二次創作小説(紙ほか)

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女審神者の本丸
日時: 2019/10/09 20:29
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

新米審神者と刀剣の日常を書こう。

刀剣乱舞二次小説。

Re: 女審神者の本丸 ( No.10 )
日時: 2019/12/22 11:22
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

「みっちゃん!みっちゃん!なぁなぁ見てくれよ!!主の服だよ!!」

太鼓鐘貞宗が何度も燭台切光忠を呼んだ。何か嬉しいことがあるのかも、と燭台切が振り返ると
太鼓鐘の後ろで顔を覗かせている審神者が照れくさそうに笑い手を振っていた。

「君、どうしたの?さだちゃんも笑いを堪えて…」
「みっちゃん主の服見たら絶対驚くよ!なぁ?主」

審神者は頷いた。はっきりと彼女の全身が見えた。燭台切が目を見開いた。

「えぇ!?ど、どうしたの!?その服、そのジャージ…!」
「長谷部が色々押し入れを整理していたら出てきたんだって。うちのお母さんが作ってたらしい。
どう?似合ってるでしょ?お揃い、お揃い」

審神者も気分が良いらしく何処かに行ってからも燭台切の脳裏には自分と同じジャージを着る
審神者の姿が焼き付いていた。

「あれ?どうしたの燭台切。何か嬉しい事でもあった?」
「加州君…うん、実はね—」

加州清光にさっきの事を話すと彼は羨ましそうな表情をした。

「でも確か、あれって主のお母さんが作ってたんでしょう?たまたまアルバムを見つけてさ、
今みんなで見てるんだけど見に来ない?」

彼に言われて広間に行くと審神者を囲うように全員が身を屈めつつ何かを覗き込んでいた。

「お、光坊!丁度良いところに来たな、これ見ろよ」

鶴丸国永は燭台切を呼んだ。覗き込むとそれは懐かしい写真だった。幼い審神者と
燭台切のツーショット、奥の方に二人を見守る前の審神者が写っている。

「あ、この辺の奴全部燭台切と審神者の写真だ。良いなぁ…」

Re: 女審神者の本丸 ( No.11 )
日時: 2019/12/22 12:43
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

翌日の朝、審神者はへし切長谷部に叩き起こされた。眠気でボーっとしているが何か
慌てている様だ。やってきたのは太鼓鐘貞宗、大俱利伽羅、燭台切光忠、三人の部屋の前。
そこで三人が誰かと話している。その人物を見て審神者はギョッとする。

「し、燭台切が…二人ィ!!!?」

そこで長谷部がここに至るまでの説明をした。蔵に保管されている刀剣の本数が一本足りないことに
気が付き別の場所で二人の燭台切が出会っていた。審神者が顕現させたわけでも無いが同じ姿を
している。顕現の仕方が他と違うからか彼は言葉を話さない。少し意思疎通が難しいが言葉が
分からないというワケでもないらしい。

「とりあえず長谷部はこの事を可能な範囲で調べてみて。それで原因とかが分かるまでは暫く
みんなで様子を見よう。何が原因かは分からないけどなんか燭台切が二人いると頼りがいが
あるし!」
「分かりました。主命とあらばこのへし切長谷部、全力で事態の原因を探ります!」

そう言って彼はその場を去っていった。自分の中でこれだけ付喪神がいるのだから何が
あっても可笑しくはない、大丈夫だろうと審神者は考えている。

「俺は道場に行く」

大倶利伽羅も別の場所へ行ってしまった。

「なぁ、お前は何かやりたい事あるか?折角人の姿で顕現したんだからさ。書いてみろよ」

太鼓鐘はそう言って木の枝を渡す。言葉を発さないため文字で意思疎通させようとしている様だ。
だが燭台切も困った顔をする。審神者も同じことを考えていた。本当に本人ソックリなら
やりたいことも料理だろうと考えていた。予想的中。

「むぅ…じゃあみっちゃんと同じことをするってのはどうだ?」
「元々いる燭台切がやっていることならこっちの燭台切も楽しめるかもってことか。流石、
太鼓鐘!」

Re: 女審神者の本丸 ( No.12 )
日時: 2019/12/22 12:41
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

