二次創作小説(紙ほか)
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- 〜 徒然Diary 〜
- 日時: 2025/06/16 12:53
- 名前: ねずみかちょー。 ◆qvdBsJ.aJU (ID: b92MFW9H)
閲覧ありがとうございますm(_ _)m
この小説は、映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」に出てくる“謎の少年”目線の二次創作小説です。
作中のキャラクター、設定なども掲載するつもりですので、作品を未鑑賞などでネタバレが嫌な方はご注意ください。
語彙に乏しいところもありますが、暖かい目で見守っていただけたら幸いです。
※この小説はファンアートです。公式とは一切関係ありませんのでご了承ください。
◇この前作品として、ゲゲゲの鬼太郎の「ねずみ男」が主人公の「路地裏Diary」という小説も書いておりました。
時系列としては本作⇒前作 となりますが、そちらも合わせてご覧いただけたら幸いですm(_ _)m
プロローグ >>1
第1話 >>2
第2話 >>3
第3話 >>4
第4話 >>5
第5話 >>6
第6話 >>7
第7話 >>8
第8話 >>9
第9話 >>10
第10話 >>11
第11話 >>12
第12話 >>13
第13話 >>14
第14話 >>15
第15話 >>16
第16話 >>17
- Re: 〜 徒然Diary 〜 ( No.13 )
- 日時: 2025/05/01 12:52
- 名前: ねずみかちょー。 ◆qvdBsJ.aJU (ID: Lr4vvNmv)
第12話
そのまま階段の昇降口を見ていると、あどけない顔をした男の子が、こちらの方を見ながら上ってきた。
年齢としては小学4.5年生くらいだろうか。
見た目からは、僕とあまり変わらないように思える。
「あなたが、今日からうちで働くことになった人だね?」
その男の子は、屈託のない笑顔と共に、穏やかな口調で問いかけてきた。
その雰囲気にのまれ、僕はつい反射的に頷いてしまう。
僕のその表情を読み取ったのか、その男の子はこちらへ駆けてきて、今度は「隣、座ってもいい?」と聞いてきた。
別に拒否する理由も見当たらなかったので、僕は至って軽い気持ちで承諾する。
すると、その子は本当に嬉しそうな表情で笑っていたので、照れくさい気持ちになり、今いる場所から半歩場所を空けた。
ー 人の笑顔なんて見たのは何年ぶりだろう。
- Re: 〜 徒然Diary 〜 ( No.14 )
- 日時: 2025/05/12 09:49
- 名前: ねずみかちょー。 ◆qvdBsJ.aJU (ID: R6.ghtp2)
第13話
流れに乗せられて、同い年くらいの男の子を部屋に招き入れたはいいけど、これからどうする…!?
故郷でも、「友達」という存在がほとんどいなかった僕にとっては、経験がないことだったので今更ながらに戸惑ってしまう。
その子が僕の隣に腰を落ち着けてから数十秒。
2人とも一言も発さないまま、奇妙な空気が流れた。
そろそろ何か話し出そうか…と思っていると、不意にその子が
「僕の名前、時弥(ときや)っていうんだ。あなたの名前は?」と尋ねてきた。
- Re: 〜 徒然Diary 〜 ( No.15 )
- 日時: 2025/05/21 09:51
- 名前: ねずみかちょー。 ◆qvdBsJ.aJU (ID: 3z0HolQZ)
第14話
僕の名前…
故郷でも、“お前” や “あんた”呼ばわりされるばかりで、名前なんてものはなかったしなぁ…
僕が上を向いて考えあぐねていると、その子…時弥くんは僕の方を見つめて、数秒考えたあと、「あなたの名前は“ねずみ”さん、なんてどう?」と問いかけてきた。
いきなりのことに何も返せずにいると、時弥くんは焦ったように両手を胸の前で振って、
「…もし嫌だったらごめんね。でも、強くてしなやかでたくましい動物のネズミに、あなたの雰囲気がぴったりだと思ったから」
動物に例えられるなんて思いもしなかったが、不思議と嫌な気持ちは湧いてこなかった。
- Re: 〜 徒然Diary 〜 ( No.16 )
- 日時: 2025/06/03 12:54
- 名前: ねずみかちょー。 ◆qvdBsJ.aJU (ID: aOQVtgWR)
第15話
「……あぁ、いいよ」
僕がそう同意の言葉を投げかけると、時弥くんは顔を輝かせてこう言った。
「やっと喋ったー!ありがとう、“ねずみ”さん!」
少しずつ緊張もほぐれてきたので、それからも僕たちは好きなもののことや、最近の「ぶーむ」についてなど、他愛のないことをたくさん話した。
何でもないことに2人でケラケラ笑って。
今までにないほど楽しかった。
やがて、階下から女性の呼び声が聞こえる。
時弥くんはその声を聞くと、慌てて立ち上がって「いけない!もうこんな時間だ…お母様たちに怒られちゃう!」
と言い、そそくさと階段を下りて行ったかと思いきや、姿が見えなくなる直前に僕におやすみ、と手を振ってくれた。
僕は、一抹の寂しさをおぼえつつも、明日に備えて布団を敷き、枕元の灯りも消して目を閉じた。
明日もまた時弥くんに会えることを、心のどこかで願いながら。
- Re: 〜 徒然Diary 〜 ( No.17 )
- 日時: 2025/06/16 12:52
- 名前: ねずみかちょー。 ◆qvdBsJ.aJU (ID: b92MFW9H)
第16話
翌朝のこと、外で野鳥が鳴いている声で目が覚めてしまった。
寝ぼけ眼で布団を畳んでいると、いつの間にかキツネ目男…長田(おさだ)が傍に立っていた。
足音も立てずにどうやって来たんだ…!
僕が声も出せずに戸惑っていると、長田は感情のこもっていない平坦な声でこう告げた。
「朝食をお持ちしました」
言われるまま、板張りの床に腰を下ろし、改めて出された朝食とやらを眺める。
秋刀魚(サンマ)の姿焼き、ワカメと油揚げの味噌汁、やけに薄っぺらい沢庵(たくあん)、茶碗にこんもりと盛られた白米…
昔ながらの日本の朝飯、って感じだ。
僕は、並んでいる食べ物に手をつける前に胸の前で手を合わせ、「いただきます」と呟く。
これは、遠い故郷の母ちゃんから教わった作法だ。貧乏で、日々の食べるものにも困る事もあるくらいだったが、時折食べ物にありつけると、母ちゃんは決まって「食べられることに感謝しなさい」と言って、僕にこの作法を真似させたものだ。
それが今も染み付いているから、食事の前はこうすることに決めている。