BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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透明なガラス【ジャニーズJr.小説】
日時: 2016/09/24 09:22
名前: 諸星茜 ◆vN6JLb1xS2 (ID: Uc2gDK.7)

※キス表現有
*プロローグ*

キャアアアアアッ

『どうも!ありがとうございました!』

テレビという大きい箱の中で輝く存在、『アイドル』…。

人々に憧れられ、崇拝され、その一方で中傷や侮辱を言われる中でも

画面の前になるとキラキラとした笑顔で最高のパフォーマンスをする。

「なんで俺が…」

ハア、とため息をつきながら、

「Love-tune追加メンバーオーディション一次審査通過のお知らせ』

と書かれた薄い紙を見る。

「俺なんかが通過するとか頭イカれてるんじゃねえのか?」

まあ、容姿は人より少し良い方だ。だからなのか女がよく集まる。

『Love-tune』の事もその女共の一人から聞いた。どうも、

最近デビューした人気も実力もあるユニットらしい。

じゃあなんで追加させんだよ、と心の中で悪態をつきながら、

持ってたipodで音楽を聴きながら家を出る。

「ちゃんと食べるんだよ」

「お兄ちゃん、応援してるからね」

「ああわかったよ。いってくる」

と俺が言うと、

「「いってらっしゃい!!」」

と笑顔で返ってくる。

しばらくはこの家ともおサラバか。

「男ばっかりって、どんな世界なんだろう…?」

そう期待と不安に胸をふくらませ、新入生のような気持ちで家を出た。

まさか俺が、男に恋をするなんて、思わずに…。

Re: 透明なガラス【ジャニーズJr.小説】 ( No.11 )
日時: 2016/09/28 15:24
名前: 諸星茜 ◆vN6JLb1xS2 (ID: Uc2gDK.7)


「わ〜めっちゃ美味そう〜〜!」

「俺コレ好き〜〜♪」

夕飯はバイキングだった。

バイキングっていつ振りだろう。

多分修学旅行以来かな?

ワクワクとした気分で選んで入るが、

「おおい、そんな食べたらお腹壊すぞ!」

「壊れな〜いも〜ん♪」

視線の端にいる二人の傍から見れば親子のような

微笑ましいやりとりを見ると胸が苦しくなる。

「どうしたの?浮かない顔して」

そう声を掛けてきたのは、小柄な少年だった。

「別に」

「あるでしょ」

「はっ?」

そういった彼の笑みはなんとも可愛らしいものだったが、

今の俺にとっては不快にしかならなかった。

「なんで、そう思うの?」

「諸星くんを見てるでしょ?ずっと」

「えっ?」

「隠そうたって遅いよ。…多分、向こうも君を」

「なんて?」

半分小声になっていたのでそう聞くと

「いやなんでもない」

とはぐらかされた。

「で、どうしたい?」

「えっ?何が??」

なんだか彼のペースに振り回されてる気がする。

「きーもーち!確かめたい??」

と首を傾げて聞く様は女の子のようだ。

というかこういう感じだったっけ?

最初の印象はただ弱々しい感じだったような気がするが。

でも、モロの気持ち、か〜…。

そう考えていると急にほおに柔らかい何かが当たった。

びっくりしていると彼がいたずらっ子のような笑みでこちらを見た。

「諸星くんのほう、見てみて」

と囁かれる。彼に頷いてモロの方を見ると、目が合った。

がすぐに逸らされてしまった。

しかしいつもと何か様子が違う。動揺してるような気がする。

すると別のほうから鋭い視線を感じた。見ると、

前の顔の整った少年がこちらをギロリと見ている。

「あ〜あ、じんくんに見られちゃった」

「じんくん…?」

「あそこで僕等を睨んでる人。じんって言うの。神宮寺勇太。」

あいつ、神宮寺って言うんだ…。

「君の名前は?」

「僕?僕は岩橋玄樹。君の恋のキューピット♪」

いやどこが?

