BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 主人公を愛でる会【リクエスト募集してみるよ】
- 日時: 2015/03/25 19:33
- 名前: ナノハ ◆6lxp.HdbLA (ID: cA.2PgLu)
□主に〈主人公受け〉を取り扱うスレ
□主人公以外の受けも書くかもしれない
□ぽちぽち気紛れ更新
□主に小ネタ
□駄文です
□ジャンルは『忍たま』を中心に執筆
□戦国→幸村、ヘタリア→日本、男子高校生の日常→タダクニ が受けです
□駄文です(会話文が多め)
□乱太郎可愛いよ乱太郎
□荒らし、駄目、ゼッタイッ!
□タイトル変わるかも(←どうでもいい)
□オリジナル(『創作戦国』)も扱うよ
〜INDEX〜 {☆…会話文、★…小ネタ(設定only)、○…短編、●…長編、◎…リクエスト}
1、☆とある男子高校生のLINE事情〜日曜篇・前〜(忍たま/六年乱)
2、☆とある男子高校生のLINE事情〜日曜篇・中〜(忍たま/六年乱)
3、☆とある男子高校生のLINE事情〜日曜篇・後〜(忍たま/六年乱)
4、★小ネタ(忍たま)
5、○人の居ぬ間に涙(忍たま/六年乱)
6、○奇病シリーズ〜猪名寺乱太郎 篇〜(忍たま/兵乱?兵+乱?)
7、○奇病シリーズ〜立花仙蔵 篇〜(忍たま/仙乱←伊作)
8、○硝子人形(黒バス/赤黒)
9、○てけてけて(忍たま/六年乱+兵助?)
10、★居酒屋乱ちゃん (忍たま/五年乱前提 乱太郎受)
11、★創作戦国:設定〜真田十勇士篇 其の壱〜(創作戦国)
12、★創作戦国:設定〜真田十勇士篇 其の弐〜(創作戦国)
13、★創作戦国:設定〜真田十勇士篇 其の参〜(創作戦国)
14、★創作戦国:設定〜真田十勇士篇 其の四〜(創作戦国)
15、○借り物の顔と真実の心(忍たま/鉢乱)
16、○五線紙の天の河(忍たま/タカ綾)
17、★忍たま〜オリジナルキャラ篇〜(忍たま)
18○嗚呼!素晴らしきショタ也(忍たま/六年→は組?)
19、●CROSS THE TIME〜序章〜(クロスオーバー/主人公受)
20、○秘すれば何とやら (忍たま)
【リクエストについて】
□今のところ取り扱うジャンルは[黒バス]・[忍たま]・[ヘタリア]・[戦国BASARA]・[男子高校生の日常]・[銀魂]です
□何か希望のシチュエーションがあればお申し付け下さい。無くても構いません
□主人公受け以外でもOKです
□期待はNGでさぁ
- ☆とあるD.KのLINE事情〜日曜篇・後〜 ( No.3 )
- 日時: 2015/02/18 12:23
- 名前: ナノハ ◆6lxp.HdbLA (ID: vUvL6WlQ)
※.現パロです。乱ちゃん(中1)と六年共(高3)がLINEやってます
———
[18:36]コヘ:ありり?長次も行くのかー?
[18:36]ケマ:おまえ日曜は委員会の都合だとか言ってなかったか?
[18:36]チョウ:無くなった
[18:36]ケマ:まじでか
[18:36]チョウ:日曜は、貸出し期限が過ぎた本の回収や破損した本の修補を行う予定だったが二年の不破雷蔵が今日中に終わらせた。よって委員会の総集は無しとなった
[18:36]コヘ:すげ〜な!
[18:36]ギン:しかしよく一日で全う出来たものだな。結構な量はあったのだろう?
[18:36]チョウ:何時もなら本の置き場すら迷うのだが、今回は着々と仕事をこなしていた
[18:36]ケマ:ふぅん、良かったじゃないか
[18:36]ギン:あの雷蔵が…!
[18:36]コヘ:優柔不断を発揮せずテキパキ仕事をやってる…だと…!
[18:36]水仙:お前等雷蔵の事何だとwwwww別によいではないかwww
[18:36]チョウ:悪いのか?
[18:36]『RAN☆RAN(以後『ラン』と表記)』が参加しました
[18:36]ラン:それ、多分、鉢屋さんだと思いますよ(*´∀`*)
[18:36]ケマ:乱太郎か!
[18:36]水仙:こんばんは、乱太郎。日曜日は私たちもご一緒させて貰えないかな?
[18:36]コヘ:乱ちゃ〜〜〜〜〜ん∑∑∑===ヽ(*´∀`)ノ〈アイタカッター
[18:36]ラン:こんばんは仙蔵さん、良ければご一緒に遊びましょう!
