社会問題小説・評論板

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その人の花は枯れていく。
日時: 2013/05/06 18:38
名前: 来夏 (ID: pHBCaraS)

 その人の花は、枯れていく。
 傷によって、その人の花は枯れていった。

 完全に枯れたら−−その人は死んだ者だと思う。


 花はその人の人生なのだ。

 
 ◆詳細

 この小説は、“虐め”ものです。
 フィクションとノンフィクションが入っています。
 過度な暴力表現などが苦手な方は、ご覧にならない方がいいと思います。
 
 この作品は
 “暗闇の世界で、翼は溶けていった”と同じ舞台です。
 ですので、その作品に出ている人物も登場します。


 ■目次


 学校説明→>>1
 登場人物→>>2
 登場人物Ⅱ→>>15

 ■話のまとめ
 
 第1章『A組の生徒』 >>10

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.11 )
日時: 2013/02/17 12:58
名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y (ID: pHBCaraS)



 episode 中館美鈴


「……」


 給食の時間。
 今日のメニューは、コッペパンに苺ジャムとマーガリン。おかずはポテトサラダに、白身魚のフライ。コンソメスープで、デザートはブドウゼリー。


 隣の真辺雫は、怯えながらコンソメスープを口に入れている。今日のターゲットは、違うけども。
 その隣の八神千沙は、隣の席の七瀬広夢と話している。
 私の前の席の男子、正樹賢吾は白身魚のフライを普通に食べている。その隣の男子、近藤勇は七瀬広夢に話しかけられて、八神千沙と一緒に食べている。


「……」

 私はというと、コッペパンを食べながら隣の班の言葉に苛立ちを覚えている。


「このメンバー以外と、絡みたくないやー。絶対性格合わないもん」
「分かる分かる。馬鹿ばっかな気がする」


 小島飛鳥と早瀬要の言葉が、先程からイライラする。
 馬鹿な発言をしているのは、そちらの方だろ。


 ふと視線を感じて、その視線の方向を見る。
 その視線の先には、正樹賢吾。


「……何?」
「……同じか」


 その意味が分からなかった私は、じっと正樹賢吾を見る。
 正樹賢吾は私を見て、首を振る。


「……何でもない」


 そう言って正樹賢吾はポテトサラダを口に運んだ。
 何を言いたいのか、分からなかった。


「てか四之宮居たじゃん。あいつ、やっと消えるんだねー!」
「そそ。目障りだったもんね。美人なの、あれ」
「お前らひでーな。頭良いのに」
「それでもバカはバカじゃん」


 ああ、この人達は猿以下だ。
 ただ、人をバカにして、見下す事しか出来ないバカだ——


「八神、剣道昔からやってたの?」
「趣味でおばあちゃんに教えてもらってたよー」
「凄いね、八神さん」


 この三人みたいな、平和な会話をしない。
 心なんて無いのだろう。


 ただ、止める気にもなれない。
 私は、中立を望む人だから。
 


 

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.12 )
日時: 2013/02/23 21:35
名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y (ID: pHBCaraS)


 episode 和川麗



 放課後、明日香と別れて校門へ歩こうとした時だった。
 ちょうど大和と杏子、琳華、何故か古川と千原という異色なメンバーに出くわした。


「何が起きてそうなったの?」


 あたしの第一声は、それだった。
 古川はイライラしてるけど、千原は目が腫れていた。大和と杏子は寄り添うようにしてて。琳華は苦笑しながら、返してくれた。


「えーと……こうなったのは、偶然、かな?」
「……えっとさ、古川はイライラしてるのはいつもの事だとして——千原は?」


 古川は舌打ちをしながら、こっちを見る。悪いが、青いカラコンでこちらを見られても、全然怖くない。
 すでに大和で慣れてて、多少の不良なら喋れる。千原は身体をびくっと震えさせながら、あたしに返した。


「あー……ちょっと、真奈美達から……うん」


 ? 真奈美って誰だ。分からない。


「麗、真奈美って日村とか……ってわからねーか」
「ごめん。全く分からない。琳華以外は付き合ってるって事でいいの?」


 真奈美なんて知るか。そんな事どうでもいい。
 杏子達は付き合ってもおかしくない。あと、古川と千原も。
 琳華、よくこの二組と一緒に居れたなぁ。


 すると案の定、二組がしゃべる。



「麗っ、何を言ってるんだよ!」
「おいすげーイライラしてる時に、何言ってやがる!」
「ちょ、ま、古川とはそーいう……」
「えーと……?」


 四人一気にしゃべったせいで、何が何だか分からない。
 というかこういう平和でいいのにな、クラスも。


「……取りあえず一人ずつ喋って。五月蠅い」
「はは……」


 琳華は笑ってるだけだ。そういえば琳華、このカップル組と帰ってて辛くなかったのかな。




Re: その人の花は枯れていく。 ( No.13 )
日時: 2013/03/14 21:00
名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y (ID: pHBCaraS)


