社会問題小説・評論板
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- 死んでもいいかい?
- 日時: 2012/12/04 23:48
- 名前: カナリア ◆StaIqxr34U (ID: mJV9X4jr)
はじめまして‥‥‥‥‥もしくはお久しぶりです。
これまでいろんな名前で小説を書いてきたのですが、
途中であきて完結したことがありません‥‥‥‥なので、
今回はきちんとしようと思いこの小説を書くことにしました。
今回は最後まで書く予定です。
(また途中でやめてしまったらすみません)
*荒らしはご遠慮ください
*人を傷つける書き込みもご遠慮ください
*更新が遅れると思います
*文才などはありません
*コメント&アドバイスは大歓迎です
プロローグ
>>1
第一章 いじめ
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6
>>7
第二章 リストカット
>>8 >>9 >>10 >>11 >>12
>>13 >>14 >>15
- Re: 死んでもいいかい? ( No.11 )
- 日時: 2012/12/04 20:31
- 名前: カナリア ◆StaIqxr34U (ID: mJV9X4jr)
チャイムの音がなると、みんな自分の席についた。それと同時と言ってもいいほどぴったりに担任が教室に入ってきた。
担任の話を適当に聞きながら、私は読書をしていたが、さっきまで読書をしていた真希の方を見ると、真剣に担任の話を聞いていた。どんなふうに育ったらそこまでまじめになるのだろう。と思いながらも、私はまた読書をはじめた。
先生が配った学級通信には、大きな字で、入学して今日で11ヶ月と書かれており、もうそんなにたつのか、と入学式のことを思い出す。
友達がほしかった私に声をかけてくれたのは真希だった。ただ「おはよう」と言ってくれただけだったが、とても嬉しかった。
それから話すようになったが、真希は本当に優しい性格だった。しかし、それと同じぐらいの人見知りなのだ。今でも、私以外のクラスメイトとはまともに話すらできない。
それをふまえて今考えてみると、入学式の日の「おはよう」は、私なんかでは考えられないほどに頑張ったのだろう。そして、真希があの時頑張って勇気を出してくれたおかげで私と真希は今では親友と言ってもいいほど仲がいい。
私はあらためて真希に心の中で感謝し、真希の方を見た。学級通信をすみからすみまで読んでいるのだろう。真希は私に見られているとは気づかずに手に持っている学級通信を見ている。
私はあきれたような顔で少しにこっと笑うと、また本を読んだ。
私が読書に集中していると、あっという間に時間は過ぎ、朝の学活終了を知らせるチャイムがなった。
真希は手に持っている学級通信をクリアファイルに入れると、私の方を見た。私も本にしおりをはさみ、真希の方を見た。
「どうかしたの?」
何気なく真希にそう聞くと本をカバンの中へいれた。
「あのね、今日で入学して11ヶ月もたつんだって!」
自慢げにそう言ってきた真希を見て、私は少し笑ってしまった。
真希は、ビックリしたような顔で私をじっと見ている。
「知ってるよ、書いてあったんでしょ?学級通信に」
「え!?見てたの?本読んでたから知らないと思ったのに‥‥‥‥」
そう言っておちこむ真希に私は時計を指差して少し早口で言った。
「それより、次は理科室に移動だよ。急がないとこのままじゃ遅刻」
「え!?うそー!早く言ってよ!」
そう言いながら真希は急いで教科書を机から出す。
私はこんなふうに楽しい毎日を真希と過ごしながらも、リスカのことが真希にバレてしまったら、と不安におしつぶされそうだった。
腕にまた増えてしまった傷が真希に気づかれた時、きっと私は真希に嫌われる。
