社会問題小説・評論板
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- 耐えて耐えて・・・
- 日時: 2012/02/05 09:32
- 名前: 音異羅 ◆XuYU1tsir. (ID: f4Q8EoDG)
いじめってどうしてあるんだろう?
どうして人を平気で傷つけられるんだろう?
どうして人の気持ちになれないんだろう?
どうして気付かれないんだろう?
これは、いじめを耐えていた女の子の、悲しい哀しい物語
藍那
プロローグ >>01
憂鬱 >>02
視線 >>03
友達 >>04
他学年フロア >>05
先輩 >>06
悪魔 >>07
震え >>13
出会い >>14
教室 >>15
あだ名 >>16
お姉さん >>17
同じクラス >>24
おはよう >>25
見たものは・・ >>30
強張る >>33
伝言 >>34
私たち・・・ >>37
??
人形遊び >>18
??
意見 >>35
??
リストカット >>19
所詮・・・ >>36
有影藍那 プロフィール >>08
館野宮奈々 プロフィール >>09
雛耶要 プロフィール >>10
初季百夜 プロフィール >>11
日野矢燐 プロフィール >>12
- Re: 耐えて耐えて・・・ ( No.3 )
- 日時: 2011/11/16 07:07
- 名前: 音異羅 ◆XuYU1tsir. (ID: 4z3SNsbs)
視線
教室に足を踏み入れる
と、クラスメイト全員の視線があたしに来た
突き刺すような、冷たい目線
さっきまで騒がしかった教室が一気に静かになる
そんなものはほうっておいて、あたしは席に着く
どうせ、いつものことだしね
漫画とかにあるように、机とか教科書とかは全然平気
あとが残るし、証拠になるしね
あいつらも考えたものだわ
「(違うクラス行こう・・・)」
あたしは席を立ち、他のクラスへ向かう
その間も、ずっとクラスメイト達の視線を感じていた
- Re: 耐えて耐えて・・・ ( No.4 )
- 日時: 2011/11/18 16:16
- 名前: 音異羅 ◆XuYU1tsir. (ID: 4z3SNsbs)
友達
「奈々ー?」
あたしは教室を覗き、声をかける
と、女子や男子が群がっている中から一人の女の子が抜けてあたしの方へ来る
髪の毛をまっすぐ伸ばし、茶色が多めの髪をした小柄な女の子
先輩や初めて見た子はみんな「可愛い」の一言
「藍那ーッ!」
「うわぁっ!?」
助走をつけてあたしに飛びつく
当然、後ろによろめいた
「痛いよ、奈々」
苦笑して奈々を見る
奈々はあたしより身長が低い
だから見下ろす形となった
「ごめーんっ♪」
肩をあげてニコッと笑った
この子___館野宮奈々(かんのみや なな)___はあたしの数少ない友達の一人
学校は別だけど、中学に入って仲良くなったんだ
部活は全然違うけど、あたしの部活の先輩のいとこなんだ
「どうしたの、今日は?また何か忘れたの?」
奈々の顔がいたずらっ子の笑みになる
あたしは首を横に振る
「今日はなんとなくだよ」
「なーんだ」
途端に、つまなさそうな顔をして離れる
「ただ、暇だったからね」
「暇ー?・・・じゃあさ!!」
奈々の目が輝く
何?
なんか嫌な予感が・・・
「先輩に会いに行こぉ!」
「えぇっ!?」
腕をつかまれ、1年女子の中で一番を争う俊足と握力の持ち主に抵抗が敵うわけもなく・・・
あたしは連れて行かれた
- Re: 耐えて耐えて・・・ ( No.5 )
- 日時: 2011/11/20 23:23
- 名前: 音異羅 ◆XuYU1tsir. (ID: 4z3SNsbs)
他学年フロア
「あ、奈々ちゃん」
「館野宮さん、おはよう」
奈々に向かって、沢山の先輩が挨拶をする
「おはよう御座います!」
元気良く挨拶を返す奈々
それをにこやかに見て、去っていく先輩達
奈々は可愛いしね
納得するよ
世渡り上手?ってやつ?
「ね、藍那」
「何?」
「先輩達ばっかりのところってわくわくしない?」
笑顔を浮かべてあたしを見る奈々
わくわくって・・・
あたしはため息をつく
「あのね、わくわくよりハラハラでしょ?」
「え、何でー?」
きょとんとした顔で尋ねてくる
いやいやいや・・・
「規則でしょ?」
規則
“他学年のフロアへいってはならない”
というものがある
“しかし、部活のキャプテン及び副キャプテンは、部活動の内容についてのみ、他学年のフロアへ行くことを許可する”
こんな例外があるけど、あたし達は一年生
しかも、どちらにも当てはまらない
だから、見つかったら怒られるのは当然のこと
「怒られたらどうすんの?」
「えー?大丈夫だよ、藍那」
ニコニコと笑う奈々
どこからその自信があふれてくるの?
