社会問題小説・評論板
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- 人間なんて、大嫌い
- 日時: 2012/11/02 23:34
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
こんにちは、もしくははじめまして。
凛といいます。
社会問題系ははじめてですが、
よろしくおねがいします。
コメント、アドバイスは大歓迎です。
荒らしなどはやめてください。
文才ないですが、
それでもOKな方はどうぞ、よんでください。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.12 )
- 日時: 2012/11/11 00:05
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
「お母さんがね。優しくなったの」
秋はうれしそうにそう言った。朝日がさしていたからだろうか、とても秋がまぶしかった。私は秋よりも少し早足で歩いて、顔を見られないようにした。
「そっか、よかったね」
「うん!」
私は保健室のドアを開けると、誰もいないことを確認してからベットに座った。秋も私の横に座った。そしてまたにっこり笑って話の続きを話しだした。
「お母さんはさ、子供は1人でよかったんだよ。なのに私も産まれちゃって、じゃまだったみたい。でも、夏香が死んで、子供は私1人になった。やっと私は愛情をそそいでもらえる」
秋は私の方を見たが、私は何も返事はしなかった。なぜかとてもあつい体温。秋を見たくないとはじめて思った。
「沙弥香?」
「ごめん、何でもない」
そう言って保健室のドアをまた開けた。ガラガラという音とともに私は保健室を出た。ちょうど集会が終わったらしく、生徒が体育館から出てきている。私はこっそり列に入って教室へ戻った。騒がしい教室にぽつんと取り残された気分だった。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.13 )
- 日時: 2012/11/11 00:42
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
「では授業をはじめます」
先生の声とともにみんなが起立する。私もめんどくさそうに起立した。いすのギーギーという音がうるさく、耳障りだった。何もかもがイライラした。
「教科書の73ページを開いて」
理科の教科書には地震がおきる理由がイラスト付きで書かれている。先生は黒板に文字を書きながらも、生徒のようすを見ている。しかし、まともに授業をうけている人は少ない。泣くか、かたまって動かないか。とにかく、授業なんてできる状態ではない。私は先生の話は全く聞かずに、考え事をしながら黒板の文字をノートにうつした。
「こうやって地震がおきます」
先生の声が遠く感じた。なんでここにいるのだろう。秋が夏香を殺したのだ。警察に言えばすべて終わる。このモヤモヤもきっと消える。そう考えていたが、何も行動することはできなかった。ノートをうつしている手だけが動いて、あとは脳すらも働かせたくはなかった。そんな時、秋が保健室から帰ってきた。
「菊谷、大丈夫か?」
「はい」
秋はそう言うと自分の席につき、ノートと教科書を取り出した。秋のその姿は悲しみをものがたっていた。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.14 )
- 日時: 2012/11/11 00:55
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
夕日の差し込む教室。みんなは元気に部活。青春ごっこの真っ最中。バスケ部が5階まで聞こえる大きな声であいさつをしている。笛の音と、あいさつと、あとは吹奏楽部の楽器の音が合わさって不愉快だった。
「沙弥香、帰ろう」
「うん」
私たちはかばんを持って教室をあとにした。廊下は帰宅部が数名集まり、クラスメイトの愚痴を言いながら大爆笑。何が面白いのか、今では理解不能だ。階段で振り返ろうとした時だった。後ろから押された。私の後ろにいたのは秋だけだ。
「え!?」
私はそう言うと階段を転がり落ちた。頭がすごく痛かった。目の前が真っ赤だった。自分の手も赤色だった。秋はそんな私を見て、ポケットからナイフを取り出し私の手首を切った。そして、そのナイフを私ににぎらせた。まるで私が自分でやったように。
「ごめん、私の秘密を知るのは1人でいいの。今はお母さんの方が大切、信頼できる」
そう言うと走って行った。私は無気力にナイフを地面におくと、手首を見てふっと笑った。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.15 )
- 日時: 2012/11/11 01:06
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
「ねぇ!大丈夫なの!?」
「しっかりして、沙弥香ちゃん!」
「沙弥香、沙弥香!」
目を覚ますと、知らない場所で私は寝ていた。おばさんとおじさんと沙弥香ちゃんが私を見ていた。上手く動かない体を必死に動かし、自分の手を確かめるように見た、すると、やはり包帯が巻かれていた。だいたいのことは理解ができた。階段から落ちたとき、頭でもうってしまったのだろう。
「気がついた、よかった。沙弥香ちゃん」
おばさんは優しい声でそう言った。あたたかい声が胸にしみる。涙を流す渚ちゃん、ほっとした顔で私を見るおじさん。そしておばさん。私はなぜだか涙があふれた。あれ以来始めて泣いた。涙はとてもあたたかかった。
「沙弥香!心配させんじゃないわよ!」
渚ちゃんはそう言って後ろを向いた。泣いているところを見られてくないのだろう。私は無言でもう一度自分の手を見た。秋がつけた傷だ。秋が私を裏切ったのだ。
「秋は?」
おばさんは私の声と同時に何もしゃべらなくなった。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.16 )
- 日時: 2012/11/11 10:27
- 名前: 梓守 白 (ID: Oiud.vUl)
はじめまして。
とってもおもしろいです!
登場人物のからみや心情が、すごく濃くて、話に吸い込まれるような気分になりました。
これからも更新頑張って下さい。