社会問題小説・評論板
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- 「死」の意味
- 日時: 2014/08/08 18:55
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
・・・死ね。
私を傷つける奴は死ねばいいと思う。
いじめられて苦しんで、泣いて、またいじめられて、裏切られた私の気持ちを思い知れ。
私は屋上に立った。風でさきほどあいつらに切られたばかりのザンバラ髪がなびく。
私は下を見た。めまいはしない。
下校時刻を知らせるチャイムが鳴り響いた。
玄関先で親友の後藤麗華が出てくるのが見えた。
・・・わたしをうらぎった元・親友。
今からお前に地獄を思い知らせてやるからな。覚悟しとけよ。
私は大空を舞った。苦しみから逃れるために。
浮いた瞬間に解放感が遅れて脳に伝達される。
乾ききった心を潤すような雨が私の体に降り注いだ。
・・・下に響く悲鳴。これは麗華の声だろうか?
瞬間頭に鋭い痛みが走った。視界がゆれる。
さようなら、お兄ちゃん。今までありがとう、お母さん。せめて友達が欲しかった。
- Re: 「死」の意味 ( No.8 )
- 日時: 2014/08/12 13:02
- 名前: みかん (ID: JM4GV/kx)
麗華の心
「ねえ、最近浅野ってちょうしのってない❔」
あたしはふと、今朝のゆかりの言葉を思い出した。
その声は誰のもんかわからないくらいに冷たかった。
はっきりとして、乾いていて、憎悪に充分浸った声だった。
あたしは心臓が止まるかと思った。
だって、みかんはあたしの大事な親友。これからもずっと一緒の親友。
そのみかんの悪口をゆかりが言うなんて…
ゆかりは言わずとしれた不良。
学校中の生徒達がゆかりを恐れている。
あたしは嫌な予感がした。
「だよね、あたしもそう思ってたー!」
「最近ウザいよね。」
口々にみかんの悪口を言うみんなの笑顔が引きつっているのがわかる。
みんな、ゆかりに合わせて言ってるんだ。
ゆかりが怖いから。かばった人はいじめられるから。
だからあたしはみかんにいってしまったのだ。
「親友じゃない」と。
本当は逆のことを言いたかった。
「みかんはあたしの大事な親友だよ❗だから、あたしはみかんの見方だよ」
だけど、あたしの臆病な心はゆかりに負けたのだった。
みかんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。
あんなみかんは見たことがなかった。
あたしがみかんの心を壊したんだ。
ごめんね、みかん。
心の中じゃ届かない。それを知っていても、あたしは心の中で何度も謝った。
苦しくて仕方がない。でも、みかんは今もっと苦しいんだろう。
みかんはこれからもみんなにいじめられるのだろうか。
あたしはこれからどんなかおしてみかんに会えばいいの❔
この汚れきった心で…
もう学校に来れないよ。どうしたらいいの❔
みかんの隠れた苦しみに気づかず、授業をいつものように進めて行く先生が許せなかった。
でも、大切な親友みかんを見捨てた自分の方がもっと許せなかった。
麗華の心終わり
- Re: 「死」の意味 ( No.9 )
- 日時: 2014/08/12 17:43
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
小さい頃から私は「可愛い顔してるよね」と言われてきた。
自分で言うのもなんだけど、結構自分のルックスは気に入っていた。
だから中学生になったらスカウトされることも珍しくなくなった。
最初は断っていたのだけど、ある時スカウトされたとき、ちょうどお父さんの会社が倒産寸前だったので、少しでも生活費を稼ごうと思ってモデルとアイドルを始めたのだ。
当初、私は不安だった。みんなにいじわるされたりするんじゃないかって。
でも、そんな不安はすぐになくなった。逆恨みをよくするゆかりが
「浅野さん、芸能界一歩出たんだ!すごいね、こんどサインちょうだい!」
と、以外にもハイテンションで応援してくれたからだ。
その時のゆかりの目が意地悪く光っていたことを私は気が付きもしなかった。
それが私に対するいじめの兆候だったのだ。
モデルなんか…アイドルなんかやらなければよかった。
そうすればこんな思いしなくて済んだのに。
でも、私がモデルをやめても、みんなはもっともっといじめ続けるだろう。
だってみんなは私をいじめることを楽しんでいるのだから。
