社会問題小説・評論板
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- その人の花は枯れていく。
- 日時: 2013/05/06 18:38
- 名前: 来夏 (ID: pHBCaraS)
その人の花は、枯れていく。
傷によって、その人の花は枯れていった。
完全に枯れたら−−その人は死んだ者だと思う。
花はその人の人生なのだ。
◆詳細
この小説は、“虐め”ものです。
フィクションとノンフィクションが入っています。
過度な暴力表現などが苦手な方は、ご覧にならない方がいいと思います。
この作品は
“暗闇の世界で、翼は溶けていった”と同じ舞台です。
ですので、その作品に出ている人物も登場します。
■目次
学校説明→>>1
登場人物→>>2
登場人物Ⅱ→>>15
■話のまとめ
第1章『A組の生徒』 >>10
- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.1 )
- 日時: 2012/11/05 23:21
- 名前: 来夏 (ID: xwXeKUvt)
宮桜(きゅうおう)中学校
どこかの県の、どこかの市にある中学校。
沢山の桜の木が植えられている、一部の運動部が強豪な事で有名。
一学年三十人〜三十四人、四クラスで構成されている。
制服は紺のブレザーに、赤い無地のネクタイ・赤いチェックのスカート・ズボンが基本。セーターや靴は何でもあり。
制服の着崩しは許されているので、生徒はそれぞれ自分の好みにあった服装をしている。
カラコンなどは禁止だが、している生徒もいる。
髪の色は基本黒だが、茶髪などは地毛のみ認めている。
明らかに染められているのには注意するが、それや髪型については黙認状態になることも。
学校自体が“高校”じゃないかと思われている。
二年A組は三十二人。
- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.2 )
- 日時: 2013/07/05 19:37
- 名前: 来夏 (ID: pHBCaraS)
登場人物
(出席番号順)
□相宮輝咲(あいみや きさき)
出席番号一番。
おっとりしているが、不思議な部分がある。
D組の瀬戸とは、恋愛関係にある。
バトミントン部所属。
■安藤尚樹(あんどう なおき)
出席番号二番。
目つきが悪く、いつも悪そうな笑みを浮かべている。
野球部所属。
■宇月陽向(うづき ひなた)
出席番号三番。
宇宙について詳しい男子。
本田沙耶と付き合っている。
課外での部活動をしている為、身体は引き締まっている。
科学部所属。
□遠藤香(えんどう かおり)
出席番号四番。
あまり喋らないが、英語の発音が良く英語は大得意。
吹奏楽部所属。
■小田翔也(おだ しょうや)
出席番号五番。
低身長だが、動きは速い。
バスケ部所属。
■北村一平(きたむら いっぺい)
出席番号六番。
いつも無表情の為、何を考えているか分からない。
図書委員会所属。
□黒澤こころ(くろさわ こころ)
出席番号七番。
目つきがきつく、どちらかといえば悪い意味で目立っている。
友人以外とは絡まない主義を持っている。
帰宅部。
□小島飛鳥(こじま あすか)
出席番号八番。
自分より下な人とは絡まない主義を持っている。
帰宅部。
■近藤勇(こんどう いさむ)
出席番号九番。
名前の漢字は、とある歴史人物と一緒。
弓道部所属。
□咲野桃子(さきの ももこ)
出席番号十番。
植物が好きで、家は花屋。
園芸委員所属。
■佐藤誠(さとう まこと)
出席番号十一番。
おっちゃらけているイメージを持たれている。
バスケ部所属。
■須貝健斗(すがい けんと)
出席番号十二番。
たまに学校をサボる事もある不良男子。
若林大和とは結構話す仲。
テニス部所属。
□瀬川優那(せがわ ゆうな)
出席番号十三番。
明るく、ムードメーカー。
生徒会副会長。
■曽我明良(そが あきら)
出席番号十四番。
自分の意思をしっかりと伝える事が出来る。
それ故に誤解を与える事も少なくない。
生徒会委員会担当。
□外田希(そとだ のぞみ)
出席番号十五番。
背が172㎝と高く、初対面の人物には男と勘違いされる事も。
日向明日香と話す時も。
バスケ部所属。
■田川颯(たがわ はやて)
出席番号十六番。
不登校児。
クォーターで金髪。顔は少し外国の血が入っている。
自分とは違う理由で登校出来ない吉野と、仲が良い。