と言いたかったがあまりにも可愛らしく言うので、

まあ、そういうことにしとくかと思った。

すると、顔の整った少年、改め神宮寺がこちらへ近づいてきた。

「おい、玄樹。行くぞ」

「はあ〜い…」

「まさか、もうコイツには人見知りしなくなったのか」

「何?じん」

「うっさい。こっち来い」

「え〜〜」

そんなやりとりの後、小柄な少年、改め岩橋くんは

神宮寺に連れて行かれるようにして去って行った。

「さてと、もうちょっと選ぶか…」



Re: 透明なガラス【ジャニーズJr.小説】 ( No.12 )
日時: 2016/09/28 15:41
名前: 諸星茜 ◆vN6JLb1xS2 (ID: Uc2gDK.7)


「それでね、モロさ、いきなりプレート落としたんだよ!!」

「何それ。ウケる」

「言うなよ!つかウケるなよ!」

やっぱりこの2人といると楽しいなと素直に思った。

ハンバーグをほおばりながら話すがとぅーまを、

慌てた様子で話を止めに入るモロ。

すると、バランスが少し崩れた勢いで、

半分くらい残っていた俺のオレンジジュースをまいた。

まだハンバーグが残っている口を開けて爆笑するがとぅーまと、

「顕嵐、ごめんな、本当」

と困った様子で謝りながら持っていた青い星柄のタオルで机を拭くモロ

なんだかコメディみたいだな、

と思いながら、サラダを口の中に入れた。すると、

つんつんとひじをつかれた。振り向くと、

岩橋くんがいた。

「どうしたの?岩橋くん」

「も〜玄樹って呼んでよ〜〜」

と彼はほおをふくらませながら怒った。

女子かよ、とツッコミたくなったが心の中にとどめておこう。

「作戦成功だね♪」

と耳元で囁かれる?

「何が?!」

「えっ?わかんない?キスしたの」

「誰が、誰に?」

「僕が、顕嵐くんに」

「どこを?」

「ほおに」

ああ、あの柔らかい感覚は彼か…じゃなくて!!

「なんで?!」

「だって、知りたいって顔してたじゃん」

まあ、知りたいとは思ったけど。

「あれで何が知れたの?」

と言うと、呆れた表情をする彼。

「どうしたの?」

「ハア〜…君って本当に鈍感だね」

「違うよ!」

「違わない。これは周りの人ガチで疲れるね」

「なんで?」

「自分で考えなよ、鈍感」

「違う」

「違わないでしょ。少なくとも顕嵐くんは好きでしょ?」

「まあ、好き、だけど〜…」

「じゃあアタックしなよ!あの子に奪われちゃうよ?」

あの子…ああ、がとぅーまね〜…。

「話しかけ方がわかんないよ」

「あのね〜これから歌とかダンスのレッスンが入ってくるの!

(小声)諸星くん両方上手いから、わからないとこがあれば

聞いちゃえばOKだから♪」

ああ、女子だな〜…。

「そっか…」

「それか無理矢理あの会話に入っちゃうとか」

「それもいいかも!」

「がんばってね、顕嵐くん」

「ありがとう玄樹くん!」

「どういたしまして」と完璧なアイドルスマイルで言うと、

彼は向こうのほうへ行った。

あそこが夕飯スペースだったのかな?

「顕嵐」

「何?」

「あの話したの誰?」

不思議そうな感じでモロが聞いてきた。

しかし、何か違和感を感じた。

「岩橋くん。オーディションで一緒のグループだった子。」

「そうなんだ!」

すると、いつものモロに戻った。なんでだろう。

それを知るのは後の話だった…。

Re: 透明なガラス【ジャニーズJr.小説】 ( No.13 )
日時: 2016/09/29 14:12
名前: 諸星茜 ◆vN6JLb1xS2 (ID: Uc2gDK.7)


夕飯が終わると、消灯である22時まで自由時間らしい為、

モロとがとぅーまと一緒に部屋へ行くことになった。

その途中、がとぅーまが颯という少年と、嶺亜という少年と

いつの間にか仲良くなったらしく、3人でどこかに行ってしまった為、

モロと二人きりになった。

「顕嵐と二人っきりってオーデ以来だね」

「だね…」

「そう言えばさ、岩橋くんと仲良いよね」

「うん、というか岩橋くん、知らなかったの?」

「えっ?」

「研修生だよ、多分彼も」

「えっと〜…あ〜〜〜!!」

するといきなり叫びだした。

「うるさ…」

「ごめんごめん!でもあいつこの前まで茶髪だったのに。

オーディションだから染め直したとか?」

へえ〜、茶髪の玄樹。見てみたいかも。

「うわ〜てことは神宮寺も?」

「ああ、そんな名前いたような〜…」

「終わった…」

「なんで??」

「あの二人、研修生の中でもデビュー筆頭だよ。

そんな二人に勝てるかな〜〜」

「ん〜いけると思う」

「よく言えたな!」

「いや俺じゃなくてモロ」

「なんで?」

きょとんとするモロ。可愛い。

「だってs「諸星〜〜〜〜!!」

ギュッ

「は、萩ちゃん?!?!」

えっ…?

