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- 俺の兄さん 1章
- 日時: 2010/09/23 11:08
- 名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)
趣味で小説書いている程度のシンジです。
この話は別に題名的にあれとかそんなんじゃなくて兄弟愛もあっていいだろって思ってので。
あと、原作なしです。長いです。話だるいです。可哀相になっちゃってる。
それでおkの方は是非。
まあ、読んでみて下さると嬉しいです。
いつも応援してくださっている皆様!自分勝手な考えによりご迷惑をおかけしました。そのへんは誠に申し訳ございません。
俺の兄さん プロローグ
「零夜っ。・・・レぇーーーーーいやああああああっ。起きろおおおおおおぉぉぉぉおぉぉっ。遅刻したいのか?」
どこか意識の遠くで兄さんの声が聞こえた。
「レーーーいやくーーーん。」
そう声が聞こえた後にドアノブを回す音が聞こえた。
けれどドアは開かない。
「零夜?」
うっすらと目を開けた俺は「うぅ〜ん。」と、言った。
「朝ごはんは下に置いておいたからね。」
ドア越しにそんな言葉が聞こえた。
「うぅ〜ん。」
俺は一応返事をした。
けれど分かった。と、言う意味は含まれていなかった。
兄さんには悪いけれど俺は学校に行く気も朝ごはんとやらを食べる気もなかった。
そしてこの部屋から出る気も無かった。
兄さんと顔を最後に合わせたのはかれこれ10日は前だろう。
そして俺がまともに学校に最後に行ったのは半年くらい前のことだ。
ちょうど半年前くらい前の11月に運動会があった。
あれから体育のある日は絶対学校に行っていない。
理由?
それは話しがたいのだが・・・
とにかく行っていない。それだけだ。
学校に行っていない俺を心配する奴が居るけれど、俺にとってはそんな奴の存在が一番いやだ。
誰にも心配なんてされたくない。まあ、それが理由と言っても良いだろう。
けれど心配性な兄さんは心配してくる。
俺の心配なんてしないで勉強しろよ・・・と、思う。
ちなみに俺と兄さんは年子で兄さんは今、中学3年生だ。
受験、頑張れよ。って思うくらいなら心配かけるなよって自分に言いたいところだが俺だって心配かけたくてかけているわけではない。
仕方ないだろ。持病なんだから。
以上がプロローグです。
本編は後々書くつもりです。
本編 1話 冷めたご飯 >>1
2話 電話 >>2
3話 帰宅 >>3
4話 理由なんてね >>4
5話 悪夢と兄さんの話 >>5
6話 眠れない夜は >>6
7話 流星群と真夏の夜の夢 上編 >>7
8話 流星群と真夏の夜の夢 中編 >>8
9話 流星群と真夏の夜の夢 下編 >>9
10話 風邪って奴 >>10
11話 俺の母さん >>11
12話 見つけてはいけないピース >>12
13話 やっと思い出したよ >>13
14話 これって本能?それとも—— >>14
15話 朝日の昇るころ、鳥は清々しく鳴く>>15
15話で一章終わり!!(2章へ続く)
- Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.2 )
- 日時: 2010/07/22 15:16
- 名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)
2話 電話
ちょうど4時をまわった頃に電話が鳴った。
(あぁ。まただ。)
そう思ったが電話に出た。
「もしもし。五十嵐ですが。」
その人の声は低く、ハスキーだった。
『あっ。五十嵐か?良かった。お前に聞きたいことがあって。今度席替えがあるんだがお前どこの席がいいか?希望が無いなら良いんだが。』
声の主は担任で理科担当だ。俺はこの人の顔はあまり見たことが無い。
こうやって毎日電話で今日の出来事なんかを話してくる。
(相変わらずいつもマメな人だな。来ないって分かってるのに毎日電話してきて・・・。)
「希望・・・?ですか?無いですよ。」
『そうか。なら良いんだ。そうだ。話は変わるが今度の合唱コンクールの事なんだが。』
「・・・はあ・・・。」
『お前はどんな曲を歌いたいんだ?』
「歌・・・ですか?」
『あぁ。』
「希望なんてないっすよ。」
『そうか。じゃあ指揮とかの希望は無いのか?』
「ないです。」
『そうか。・・・そうだ!五十嵐。明日は理科の実験で人力発電をするんだが明日来ないか?お前は理科が好きだろう。』
