつはゴールドのね」
「わあ! ありがとうございます! これってゴールドさんと色違い……?」
「ええ、ゴールドは黒、マイちゃんは白。可愛いでしょう?」
「はいっ」

 マイの背後から花が舞い散るように見える。よっぽど嬉しかったのかミニリュウに見せている。

「マイー待たせたな……って母さん!」
「あらゴールド! 長かったわね、ほら、アンタにも!」
「おー靴か! サンキュな!」

 先ほど、マイに渡したのと色違いのたくさん走れる靴——まあいわゆるランニングシューズを渡す。
 ゴールドもすぐに色違いと気づき口角を少しだけ上げた。

「じゃ、母さんに博士! 行ってくるわ! なーにすぐに戻ってくるかもしれねえからな! 心配すんなよ!」
「博士、ゴールドのお母さん、行ってきます!」
「ああ、2人共気を付けるんだよ」
「ご飯はちゃんと食べるのよ〜!」

 ゴールドとマイが見えなくなるまでその背中に手を振り続ける2人。
マイは少しだけ涙が目にたまったが、ゴールドに雑にふき取られた。そうだ、これから先泣きたいことはたくさんあるに決まっている。こんなとろこで流してたまるものか。


「なあ、マイ。俺さっき博士からポケモンもらったんだけどよォ」
「えっどんなポケモン? あっポケモンですか?」
「こいつだぜ、ほら」

 旅に浮かれてつい敬語が抜けてしまうところも可愛く思えてしまうのは面倒をみすぎたせいか。ゴールドにしたら敬語なんてさっさと辞めてもらいたいところだが。
 そういえば2人は何か忘れているような——

「そういや、あいつらに何も言わずに出てきちまったな」
「あっ……」 

 よくあるこった気にすんな! とおなじみのセリフを言い捨て歩みを早める2人の旅は始まったばかりだ——!

【ポケスペ】あなたとわたし【ポケモン】 ( No.8 )
日時: 2016/09/06 23:01
名前: Orchid (ID: jxbxTUdV)

第5話 段差と花と怪しい影


 29番道路に来ていた2人。ここを抜ければヨシノシティに到着だ。
ただ29番道路には段差が多い。ゴールドがまず転ぶことはないだろうが、問題はマイだ。前しか見て歩かないせいか何度も何度も転びそうになっている。

「マイ……ちったぁ下見て歩けよ。俺だってそう何回も支えれるか分かんねえぞ?」
「う〜ごめんなさい。気を付けてるんだけ……わっ」

 言ってるそばから転びそうになっている。
本当にコイツから目を離せないな、とゴールドは内心肩を落とす。

「あっ! あれってぼんぐりの木?」
「おー。よく見つけたな。そーだよ、ぼんぐりって何かちゃんと知ってっか?」
「えっと……確か、食べるとまずいですか?」

 がくっ、と段差につまずいたわけではない。マイがあまりにも当然のことを言うから力が抜けてしまったゴールド。

「あのなあ、ぼんぐりっつーのは、まだモンスターボールが普及する前にポケモンを捕獲するために必要とされたものだよ。今は科学が進んでっから職人も激減したらしいけどな」
「ほえー」
「前に言ったろ? ったくお前は忘れっぽいんだからよぉ」

 えへへごめんなさ〜い、と眉を下げて困った笑いを見せられるとどうも何も言えなくなるゴールド。
 昔からこの笑顔には弱いし、何度も助けられていたりもする。

「これ、貰ってってもいいかなあ」
 
 マイがうずうずした様子でぼんぐりの実を指さし、触っている。
そのぼんぐりの色は緑色で「みどぼんぐり」と呼ばれている。ちなみにとても苦い。ゴールドが前にこっそり庭のぼんぐりを食べた時に苦かった、と言っていたのを覚えていたので、その「食べるとまずい」という発言は、そこから来ているのだ。

「いいんじゃねーか? 誰の私有地でもなさそうだしな」

 辺りを見渡すと何人かもぼんぐりの木に向かって黙々とぼんぐりを採取しているようだし、ゴールドたちがここにいても文句を言ってくる人もいない。
 マイがひとつだけ「みどぼんぐり」をもらってリュックに仕舞う。実が潰れてしまわないかとても心配である。

「そういやマイ。お前珍しく洒落たモンつけてんな」
「あっこれですか? これは……その、小さいころ貰った大切なブレスレットです」
「ふうん、俺の色とシルバーの奴の色か。サイコーじゃねえか」

