社会問題小説・評論板

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

その人の花は枯れていく。
日時: 2013/05/06 18:38
名前: 来夏 (ID: pHBCaraS)

 その人の花は、枯れていく。
 傷によって、その人の花は枯れていった。

 完全に枯れたら−−その人は死んだ者だと思う。


 花はその人の人生なのだ。

 
 ◆詳細

 この小説は、“虐め”ものです。
 フィクションとノンフィクションが入っています。
 過度な暴力表現などが苦手な方は、ご覧にならない方がいいと思います。
 
 この作品は
 “暗闇の世界で、翼は溶けていった”と同じ舞台です。
 ですので、その作品に出ている人物も登場します。


 ■目次


 学校説明→>>1
 登場人物→>>2
 登場人物Ⅱ→>>15

 ■話のまとめ
 
 第1章『A組の生徒』 >>10

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.6 )
日時: 2013/02/18 21:28
名前: 来夏 ◆mEmTKV/S.k (ID: pHBCaraS)

 episode 相宮輝咲




「……」


 わたしは、良く図書室に行ったり屋上へ行ったりしている。
 教室へあまり居たく無いのが、理由だった。
 

 ——毎日ターゲットを変えて、悪口を言っている人達を見たくないから。
 わたしも、ターゲットにされた事がある。


『不思議ちゃんっぽくてキモい』
『モテてるけど、調子に乗ってるんじゃないー?』


 主に黒澤さん達から、言われた事だった。
 実際、不思議ちゃんって言うのは小さい時から言われてたけど。


「……廉のところも、すごいんだろうなぁ」


 D組の幼馴染で、大切な人でもある瀬戸廉。
 四之宮さんが、停学になったって話を聞いたけどそれでも虐めは続いているらしい。
 本人は「関係ないし」って言っているけど。


「廉ー」


 図書室は広く、一人で読む席もあったり、さらに多人数で読める様にとさまざまなスペースも作ってある。
 廉は、二人用のスペースにある椅子に座っていた。こっちを見て、小さく手を挙げた。


「……相変わらず、そっちは精神的な虐めが好きみたいだな」
「四之宮さんが停学になったって聞いてから、あの人たち少し調子に乗り出したよ」


 本当の事だけど、なんか嫌な予感しかしない。
 いや、本当に嫌な感じしかしないんだ。

「……どいつもこいつも、バカばっかだな」
「廉、そんな事言っちゃダメだよ。いい人もいるんだから」


 廉のこの口調は、的を得てる、って言ってもいいのかな。当たってるけど、この口調もあって友達が出来ないらしい。
 本人は一人の方が楽、って言ってるけど。


「……平和だぞ、今は」
「四之宮さんが、居ないから?」
「あぁ。当たり前だ」


 廉は、あの人が居なくていい−−って思ってるのかと思った。


「どうして?」
「毎日暴力ばっかしてるからだ」


 淡々と答える廉を見ながら、ふと思った。
 同じクラスだったら、どうなってるのか。


 ——怖いなぁ、これから。

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.7 )
日時: 2012/12/04 20:48
名前: 来夏 ◆mEmTKV/S.k (ID: xwXeKUvt)



 episode 田川颯


「……」


 俺の髪は、父親譲りの金髪だった。クォーターとか言うらしいけど、良く知らない。


 俺は、不登校だった。世間とか、そういうのからしたら「学校へ通え!」だ。
 いじめられた訳でもない。俺が通わない理由は−−



 あんな奴らが居る所に、行く必要なんてないと思ったから。



 父親と母親をバカにされ、さらに見た目までバカにされたから俺はぶん殴った。
 全員、右頬だけ本気で殴った。女子にも遠慮なく。


 それ以来、行かないと思って行かない事にした。


 親は「いつか、行きなさい」で終わった。俺はただ逃げてるだけかもしれないが、あんなのと居たらストレスが溜まる。
 そう思った。



「……吉野んとこ、行くか」



 身体が弱く、不登校状態に近い女子。
 たまに電話をしたり、見舞いには行ったりしている。きっかけは、病院で喧嘩の傷を見てもらっていた時だったけども。



「……行くか。様子を見に。学校と吉野を」


 俺はこの時知らなかった。
 学校で、虐め女王とか呼ばれていた女が、停学になっていた事を。

 
 そして、あいつ等が調子に乗り出していた事を。

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.8 )
日時: 2013/02/11 13:35
名前: 来夏 ◆mEmTKV/S.k (ID: pHBCaraS)