帰宅部。
□千葉愛子(ちば あいこ)
出席番号十七番。
暗い性格で読書家。
黒澤達に対して、憎悪の感情を持っている。
図書委員会所属。
□中館美鈴(なかだて みすず)
出席番号十八番。
冷静沈着で中立的な立場をとる事が多い。
家庭科部所属。
■七瀬広夢(ななせ ひろむ)
出席番号一九番。
大らかで優しい性格。
卓球部所属。
■野村秀哉(のむら しゅうや)
出席番号二十番。
頭が良いが、人を見下す部分がある。
口が悪く、人を傷つける事が多い。
風紀委員会所属。
■早瀬要(はやせ かなめ)
出席番号二十一番。
野村と仲が良く、こちらも他人を見下す部分がある。
サッカー部所属。
□日向明日香(ひなた あすか)
出席番号二十二番。
運動能力が高く、どんなスポーツでも一通りこなせる。
小島達に対しては呆れの感情しか持っていない。
バスケ部所属。
□本田沙耶(ほんだ さや)
出席番号二十三番。
音楽鑑賞と読書が趣味。
宇月陽向と付き合っている。
広報委員会所属。
■本堂陸(ほんどう りく)
出席番号二十四番。
スポーツが好きで、特にボール系の競技が得意。
野球部所属。
■正樹賢吾(まさき けんご)
出席番号二十五番。
正義感が強く、物事を冷静に考える事が多い。
いじめの証拠をこっそりと記録している。
妹が居る。
帰宅部。
□真辺雫(まなべ しずく)
出席番号二十六番。
大人しく人の考えに流れやすい。
吹奏楽部所属。
□村木空乃(むらき そらの)
出席番号二十七番。
空を見る事が好き。
テニス部所属。
□八神千沙(やがみ ちさ)
出席番号二十八番。
厄介事に巻き込まれやすい体質。
D組の鹿島と仲が良い。
剣道部所属。
□吉野聖奈(よしの せいな)
出席番号二九番。
身体が弱い為、あまり学校にきていない。
田川とは、入院していた病院で出逢っている。
その為、唯一交流があるクラスメイトは田川のみ。
帰宅部。
■四橋光大(よつはし こうだい)
出席番号三十番。
母子家庭で、その影響で料理が得意。
授業を真面目に聞いている。
帰宅部。
■六原雅史(ろくはら まさふみ)
出席番号三十一番。
無口で一人で居る方が多い。
卓球部所属。
□和川麗(わがわ れい)
出席番号三十二番。
主人公。
一年前病気で入院していたが、今は何ともない。
D組の若林大和とは幼馴染。
帰宅部。
- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.3 )
- 日時: 2013/02/17 12:02
- 名前: 来夏 (ID: pHBCaraS)
episode 和川麗
幼馴染と友達が、虐めのターゲットになってからウチのクラスも少し調子に乗り出した。
いや、クラスじゃなくて、あいつ等が。
「麗、じゃあな」
「また……後で」
「うん。杏子、大和。またね」
右手を振って、あたしは教室へと入る。そしたら−−ほら、これだ。
「うっわ、きもー」
「いつも読書ばっかしてて、気持ち悪いわー」
「頭悪い癖に、いい子ぶってるんだろ」
「うわ! 秀哉きっつ!」
自分達以外の人間は、見下しているあのグループ。毎回ターゲットを変えて、こうやって悪い意味の言葉を口にしている。
——そしてターゲットは、千葉か。
悪口を言われている千葉の背中は、少し震えていた。しかし表情は無表情だった。
そんな千葉を見ていた時、あたしは話しかけられた。
「麗、おはよー」
「おはよう」
毛先が跳ねた、栗色のショートカット。半袖のベージュのベストを着ていて、ネクタイを着けている。
そんな外見の女子、日向明日香。一年から通っておらず、二年から通い始めたあたしに、唯一話しかけてくれた女子だった。
“天才少女”と呼ばれてるけど、本人は気にしても居ない。ただ、スポーツが好きで一通りやっただけらしい。
「……相変わらずだね」
「そーなんだよね。まぁあいつ等より、停学になったあの人の方が悪い方だとは思うけどさ」
小声で話しながら、席に着く。ちょうどあたしと明日香は、前と後ろの席で、授業中に良く手紙交換をしたりしている。
たわいもない事だけども。
「千葉さんー、そんな本ばっか読んでて頭おかしくなんないのー? いや、すでにおかしいか!」
あんたの頭がおかしいよ。小島。
そう思いながら、あたしは「はぁ」とため息をついていた。
- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.4 )
- 日時: 2012/11/15 20:15