 ニカッと笑ってマイの持ち物をほめる。それがたまらなく嬉しかったのか下を向いて、右腕につけたゴールド色とシルバー色のブレスレットを大事そうに触り、中々顔をあげない。

「なんだかんだヨシノまで来れたなあ」
「ん〜っお花のいい香りがしますっ」
「おっ、と。トレーナーカードを落としちまうとこだったぜ」

 花の香りが街全体に香っていて女性なら大喜びしそうなヨシノシティ。
花壇がいくつも街に配置させられていて見ていて飽きないようすのマイだったが、ゴールドの「トレーナーカード」に首を傾げ、ハテナマークを大量に頭の上に浮かべる。

「トレーナー……カードですか?」
「えっお前知らねえのか!? これだよ、これ。お前も持ってんだろ!?」
「えー。持ってないですよ?」

 これじゃポケモンを所持できないじゃないか! と焦るゴールドだが当の本人は全く気付いていなく——のほほんと街の雰囲気を楽しんでいるようだった。
 マイのリュックから荷物を確認すると、ポケモン図鑑が目に入る。まさか、とゴールドはポケモン図鑑を起動させる。

「あったあった。これだよ、マイ。って聞いてんのかぁ?」
「ごめんごめ……すいません! 浮かれすぎ、ですね」
「いや、構わねえんだが」

 また、つい敬語が抜けてしまって気分が沈んでしまうマイに一言。

「これから俺には一切敬語を使わなくていい! むしろ使うんじゃねえ! いいな? これは俺からの頼みだ。わかるな?」
「で、でもゴールドさんは年上だし、その……頼りになりますし」

 両手の人差し指同士を離したり、くっつけたりを繰り返しモゴモゴと口ごもってしまうマイ。
 しかしこのまま敬語だったり時々敬語を忘れては落ち込まれる、なんてことを繰り返すなんて馬鹿らしいにもほどがある。

「これは年上命令だ! いいな! あと俺のことはゴールド、と呼べ! じゃなきゃ無視する!」
「えっ!? そ、それは困ります! ゴールドさん!」
「……」
「うっ。ゴー、ルド……さ、ん」

 まあこればっかりは慣れだからなあ、と頭を帽子越しでかくゴールドに一安心のマイ。

「いつか慣れますから、あ。じゃない! 慣れるから! ゴールド! さん」
「ううん、まあ……いいか」

 せっかく街についたのだ、探検がてらフレンドリィショップで道具でも揃えておこうと提案をしタウンマップをポケギアのアプリで見ると案外近くにあることがわかった。
 そのすぐ近くにもポケモンセンターがあり、29番道路で野生のポケモンとの遭遇し疲れたお互いのポケモンを休ませることもできると一石二鳥な街でテンションもあがる2人。

「……あいつ、もうこんなとろこまで。ゆっくりしすぎたか」

 そんな2人の真後ろで様子を見る影が1つ。ともう1つ……?
マイが持っている図鑑と同じ図鑑を大事そうに手に握っている。

「こら! ヨーギラス! 花で遊ぶんじゃない! 花がかわいそうだろ!」

 花壇の花を自身の角で、ツンツンと触って遊んでいたヨーギラスに注意する。
そう、このヨーギラス。あの研究所で恐ろしい程の威力を発揮したヨーギラスである。したがって、そのご主人は……。

(はやく泥棒の名前をやめたいものだな——)

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【ポケモン】 ( No.9 )
日時: 2016/09/08 21:08
名前: Orchid (ID: jxbxTUdV)

第6話 ポケモンセンターヨシノ


 ヨシノシティのポケモンセンターに入るとまず受付窓口のようなスペースに白衣の天使、もといジョーイさんがいた。
 目が合う前に「こんにちは! ようこそポケモンセンターヨシノへ!」と元気に挨拶をされた。マイはビクリと肩をあげたがゴールドは慣れているのか、というか何回も利用したことがあるらしく「ちわーっス」と挨拶を返した。

「ポケモンの回復ですか? ご宿泊ですか?」

見事な定型文だが、嫌味をまったく感じることがない。

「宿泊です」
「えっ!? と、泊まるってこと?」

 まだヨシノシティに着いたばかりとはいえマイにしたらかなり歩いた距離になる。マイはまだ旅に浮かれているから体力の消耗に気づいていないが3年一緒にいたゴールドならわかる。今、かなりキていると。