こへ兄ちゃ〜ん〜!私も〜ムギュ〜ヽ(*´∀`)ノ
[18:36]チョウ:ふむ、あれは鉢屋三郎だったのか
[18:36]ギン:乱太郎、また俺の手作り菓子を馳走してやるからな
[18:36]ケマ:おいやめろ
[18:36]水仙:止めろ
[18:36]コヘ:阻止だぁ!
[18:36]チョウ:乱太郎が下痢をする
[18:36]ギン:何故だ!?抗生物質たっぷり含んでるんだぞ!?健康にいいではないか!
[18:36]水仙:文次郎、抗生剤はどう云う役割を持つか知っているか?
[18:36]ギン:馬鹿にしているのか仙蔵!風邪を直す薬だろうが!
[18:36]ケマ:あほか。抗生剤は細菌を殺すんだ。風邪自体治らん
[18:36]コヘ:余計な細菌も殺しちゃうから身体の免疫力が下がっちゃうらしい
[18:36]ギン:嘘だろ
[18:37]ラン:そういえば大分前に文次郎さんが私に振舞って頂いたケーキを食べた後腹痛が発症したような…;
[18:37]ギン:Σ(゜д゜;)
[18:37]ケマ:ほら見ろ!
[18:37]水仙:嗚呼、可哀想に…乱太郎、こんな薬の知識すら皆無な脳筋馬鹿から手作りを貰うのはもうお止めなさい
[18:37]コヘ:俺の家で作る団子はすっごく美味いぞ〜ヽ(*´∀`)ノ
[18:37]ケマ:確か小平太の家族は店を開いてたよな
[18:37]コヘ:うん♪和菓子を取り扱ってるぞ〜
[18:37]ラン:すごーい!今度買いに行きますね
[18:37]コヘ:乱太郎には特別に大きくマケてやるからな〜(*´∀`*)
[18:37]水仙:しかも老舗だぞ
[18:37]ラン:ふええッ!?老舗ですか?益々食べてみたくなりましたッ
[18:37]コヘ:じゃあ遊ぶ当日に持って来てやる!
[18:37]ラン:そんな悪いですよ〜;だったらお金を用意しないと
[18:37]コヘ:遠慮するな、俺が好きでそうしたいんだからな。それに金は乱ちゃんが払う必要はないのだからな
[18:37]チョウ:乱太郎、小平太がそう言っている。呼ばれなさい
[18:37]水仙:そうだぞ。代金は文次郎が払う、いいな?
[18:37]ギン:分かっている
[18:37]ラン:でも悪いですよ
[18:37]ギン:いいんだ。せめてもの詫びだ
[18:37]ラン:文次郎さん…
[18:37]ギン:乱太郎…
[18:37]ケマ:何イチャついてんだキモンジ(怒)
[18:37]水仙:爆ぜろ老け顔
[18:37]コヘ:抜け駆け禁止だぞ〜(#゜Д゜)
[18:37]チョウ:次は無いぞ
[18:37]ギン:しとらん!!
[18:37]ラン:あはは;あ、母ちゃんが夕御飯の支度が出来たようです
[18:37]コヘ:そういえばお腹すいたなー。今日はなんだ?
[18:37]ラン:今日は雑炊と固焼きそばです
[18:37]ケマ:うまそうだな
[18:37]水仙:乱太郎、お義母様の手料理が冷めてしまう前に早く行ってあげなさい
[18:37]ラン:では最後にもう一度確認ですが、明後日は皆さんも参加するという形で
[18:37]チョウ:ああ
[18:37]ケマ:乱太郎は俺の家初めてだろうから、隅田川の橋で待ち合わせでいいか?
[18:37]水仙:私と小平太が迎えに行こう
[18:37]ラン:はい。仙蔵さん、小平太さん、宜しく御願いしますね^^
[18:37]コヘ:楽しみだな〜ヽ(*´∀`)ノ
[18:37]ギン:ちゃんと早起きするんだぞ
[18:37]ラン:わかってますよ〜(汗)
[18:37]チョウ:私は少し遅れる。本の仕入れを手伝わなければならない
[18:37]ラン:わかりました!では皆さん、おやすみなさい!