- Re: 死んでもいいかい? ( No.12 )
- 日時: 2012/11/24 16:01
- 名前: カナリア ◆StaIqxr34U (ID: mJV9X4jr)
学校が終わり、1人で電車に乗り、帰る。真希とは家の方向が反対なのだ。
家からだいぶ遠い高校を選んだのを後悔はしていない。しかし、1人で帰っていると、よけいなことまで考えてしまうのだ。
「ねぇ、あの子キモくない?」
「あいつマジでウザイ」
電車に乗っている女子がそんなことを言うたびに、自分のことだと思い込んでしまう。きっと私のことではないと必死に心の中でそう言うが、電車に乗っている女子たちの陰口は増える一方で、昔のことを思い出してしまう。
自分の住んでいる町の駅につくと、私は何かから逃げるように電車を出た。走って家までむかう。
「ただいま!」
思いっきり家のドアを開けるとお母さんがテレビを見ていた。私は呼吸をととのえて、リビングに入っていった。
「おかえり梨乃」
「ただいま」
再びただいまと言ったあとは、2階の自分の部屋へ少し早足でむかった。
私の部屋のカーテンをバッと開けると、少しほこりが舞ったが、同時にきれいな夕日が視界に入った。
私はかばんを机の横に置くと、ベットに転がった。机の上に見えたのはカッター。
おさえきれない思いをダメだ、ダメだ。と必死に止めるが、止めきれるはずがなかった。
カッターを手に持つと、そのカッターは私の手首に傷を付けた。きれいな赤色の血と、後悔。
真希のことを考えるたびに、血が流れている左手首が痛む。
夕日が沈んでしまい。私の部屋は真っ暗になったが、私はそのまま、カッターをにぎっていた。
- Re: 死んでもいいかい? ( No.13 )
- 日時: 2012/11/29 16:25
- 名前: カナリア ◆StaIqxr34U (ID: mJV9X4jr)
朝、目が覚めると自分の手首を見て、またやってしまったと思った。繰り返される後悔と、傷ついていく私。いつからリスカをしはじめたのか、あまりはっきりと覚えていないが、最初にリスカをした私をひどくうらむ。
パッとカーテンを開け、清々しい朝をむかえたが、私の心にはずっと雲がかかっている。このままだと一生、太陽の光を浴びることは出来ないだろう。
カーテンを開けたまま、私はリビングへむかった。いつもと同じ食パンにヨーグルトを食べる。やはりこのジャムは微妙だと思いながらも、食パンをすべて食べ終えた。今日は何も入っていないヨーグルトをゆっくりと食べると、また自分の部屋へ戻った。
ケータイの着信履歴を見ながら、学校の準備を簡単におわらせた私は、かばんを持って家を出た。
マフラーを出すべきだった、と思いながらも少し早足で駅へむかった。
中学生の頃の友達は、赤のチェックのスカートと、少し大きなリボンが特徴のかわいらしい制服を着て違うホームへ走って行った。
すれちがう時に何も話しかけられなかったのは、急いでいたからではなく、私が嫌いだからだろう。
暖房の効いた電車に乗ると、私はかばんから小説をだして読んだ。最初はまわりの音が邪魔だったが、読んでいると集中し、まわりの音も気にならなくなった。
学校付近の駅につくと、私は小説をかばんの中に押し込んで電車をおりた。外の空気はとても冷たく、さっきまで晴れていた空は雲以外には何も見えない。
大きくため息をついたが、白くなったその息が、どれほど寒いかをものがたっていた。
駅を出ると、学校へ早足でむかった。
教室は、人が密集しているからなのか、外とは温度差があった。
私の机の横には真希の姿が見えた。
「おはよう真希」
「おはよう梨乃」
いつも通りの朝のあいさつのあとは、真希とガールズトーク。中学生の頃憧れていた朝を毎日のように過ごせている。とても幸せだったが、もうこれ以上望まないとまでは、言えなかった。