あたしにはそれが理解できないよ
「藍那ちゃん?」
自分の名前を呼ぶ声に、あたしは振り返る
そこにいたのは、本を片手に持っている先輩
あたしの部活の先輩だ
「あ・・・雛耶・・・先輩?」
あたしがそういうと、先輩はにこりと笑った
「おはよう」
- Re: 耐えて耐えて・・・ ( No.6 )
- 日時: 2011/11/20 23:49
- 名前: 音異羅 ◆XuYU1tsir. (ID: 4z3SNsbs)
先輩
「おはよう御座います」
目の前の先輩に挨拶をする
先輩はクスリと笑った
たぶん、あたしの声が震えていたからだろう
「初めまして、うちは藍那の友達の館野宮奈々って言います!」
あたしの隣から自己紹介をする奈々
「初めまして。私は雛耶要(ひなや かなめ)っていうの。よろしくね、奈々ちゃん」
「はい、よろしくお願いします!」
あっという間に仲良くなった二人
あたしは奈々に、少しだけ嫉妬心を抱いた
「二人はどうしてここに?」
「いや、理由は・・・ないんですよね・・・」
「理由は無いですね、アハハハ〜」
奈々が笑う
なんで笑えるのかが不思議だよ、本当に・・・
「早く戻らないと。副部長がうるさいよー」
悪戯っぽく笑う先輩
「そうですねー・・・」
我らが副部長は、かったい人
機械人間ですか?って感じ
「じゃあ、あたしたちは戻りますね」
「うん。バイバイ」
「さようならー!あ、またメアド教えてもらってもいいですか!?」
「もちろん」
やっぱり、優しいな〜・・
雛耶先輩は!
先輩が部長になってくれればいいのに・・・
あたしはそんなことを考えながら、階段を下りた
と、上から声がかかった
「藍那ちゃん、私の事名前で呼んでくれないかな?」
「名前・・ですか?」
「うん!」
少し恥ずかしいけれど、嬉しかった
「はい!要先輩!」
「良く出来ましたーッ♪じゃあ、また部活でね」
あたしは嬉しくて嬉しくて、上機嫌で階段を下りた
なんか、先輩に認められたっていうか・・・
特別っていう感じがしたから
今日はいい一日になりそうだな!
- Re: 耐えて耐えて・・・ ( No.7 )
- 日時: 2011/11/25 15:55
- 名前: 音異羅 ◆XuYU1tsir. (ID: 4z3SNsbs)
悪魔
自分達のフロアに戻り、奈々と別れた
あたしは自分のクラス・・・1−5に向かう
扉は開いていたから、音を立てずに入ることが出来た
数人がこちらを見たが、特に気にすることもなくまた騒ぎ始めた
「おはよ------------!!」
一際大きい声がする
あたしは振り返った
そこには、息を切らしている同じ小学校の子がいた
「あ、おはよー」
「百夜、今日もギリギリじゃーん」
クラスメイトからの言葉に、彼女はアハハと笑う
あたしはため息をつき、特に興味を持ったわけでもなく、席に座って窓の外を眺める
「おはよう、藍那!」
あたしの前にカバンを置く音がした
顔をあげると、初季百夜(そめき ももや)が笑っていた
「・・・おはよう・・」
「もぅ、藍那は元気ないなーッ」
腰に手を当てて、いかにもわざとらしく顔をしかめる百夜
その様子がおかしくて、つい笑ってしまった
そんなあたしを見て、百夜も笑った
「ねぇねぇ、数学の宿題やってきた?」
「うん」
「じゃあさ、答え合わせしていい?確認みたいな」
あたしが答える前に、百夜は数学のノートを出していた
「1・・・・答えは43」
「2・・・答えは3,7キロ」
交互に答えを言っていく
「8・・・答えは6分の5」
「あ、そこあたし違うよ」
「え、うっそー!」
百夜があたしのノートを覗き込む
と、あたしの後ろから手がの伸びてきて、百夜のノートをとった
軽く声を上げる百夜
「あんた、間違ってるよ?ここは掛け算じゃーん」
「え?って、ノート返してくれないと分からないでしょ!」
あたしは振り返る
生唾を飲み込む
ゆっくりと、ゆっくりと振り返る
足が震えるのが分かる
頭の中で『怖い』という言葉が響く
「ぁ・・・」
あたしの頬を、冷や汗が伝う
その人はあたしを見て、ニッと笑った
「おはよーう。有影チャン♪」
そこには、人の姿をした悪魔___日野矢燐(ひのや りん)___がいた