元の世界にはもう戻れない。
もう未来は目に見えていた。
私は、
いつか、
死ぬ。
- Re: 「死」の意味 ( No.10 )
- 日時: 2014/08/12 18:00
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
たすけて。死にたい。やめて。こっちを向いて。笑って。
頭の中のいろいろな思いは顔に現れていた。
私は翌日、学校に向かった。
本当は行きたくない。でも、家族に心配かけたくない。
私一人で苦しめばいいんだ。そうすればだれも悲しまないのだから。
一人で戦おう。逃げちゃいけない。
大丈夫だから。頑張らなくちゃ…
その時、ゆかりたちの声が響いた。
「うーわ、アイツまた学校来たよ!」
「キモイ!菌がウツル!菌が!!」
酷い言葉のわりに楽しげに言うゆかりを見て、私は泣きそうになった。
容赦なく、ゆかりは私を傷つけてくる。
「あんたなんか死んでも誰も悲しまないんだからね?」
飛んでくる教科書。鈍い音と共に体中に痛みが走る。
「やめて!やめてよ!!」
正門の前で泣き叫ぶ私を登校してくる生徒たちが笑って見ている。
私の心の中は悲しさと痛みと悔しさと恥ずかしさでいっぱいだった。
行き場のない感情が私の心を締め上げる。
「ほーら、見なよ!みんなあんたの涙見て笑ってるよ」
「やっぱり、全校生徒があんたの苦しむ顔を見たかったんじゃない?」
「じゃあ、あたしらがやってることは良いことなのか!」
「きゃはははははははははははははははははははは!」
ゆかり達5人は不気味に笑いながら校舎に入っていった。
体の痛みと心の痛みで私は立ち上がれなかった。
頬を涙が伝っていく。
わたしって、そんなにウザイ?みんなにとって私ってなんなの?
もう、疲れたよ…
やっぱり、学校やめよ…
ママへの言い訳は後で考えよう。
私はくるりと後ろを向いた。すると・・・
がっと肩がつかまれた。指が食い込んでいたい!
「もう、帰らないでよ!せっかく遊んでやろうと思ったのに!」
・・・ゆかりだった。
ゆかりは私の顔を一目見ると、笑った。
- Re: 「死」の意味 ( No.11 )
- 日時: 2014/08/12 18:11
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
「アーラ、何その顔!まるで死人みたい!」
ゆかりの笑い声に私も笑った。
これは遊びなの。友達同士の楽しい遊び。
私がターゲットになって、みんなが笑うの。わたしだけが苦しめばいいの。
みんな笑ってくれるから。
「あんたなんか死んじゃえ!!!!!!!!!」
ゆかりはそう吐き捨てると、私の肩をつかんだまま、走り出した。
私は校庭を引きずられるようにしながら校舎に入っていく。
それは、デパートで「あれかって!」「これ買って!」などとわがままを言う子供をきょうせいてきに家に帰らす母親のような関係だった。
ひどく、心が痛む。
その時、私は職員室にあるカレンダーを目にした。
今日は8月15日。私の誕生日は8月22日。今日から一週間後だ。
そうだ!この日を私の最期の日にしよう!
最後の日まであと一週間。それなら耐えられるかもしれない。
だから最期の日に至るまで、頑張って耐えよう。
そして、私を傷つける人たちに後悔させてやろう。
それくらい、残酷な死に方をしよう。だって、これが私にしかできない死に方なのだから…
ここじゃ、
もう、
息は
出来ないこと、
みんなが
私が
消えることを
望んでいること、
知ってるから。
- Re: 「死」の意味 ( No.12 )
- 日時: 2014/08/13 11:59
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
つまらない一時間目の数学、面倒な二時間目の国語、残酷な休み時間、
最悪な三時間目の理科、うたたねしそうになる四時間目の社会、だれもが私の悪口を言って笑う給食、苦手な五時間目の英語、大嫌いな音楽、
先輩たちにスル—される部活が終わり、私はようやく地獄の一日から開放された。
一日がとても長く感じられるのは気のせいだろうか?
前は麗華と笑いの絶えない放課後が一番楽しみで、このまま時間が止まってくれればいいのにと思っていたのに。
それくらい、一日が楽しくて仕方なかったのに。
私の知ってる麗華はもういない。
ゆかり達に洗脳されてしまったのだ。
今は一人。孤独なの…。一生孤独なの…
だって私の味方は一人もいないのだから…
そんな時だった。ゆかりが宣言したのは。