- Re: 死んでもいいかい? ( No.14 )
- 日時: 2012/11/29 23:42
- 名前: カナリア ◆StaIqxr34U (ID: mJV9X4jr)
あっという間に時間は過ぎ、いつのまにか放課後だった。
今日は寄り道していこうよ。と真希にさそわれ、公園でまったりと暇つぶし中。自動販売機で買った温かい紅茶は少しさめてきた。
「真希、それで話って何?」
そう問いかけると真希は持っているココアを両手で大切そうに持って、少し下を見た。
何か相談があるのか、それともまたライブの話なのか、もしくはリスカがバレてしまったのか。
「梨乃、間違ってたらごめんね‥‥‥‥‥梨乃って‥‥‥‥‥」
不安、緊張、後悔、心配。
「梨乃は、リスカしてるの?」
バレてしまった真実。きっともう隠しきれない。きっともう嫌われた。そう考えるたびに、言葉が出なくなる。涙が出そうになり、ただうつむく。
寒くはなかったのに、なぜか急に震えだす肩。痛くて、痛くて見ることも出来ない手首の傷。
「わ、私は‥‥‥‥私は」
真希は何もしゃべらない。ただ私の返事を待つ。
今すぐ逃げてしまいたい。再スタートできたと思っていたのは私だけだったのだろう。きっと、一生こんなことを繰り返すんだ。
「お願い‥‥‥‥‥‥違うの」
真希は私の肩に優しく手を置いた。
温かいその手が、私のふるえを止めた。
「私は、リスカを‥‥‥‥」
泣きながらも真希にすべてを話すと、なぜかすっきりしたが、不安が消えることはなかった。
キラワレテシマッタ。モウオワッタ。
- Re: 死んでもいいかい? ( No.15 )
- 日時: 2012/12/04 23:47
- 名前: カナリア ◆StaIqxr34U (ID: mJV9X4jr)
真っ暗な空の下。ロープと自分を安心させるためのカッターを手に持ち、ふらふらと町から遠くにある工場へむかった。
もう誰も使っておらず、誰も覚えてすらいないその工場は、自殺するのにぴったりだった。
今日だけでまた新しい傷がいくつも増えてしまったが、それも今日で最後だ。
最後に再び手首に傷を付け、ロープを手に取る。
更震える手を、見て見ぬふりしてこの世を捨てようとしていたときだった。
「梨乃!何してるの!?」
聞こえた声に、ふるえが止まらなくなり、振り返る。そこにたっていたのは真希だった。
逃げるように一歩ずつ後ろへと歩く。真希との距離はつねに一定になり、私は今すぐ逃げたかった。
真っ暗で真希の表情はよくわからなかったが、おそらく悲しんでいるのだろう。真希はすごく優しかったから。
しかし、今の私にはその優しささえも恐ろしく感じた。
もう、私の秘密は真希に知られてしまったのだ。もう、私は学校にいつも通りに行くことが出来ないのだ。
「来ないでよ!」
泣いているような、かすれた声で必死にそう叫ぶと、真希はピタッと止まってしまった。
そこから一歩も動かずに、私に言った。
「ねぇ。梨乃、もうリスカなんてやめて‥‥‥‥」
リスかなんて、と言った真希に、真希に何がわかるんだ!と言い返したかったが、真希が泣いていることがわかると、罪悪感で壊れてしまいそうになり、そんなことは言えなかった。
かわりに出た言葉は、弱音。
「無理だよ‥‥‥そんな簡単にやめれないんだよ」
今にも途切れてしまいそうな、弱々しいしゃべり方でそう言うと、泣き崩れてしまった。
止まらない涙を何回も服のそででふいた。しかし、服のそでがビショビショになっても涙は止まらなかった。
「帰ろうよ、梨乃」
その優しい言葉に、甘えてしまった。
死ぬのが怖かった。
真希に死ぬところを見られたくなかった。
いろんな言い訳や本音を頭の中で考えながら真希とゆっくり歩き出した。
何かが解決したわけではないが、頑張ってリスカをやめようと思ったのは、確かに真希のおかげだろう。