 episode 吉野聖奈



「……」


 ようやく病院を退院できた。昔ある病気で入院してから、身体が弱くなった。
 風邪は引きやすいし、下手したら肺炎にかかる時もある。


 学校へはまた行けないと思う。ストレスも溜まりそうで、とてもじゃないけど行けない。


「聖奈ー。颯君来たよー」


 介護職で休みもまちまちなお姉ちゃん。今月は比較的休みが多い方らしいけど。


「うん。お姉ちゃん、ありがとう」
「いーえ、どういたしまして」


 ドアの向こうで、私とお姉ちゃんは会話を終えた。そしてかわりに、颯君の声が聞こえた。


「おい。入っていいか」
「どうぞ」


 わたしの部屋に入ってきたのは、きれいな金髪を持った男の子だった。
 目は黒だし、少し顔立ちは外国人の様な感じがする。
 この人は、わたしと同じクラスの人だった。


「さっき、光理さんから聞いた。退院おめでと」
「ありがとう。でも、まだ行ける状態じゃないんだ」


 そう返して、わたしは笑った。
 わたしはベッドに座り、颯君はその隣に座った。少し距離があるけれど。


「いや、あの学校行ったらお前色々言われると思うから、やめとけ」
「うーん、考えとくよ」


 颯君がなぜこういったのか、わたしには分からなかった。

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.9 )
日時: 2013/02/16 12:08
名前: 名無し (ID: pHBCaraS)


 episode 外田希


 授業中にあいつ等は、何かゴミを投げる事がある。
 今日のターゲットに対して投げて、命中したら笑ってる。
 今はやっていないけど、ガキっぽい。


 ただのバカだと思った。
 それを見るあたしは、オレンジ色のシャーペンを回しながら先生の話を聞く。
 隣の四橋は、まじめにノートを取っている。
 

 先生は、あいつ等がしてる事に気づいてない。
 てか大体の先生は、この学校で起きてるいじめには気づいてない。
 隣のクラスもそうだったし、無理もないか。

 

 D組の四之宮紘歌。頭が良くて、美人な感じ。でも、いじめっ子だった。それも、結構な−−
 頭が良いせいで、先生達にも信頼があるから、それはバレなかった。一人を不登校に追い込んだ、っていうウワサがあった気がする。

 
 でもそんな四之宮も、停学。
 理由は、雛が殴ったから。雛が殴る原因となったから。
 先生たちはそれでも、四之宮を信じていたらしい。


「……」


 雛とクラスが離れてから、まったく話してない。
 雛は、何で殴ったんだろ。
 そんな事を思ってた時だった。



「外田さん、当てられてるよ」
「へ?」


 四橋にそう言われる。見ると先生が、こちらを見て不思議そうにしている。少しはげかかっている頭が、少しだけ光った気がした。
 それに笑いそうになったが、今は笑ってる場合じゃないよね。
 しかも今は苦手な数学。勉強する気にもなれない。そして全く聞いてないからヤバい。
 
 
 ダラダラと冷や汗をかきはじめたあたしに、四橋はぽつりと呟いてくれた。
 聞かれた問題の答えを。


「答え、X=4だよ」
「外田さん、ここの答えは?」


 追い打ちをかける先生。
 そんな先生に聞かれ、あたしは答える。


「ああ、えっとー。X=4です」
「はい、正解」


 こんな事で平和だなーって感じるあたしは、能天気なんだろうか。
 そして四橋、凄いな。


「四橋、ありがと」
「いいよ。自分も、聞いてない時あるし」


 そう言って、ニコッと笑った。悪い気持ちもない、そんな笑顔。


「……まじめにノート取ってるじゃん、いっつもさ」

「テスト勉強に困らない様に、っていう事だけだよ」


 そういう四橋の指は、少し荒れている。指先に小さな傷があったりする。
 四橋は、お母さんしかいないらしくて、お母さんのかわりに料理をしているらしい。
 そのせいか、家庭科に関してはトップを取った。


 それで、あいつ等にターゲットにされた事があるけども。



 ——四橋は、どう思ってんだろ。あいつ等を。



 あたしはそう思いながら、ニコニコしている四橋を眺めていた。

Re: その人の花は枯れていく。 ( No.10 )
日時: 2013/05/06 18:36
名前: 来夏 ◆2ZBHn0dH/Y (ID: pHBCaraS)


 第1章

 ■女子
 □男子


 ■episode1 和川麗 「クラスの現実」 >>3
 ■episode2 日向明日香 「グループ」 >>4
 ■episode3 千葉愛子 「憎悪」 >>5
 ■episode4 相宮輝咲 「嫌悪と大事な人」 >>6
 □episode5 田川颯 「不登校の理由」 >>7
 ■episode6 吉野聖奈 「行けない理由」 >>8
 ■episode7 外田希 「授業風景」 >>9
 ■episode8 中館美鈴 「中立」 >>11
 ■episode9 和川麗 「放課後」 >>12
 ■episode10 八神千沙 「鹿島との交流」 >>13
 □episode11 正樹賢吾 「証拠揃え」 >>14


Page:1 2 3 4



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。