「なーにポケモンセンターはタダで宿泊できる。泊まるだけお得ってこった」
「そうなんだー。ゴールド……さんは物知りだね、です」

 微妙におかしな日本語になっているがアイなりに頑張って敬語をやめようとしている姿勢だけはわかる。

「マイ、そういやお前、ミニリュウにニックネームつけてないのか?」
「ニックネーム? ううんと考えてはいたんだけど……」
「ほお〜? どんなんだ?」

 バカにしないでよ? と前置きをしてから大きく息を吸って

「リューくん」

 と一言。まさかのリューくん。リューくん。なんのひねりもないリューくん。

「ま、まあ。マイらしくていいな。うん」
「ゴールド、笑いたいなら笑ってもいいよ」
「おっ! 俺のこと、ゴールドってハッキリ言えたな!」

 はっ、はめられた……。と二段ベッドに腰かけていたマイがベッドに寝転ぶ。

(ベッド……ふかふか〜)
「オイコラ、なにニヤけてんだよ」

 ベッドがふかふかなのに幸せを感じ、目がとろんとなっている。非常にやばい。
このまま、寝る! と言い出しそうだ。

「ゴールド、寝てもい「駄目だ。風呂にはいれ」は、はい」

 間髪入れずに拒否をされるマイ。ひどいよ〜っと、アニメのように大量の涙が頬に伝う。

「ん〜まあ。そうだな。これはご褒美、だな」
「え? なになに? ご褒美?」

 ベッドから起き上がり、ベッド付近に立っていたゴールドまで寄ると、ゴールドが言った。

「マイ、前からと後ろから、どっちが好きだ?」
「え? 何が?」

 いや本当に何が、だ。

「ハグだよハグ。俺の家だと何かご褒美っていうとハグしてやるんだよ」
「へえ。ゴールド……さんもお母さんに甘えたりするんだ」

 馬鹿ちげえよ! と頭にチョップをもらう。

「ポケモンたちだよ、ポケモンたちにハグしてやんの」
「んーと、んーと……」

 ポケモンとマイが同じ扱い、ということは気づいていない様子のマイ。

(そういえば前にハグしてもらった時——)

 ゴールドと出会って2年目くらいだっただろうか。
冬に家族でシンオウ地方という寒い地方に旅行に行くことになったという出来事があった。その時、だいぶマイもゴールドに慣れていて心も許していた頃、突然1週間近くいなくなるという話になり不安だったのだが、その不安や不満を口に出さずにゴールドたちが帰って来た時に笑顔で迎えてくれたことにゴールドがハグをしてくれたのだ。

(そういえばその時は前からも後ろの時も)
「で、どっちにする?」
「どっちもはダメ?」

 まあいいけどよ、と自分から言っておいて両方ねだられるとは思っていなかったのか頬を少しかじり目線を上に向けた。

「はいはい、お疲れさんでした」
「わーい」

 前と後ろ、両方からハグをされたのだが。

(やっぱり、ゴールド気づいてないのかな? どっちからハグしてくれても頭なでなでしてくれるんだよなあ)
(うん、やっぱりポケモンの毛並みに似てる)

 マイは嬉しい気持ちでいっぱいだったが、ゴールドは家に置いてきた家族を思い出していた。(何気にひどい)

「あ、そうだ。ゴールド、もらったポケモンさん! モンスターボール越しじゃなくて、ここで見せてほしいな!」
「ああ。いいぜ。ほら、出てこい! バクたろう!」
「わあっ! かっかわいい〜!」

 バクたろう! というセリフと共に現れたのは、ユメクイのような姿をしたポケモン。背中を丸めていて弱弱しい印象がある。

「でもどうしてバクたろう?」
「ああ、なんでもコイツ怒ったりとかすると、この背中の斑点から爆発的な炎を出すらしいんだ」
「ほえ〜、爆発。ゴールドの頭も爆発してるから……あっ違うよ!? わたしが思ってるんじゃなくてクリスさんとかシルバーさんがっ」

 マイが謝りながらもちゃっかりポケモン図鑑でバクたろうの写真を撮る。すると本来の名前が分かった。

「ヒノアラシ。ひねずみポケモン。へえ〜ねずみさんか〜」
「マイも他にポケモン捕まえておけよ? 後々後悔すっぜ?」
「うん〜。リューくん、出ておいでっ」

 他のポケモン、と言われてもまだミニリュウと出会ったことですら夢のような感覚でいるのだからイメージが沸かない。
 とりあえずミニリュウを出して、じっと目を見つめてみる。