「なんで、本家が来てるのですか?!?!」

「えっ?だって俺等サポートだもん」

だもんって…。聞いてないよ、俺。

「聞いてないよ俺!」

「言ってないもん」

「そう言えば、テレビっていつ来るの?」

「今来てるよ!」

「「えっ?!?!」」

「知らなかったの?モロが盛大にプレート落としたの撮られてるよ」

「なにそれ、俺ただの鈍臭いヤツじゃん…」

「そうじゃないの?www」

「ちげえよ!ひどいな!萩ちゃん!!」

ああ、なんか置いていかれてる気がする…。

「すみませ〜ん、インタビューいいですか〜?」

と突然、インタビュアーっぽい男の人が現れた。

「二人ですか?」

とモロが聞く。

「そうです!萩谷くん、ごめんね〜〜」

「いえいえ!いい息抜きになったので!」

「えっ?萩ちゃん、どっか行くの?」

「行くのも何も俺等も審査員だからね!」

「「えっ…」」

「審査の準備♪」

なんてウインクしながら言う彼は正真正銘のアイドルだ。

「じゃあね〜!」

「うん!また会おう!!」

そう言って彼は去って行った。

「それでは、いくつか質問させていただきたいので、

ここではなんですし、室内に行きましょうか」

「「はい…」」

奇跡的にハモった声に笑いながら、

インタビュアーさんに着いて行った。

Re: 透明なガラス【ジャニーズJr.小説】 ( No.14 )
日時: 2016/09/29 14:35
名前: 諸星茜 ◆vN6JLb1xS2 (ID: Uc2gDK.7)


「それでは質問していくけど、オーディションを受けようと思った

きっかけって何かありますか??」

ああ、聞かれると思った質問だ。

「俺はですね、恥ずかしながらLove-tuneのオーディションの話を

研修生仲間から聞いて、社長に直談判したんです。

どうしても今ユニットに入らなきゃと焦ってたので」

「諸星さんは、研修生の中でも先輩にあたりますからね」

「はい。多分、今を逃したら二度とないんじゃないかって。

丁度、高校も卒業したんで。」

そんなわけがあったんだ。確かに研修生は厳しいっていうしね。

「諸星さんの意気込みは?」

「俺はなんとしてでも受かりたいですね!

やっと掴めたチャンスなんで!!」

モロ…。

「阿部さんは?」

「俺ですか?俺はクラスメイトから「アイドルっぽい」と言われてて

今回のオーディションもそのクラスメイトから薦められて」

「そうなんですか!確かにアイドルっぽいですね」

「そうなんですか。ありがとうございます。」

「一般枠で、この三次審査まで行ったのは片手で数えるくらいしか

いませんが、今の気持ちは??」

「最初は受かりたいなっていう軽い気持ちだったんですけど、

今は絶対受かりたいなと思います」

モロの覚悟を聞いたから。本気でそう思ったんだ。

「それは諸星さんの意気込みを聞いてそう思いましたか?」

この人、もしかして確信犯?

「はい、そうです」

「いや、照れるな〜」

「どこに照れる要素があるの?」

というか照れたいの俺だよ。恥ずかしい。

「お二人は仲良さそうに見えますが、どのようなきっかけで?」

「俺が話しかけたんですよ!もう一人、長妻ってヤツもいるんですけど

そいつにも話しかけたんですけど」

「おお、その長妻さんと阿部さんの第一印象は??」

「ながつはとにかく美少年!って感じでモデルみたいでしたね。

顕嵐は少女マンガに出てくるような感じで。二人共近寄り難かった

けど、何か仲良くなりたいなと思って。そしたら、

ながつは破天荒でテンション高いし、顕嵐はこの通り天然だし、

もう本当に楽しいですよ!これからが楽しみです!!」

ああ、ほとんどモロが喋ってるな〜…。

さすが、研修生歴長いだけあるよ。

いろんなバラエティーとか出てるって確か

クラスの女が言ってたっけ??

