社会問題小説・評論板
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- 人間なんて、大嫌い
- 日時: 2012/11/02 23:34
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
こんにちは、もしくははじめまして。
凛といいます。
社会問題系ははじめてですが、
よろしくおねがいします。
コメント、アドバイスは大歓迎です。
荒らしなどはやめてください。
文才ないですが、
それでもOKな方はどうぞ、よんでください。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.2 )
- 日時: 2012/11/03 15:12
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
第一章
自分の部屋に戻ると、私はまた勉強をはじめた。私の部屋にはゲームなどはなく、勉強に必要なものと本、あとはカメラぐらいしかなかった。小さい頃から、私の親はゲームなど買ってはくれなかった。
「おい、沙弥香。」
背後からいきなり声が聞こえた。その声は渚ちゃんの声。また私をいじめにきたのだ。毎日のように続く暴力。しかし、私はそれがあたりまえになっていた。
「キモイ、ウザイ、死ね、消えろ」
渚ちゃんはそう言いながら私をなぐり、けり、私の体にあざをつけた。もちろん見えないところに。だからおばさんたちは知らない。
「本当、なんであんた生きてるの?」
渚ちゃんは私の部屋を出て行った。私はまた勉強をはじめた。涙も出なかった。産まれてからずっと、こんな毎日。私の親も私に暴力をふるっていた。だいぶ昔のことで、よく覚えていないが、母と父は家と外で別人のようだった。いつも笑顔で近所の人とあいさつをしていた。しかし、そんな母と父は事故で死んだ。私はそれ以来、涙を流していない。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.3 )
- 日時: 2012/11/03 17:47
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
目を覚ますとまだ5時だった。外はまだ暗く、人通りもない。私は顔を洗いに洗面所へむかった。水がとても冷たかったが、私はそのまま顔を洗った。そのあと、私は台所にあった食パンを一枚とると、トースターの中へといれた。テレビをつけると、ニュースがやっていたので、私はニュースを見ながら食パンを食べた。
『今日はとても寒い1日になるでしょう』
日本列島の地図には、雪のマークがいくつもついていた。私はため息をついた。雪は嫌いだからだ。雪が降っても寒いだけでいいことなどなかった。雪で一緒に遊ぶ友達がいなかったからだ。
私は食べ終わると、お皿を洗い、制服に着替えた。私の通っている中学校学校の制服はセーラー服だった。私は服をいれている棚から、マフラーとカーディガンを出した。そして、棚の上に無造作におかれている、校章と1年2組の組章のついている名札と、制服のリボンをとった。
部屋をでた時、おばさんと会った。おばさんは眠たそうな目をこすりながら部屋からでてきた。
「あら、おはよう沙弥香ちゃん」
「おはようございます」
どうでもいいようなあいさつをかわしたあと、おばさんは台所へむかった。私はかばんを持って、リビングへとむかった。
「沙弥香ちゃん、もう朝ご飯は食べたの?」
「はい、食べました」
おばさんは、洗ったばかりのお皿をみて私に問いかけた。私は小さな声でおばさんに返事をした。おばさんは私の返事を聞くと、りんごをむいた。そして私にりんごの入ったお皿をわたした。
「昨日も勉強頑張ってたんだから、朝ご飯ぐらい私に任せて。」
おばさんはやさしくほほえんだ。私は、はい。と返事をしてからそのりんごを食べている時、ニュースキャスターが聞き覚えのある名前をくちにした。私はテレビを見ると、クラスメイトの写真がテレビに映されていた。その横には、自殺というもじもあった。
「この子、沙弥香ちゃんのクラスメイトよね?」
「‥‥‥‥はい」
「自殺って‥‥‥」
おばさんはそれ以上何もしゃべらなかった。テレビからの音だけがリビングに響いた。そこに何も知らないおじさんが来た。おじさんは椅子に座ると、おかれていた朝食を食べながらいった。
「どうかしたのか?」
おばさんは真っ青な顔でおじさんをみた。おじさんはおばさんの顔に驚き、そして、ニュースの内容に気がついた。
「自殺?渚と沙弥香と同じ年か‥‥‥‥」