「…………」
「おいマイ。ニヤけてんぞ」
「えっあっ」

 ごめんごめん、とミニリュウの頭を撫でる。気持ちよさそうに瞳をつぶるミニリュウが愛おしいのか、マイがお風呂一緒にはいろっ? と誘ったりしている。

「りゅ〜♪」
「わーい! 一緒にはいろ〜」
「ハァ〜? そいつ、マジでいいって言ってンのか?」

 なんとなくわかるよっ! と両手をグーにして胸のあたりで大きく主張されては否定するのもなんだか申訳なくなってくる。
 ああ、そうかよ。とバクたろうとボールに戻してゴールドが2段ベッドの2段目の階段に足をかけながら返事を返す。

「えへへ〜♪ リューくんお風呂だよ〜」

 そそくさとリュックから替えの下着等を出して風呂場に向かう。ポケモンセンターヨシノでは部屋に風呂付きで、かなり優遇されているとみられる。
 ワカバのポケモンセンターは設備はあまり整ってはいないからマイにとってはすべてが新鮮なのだと思われる。

「風呂から出たら言えよー俺寝てっかもしれねーから」
「うん〜わかった〜! ゴールドも一緒に入ればいいのにね、リューくん」

 ハア!? と大声を出し階段からズリ落ちるゴールド。ちょうどお風呂に入ったのか落ちた音には気づかなったマイ。

(なんだよ冗談かよ。まあいいけど……)

Re: 【ポケスペ】あなたとわたし【ポケモン】 ( No.10 )
日時: 2016/09/09 23:39
名前: Orchid (ID: jxbxTUdV)

第7話 髪が短くなったワケ。伸ばさなくなったワケ。


 はじめての旅の不安、はじめてのポケモンセンターでの宿泊の楽しさ。
そんないっぱいいっぱいのマイがその日見た夢はとても懐かしいものだった——



「じゃあ昼飯食ったらまた公園で会おうな」
「はい」

 この夢はまだゴールドと出会って2年目のある夏のできごと。
当時はマイは8歳、ゴールドは11歳だ。とても暑い夏だった。まだ5月だというのに。
 その日、マイは珍しくウツギ博士の研究が昼前に終わるということで久しぶりに親子水入らずで昼食をとることになっていた。
 なので普段は、ゴールドとその母さんの3人で昼食をとっているのだがその日は一緒に食事をしなかった。まさかあんな事件が起きるなんて。

「あ! そうだ、なあマイ」
「なんですか?」
「髪、結ばねえの? 暑苦しいぜ?」

 今でこそ肩につく程度の茶髪だが、この時のマイは髪が腰まで伸びていてとても長かった。

「うーん……考えておきます」
「あっそ! まあいいけどな。じゃ、また後でな!」
「はいっ」

 手を振って、互いの家に帰り、それぞれの昼食をとる。
ウツギが用意していた昼食は、気温が暑くなったということで食べやすいそうめんだった。あっという間に平らげて早めに待ち合い場所である公園に向かう。
 この公園はワカバの中心から離れていて近くには林の草原があり、見渡しはあまりよくない。そのせいか人があまり来ないのでマイは安心してこの場で1人でも待つことができた。

(早く来すぎちゃったかな。ゴールドさんが来るまであと15分かあ)

 はあ、ジリジリと太陽に照らされるコンクリートに身体の体温がどんどん上昇していくのがわかり、思わず何回目かのため息がでてしまう。
 下を見ているとひとつの影が現れた。それは——

「ゴールドさ……」

 それはポケモンだった。
黄色い人の顔のようなツボをしていて、身体がとてもとって〜も細く、その枝のような身体から葉っぱが二本、腕のように生えているポケモン。

(たしか、マダツボミだったかな)

 ピンポン! その通り! まさにフラワーポケモン、マダツボミ。

(なんだか元気がなさそうな気がする)

 つぶらな瞳がウルウルと泣きたげでいて、眉があるとしたらハチの字になっているであろうマダツボミ。
 マイがマダツボミに手を伸ばし、だいじょうぶ? と声を掛けた。その瞬間。

「マダツボミ! 葉っぱカッター!」
「きゃっ!?」

 どこからともなく響くトレーナーの指示声。反射的にマダツボミはその腕のような葉っぱを生かして、身体を半回転させ、その戻る勢いで葉っぱを刃物のように鋭いものに変えてみせる。