「今回はありがとうございました!また取材させていただくことも

あると思いますので、ぜひよろしくお願いします!!」

「「ありがとうございました!!」」

やっと取材が終わり、室内から出れた。あそこ、暑い。

「暑かったな〜あそこ」

「俺も思った…」

「部屋に帰ったら涼もうか」

「だね」

そう言い、二人で部屋に戻ったが、まだ、がとぅーまはいなかった。

Re: 透明なガラス【ジャニーズJr.小説】 ( No.15 )
日時: 2016/09/30 18:41
名前: 諸星茜 ◆vN6JLb1xS2 (ID: Uc2gDK.7)

-翔希side-

「好き…か…」

「何が?」

「なんでもねえよ…」

俺は三次オーディションの課題曲となる曲を見ているフリをして、

今日の事を考えた。

俺は、この体質のせいで、いろいろと悩まされてきた。

『翔希!一緒に遊ぼうぜ!!』

『うん!』

俺には、初恋の人がいた。

信じられないかもしれないが、同性だ。

しかもその人には、彼女がいた。

それでもいいと思った。彼の弟的存在として、

そばに入れたらよかった。そんなあるときだった。

『兄ちゃん…?』

『なんでいなくなるんだよ…』

兄ちゃんの最愛の人が事故で亡くなった。

俺は自分の責任だと思い、その人を好きになるのをやめた。

次の好きな人は、女の子だった。クラスに普通にいるような女の子。

でも俺は、優しくて笑顔が素敵な彼女が好きだった。

けれど、そんな彼女も母親を亡くし、転校してしまった。

そんなことがずっとあった。

『俺は人を好きになってはいけない』

そう思った。

そんなある日の事だった。

『モロ!俺…モロの事がすきなんだ。』

研修生になったばかりの頃、俺はある子に告白された。

当時、その子の事は「頼りになるな」と言う風にしか見ていなかった。

けれど、良い奴だったので、

『良いよ』

と言った。けれど、この選択が間違いだった。

付き合う内にそいつの事を大切に思っていて、

「一緒にデビューしたい」そう思っていた頃だった。

『俺…研修生、辞めるよ』

『なんで?!二人で一緒にデビューしようって言ったじゃん!!』

『もう無理だよ、俺には…』

『せっかく、一緒のユニットじゃん!!』

『もう無理なんだよ!俺、これ以上ここにいたら、耐えられない。』

『何が…?』

『ごめん、もうさよならだ…』

『そんな…!』

後から聞いた話、ソイツはずっといじめられていたらしい。

それも俺の事が好きという奴等から。

そう、そのときに思った。

俺は大切な人を不幸にしてしまうんだと…。

それから俺は、告白してくれた女と遊ぶようになった。

大切になんかしてしまったらそいつも不幸になるから。

この仕事だからこんな俺でもモテる。それを利用したのだ。

無論、告白してくるヤツはそんなのでも大丈夫なような、

人気のないアイドルや、知名度の少ない女優とかだったから。

そんなときだった。

『俺さ、モロの事が好きなんだけど…』

そうあるヤツに言われた。

その目は本気で、だから、辛かった。

俺はもう、人を不幸にしたくない。

ずっとそう思ってきた。

そのときも、そうだった。

『ゴメン!俺、付き合ってる人いるからさ…』

『好きになった人、不幸にさせちゃうくせに??』

『えっ…?』

なんでそれを知ってるんだ…?

『でもそれはモロのせいなんかじゃないと俺は思うよ!

別に俺は、モロの恋人じゃなくていい!

俺は、モロの心の支えになりたいんだよ!

だからお願い。もうそんな辛そうな顔しないで…』

それが萩ちゃんだった。

あのときに萩ちゃんがいなかったら、

多分、俺は壊れていた。ばらばらに心が砕けていたかもしれない。

そんな彼がユニットでデビューすると知って嬉しかったが、

まだどこか彼に依存していた。そう俺の過去を知ってもなお、

俺を大切にしてくれた萩ちゃんに依存していた。その依存心から

オーディションを受けた。でも、今は違う。

まだ過去を打ち明けてはいないけれど、仲間みたいなのができた。

俺と同じ、特殊な体質の。そして…

「何読んでんの?」

「あ、顕嵐…!」

「どうしたの?ビビった??」

「別に」

「エリカ様かよwww」

俺には、大切な人もできた。

ずっと一緒にいたい、大切な人が…。

ねえ、俺、もう一回恋をしても、いいかな…?


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