[18:37]水仙:お休み乱太郎
[18:37]コヘ:またな〜( ´ ▽ ` )ノ
[18:37]ギン:じゃあな
[18:37]ケマ:楽しみにしてる
[18:37]チョウ:もそ
—‐—‐—
「うひゃあ、どうしよう」
スマホの電源を落としても乱太郎の顔は雀斑が認識出来なくなるぐらい赤面していた。
「今週の日曜、空いているか?」
月曜日の朝、乱太郎が通る通学路を歩いていると、遠くから「一緒に行かないか」と朝方なのに威勢の良い声が響いた。声の主は、乱太郎が尊敬を抱く先輩の内の一人、『食満留三郎』だった。そんな彼に声を掛けられれば断る訳がない。乱太郎は躊躇する事なく一緒に登校を承諾した。
通学路は途中二手に分かれているのだが、乱太郎が通う忍学園は右に、食満の通う大川学園は左方向に設立されているので一緒にいられるのは途中までとなってしまう。
しかし分かれ道に到着するまでかなりの距離があって食満と話す時間は十分あった。憧れの人とゆっくりとお喋りを楽しめるこの時間が乱太郎は大好きだった。
黄色の標識が目に映れば、それはもう直ぐ食満と別れてしまう合図。
少し寂しさを感じていた乱太郎に、何時もなら「あのS野郎にシバかれるといけないからまたな」と慌てて去ってしまう食満が珍しく声を掛けてきたのだ。
はてと乱太郎が見上げれば、食満は少し照れ臭そうだった。
あの、そのだな…、もどろく彼の口から乱太郎にとって夢の様な言葉が出た。
「今週の日曜、空いているか?」
まさか自分が憧れを抱く先輩から休日を過ごすお誘いが来るとは思わなかった。急に予定を聞かれたものだから即座に肯定の返事をしてしまった。その日は予定が無かったからよかったものの、クラスメイトであり親友であるきり丸やしんべヱと先約があったならば、今現在の乱太郎の顔は蒼白になりながら断りと謝罪の言葉を考えるのに必死だったかもしれない。
突然野球ボールが部屋の窓を割って侵入してきたり、鴉に追い回されたりと毎回些細な不運に見舞われ今や上級生や先生にまで〈不運小僧〉と呼ばれるようになった乱太郎だが、この時は〝史上最高の幸運〟だと乱太郎は思った。
その後授業に全く集中出来なくて最後まで土井先生に怒られまくったなあ。
つい最近の出来事だというのに歴史を懐古する姿勢でしみじみ思い出す乱太郎に部屋の外から母親の呼び出しの声が耳に入り、そこで脳内に流れる映像が途切れ記憶の世界から意識が覚醒する。
「夕飯食べに降りて来ないから……何してるの、とっくに冷めてるわよ」
慌てて時計を見れば7時を回っていた。
「分かってるよ、母ちゃん。今行くってば」
急いでベッドから飛び降り部屋を出る。
扉を閉める手を止め、チラリと目線を窓辺に寝そべるスマホへ向けてから小さく微笑んだがそう長く続かなかった。
再び母親が自分を呼んだからだ。先程より増している。
今度こそ自分の分が片付けられる前に乱太郎は部屋の扉を閉めずその場を後にした。
———
腐なんてなかった\(^ ^)/
- ★小ネタ ( No.4 )
- 日時: 2015/02/18 13:22
- 名前: ナノハ ◆6lxp.HdbLA (ID: 6fRH7Ess)
※.LINEネタのどうでもいい設定(追加更新予定)、現パロ
———
□猪名寺乱太郎
・13歳
・中学一年。『忍学園』に通っている
・きり丸と福富しんべヱとは親友
・その他のは組メンバーは『家族』兼『乱太郎護り隊』。後者の方は乱太郎は知らない
・〈不運小僧〉、〈風雲小僧〉と呼ばれているが陰では〈学園のアイドル〉と称されている
・得意科目は『国語』で他は普通だといい
・委員会は原作通りの『保健』で
・部活は『美術部』と『陸上部』、『漫研部』の掛け持ちだといい
・絵が凄く上手いので表彰されたり、友達や六年組の間でも好評でよく似顔絵を描いてあげたり教えたりする
・ある時二年の三郎次に馬鹿にされ落ち込んでいた処、六年組と知り合い仲良しに
・六年組が自分(乱太郎)を取り合いしていることを知らない
・乱太郎には…
○小平太→優しくて力持ちで、お兄ちゃんができたみたい
○仙蔵→最初はボーイッシュな女性だと思ってた。男性と分かっても凄い美人さんだなぁと思ってる
○長次→ちょっと怖かったけど凄く優しい人
○文次郎→頼りがいある人。努力家
○留三郎→気難しそう
○伊作→一度しか会ってないから記憶がボヤけてる。強いて特徴を言えばジャニーズっぽい人
先輩がこう見えている
・ゲームは主にポケモンとかやってたらいいな
・↑六年組と遊ぶ時は一度は対戦したり交換したりするといいな
・↑ポケモンでの対戦では六年組に負けるけど、マリカでは必ず勝てるという。流石風雲小僧←関係ねぇ
・LINEやってます
□善法寺伊作
・17歳
・高校3年。『大川学園』に通っている
・原作通り不運を発揮しまくる。
・委員会は原作通りの『保健』で
・部活は『手芸部』とか入ってたらいい
・氷の上を滑って足を打撲した乱太郎を介抱して以来一目惚れ
・↑もう一度会いたいが、自らの不運の所為で中々会えない。正確には乱太郎の後ろ姿はよく見かけるけど不運が邪魔をして面と向かって会話出来ない
・ゲームやってるけど、ファミコンとかアラレちゃん世代の人しかやってなさそうなゲームばかり
・六年組の中でLINEやってない。ガラゲー(色は黒)だといい
・何で僕は会えないのに仙蔵達は易易と乱太郎に会えるのさ?
