社会問題小説・評論板
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- 「死」の意味
- 日時: 2014/08/08 18:55
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
・・・死ね。
私を傷つける奴は死ねばいいと思う。
いじめられて苦しんで、泣いて、またいじめられて、裏切られた私の気持ちを思い知れ。
私は屋上に立った。風でさきほどあいつらに切られたばかりのザンバラ髪がなびく。
私は下を見た。めまいはしない。
下校時刻を知らせるチャイムが鳴り響いた。
玄関先で親友の後藤麗華が出てくるのが見えた。
・・・わたしをうらぎった元・親友。
今からお前に地獄を思い知らせてやるからな。覚悟しとけよ。
私は大空を舞った。苦しみから逃れるために。
浮いた瞬間に解放感が遅れて脳に伝達される。
乾ききった心を潤すような雨が私の体に降り注いだ。
・・・下に響く悲鳴。これは麗華の声だろうか?
瞬間頭に鋭い痛みが走った。視界がゆれる。
さようなら、お兄ちゃん。今までありがとう、お母さん。せめて友達が欲しかった。
- Re: 「死」の意味 ( No.3 )
- 日時: 2014/08/09 19:13
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
「ああ〜、もうこんな時間!」
私は校舎の横にある時計を見てつぶやいた。
私たちの通う乃木中学校。女子中だが、マンガでよく見る「キラキラのゴージャスな学校」というイメージは全くない。
ゴージャスと言えるのは、無駄にでかいシンボルの時計ぐらいだろう。
いじめはない。制服はかわいい。麗華が行くところ。
この三つの理由があってここに入学してきたのだ。
「何?今日部活?」
「うん、練習が八時からあるみたい。」
麗華は心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「ただでさえ練習きついのに大変だね…。バスケって体力スゴイ消耗するし。」
「大丈夫だよ!練習そんなに大変じゃないよ!楽しくはないけど!」
私の言葉に麗華はふきだした。
「それじゃ、行ってくるね〜」
「うん!いってらっしゃい!!」
麗華は私を笑顔で送り出してくれた。
麗華の笑顔があるから頑張れる。
麗華の笑顔は私を元気にしてくれる不思議な力を持っているのだ。
「よ〜し、今日も頑張るぞ!」
私は急いで練習場に向かった。
- Re: 「死」の意味 ( No.4 )
- 日時: 2014/08/10 18:05
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
「ええっと・・・」
私は部活からの帰り道、ポケットから手帳を取り出した。
そこには学校から帰ってからすぐ午後5時から6時半までドラマの撮影、7時から9時までライブのリハーサル、そして10時半からバラエティー番組に出席、という無るだけで頭がくらくらするようなスケジュールが書かれていた。
私はため息をついた。今日も寝るのが12時になってしまう。
最近寝不足なので、肌が壊れているような気がする・・・
ああ、これはヤバイ。男子に嫌われてしまう。
もっといい質の保湿クリームを買わなくては・・・
そんなことを考えながら教室に向かう。
階段へと降り注ぐ朝日がまぶしい。
いつもと同じだ。
- Re: 「死」の意味 ( No.5 )
- 日時: 2014/08/10 18:28
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
いつもと同じの風景。
いつもと同じの教室から聞こえる話し声。
そして。。。
「おはよう!!」
私はいつものように挨拶をして教室に入った。
でも。
そこにあった生徒の視線はいつもと違うものだった。
みんな一斉に私をにらみ、教室は海の底のように静かになった。
・・・訳が分からない。
「・・・え?」
私の心はひとりでにずきずきと痛み始めた。
その時…私は窓際の席で一人うつむく麗華の姿を見つけた。
麗華は私を見つけるとすぐに
「おかえり!練習どうだった?」
と笑顔で聞いてくれたのに。。
今は私の顔を見ようともしない。
でも彼女に聞いたら何か分かるかもしれない!
だって私たちは親友だから。
「麗華〜!もう、存在感薄すぎ!!ねえ、何かあったの?」
私はわざと明るく聞いてみた。
だけど麗華はうつむいたまま答えなかった。
「ねえ、どうし・・・・」
「うるせえよ、ドブス!」
言いかけた途端、後ろの方で信じられないほど冷たい声が耳に突き刺さった。
そしてその後に続くクスクスという笑い声…
私はそっと振り返った。
・・・クラス委員の佐野ゆかりが私を睨むようにしてみていた。
「もう、あんたはこのクラスの仲間じゃないから。」
ゆかりは私に言い放った。
「会った時から思ってたよ!私がこのクラスの中心人物なのに、モデルだからっていばってさ!私の出番なくしてさ!そういうのウザいんだよね!」
ゆかりの目は憎悪で光っていた。今までに見たことのない目だった。
私はビクッとした。ゆかりは何か誤解している。
私は威張った覚えはないし、ゆかりを蹴落としたこともない。
「そ、そんなわけじゃ・・・」
「とにかく今日から私、あんたのこといじめるから。これは今朝みんなで話し合って決めたことよ。みんな良いって言ったんだから!もちろん麗華もね!覚悟しといたほうがいいんじゃない?」
私は麗華の方を見た。信じられなかった。
だって私たち、親友でしょ?親友なら味方になってくれるでしょ?
「だって、私たち親友なのに…」
「…違う…」
私が絶望した声で言ったら、麗華が独り言のようにつぶやいた。
「・・・え?」
「あたしとみかんは親友じゃない!
- Re: 「死」の意味 ( No.6 )
- 日時: 2014/08/11 16:29
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
焼けるような痛みが心臓を襲う。
涙がこぼれそうになり、我慢しようとしたら吐き気が襲ってきた。
言葉では表すことのできない感情が全身に満たされてゆき、さらに現実が叩き込まれる。
これが現実だなんて信じられるか?これは夢なのか?
親友である麗華が親友であることを否定した。
ただそれだけのことなのに。
聴いている人たちは何も感じないのかもしれない。
でも、私の心は痛くて崩れていくようだった。
今までの日常はすべて作り物だったのか。
麗華と話した時間、麗華の笑顔、麗華との約束。
本気にしていた私がばかだった…
- Re: 「死」の意味 ( No.7 )
- 日時: 2014/08/11 17:27
- 名前: みかん (ID: XlQIdkGw)
「みんな、席について!HM始めるわよ!」
勢いよくドアが開き、先生が入ってきた。
ハイテンションな声にみんなはがたがたと席に着いた。
そして何もなかったかのように授業が始まる。
心臓が高鳴る。今までにないくらいに。
これからも、こんなふうに無視されるんだろうか。
麗華も私をいじめるんだろうか。
最終的にはどうなるんだろう。
私、殺されてしまうかもしれない。
明日が怖い。怖い、怖い!!
みんな私を見ようともしない。私を見えない存在にしてるんだ…
私は…?私は?ワタシハ…?
戸惑う私をみんなが笑ってみていた。