 episode 八神千沙



 心配だなぁ。鹿島君達、大丈夫かな?
 掲示板に貼ってある紙を見ながら、あたしはため息をついていた。

 
 今日の部活は、自主練だからみんな遊びに行ったりしている。
 けどあたしは、そんな気分になれなかったから、学校内を散歩していた。


「あ、鹿島君」
「八神」


 鹿島君とは、あるつながりがある。
 あたしは、この人の事が好きだ。けど、今は言わない。
 鹿島君がどう思ってるかは知らない。でも、笑顔は見せてくれる。


「練習は?」
「練習してたけど、休憩もらったよ。ちょっと集中出来なかったし」
「珍しいね」


 矢上君は、大丈夫なんだろうか?
 元々同じ名字だから、何か親近感はあるけど。


「明日から、四之宮復活だからなー……。みんな、いつも通りシカトだろうけど」


 そういう鹿島君は、ため息をついている。
 ——鹿島君は、巻き込まれないのだろうか。


「ねぇ、鹿島君。巻き込まれないの? ちょっと心配だった」


 そんな言葉を口にしたら、鹿島君は驚いた。
 掲示板の前で、立ち尽くす二人。幸いこの時間は、人はあまり通らない。


「え、俺の事心配してたのか?」
「うん。それに……四之宮さんが停学してから、調子に乗り出してる人達居るからさ」


 鹿島君達のクラスは、はたしてどうなるんだろ。



 その心配は、鹿島君としばらく会話してから——一日後に当たってしまった。



 そんな事を知らなかったあたしや鹿島君は——自分のクラスのいじめについて、話していた。

 

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.14 )
日時: 2013/05/05 14:05
名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y (ID: pHBCaraS)



 episode 正樹賢吾



 どこでもいじめは起きる。
 でも俺は、いじめが嫌いだった。けれど、俺は止めていない。
 

「……これって、証拠になるのか?」


 個室を与えられた俺は、ベッドに座ってノートを開いた。それは、俺のクラスでのいじめの事。
 日にちも、ちゃんと書いて、その日のターゲットの事や小島達の暴言を書いている。


 いじめは、こういう証拠を残したりすればまだいいらしい。
 けれど小島達は、暴力や悪戯をしていないので、写真を撮る事は出来ない。


「……次はボイスレコーダーか」


 俺は、馬鹿げている事をしているあいつ等のいじめを止めたかった。
 でも俺は、一人で居る。だから、止めても予想は出来ている。逆に自分が危ないかと思う。


 だから、こうやってちまちまと証拠をそろえている。
 明日からはボイスレコーダーで証拠をさらにそろえる。


 今は無理だけど、いずれ酷くなった時にこれを見せればきっと止められる。
 あの学校の先生達が、信じるかどうかは別として。


「藤原先生に見せてから……か。難しいな」


 そう呟いた時、ドアをノックされた。


「お兄ちゃんー。"翼をください"のCD貸してー」
「ちょっと待ってくれ」


 妹の未来(みく)だったか。 
 俺は立ち上がると机の上に置いてあった、CDを手に取った。


「未来、何でこのCD?」


 ドアを開けながら、俺はそう聞いた。
 未来はセミロングの髪を揺らしながら、こう答えた。目つきは鋭いが、これが素だ。


「んー。この曲気に入ってるから」


 そう言いながら、CDを受け取る。


「お兄ちゃん、ありがとー」


 そう言って、未来は笑った。嬉しそうに鼻歌まで歌いながら。


Re: その人の花は枯れていく。 ( No.15 )
日時: 2013/05/13 19:14
名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y (ID: pHBCaraS)

 登場人物Ⅱ
 (暗闇の中で、翼は溶けていった。の人物も入っています。
  名前だけのキャラも……)


 □榎本琳華(えのもと りんか)

 大和繋がりで、麗と仲が良い。
 紘歌によって、いじめのターゲットにされている。


 ■鹿島龍太郎(かしま りゅうたろう)

 琳華達と同じクラスで、千沙と仲が良い。
 顔が良い、性格が良い為モテているが本人は全く気にしていない。
 いじめに関しては否定的。


 □工藤雛(くどう ひな)

 希と一年の時同じクラスで、仲が良かった。
 しかしクラスが離れてから、まったく喋っていない。


 □椎名杏子(しいな きょうこ)

 大和繋がりで、麗と仲が良い。
 紘歌によって、一年〜二年途中まで不登校に追い込まれていた。
 大和のお蔭で学校に復帰する。
 


 ■四之宮紘歌(しのみや ひろか)

 頭も運動能力もトップクラス。顔も割といい。
 裏のあだ名は「虐め女王」
 杏子を不登校に追い込んだ張本人。
 先生受けもいいが、今は停学中。


 ■瀬戸廉(せと れん)

 輝咲の幼馴染兼彼氏。
 冷静だが、輝咲には割と喋る。
 紘歌と同じクラスだった。



 □千原南(ちはら みなみ)

 流星と仲が良い少女。紘歌のグループの一員だが、まともな感性がある。
 しかし紘歌に怯え、いじめをする際は保健室へ避難していた。
 


 □藤原葉子(ふじわら ようこ)

 保健室の先生で、榎本達の味方。
 一年前の事件を知っていたが、榎本達の虐めが過激になった事で、味方になった。
 立場上弱いものの、一方の意見を聞かない様に立ち回っていた。 
 


 ■古川流星(ふるかわ りゅうせい)

 南や大和と仲が良い。典型的な不良で、カラーコンタクトをしている。
 麗とは相性が悪い。
 大和が裏切った際、大和を虐める事に耐えれず、匠達と共に大和に謝り、紘歌の停学の際に和解した。


 □正樹未来(まさき みく)

 賢吾の妹。
 音楽鑑賞が趣味で、賢吾から良くCDを借りている。
 賢吾との仲は普通。


 □吉野光理(よしの ひかり)

 聖奈の姉で、介護職。
 身体の弱い聖奈を、仕事をしつつも世話をしている。
 聖奈との仲は良好。


 ■若林大和(わかばやし やまと)

 麗の幼馴染。典型的な不良。
 あるきっかけで杏子と親密になり、杏子を守る・学校に行かせようとした為、最終的に紘歌達を裏切る。
 自身もターゲットになっている。


 


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