□七松小平太
・17歳
・高校3年。『大川学園』に通っている
・原作通りのイケドンっぷり
・委員会は原作通りの『体育』で
・部活は『空手部』、『柔道部』、『陸上部』、『バレー部』の4つを掛け持ちしてたらいい
・↑小平太が入ると必ず勝利するというジンクスがある
・↑また小平太の最強っぷりから陰では〈暴君〉と称されている
・運動系なら何でも出来そうだよこの方
・乱太郎とはランニング中で出逢ってそう。色々語り合ってたら何時の間にか仲良くなってたよ
・小平太なら絶対ゲームやってそう。ポケモンとか格ゲーとか
・小平太の家が和菓子の老舗だったら美味しい
・スマホ持ってる。意外。色は緑
・LINEやってます
□立花仙蔵
・17歳
・高校3年。『大川学園』に通っている
・安定の美麗さ兼S。怒らせると怖い設定も原作通り
・流石に現代では焙烙火矢は持てないので花火に変更
・↑「花火の後始末?そんなもの、留三郎達にでもやらせとけ」
・成績は学年トップだといいな
・委員会は『園芸』だといい
・部活は『作法部』だといいな
・↑作法部部長
・↑仙蔵が作法部に入部して以来、作法部を『S法部』と呼ばれるようになった
・意外とゲームやってそう
・小平太の紹介で乱太郎と出会う→後の一目惚れである
・一番乱太郎を溺愛してそう
・スマホ持ってる。色は白
・LINEやってます
- ○人の居ぬ間に涙 ( No.5 )
- 日時: 2015/02/19 12:21
- 名前: ナノハ ◆6lxp.HdbLA (ID: QCkuis7p)
※.こへ→鬼、乱太郎→人間。昔話パロを目指して
———
とある昼下がりの小さな武家屋敷にて。
一人の少年が眼鏡を側に縁側で昼寝をしていた。庭に生える梅の枝には鶯が二羽並んで留まっては仲良く母が子に唄う子守唄の様な二重奏を奏でている。
少年に掛かっている筈の毛布は既に地についているという事は、少年は疾うに眠っていると云う事になる。
そんな中、平和的空間に似つかわしくない砂利を踏む音が聞こえ、其れが少年の方向へ近付いて来ると鶯達はぴいぴいと金切り声をあげながら一斉に逃げ出した。
大きな足音が止むと同時に今度は大きな影が眠る少年全体を包み込んだ。
「らんたろ、らんたろ」
雷鳴の様ながらがら声に相次ぎ、大人の拳より一層大きな紅い手が少年の肩を掴んで激しく揺さぶれば、ぴくりと動かなかった少年の目元がひくひく痙攣してから瞼が開いた。
「ん……こへいた、だよね?」
「おう。わたしだ、らんたろう」
〝らんたろう〟と呼ばれた少年は目が視えなかった。
生まれ付きでなく、〝らんたろう〟が7つの歳を迎えた際流行病にかかり、幸い命に別状は無かったがその代わりに視力がうんと低下してしまい、眼鏡と呼ばれる南蛮から渡来した視力を補助する道具無しではまともに外を歩く事はおろか物も全く見えない。
そんな〝らんたろう〟は寝惚けながらも自分を呼んだ者の名を言い当て、手元に置いてある眼鏡を掛けた。
鮮明になった目の前には、獅子の如く盛る黒髪を結い、額には琥珀色の一本角、そして釣り上げた口元から垣間見える牙。
「いらっしゃい、小平太さん」
嬉しそうに〝らんたろう〟を見下ろす彼は、伝説上妖の代表格であり地獄の遣いと云われている〈鬼〉である。
「おう、よくきてやったぞ!」
「相変わらず面白いですね、小平太さんは」
勢いで抱き着く小平太を嫌がらず〝らんたろう〟は彼の頭を撫でる。
「きょうはどんなコトバをおしえてくれるんだ?」
「今日は『いろは唄』の復習でもしましょうか」
「いろはうた?わたし、いえるぞ!」
「流石小平太さん。では覚えている範囲で言ってみて下さい」
「ぜんぶいえるぞ!」
小平太は生まれた時から言葉を話せない。
別に〝らんたろう〟の様に小平太は病で話せなくなったのではない——〝言葉を全く知らずに育った〟からである。
だからこうして〝らんたろう〟に言葉の読み書きを教えて貰っているのだが、何故小平太が〝らんたろう〟から言葉を教わろうとする理由はこの場では語りきれないだろうから端折らせて貰う。
さて、〝らんたろう〟に教えて貰ったいろは唄を小平太が懸命に披露する処から話を戻そう。
「では、いうぞ」
どこまで言えるのか。
〝らんたろう〟は小平太への期待を胸にゆっくりと頷いた。
其れを合図に小平太は深呼吸する。そして
