社会問題小説・評論板
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- 「死」の意味
- 日時: 2014/08/08 18:55
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
・・・死ね。
私を傷つける奴は死ねばいいと思う。
いじめられて苦しんで、泣いて、またいじめられて、裏切られた私の気持ちを思い知れ。
私は屋上に立った。風でさきほどあいつらに切られたばかりのザンバラ髪がなびく。
私は下を見た。めまいはしない。
下校時刻を知らせるチャイムが鳴り響いた。
玄関先で親友の後藤麗華が出てくるのが見えた。
・・・わたしをうらぎった元・親友。
今からお前に地獄を思い知らせてやるからな。覚悟しとけよ。
私は大空を舞った。苦しみから逃れるために。
浮いた瞬間に解放感が遅れて脳に伝達される。
乾ききった心を潤すような雨が私の体に降り注いだ。
・・・下に響く悲鳴。これは麗華の声だろうか?
瞬間頭に鋭い痛みが走った。視界がゆれる。
さようなら、お兄ちゃん。今までありがとう、お母さん。せめて友達が欲しかった。
- Re: 「死」の意味 ( No.13 )
- 日時: 2014/08/13 13:18
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
「最近さ〜、みかんいじめるの、飽きてきたんだよね〜」
私はすぐには信じられなかった。
ゆかりは私に戸惑いを与えたかったようだった。
声の大きさが異常に大きいので、私にわざと聞こえるように言ったのだろう。
でも、ゆかりは私の様子を見て笑うようには見られなかった。
その真剣なまなざしから見て、本気で言ってるらしかった。
「え〜、じゃあ次のターゲットは誰にすんの?」
笑いながらゆかりの仲間の梓が声をかける。
みんな帰りの支度をしながらゆかりの言葉を聞き流していた。
でもそこに落ち着いている様子は見られなかった。
みんな怖いのだろう。私からターゲットが自分に移るのが。
明日いじめられるのは自分かもしれない。
そんな恐怖心がみんなの心を縛り付けているのが手に取るようにわかる。
「・・・う〜ん、そうだなぁ・・・。じゃあ・・・麗華!」
ゆかりは弾んだ声でそう言った。弾んだ声の割に教室は静まり返っていた。
「じゃあ、みんないいね?決定ね!!」
梓が勝ち誇った様子で言う。私の心臓は止まりそうだった。
でも、これでいじめから開放される。しかも、そのターゲットが麗華だなんて!私を見捨てた張本人。復讐してやる!
見捨てられた人の気持ちを思い知ればいいんだ!
私の百倍も千倍も傷つけばいいんだ!
口元に笑みがこぼれる。
ザ
マ
ア
♪
明日の朝が楽しみだ。麗華の苦しむ顔を見られるんだ。
朝が楽しみになるなんてすごく久しぶりだな・・
私は心の中で笑いながら家に帰った。
- Re: 「死」の意味 ( No.14 )
- 日時: 2014/08/13 13:37
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
次の日の朝。私は登校した。
いじめられる前と同じ朝日を浴びて、心の中は幸せでいっぱいで。
そんな私の前を麗華がせかせかと歩いていく。
そして、教室に着いた。教室はやっぱりにぎやか。
麗華は地獄の教室へと入っていった。
今日から麗華のいじめが始まる。だからきっと教室は静かになるだろう。
私と同じように。
私は息をのんで麗華の背中を見送った。
でも。現実は私が想像していたものとは全く異なる結果に仕上がっていた。
「おはよう!」
麗華が元気にあいさつをして、教室に入っていく。
教室は・・・・にぎやかなままだった・・・・・。
嫌な予感がうずいた。まさか・・・・でも・・・・・・・
嫌な予感は笑えるほどに的中した。
私が教室に入った途端、教室が一気に静かになった。
私はその場に座り込んだ。
「なんで・・・・」
「あら、浅野さん、今日も来たの?」
梓とゆかりが楽しそうに笑いながら言う。
わたしは全くついていけなかった。
「なんで・・・・・?だって、ターゲットは麗華って・・・・・」
私は蚊の鳴くような声で訴えた。
ゆかりはわらいだした。
「あんたバカ?あたしの芝居にまんまと騙されるなんて!あれは嘘よ!ウ ソ!ターゲットを途中で変えるなんてあるわけないでしょ?」
今までの中で一番傷ついた日…それがカ●ロウデイズから一日たった8月16日だった。
私を陥れようとして、こんなにひどい嘘をつくなんて…
またみんなと笑いあえる日が来ることを期待していた私がばかだった…
こんなことなら、現実から逃げてみんなと遊ぶと言う私の冷めた夢を思い描き、当然のように明日も明後日も心の中に閉じこもっていた方がよっぽど傷つかなくて済むじゃないか。
・・・もういいや。疲れちゃったよ。
私は一生この心の中の殻を壊せないことが分かったんだ・・
私は一生いじめられる運命なんだ・・
そのことが分かった以上は…
もう方法はあれしかないだろう。私は教室を飛び出した。
- Re: 「死」の意味 ( No.15 )
- 日時: 2014/08/13 13:42
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
ゆかり・・・あんたのせいで私の人生は笑えるほどストレスフルになっていったよ。
全部、あんたのせいだよ?私から友情という名のかけがえのないものを取ったのはあんたなんだから…
反省してよね。
私は一人、屋上に立った。靴を脱ぎ、空を舞った。
これで本当に苦しみから逃れられるのだろうか?
死んでも、こんな私には地獄が待っているかもしれない。
でもいいんだ。今の地獄から逃げ出せれば・・
涙はもう乾いていた。
みんな・・・・・・さようなら・・・・・・・
- Re: 「死」の意味 ( No.16 )
- 日時: 2014/08/14 09:07
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
ゆかりの想い
「・・・は?!何?もう一回言って?」
私は携帯を握りしめて、ひたすら梓の言葉を待った。
梓は面倒臭そうにため息をつき、そして言った。
「だーかーらー、浅野が屋上から飛び降りたんだってば!」
信じられなかった。
その時、私は初めて罪悪感という感情を覚えた。
どうして、浅野をいじめたんだろう?
何のメリットがあったというのだろう?
浅野を死ぬまで追い詰めるつもりなんてなかったのに。
…私…何してるの…?
これじゃ、人を殺したも同然じゃない!
浅野の苦しみも、感情も、何も考えずに私が始めたいじめ。
どうして始めたんだっけな…
ああ、そうだ。私は許せなかったんだ。
浅野の活躍が。
- Re: 「死」の意味 ( No.17 )
- 日時: 2014/08/14 09:20
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
私は裕福な家庭で育ったということもあり、小さい時からちやほやされてきた。
家でも町でも自分が中心的存在だったので、学校でもリーダー的存在で当たり前だと思っていた。
でも、あいつのせいで、私のお嬢様生活は途絶えてしまった。
あいつとは浅野みかん。
街中でスカウトされ、モデルデビューしたのだ。
しかも最近はアイドルも始めたらしい。
あいつは一気にファッションモデルへと昇格し、遂にCDデビューも果たした。
そのおかげで、今まで私についていた友達はほぼ全員、離れて浅野にくっついた。
今やミカンがクラスの中心的存在女王様。私の時代は消えうせたのだ。
たった一人の、屑によって。
私はどうしても、浅野のことが許せなかった。
そうしていじめは始まったのだ。私の嫉妬心から。