- 名前: 来夏 ◆mEmTKV/S.k (ID: xwXeKUvt)
episode 日向明日香
「千葉さんー、そんな本ばっか読んでて頭おかしくなんないのー? いや、すでにおかしいか!」
それを大声で言うあいつ等は、何なんだろうね。
まぁあいつ等の場合、全員あたし等を見下しているようなもんだから、常識みたいなのは無い。
さっき千葉に対して悪口を言っていたのが、こげ茶の髪を高いところで二つに結んでいる、小島飛鳥。制服は完全に着崩していて、ネクタイなんて着けていない。
小島は、あたしと同じ名前だ。正直嫌だなとは思うけど。
「言い過ぎだって! 泣いちゃうよー?」
そう言いながら笑っているのは、黒澤こころ。黒いセミロングに、前髪を右に流している。眉はとても細くて、目つきも悪い。
黒澤は、小島達と以外関わりたくないっていう変な主義を持っているらしい。
「泣いたって、ほんとの事実を言ってるだけじゃねーか」
黒縁の眼鏡を掛けながら、そう笑っているのは野村秀哉。頭は良いけど、人を見下してバカにしている男子。
はっきり言って、女子の評判は最悪だと思ってる。
「そりゃあそうだよなー。キモイし」
どっかのアニメのキャラみたいに、右目を長い茶髪の前髪で隠しているのが、早瀬要。野村と仲が良くて、こっちも見下している。似た者同士ってとこか。
「アホくさ」
前の席に座る麗は、呆れている。
麗とは、良く手紙交換をしたり土日は一緒に遊ぶ事が多い。
今はバスケ部を、とある事情で休んでるから遊べるんだけど。
「そだね。曽我と須貝も、そう思う?」
麗の隣の席は、曽我明良。あたしの隣の席は、須貝健斗。
栗色の短髪で、前髪がやや長めの曽我は、自分の意思をしっかり持っている男子。
前髪を右に流し、目つきが鋭い須貝は、たまに学校をさぼっている男子。
「そうだな。アホくさいけど、止める気にもなれない」
「あいつ等なんて、まだいい方じゃねーの? 流星達の方なんて、すげーからな」
「流星?」
流星という名前に、あたしは聴き返した。すると麗が説明してくれた。
「大和の友達。大和の方は、暴力もあるからこっちはまだマシ」
「でも、暴力より言葉の方が痛いって聞いたぜ。あ、これは流星が話しかけた男子が言ってたらしい」
そうそう、このクラスはD組よりもグループ分裂が多い気がする。
まず、あたしと麗、須貝、曽我は班替えをしても結構一緒に居る。
これで一つ目のグループ。あたしはたまに、希と話している事もあるが。
二つ目は、小島、黒澤、野村、早瀬。こいつ等に話しかける奴なんて、存在しない。
三つ目は、相宮、咲野、瀬川、八神。このグループは、確か学年内ではモテる方だった気がする。
四つ目は、本田、真辺、村木。本田と村木は普通だったけど、真辺はけっこう大人しかった気がする。
五つ目は、遠藤、千葉。どっちもあんまり喋らないけど、何となくペアになる事が多かった。
六つ目は、希と中館。中館は綺麗な顔立ちをしているけど、その目は凄く冷たかった。そんな気がする。
七つ目は、宇月と近藤、七瀬、四橋。この四人は、大人しい方に入る。
八つ目は、安藤、小田、佐藤、本藤。どちらかって言えば、いい意味で目立つタイプの集まりだった。このグループは、相宮達と話す事が多かった。
北村、正樹、六原は一人で居る。不登校の田川、身体が弱い吉野は、グループには所属していない。
「……」
こんな状態なら、虐めが起きるのも無理はないよなー。
あたしはそう思った。
- Re: その人の花は枯れていく。 ( No.5 )
- 日時: 2012/11/16 20:24
- 名前: 来夏 ◆mEmTKV/S.k (ID: xwXeKUvt)
episode 千葉愛子
何でここまで言われなきゃいけないのよ。
ただ、好きだから読んでいるだけなのに。それすら、許されないの?
ほっといてよ、集団でしか悪口を言えない癖に。
芥川龍之介の「羅生門」を読んでいるのを、邪魔される。
あいつ等は、ターゲットを変えて悪口を言っている。
暴力は振るわない。けれど、言葉の暴力を容赦なくあびせる。
あんな奴ら、生きる価値なんて無いのに。
死ねばいい、あんな奴等なんか。
いまだに後ろで、私に対しての悪口を言っている奴らを一瞬だけ見る。
あいつ等は気づかなかった。私が、一瞬だけ冷たい目で見た事に。
「………」
本当、死ねばいいのに。
あんな奴ら、殺されればいいのに。
このクラスの人達は、絶対そう願ってる。
生きてる価値なんか、ない。
そう思いながら、私は羅生門を読み進めた。