——いろはにほぇへと ち〝ぃ〟ぬ〝ぅ〟を わぁかよたれぇそつねならぁむぅ うゐのおくやまけふこえて あさきゆめみし ゑひもせす
たどたどしくも最後まで言い切ると、〝らんたろう〟から拍手が送られた。
「ほらな。いえたぞ」
「よく出来ました。でもまだ〝り〟と〝る〟が言えてないですね」
「こまかいこと、きにするな」
そう言って小平太はぷくぅっと頬を膨らませた。
間違いを指摘すれば小平太は直ぐに拗ねる。
中身はまだまだ子供なのかな。
〝らんたろう〟は小平太を宥めながら懐から巾着袋を取り出すと紐を緩めた。
「小平太さん。此れで許して下さい」
〝らんたろう〟が差し出したのは、透明に赤と緑と黄の三線が入った小さい飴玉でほのかに透き通る香りが鼻を擽る。
「やだ」
何時もなら飛びつく筈の小平太も今回は食いつかなかった。
流石に何度もないか。
先程心に思い浮かべた言葉を前言撤回し、飴玉をしまおうとした処で「まて」と制止の声が掛かった。
「らんたろの〝くち〟でたべさせろ」
「ふぇあっ?!」
予想外の言葉に〝らんたろう〟は思わず肩を大きく震わせた。
何時の間に小平太はそんな破廉恥な表現を覚えたのだろうか。
「あ、あの、こへいたさん…?」
「してくれなきゃ、やだ、だぞ」
「どうしても…?」
「どうしても」
何度尋ねても答えは同じ。
このまま続けていたら夜までかかる。否、夜になっても続くだろう。
根負けした〝らんたろう〟は渋々飴玉を口に含み、小平太さん、と呼んだ。
「やってくれるのか!」
「今回だけですからね…」
「わかってる!」
〝らんたろう〟が顔を近づけるより先に小平太が〝らんたろう〟の頭を鷲掴み、彼の口を自分の其れと重ね合わせる。
小平太の容赦無しの接吻はそれはまるで蛇が獲物に対する執着の様で、〝らんたろう〟の意識を簡単に奪ってしまう。
意識が朦朧する中、〝らんたろう〟はふと思った。
——嗚呼、これぞ正に生き地獄かな
———
なにこれ駄文
- ○奇病シリーズ〜猪名寺乱太郎 篇〜 ( No.6 )
- 日時: 2015/02/20 14:45
- 名前: ナノハ ◆6lxp.HdbLA (ID: ShAxrTa5)
※.少々特殊設定有り
———
「ねぇ、乱太郎」
授業の終わりの鐘が鳴り響くと、殆どのは組の生徒達は蜘蛛の子を散らす様去って行った。
教科書と筆記用具をまとめ終え自分も去ろうと立ち上がった乱太郎に突然声を掛けられた。
「何?兵太夫」
声を掛けたのは乱太郎の席から少し離れた其れに座る『笹山兵太夫』だった。
兵太夫は怪訝な顔で質ねる。
「最近、乱太郎笑わなくなったんじゃない?何かあった?」
乱太郎は無表情のまま黙秘する。
兵太夫の云う通り、最近の乱太郎は笑わなくなった。否、笑う事以外にも苦の表情すら浮かべる事が無くなった。
最初に気付いたのが乱太郎の親友であり同室のしんべヱで、次にきり丸、その次に喜三太と遂には土井先生を除くクラス中が乱太郎の異変に疑問を抱くようになった。会う度に、大丈夫?だとか熱でもあるの?など気の利いた言葉を掛けるようにしていたが、掛ければ掛ける程乱太郎の表情は無くなるばかりだった。物分りの良いは組の良い子達は、これ以上問い詰めると乱太郎には良くないと多少後ろめたさがあるものの渋々身を引いた。だが、は組一好奇心旺盛である兵太夫だけは違った。
兵太夫は乱太郎を好いていた。自作の絡繰に引っかかり顔を真っ赤にしながら頬を膨らませる姿も、授業の時も上達出来るよう必死に手裏剣を投げる姿勢も、食堂のおばちゃんの手料理を前に嬉しそうに目を輝かせる表情も、そして分け隔て無く誰にでも手を差し伸べてあげる優しさも、全部引っ括めて好きだった。
だからこそ兵太夫は想い人の為に何かしてあげようと二人きりになる機会を伺い皆の気持ちを代弁しているのだが
「僕達が何かした?」
「きり丸もしんべヱも、ううん、二人だけじゃない。他の皆も普段と変わらずに接してたようだけど、乱太郎の事心配してたよ」
「何か言ってよ、乱太郎」
何度質ねても乱太郎の反応は変わらなかった。
どこか冷静さのある兵太夫だが、中々話そうとしない乱太郎にとうとう痺れを切らし、がっと肩を強く鷲掴み、「乱太郎ッ!!」と唾が飛ぶ程怒鳴った。
「ひぃっ」
大袈裟に身体をびくつかせ酷く怯える乱太郎を見て兵太夫は、しまったと焦り出した。