「理科好きだけど行かないです。」
『・・・そうか・・・。』
(いったいこの人は何回電話をしてくればいいんだ・・・)
『五十嵐は今何をやっていたんだ?』
「何って・・・なんもやってないっすけど。」
『そうか・・・。そういえば今日お前の兄さんが給食あまってないかっていろんなクラスをまわってたぞ。今日は揚げパンだったからな。』
「・・・(兄さん・・・)」
『そうだ五十嵐。今度2学期から新しい部活を作ろうかと思って。お前の好きな理科の部活でも。』
「・・・」
『ほら、前からあるちんけな科学部よりもすごい事する部活でも作ろうかと思ってだな。お前、部長やらないか?お前はそういうことが好きだろう?』
確かに実験やリーダーとか好きだけど・・・
『今決めなくてもいいんだぞ。決めたら言ってくれ。』
「・・・」
『あぁっ!大事な事を忘れてた。今日今度の中間試験の範囲表が配られたからお前の兄さんに渡しておいたぞ。』
「・・・そうですか・・・」
『じゃあまた明日な。』
「・・・」
『プツッ・・・プーッ。プーッ。』
電話が切られた。
受話器を元の場所に戻す。
ガチャンッ
「毎日電話してどうするんだ・・・。懲りない人だ。また明日って・・・。」
そう一人でつぶやいた。
- Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.3 )
- 日時: 2010/07/22 15:21
- 名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)
3話 帰宅
リビングの時計は7時をまわった。
まだ誰も帰ってこない。
いつもだったら兄さんは部活を終えてもう帰ってくる頃だ。
兄さんはバスケ部にはいっている。
帰ってくると汗臭い練習着を洗濯機に放り込んでシャワーを浴びに行く。
その後キッチンに向かって夕飯を作ってくれる。
いつも部活で疲れているはずなのに疲れた様子は見せない。
と、言うかずっと笑顔で居てくれる。
そういう所が逆にイライラする。けれど反面そんな所が羨ましい。
俺はそんなに強くないから・・・
そんな兄さんがものすごく羨ましくって・・・
・・・
けれどいくら俺が兄さんを羨ましがったって俺は兄さんのようにはなれない。
分かってるよ。そんなことくらい。
けれど俺にとっては本当にそんな兄さんが羨ましいんだ。
俺がこんなじゃなきゃ良かったのに。
そんな事を思うとだんだん切なくなってくる。
そんな気持ちを紛らわせようと思ってテレビをつける。頭のてっぺんがハゲかかった白髪のおじさんが何かを解説している。
そんな番組になんて興味は無かったけれどボーッとその番組を見る。
数分するといきなり大きな音を立てて玄関のドアが開いた。
ドスッと何か重いものを置いたような音がした。
きっと兄さんのバッグを置いた音だと思った。
けれどその後の兄さんの足音はいつもとは違った。
洗濯機の前には行かずに投げやりな足音がこっちへ向かってくる。
「兄さっ・・・!?」
俺はその兄さんの姿を見て戸惑った。
まず「大丈夫?」と、言った。
兄さんは何も言わずに救急箱を棚の上から取ってくる。
俺はどうすればいいのか分からない。
「・・・あ・・・う・・・。」
俺は何も言えずにただ意味の無い音を発音する。
初めてだった。こんなにたくさんの血を見たのは。
- Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.4 )
- 日時: 2010/07/22 15:20
- 名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)
4話 理由なんてね
「兄さん・・・?どうしたの?」
やっとその言葉が出てきた。
けれど沈黙。
数秒してから兄さんが口を開いた。
「・・・別に何でも・・・ない・・・」
それを見て何でも無いだなんて誰が思えるだろう。
なんかいろんな所から血が出てる・・・
何でそれで動いてられるんだろう。
そう思った。
「・・・病い——」
俺が何かを言いかけた時、兄さんは言った。
「ごめん。今日は夕飯が遅くなっちゃうね。」
兄さんは血だらけの顔で笑って見せた。
俺にとってはそれが怖い。
「・・・そんな・・・そんな事なんてっ・・・そんな事なんて気にしなくていいのにっ!・・・なのに、なのに、なのに兄さんはっ・・・兄さんはっ・・・」
どうして笑ってられるんだろう。
俺のことなんて気にしないでよ。もう・・・
そんなになってまで兄さんは何なんだよ・・・
それにどうしてそんな怪我してるんだよっ!