「お父さん、この子。沙弥香ちゃんと同じクラスの子よ!」
「え!?そうなのか沙弥香?」
「はい」
おじさんとおばさんは2人とも真っ青な顔でニュースを見ていた。私は、最初は驚いたが、理由がすぐにわかったので、もう驚きはしなかった。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.4 )
- 日時: 2012/11/04 20:55
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
菊谷夏香はいじめにあっていた。自殺の原因はいじめだろう。
『今、小野沢西中学校の前にきています。自殺した中学1年生の少女はあそこの屋上から飛び降りたそうです。』
カメラに写った見慣れた学校の屋上は、フェンスが壊されていた。学校の校門にはたくさんのマスコミが集まっているらしく、いつもの学校とは思えないような光景だった。
「沙弥香ちゃん、今日は学校お休みだって、さっき電話があったわ」
おばさんはそう言うと渚ちゃんの部屋へむかった。渚ちゃんはなんと反応するのだろう。悲しむだろうか、喜ぶだろうか。しかし、それは今、どうでもよかった。菊野秋のことが気になった。菊野秋は菊野夏香の双子であり、菊野夏香をいじめていたグループのリーダーだ。
「おばさん、私でかけてきます。」
私はそう言うと走って家をでた。おばさんはあわてて玄関まで来て、学校には行っちゃだめよ!と言うとまた家の中へ入った。私は凍っている水たまりを飛び越えて、交差点の前まで来ると、信号が点滅していたのも気にせずにそのまま走った。寒くて耳が痛かったが、私は夢中で走った。菊野の家の前には車が一台止まっていた。あわてて止めたのだろう、ななめになっている。私はいきおいでここまで来てしまったが、今は後悔していた。私が来たところで何もできないからだ。私は手をぎゅっとにぎった。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.5 )
- 日時: 2012/11/06 19:59
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
とても寒かった。帰ろうと決心した時、菊野秋がでてきた。秋は私を見ると、ボロボロと泣き出した。私は秋のもとへ走った。
「沙弥香、私どうしたらいいんだろう?」
「秋、落ち着いて!」
「でも、でも、夏香が!」
秋は誰が見てもわかるくらい動揺していた。手がふるえ、髪の毛はぐしゃぐしゃ。そして、なぜか手にはりんごをにぎっていた。手がふるえているせいで今にもりんごは落ちていまいそうだった。
「ごめん、家の中で話そう」
「え!?いいの、こんな忙しい時に‥‥‥‥」
「うん、お父さんとお母さんは学校に行ってるから」
秋はそう言って家の中へ入っていった。私も秋のあとに続いた。秋の家の中は少しちらかっていた。それもそのはずだ、秋の双子の妹、菊谷夏香が自殺したのだ。
「あの、あのね。夏香が、夏香が!」
「わかってる、自殺‥‥‥‥‥だよね?」
秋の顔は真っ青だった。こきざみにふるえる肩が止まるけはいはない。しかし、秋はふるえたまま首を横にふった。そして、そのまま何もしゃべろうとはしなかった。長い沈黙から逃げるように私は秋に聞いた。
「どうしたの?話して。」
「うん」
秋は何かを思い出すように遠くを見た。そして、もう一度視線をりんごへむけると、話しだした。
- Re: 人間なんて、大嫌い ( No.6 )
- 日時: 2012/11/06 20:24
- 名前: 凛 ◆DsGFCj9jkQ (ID: mJV9X4jr)
菊谷秋目線
親は夏香にばかり異常なほどの愛をそそいだ。そして、私は虐待にあっていた。毎日が地獄のような毎日を過ごしてきた。それが原因なのだろう、私は夏香が大嫌いだった。それは今でも変わらない。
「夏香なんて、いなくなればいいのに!」
毎日そう思った。小さな声で口にしたこともあった。もちろん、親にバレないように。しかし、中学一年生の春。そう、今年の春。私は沙弥香と出会った。沙弥香も虐待にあっていたという話を聞いたときは「運命だ」とまで思った。そして、今でも暴力をうけていると聞き、私にそっくりだとも思った。おばさんたちにたくさんの愛情をそそいでもらっていることは少し嫉妬もしたが、私たちは約束したのだ。あの時のことは今でもよく覚えている。静かな教室で私たちの声だけが聞こえた。手を取り合って、約束した。
「ねぇ。約束だよ‥‥‥‥‥2人だけの」
「うん。わかってる」
「‥‥‥‥‥夏香をいじめよう」