乱太郎の相談に乗る筈が寧ろ傷つけてしまった。
どうして僕は不器用に接する事しか出来ないのだろうか。兵太夫は自己嫌悪に陥った。
それよりも、まだ震える乱太郎に詫びようと頭を撫でた時だった。
「っ乱太郎、その髪の色は何…?」
乱太郎の頭を覆い隠していた頭巾が解け落ち、露わになった。
本来は紅葉の様な朱色の癖っ毛が真っ黒に染まっていた。
我に返った乱太郎は急いで頭巾を拾おうとしたが、兵太夫はそれを制止した。
「離してよ、兵ちゃんっ…!」
「落ち着きなよ!大丈夫、ここは僕と乱太郎の二人だけだから」
ね?と兵太夫が微笑むと今迄頑なだった乱太郎の表情が一気に崩壊し、兵太夫の胸に顔を埋めた。
「うわああああああ!!!兵ちゃんっ兵ちゃん!!お願い、誰にも言わないで、私を化物を見る様な目で見ないでっ!!」
「大丈夫。誰にも言わないし、髪色が変わっても乱太郎は乱太郎だもの。喩え化物だとしても僕は拒絶したりしないさ」
乱太郎の背中を摩りながら、兵太夫は目を妖しく細めた。
———大丈夫だよ、乱太郎。僕は決して君を拒絶しないよ。するもんか。その髪色の所為で独りぼっちになっちゃっても僕が居るもんね
僕だけしか知らない乱太郎の秘密
其れは決して他人に知られる事無く墓場まで持って逝く事になるだろうね
———
お題に沿ってなかった。なんだこりゃ。意味不明
薬一切出てこねーよ。兵太夫誰てめ\(^ω^)/
The Piercesの『secret』という曲のイメージ小説になってしまったが、ホントは鉢乱で書きたかったんだけどね。
「乱太郎にだけ俺の素顔教えてあげる」
「でも約束して、誰にも俺の素顔を見た事を話さないって」
「はい、誓います」
「本当に?命に掛けても?」
「約束するなら私の命を掛けてもいいですよ」
「そうか。なら、教えてあげるよ」
…的な
診断元:奇病にかかったー
お題:猪名寺乱太郎
診断結果:猪名寺乱太郎は感情によって髪色が変化する病気です。進行するととても惚れっぽくなります。人魚の涙が薬になります。
- ○奇病シリーズ〜立花仙蔵 篇〜 ( No.7 )
- 日時: 2015/03/04 17:16
- 名前: ナノハ ◆6lxp.HdbLA (ID: wQq6g6Zh)
※.少々特殊設定有り。乱ちゃん不在。なんかの捏造。グロテスクまでとはいかないですがモドキ。伊作視点(ちょくちょく変わるかもしれない)。伊作テラ酷ス。伊作・仙様好きな方スミマセン_(._.)_
仙乱←伊作な感じです
カオス文
———
「まだ治らないのかい、その左目」
「ああ。日が経つ程症状が酷くなっていく」
ほら、と弱々しい声と共に差し出された左腕には刺の生えた蔓が絡まっている。
蔓は左腕に生えているのではなく、左目から生えた蔓が成長し過ぎてしまい腕に絡まってしまっただけなのだ。
嗚呼、何て醜い顔なんだい仙蔵。左目に紫の椿を咲かせた人間なんて最早人間ではない、化物だ。
同室の文次郎も、長次も、留三郎も、小平太も、何故誰も気味悪がらないのかと不思議に思う。他の六年や先生方はましてや異端だと非難するのに。
「本日の定食に珍しく魚が入って無かったが」
「授業の終わる前、食堂のおばちゃんの代理で山田先生が、食糧庫に山賊が入って魚をまるごと盗られてしまったから本日の定食は魚抜きだって言ってたじゃないか。聞いてなかったのかい」
「途中気分が優れなくなったのでな。保健室で休養を摂らせて貰った」
「道理で午後の実技の授業で仙蔵の名前が呼ばれないと思ったよ」
流石天才様は何をやっても許されるんだな。
少しでも魚を食べないだけでこんなにも酷くなるのか。と僕は皮肉と疑問に思った。
仙蔵が奇病と呼ばれる難病に掛かってからヤケに魚を食べたがるようになった。
左目に妖しく咲く椿。それは仙蔵の命を糧に、日に日により美しく色濃く成長していく。花弁の数が日数を表している。
治療法は一つ。どの種類でもいい、魚を食べると花が散り元通りの目に戻るとアイツは言っていた。どうやら魚が奇病を治す妙薬らしいが、あくまで発症を〝抑える〟、つまり花の成長を一時的に止めるだけで次の朝になればまた元通りに咲いているのだから。
毎日魚を食べても無駄だというのに。いい加減諦めればいいものを。
なんなら僕が一瞬で治してあげようか?奇病とやらが無くなる代わりにそのご自慢の綺麗な顔が誰もが見たら瞬時に吐き気を催す程ぐちゃぐちゃになるけれど。