「え……」

 マイも本能で攻撃される! とその場にしゃがみこんだのだが……

「髪が……」

 しゃがみこんだ時に長い髪が宙に浮く。その浮いた髪を思い切りマダツボミが切ってしまったのだ。バラ落ちた髪をマダツボミがツボのような口で回収している。

「よし! 戻れマダツボミ!」
「…………」

 短くなった髪を両手で頭を包み込むように触るマイと、マダツボミをモンスターボール内に収める少年。

「どう……して、ですか?」
「どうしたもこうしたもないね。お前が俺達からゴールドをとったのがいけないんだよ」
「ゴールドさんを? とった?」

 マイだってわかっている。わかってはいたのだ。ゴールドは人当たりもよく、他人のためなら危険があったとしてもかまわない。だからワカバタウンのみんなから誰からも好かれていたのだ。
 そんなみんなの人気者でいて、かつ2年前まではいつも遊んでいたような友達を、突然現れた女の子に独占されたどうだろうか。醜い嫉妬だって起こる。

「……っ」

 少年が立ち去った数分後、ゴールドがやってきた。遠目からはボーっとしているように見えたマイが近くまで行くと頬にポロポロと涙をこぼしていたのが分かった。
 何より長い長い髪がなく、今まで隠れていた背中が見えている、それにはかなり驚いた。

「どうしたんだよ、その髪!?」
「こっ転んだんです」
「転んだだけじゃそうはならねえだろ!? 誰にやられた!?」

 ほんとに転んだんです、と泣きながらマイはいう。こうなったマイは何も言わない。きっと泣き止んだとしても転んだ、というだろう。
 本当はワカバの中心部にあるデパートに行きたかったのだが行けるわけがない。
ひとまずゴールドの家に行き、母さんに相談することになった。

「まあまあ。マイちゃん。ロングヘアーも似あってはいたけどショートも似合うわね〜! ただ、うん〜そうね、そのギザギザの毛先はどうかしら?」
「ちげーんだよ! 誰かに切られたんだ!」
「転んだだけです」
「うん。わかった、わかったわ! マイちゃん私に任せなさい!」

 じゃ、ゴールドは部屋の外で待ってなさい! と背中を押され部屋から追い出されたゴールドは扉に耳をあて話を聞く。

「転んじゃったのね〜。それは痛かったわね。でも大丈夫よ。私が可愛く変身させてあげる!」
「えっ? えっ?」

 転んだ、ということを真に受けたわけではなく子供の扱いを知っている母であるからこそ、マイのいうことを繰り返していう。そうすることで受け入れられている、という安心感が生まれる。
 引き出しから髪切りバサミを取り出すと、マイを椅子に座らせその椅子の周りに新聞紙を敷く。
 チョキチョキとハサミがいいリズムを刻む。シャギは入れちゃっていい? なんて聞き応える前にシャギを作り髪をふんわりと空気が入るように空間を作る。

「はい! これで完璧ね。これ鏡ね。ど〜う?」
「わあっ! すごいっ! か、かわいいです!」
「なんだなんだァ? ってオオ!? マイ、髪が整ってる!」

 はじめてのショートヘアーにマイもゴールドも驚いている。あんなに乱雑に切られた髪が、今では美容院に行ったかのように整えられている。
 これで出掛けられるな! とゴールドは笑顔で言う。もちろんマイも笑顔で、行けます! 行きたいですっと珍しく高いテンションで応えた。
 家から出るとゴールドが疑問を問いかけた。

「なあ、ショートヘアー似合うのになんで今まで髪切らなかったんだ?」
「安心したんです。髪で……髪が自分を守ってくれるみたいで」
「そうか。じゃ、伸びるまでしばらく辛抱だな」
「ううんっもうだいじょうぶです。このままショートにしたいです」

 なんでだ? という顔をするゴールド。

「だって、ゴールドさんがいれば安心するから」
「そうか〜……はっ!?」

◆◆◆

「——! ……ろ! 起きろ! マイ!」
「わあ!? お、おはようゴールド」
「おはよう、ずいぶん幸せそうな顔で寝てたけど、なんかいい夢でも見たのか?」

 旅をはじめて2日目。朝はゴールドに起こされたマイ。髪型がいつもと違うゴールドにそんなこと言われると、夢をまた思い出してしまう。

「うん! すっごいいい夢!」
「それはよかったなー。さ、歯磨きしたら朝飯食いに行こうぜ」

 はーい、と布団から出てゴールドが洗面所に向かう背中を見てマイは思う。

(いつかゴールドのことを守れるくらい強くなったら) 
「なにボーとしてんだ? 早く来いよ」
「わっわかってるよ〜!」

 それはまだまだ先の話、なのだけれど——


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