社会問題小説・評論板
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- 悲しみの階段
- 日時: 2018/04/02 17:02
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
下手だとは思いますが、見てください…
プロローグ
・・・・・・どこまでいけば、いつまでいけば、
・・・・・・私は、救われるのだろう。
ピピピ・・・ピピピ・・・
この音を聞くだけで頭が痛くなる。
目覚ましを止めて、重いからだを起こした。
今日も、行かなきゃ・・・・・・
「おはよう」私は行きたくない気持ちを押し込めて、精一杯の声で言った。お母さんは、そんなことも知らずに「おはよう、海花。」とにっこり笑う。
少し汚れた制服に袖を通す。慣れた手つきで髪を結う。この制服の惨めさに、泣きそうになる。
「行かなきゃ・・・行ってきます。」
中学校が始まって早数週間。私はいまだに1人ぼっちだ。通学路には友達と一緒に歩く人ばかり。1人で通学なんてことはまずないだろう。
学校について、教室のドアに手をかける。普通のドアのはずなのに、私には重く感じる。私は思った。
・・・・・・・行きたくない・・・・・・。
目次
登場人物紹介>>1
第一章 いじめ>>2-10
第二章被害妄想>>11-19
- Re: 悲しみの階段 ( No.13 )
- 日時: 2018/04/02 10:48
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
体育が終わって、教室で体育着を探していると。
「探し物は、これかい?」
と言っている颯がいた。颯の顔は、どことなく、いや、明らかに馬鹿にしているような顔をしていた。
そして、手に持っていたものは・・・・。
汚いバケツに入った、私の体育着。
私は、崩れ落ちた。まさか、もう、颯は、幼なじみとは、思っていないということ・・・?私は、ただの、いじめのターゲットになっちゃったの・・・?
私は、にやついてるけど、しっかり軽蔑の色が映っている颯の瞳に、泣きそうになった。だけど、返してもらわないと・・・!
「颯っ!返して!返して!」
「オッケー、返す」
バシャッ!
バケツに入った、私の体育着と一緒に、底の方に溜まってた、泥も一緒に飛び出した。お陰で、体育着も、制服も、ぐちゃぐちゃだった。そして、運悪く菜々美さんたちクラスメートも帰ってきてしまった。
颯は、笑った。
菜々美さんも、笑った。
クラスメート達は、笑った。
私と矢田さんがあの時笑ったのとはちがくて、
私を惨めだと思い、私を見せしめだと思い、
笑っていた。
- Re: 悲しみの階段 ( No.14 )
- 日時: 2018/04/02 12:08
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
《放課後》
私は、矢田さんの入院している病院へ行く。いじめられてからは、毎日のように。
静かな病院の一般棟に、ローファーの靴音が響く。
最初のうちは、この音に淋しさを覚えることもあったが、今はもう無くなった。
〔406号室 矢田 愛美様〕
この看板を見つけ、ドアを引く。すると、矢田さんのお母さんが待っていた。
「あ、海花ちゃん。こんにちは。」
私は、矢田さんを思っているお母さんに笑顔を向けられて、少し胸が痛む。だって、
自殺の原因は、私だから。
矢田さんは、今もまだ眠っている。長いまつげに、夕陽が差し込む。矢田さん・・・。少し、泣きそうになる。すると、矢田さんのお母さんが話を切り出した。
「海花ちゃん・・・。ありがとうね。愛美と友達でいてくれて。」
「えっ・・・?私なんにも・・・。」
「あの子、家から帰ってくるといつも、貴女の話ばっかりなの。5年生の時は、いつも暗い顔して黙ってたの。でも、あの頃は、明るい顔して『新しい友達の海花ちゃんって子がね!!』って、話してくれるの。ありがとう。」
「・・・。」
私は、何も言えなくなった。矢田さんが、そんなに思ってくれてたなんて・・・。
「自殺の事を教えてくれたのも、貴女。きっと、止めようとしたから、一命は取り止めたんだわ、本当に、感謝してる。うちは貧乏だから、どうしても友達はできないし、いじめられやすい。でも、そんな中でも友達でいてくれて、ありがとう。ありがとう。」
少し泣きながら話していた。たぶん、矢田さんの事をとても大事に思ってるから、涙が出たんだと思う。そうだとしたら、私は、私は・・・!
最低な、人間だ・・・・・っ!
耐えきれず、私は帰った。あの時みたいに、裏切ったときみたいに・・・・。
- Re: 悲しみの階段 ( No.15 )
- 日時: 2018/04/02 15:21
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
「はぁっ・・・!はぁっ・・・!」
走って帰ってきたから、かなり息が切れてる。スカートの裾が、握ってぐちゃぐちゃになっている。
——————矢田さんが、あんなに、思っててくれてなんて・・・。本当に自分が、情けなく思った。
本当は可哀想だからと思って友達になってた私が。
本当は奏の方が面白いと思ってしまった私が。
あの子にとっては、私は、私は・・・・!
たった1人の、親友だったのに・・・!
私は、ずっと、被害者じゃなくて、加害者だったんだ。
- Re: 悲しみの階段 ( No.16 )
- 日時: 2018/04/02 15:38
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
次の日————
ベッドから出るのが辛い。今日もまた、朝が来てしまった。お母さんが出掛け際に、
「今度、部活の発表会があるんでしょう?私、行ってみたいわ〜。友達と頑張る姿も見たいし。」
と言っていた。私は思わず俯いた。いじめのことは、もちろん、話してない。何故ならば仕事をしながら女手1つで育ててくれたお母さんに、迷惑はかけられない。そう思ったからだ。私は、心配はさせまいと、笑顔をつくって、
「行ってきます。」
と言った。教室に行くのは恐ろしい。だけど、部活は楽しみ。
だって・・・・・・。
立花先輩に、会えるのだから!
教室に着くと、あるはずのものが、無い。机とイスが、無かったのだ。私は、下唇を噛んだ。惨めな私。悔しすぎる。私は、思った。
今日の部活で、先輩に言ってやるんだから。
机もイスも、ベランダにあった。机には、死ねだったり、ブスだったり。すっかりなれてしまった自分が怖い。怖かった。
- Re: 悲しみの階段 ( No.17 )
- 日時: 2018/04/02 15:57
- 名前: 蜜柑わたあめ (ID: lqhOUyMm)
《部活の時間》
私は、吹奏楽部だ。内田くんと一緒なのだけど、グループの関係で、関わるなんてほとんど無い。私は、ホッとしてる。ここが唯一の学校で落ち着ける時間だから。そうなのは、もう一つ理由がある。それは・・・。音楽室のドアが開く。私は、あっ!と思った。
「立花先輩ー!」
私は一目散に駆け寄った。そう。ここで落ち着けるもう一つの理由は、優しい先輩、立花先輩に話を聞いてもらってるからである。しかも、イケメンなのだ。普段は、たくさんの女子達が邪魔してしまうけど、部活の時は、グループが一緒だから、話にのってもらっている。先輩は、私を見つけては、
「あ、橋本。どうかしたのか?また、クラスのやつに何かされたのか?」
と優しく聞いてくれる。私は、愚痴も混ざっちゃうけど、先輩に話を聞いてもらっている。早速、今日の事を話した。
「・・・橋本、そんなことがあったのか。辛いよな。苦しいよな。大丈夫だ。今はお母さんとかに相談できなくても、俺に話せば、少しは楽になるだろう?いつか、生徒指導の先生に言ってやる。これは、犯罪だからな。」
そう言う真面目な先輩の姿もカッコいい。これからも、先輩に話、聞いてもらおう。
それを見ている、内田くんは、先輩を睨んでたとは、知らずに・・・。