「このまま治らずに私が死んだら、乱太郎は悲しんでくれるだろうか」
「さあ。その時にならないと分からないよ」
「そうか」
「大丈夫だよ。乱太郎は優しい子だもの、きっと泣いてくれるさ」
「だといいのだがな。もし私が死ぬ時は此の瞳をあの子にあげようと思う。死んだ私の代わりとして大事にしてもらうよう渡そうと思う。積もりに積もった恋慕の言乃葉も添えてな」
「なんなら僕が仙蔵の代わりに乱太郎に手渡してあげようか?」
「いや、私直々で手渡すさ。その方が乱太郎に私の気持ちが伝わり易い
だろう」
させない。させるものか。
どちらにせよ乱太郎に手渡してしまえば、一生あの子は仙蔵以外の人間を見なくなる。仙蔵を想い続ける。
そうなる前に僕が千切って散らして踏ん付けてその忌々しい香りすら残らぬよう跡形無く灼いてしまえばいい。
仙蔵。お前が死んでも僕が最期まで、ううん、未来永劫乱太郎を愛してあげる。仙蔵だけじゃない、留三郎や小平太、文次郎に長次、他の事を考えられない位どろどろに甘やかしてあげるし、仙蔵の代わりに乱太郎から愛されてあげるから。
散々乱太郎と愛し愛されてきたんだから、もう心残りは無いよね?安心して逝っていいよ。
ああ、どうせ死ぬのなら遠回しなやり方で殺してあげないとね。仙蔵が僕特性の睡眠薬で眠って貰っている間に
最期に乱太郎の姿を見る事のないよう両目を刳り貫き、
乱太郎に助けを求められぬよう愛を囁けぬよう喉を焼く薬を流し込み、
乱太郎に近付けぬよう両足を切断し、
乱太郎の温もりごと抱き締めれぬよう両腕を切り落とし、
嗚呼、きっと乱太郎への恋慕から乱太郎を一目見る事無くじわじわと死んで逝く絶望に変わった時の仙蔵の顔は、椅子はおろか机さえ引っ繰り返る滑稽さだろうね…!
「伊作?」
不思議そうに此方を見詰める仙蔵。
今僕が考えている事を知ったら一体どんな反応するだろうね?
卑怯者と言って僕を軽蔑するか、それとも、乱太郎を頼むと言って僕に乱太郎を託すのか、間違いなく後者は有り得ない。
友人だと思われてもこっちは一度も仙蔵の事を友人だと思った事はない。ましてや仲間でもないんだから。
仙蔵と云う男は、武家出身故か品行方正で、容姿端麗・頭脳どちらも恵まれた正に〈高嶺の花〉と云っていい程の完璧さを持ち合わせている。
文次郎達は勿論、教師達からも一目置かれ、お昼どきや放課後になればくノ一達が仙蔵が教室から退室するのを見計らっては黄色い声をあげ贈り物や恋文を押し付け群がるのはしょっちゅうの事で、だがそれは仙蔵の〝裏の顔〟を知らないからそんな真似が出来る。無駄だというのに。
見ちゃったんだよ。皆の目の届かない場所から仙蔵がまるで塵芥を見る様な眼差しで山田先生達の事を鬱陶しそうに見据えていたのを。
見ちゃったんだよ。〝直ぐに群がる品性の欠けた女狐なぞ御里が知れる…二度と会いたくないし、声も聞きたくもない。一瞬たりとも目線を合わせてみろ、不快感で全身粟立つわ〟ってブツブツ不満を呟きながら、折角の贈り物を焼却炉の中に躊躇なく放り込んでいたのを。
奴は自分より劣る者を貶しめ相手そのものの価値や能力の可能性を粗探しする。僕も一年の際に仙蔵に粗探しされた被害者だ。
——そもそも何故お前みたいなやわな人間が目指そうとする。六年に昇格すれば実習は更に過酷になるんだ。悪い事は言わん、命を落とす前に早く此処(学園)から去ったらどうだ?——って鼻で笑いながら。
どんなに頑張っても忍術の基礎すらロクに覚えられなかった僕の気も知らないで。
当然僕以外にも被害者はいた。そいつ等も僕と同じ仙蔵の言動でプライドをヘシ折られ忍の志を消沈した挙句ほぼ全てが退学していった。4学年まで耐え忍んでいた者もいたけれど、結局5年生に上がる前に辞めちゃった。そして今現在の六年に上がった時には僕と小平太と文次郎と留三郎と長次と、それから仙蔵の六人だけになってしまった。
此処まで耐えてきた僕は本当に凄いと自分で言うのも何だが感心してしまった。今更ながらだけれど、次々と辞めていった者達が少し気の毒に思えてきた。そんな安っぽい憐れみとか、偽善に聞こえてしまうだろうけど、心の底からちゃんと思ってるさ。