言葉にならない叫びが頭の中でぐるぐるする。
あっちではね返ってはこっちではね返る。
どうしてそんな怪我・・・
「兄さん・・・」
訳が分からないのに、訳が分からないけど涙が出てくる。
無力な自分を見てなのかもしれないし、兄さんが痛々しいからなのかもしれないけれど、胸がいっぱいになってくる。
そんな感情に溺れていたら急に心臓をつかまれたような痛みというか苦しみに襲われる。
「・・・うっ・・・ぐっ・・・」
声が出せない。
そのままその場に倒れこむ。
それに気づいたのか兄さんはどこかからビンを持ってきてその中から白い薬を取り出して俺の口の中に無理やり押し込む。
「零夜っ!早く飲み込んでっ!」
そういった兄さんは俺の口を塞いだ。
・・・やっとの思いでそれを飲み込んだ俺は少しの間意識が朦朧としていた。
意識がハッキリしてくるとさっき何が起こったのか理解しようとする。
あぁ。そうだ。俺は心臓が弱いんだ。
そう。俺は心臓が弱い。
と、言うか生まれつき体があまり丈夫ではない。
心臓にストレスとかとにかく負担がかかるとさっきみたいに発作が起こる。
そこまで理解して体を起き上がらせると兄さんが居ない事に気づく。
どこへ行ったんだろう。
そう思った。
しばらく放心した後に自分の服にしみっぽいのがあることに気づく。
黒いシャツだから分かりにくいが確かにそれがある。
そして何かを悟って顔を手の甲でなびると赤くなっていた。
(血だ・・・)
そこで俺は兄さんが病院へ行ったことを願った。
- Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.5 )
- 日時: 2010/07/22 15:23
- 名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)
5話 悪夢と兄さんの話
ここは深い山の中。
ちょっと遊びに来たつもりなのに俺達はどんどん奥へ奥へと進んでいく。
子供の好奇心なんてそんなものだ。
「兄ちゃんっ。ちょっと休もうよ。」
俺は言った。
今日は日差しが強くムシムシする。
けれどここは木々のせいで地面に光が届かない。
その分涼しいかといったら別問題だった。
ムシムシする。
時折吹く風がなまぬるくって気持ち悪い。
山の中のせいなのかツーンとカブト虫のにおいが鼻を刺激する。
けれどそんなにおいなんて気にならないくらいムシムシする。
暑い。
道が分からない俺達はただ山の中の道なき道を進むだけだった。
「・・・そうだな。休むか。」
兄さんは言った。
小学生がそんな風に言うとなんだかアホくさく見える。
けれど俺にとっては兄さんは一番近い存在だったからそんな事は一度も思ったことなんて無い。
兄さんはそんな事を言うとその場に座った。
俺もどこにも座るところなんて無いから草の上に座る。
俺はふとポケットに飴が入っていることを思い出す。
バアちゃんに昨日もらったやつだ。
ちょうど2個ある。
「兄ちゃん。はい、これ。」
俺はそう言って飴を渡した。
「ありがと。」
兄さんはそう言った。
俺の小さな手と兄さんの俺よりか少しだけ大きい手がかさなる。
「飴、溶けてると思う。」
俺は言った。
この暑さで溶けない飴を聞きたい。
「そうだよな。」
兄さんはそう言うとその飴をポケットに入れた。俺も余った方の飴をポケットに入れる。
それにしても暑い。
頭がクラクラしてくる。
自分の意識がだんだん遠のいていくのが分かった。
しかし、その時事件は起こった。
足首にぬるっとする気持ちの悪い感触がした。
それをよく見ると蛇だった。
色は青々としていた。
そして結構大きい。
(青大将だ!)
そう思った。
けれど小学生。それも2,3年生がどうにかできるだろうか。
それはどんどん俺の脚を伝いながら俺の方に近づいてくる。
胸の辺りに鈍くて重い痛みがする。動けない。
兄さんはそいつを足で踏む。
「このっ!零夜のところじゃなくて俺にかかって来いっ!」
兄さんは必死にそいつを踏み潰す。
けれどそんな俺はそんな中で気が遠のいていく。し、胸の辺りがキリキリと痛む。
兄さんが必死に対抗しているせいなのか今度は兄さんの方へ行く。
「・・・いッ・・・た・・・・。」
薄い気の中、兄さんの足が赤くなっているのがぼんやりと見えた。
「兄さんッッッッ!」
ここは俺の部屋。
暗くて周りは見えないが分かった。
(夢・・・か・・・)
けれどそれは俺の幼い頃の記憶でもあった。
「・・・いっ・・・」
胸の辺りがキリキリ痛む。
俺は枕元に置いてある薬ビンを開けて薬を取って口へ運ぶ。
頭を赤い兄さんが過ぎる。
何も出来ない自分に腹が立った。
- Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.6 )
- 日時: 2010/07/22 15:29
- 名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)
6話 眠れない夜は
さっき悪夢で起きたっきり、まったく眠れない。
時計は短い針が2と3の間を指していた。
もう兄さんは帰って来たのだろうか。
あの後俺は兄さんが帰ってくるのを待とうとしたが俺は何かいやなことを思い出しそうだったから電気をつけて本をとった。
あまりにも適当に取ったせいで手にある本の題名がとってもだった。
「ライ麦畑でつかまえて」
ふざけてる。
そう思った俺はその本を置いて他の本を読もうと思った。
「ユーフォーと宇宙人」
これで良いか。
そう思って俺は机の椅子に座る。
適当にパラパラページをめくっていたら一枚の紙が落ちてきた。
(何だろう?)
その紙を拾おうとした。
けれど拾うのをやめる。
あの夏の写真だ。
そう悟った。
拾っても何も減るわけではないが今の俺が拾ってはいけない。そんな気がした。
さっきから何も良いことが無い。
ゲームでもしようと思ったがすぐに気力が失せた。
そして俺は窓を開けて空を見た。
大好きな嘘のない広い星空を見ると何もかもがどうでもよく思えた。
そしてあの日のことを思い出してしまった。
兄さんのおかしなあの日の・・・