畑仕事を二人の燭台切光忠が行っている。二人の仕事を審神者と太鼓鐘貞宗が手伝う。

「二人とも休んでいていいんだよ?」
「いいって、俺が手伝いたいんだから」
「そうそう、やりたいことやってるだけだし」

二人が笑って同じことを言う。それからつい最近、来た燭台切は近くの道場を覗き込んでいた。
山姥切国広と大倶利伽羅が手合わせをしている最中だった。

「オイあれ…燭台切じゃないのか?そこで何やってるんだ?」

山姥切に聞かれ彼はオロオロとする。山姥切は近くの木刀を手に取り彼に近寄る。

「手合わせするならこれを使え。真剣だと主が心配するからな、一度咎められたことがある」

山姥切から木刀を受け取るもすぐに返してしまう。そして腰にある真剣に手を掛けた。
大倶利伽羅が外に出る。

「真剣でやるなら俺も持ってくる」
「オイ大倶利伽羅!」

引き留めようとするも彼は刀を取りに行ってしまった。大丈夫かな、と山姥切の心中は
不安な気持ちで一杯だ。彼らの試合を見るとどちらも気迫が凄い。圧倒されてしまう。近くを
通りかかった乱藤四郎は何かに感づいて審神者を呼びに行く。一方、手合わせしている
大倶利伽羅、そして見守ると山姥切も彼の雰囲気が変わったことに気が付く。

「待て待て…冗談だろ…(本気で殺す気か!?そんなことをしたら…!)」

廊下を歩いていた審神者を乱は捕まえ色々説明する。理由を察した審神者は彼に案内してもらい
道場へと急ぐ。

Re: 女審神者の本丸 ( No.13 )
日時: 2019/12/22 12:55
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

道場の戸を限界まで思い切り開き審神者は二人を見た。

「はいストップ!試合は終了だよ燭台切!!」

審神者の声で彼はピタリと動きを止めた。そして刀を納める。審神者は大倶利伽羅に自身の
真剣を片付けてくるように言って山姥切たちにも席を外してもらう。

「何があったの?鍛錬したいなら木刀を使えばいいのに…あ、でも強要はしないから!ただ、あまり
危ない事はしないで。ここの皆は私にとっては兄弟みたいな感じだから…反省した?」

彼は頷く。そこまで叱る気も無かった。一方、原因を探る長谷部は蔵の中を隅から隅まで
もう一度調べた。

「やはり他の刀剣に異常は無いか」
「あの光坊について調べてるのか?」

いつの間にか蔵に来ていた鶴丸が彼に聞いた。彼も中に入って来て見渡す。

「珍しく主があの光坊を咎めていたよ。彼女は怒鳴りはしないから大事にはなってないけど…
少しだけ話、聞いてくれるか。三日月の話なんだが俺たちは全員審神者の霊力を神力として
纏っている。それで他の本丸との見分けがつくらしい。だけどさっきの光坊は少し違うものを
纏っているらしい」
「だが侵入者が入ることは不可能だろう?なら…」
「少しと言っても微々たるもの、そこまで変わらないらしいぜ。それに…黒い力だ」

鶴丸の声が少し低くなった。

Re: 女審神者の本丸 ( No.14 )
日時: 2019/12/22 13:13
名前: 水無月匣 (ID: xs5T8t9X)

夜になって部屋に三日月宗近と鶴丸国永、へし切長谷部の三人がやって来た。ただ会いたくて
来たというワケではなさそうだ。

「本体を破壊する?…って今日来た燭台切の刀を?」
「はい。これしか方法がないと思いましたので……」

長谷部が拳を強く握り俯いた。

「主、元より存在する燭台切を善とするなら新しく来た燭台切は悪の心を強く持つ。良いか?
彼は燭台切が我慢している、隠している苦しみを表に出した状態だ。本人が何を考えているのか
それは分からない、そして触れることは出来ない。彼を野放しにすれば彼の矛先は主に
向けられる…」

苦しそうな声だ。

「俺たちにとっては本体の持ち主は何よりも大事なんだ。これが二度目のチャンスなんだよ…
頼む、消えないでくれ!」

鶴丸たちが頭を下げる。苦渋の決断をする。朝になり、全員に囲まれる中で審神者は
先日来たばかりの燭台切に謝罪をする。

「やっぱり…ここに貴方は来てはいけないよ。ごめんなさい、苦しい事だけど…」

彼が目を見開き尻もちをつく。本体が燃やされていく。同時に彼の身体も透けていく。
彼を全員が見守る中、審神者は最後に笑みを浮かべた。

「悲しまないで、今度はきっと…良い人に会えるからね!」

暗い雰囲気の中、燭台切は溜息を吐いた。


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