当時の僕は、今と比較して有り得ない位弱虫で泣き虫で武器一つまともに扱えなかったのに、退学しようとしなかった事が今思えば奇跡だったかもしれない。今の学年に上がると仙蔵の粗探しはすっかり止んだ。今は、「伊作、一緒に図書室に行かないか」、「相談に乗って欲しい事があるのだが」って友達同然に普通に話しかけられている。今更話し掛けるな。気持ち悪い。
今思えば、もしあの時退学していたら薬の知識は今より浅かったかもしれないし、保健委員会で知り合った一年は組の生徒『猪名寺乱太郎』と出会えなかったかもしれない。僕が愛する乱太郎は仙蔵には無いものを持ってる。不運な性質な僕が些細な事に失敗すると気遣いの言葉を掛けてくれる。笑ったりはするけれどそれは乱太郎自身も失敗を分かち合っているからだ。
駄目な僕を乱太郎は仙蔵の様に嘲笑ったり否定したりしないで、寧ろ全てを受け入れてくれる優しい子。そんな幼子に僕は恋をしたんだ。
仙蔵は高慢な反面、自分が美しいと思ったモノや欲しいモノを一度狙ったら蛇の如く執念深く求め続け、しかし手に入ればそれきりだ。結局彼の性格は表面も裏面も身勝手・自己満足に変わりはない。
今回彼が目を付けた僕の乱太郎もその内に含まれており、今現在は何をしたのか難なく手懐けてしまった。
お前はそんなに僕から大事なモノを奪いたいのか。やっと手に入れた幸せをまるで自分が得たかの様に見せつけるな。返せ、乱太郎を返せ。
下級生に興味を一切示さない仙蔵が何故そこまで乱太郎を溺愛するようになったのか。乱太郎の優しい性に絆されてしまったか、はたまた僕が乱太郎に恋心を抱いているのを承知で乱太郎に近付いたのか。
だがどうだっていいさ。今までの恨みを自らの手で晴らす事が出来るんだから。仙蔵が乱太郎に近付く理由なんて知ったことではない。
ありがとう、五年まで散々僕の事を貶め虐めてくれて。
ありがとう、お前が奇病に掛かってくれて。
ありがとう、お前が僕に仕返しの機会を与えてくれて。
ありがとう、僕に乱太郎の恋人になる特権を譲ってくれて。
有難う。本当に有難う。仙蔵には本当に感謝してるよ。
ああ、友人でも仲間でも何でもないとは言ったけど撤回するよ。
〝今だけ〟は、ね。
「んー?なんだい、仙蔵」
「さっきから入口に佇んだままだぞ、入るなら入ったらどうだ。それに途中から呆けているが具合でも悪いのか?」
「そんな事ないよ。保健委員長たるもの病に侵されるなかれってね」
「まるで文次郎の様な言い草だな」
「いやだなぁ。あんな暑苦しくギンギン喚いてる自称〈忍術学園一忍者〉のあいつと一緒にしないで欲しいな」
「別に不快にさせるつもりはなかったのだが」
「そう?それより、顔色が優れていないな。少し横になったらどうだい?」
「色々とすまんな」
「謝らないで。同じ学年の誼じゃないか。それより苦しいだろ?今鎮痛剤を持って来るから」
「頼む」
馬鹿な仙蔵。あっさり僕の云う事聞いちゃって。今から僕がお前を殺そうとするのに、殺気すら見抜けないなんて。見抜けなくても警戒はしておいた方がいいのに。まぁ、「頼む」と言った時点で後の祭だけどね。
あの時の、忍は喩え同士であろうとも常に警戒しろって偉そうに大口を叩いていた威勢は何処へいったのさ。
僕が薬を探している間は精々遺言なり考えておきなよ。そう制限時間は長くは与えてやれないけれど。
医務室の隅に置かれた箪笥の一番右下の引き出しを開ければ直ぐに自作の薬が見つかった。二つある内の蒼の小瓶を手に取り仙蔵の許へ向かう。
さぁ、いよいよ死の覚悟は出来たかな?
「お待たせ。さ、飲みなよ」
仙蔵は黙って頷き、蓋の開いた『鎮痛剤』、否——『睡眠薬』を受け取り一気に飲み干した。
僕の調合する薬の効き目は恐ろしく早い。だから仙蔵が意識を手放すのもそう時間は掛からなかった。
「さて、と」
咄嗟に懐から取り出した苦無を片手に仙蔵の胸辺りで跨いで左目に咲く椿の根元に先端を宛てがった。
さあ、誰も居ないうちにさっさとこの高慢ちきを始末しなければ。
目が覚めた時のお前の姿が楽しみだよ。
——サ ヨ ウ ナ ラ セ ン ゾ ウ
処理が終わったら乱太郎と団子を食べに行こうか。
———
きっと一年の時に色々事情があったんだよ:(;゛゜'ω゜'):
診断元:奇病にかかったー
お題:立花仙蔵
診断結果:立花仙蔵は左目から紫色の花が咲く病気です。進行するととても惚れっぽくなります。魚の涙が薬になります。