BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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好きなのに。
日時: 2017/03/23 18:54
名前: BIGY (ID: qMXr7W56)

オリジナルBL小説。シリアス多めかもしれないです。初めての小説投稿ですが、頑張ります!

ーーーーー
あれからもう5年経ってしまった。
月日が流れるのは早い。

アイツを護るために生きてきた。

今はアイツに遭うために生きている。

アイツの居ない世界は酷く息苦しい。もう一度、逢いたい。

そんな願いが呆気なく違う形で叶ったことを今の俺は知らなかった。

Re: 好きなのに。 ( No.7 )
日時: 2017/03/24 13:33
名前: BIGY (ID: qMXr7W56)

見にきてくれてありがとう!
褒め言葉、嬉しい!
応援ありがとう!がんばる!(^-^)

Re: 好きなのに。 ( No.8 )
日時: 2017/03/24 20:42
名前: BIGY (ID: qMXr7W56)


「お前泣き虫だな」

俺が嬉し泣きをしていれば彼はそう言ってケラケラ笑う。暫くして落ち着いてくると、彼は低い声で真顔で言ってきた。

「俺、生きてたから。約束どおり死ねよな」

「えっ…?」

あまりにも残酷な言葉に息が詰まる。本当に死ななきゃいけないのか戸惑っていると、彼は予想外の言葉を発した。

「お前はもう死んだから」

「えっ?」

「嘘つきの予言者のお前は俺が殺したから」

彼はそう言ってドヤ顔含めた笑みを見せた。俺はまた目から涙が溢れ出た。先程まで手術をしていた患者には見えないぐらい彼は元気に見えた。でも俺の左眼には彼の全身を覆う渦が青色から緑色に変わっただけなのが視えてわかっていた。
涙を拭う仕草でわざと左眼を隠せば、彼から言葉と同時にある物が手渡された。

「これ、お前にやるよ」

手渡されたのは黒い眼帯だった。受け取ってすぐに左眼を隠すように眼帯を付けて彼を見れば、彼はまた楽しそうに笑った。

「これからお前の眼は良い方向に使うか、俺のために使え!それ以外はその眼帯つけて封印!!」

あの頃は可愛く子供だったから子供らしいことを言っていた彼。俺は彼の一つ一つの言動に勇気付けられ、救われた。だから、この時一人、旨に誓った。

彼の病気を治し、一生をかけて彼を護ろう、と。

Re: 好きなのに。 ( No.9 )
日時: 2017/03/26 19:19
名前: BIGY (ID: qMXr7W56)

中学も普通の公立高校へ彼と入学したが、20歳未満なら何歳からでも入れる超能力者だけを集めて育成していく機関の学園に招待された。
そこで初めて彼も能力者だったことを知った。電撃能力、体内に溜めた電気を放出することが出来る。スタンガンも痛くないらしい。電池やコンセント、電気類から流れる電流を体内に溜めるのは、普通の人間で言う酒やジュースを飲んだ時の状態と殆ど変わらないと言ってる。
上手く使いこなせないから使わず誰にも言わなかったらしい。
彼は「おもしろそうじゃん」と笑ってその招待を承諾した。俺は彼と離れることを考えることすらせず学園には14歳(中学2年時)で同時に入学した。

勉学を進めながら主に能力を自分で扱えるように運動やら試験を繰り返しやった。部屋は決められた寮で一人一部屋。

彼、椎名仁瀬しいなひとせの身体も異常はないようで特に不満と言うなら同室では無いことぐらいだった。
彼の病気は不治の病。治ることは無いと言われ、手術は成功したが、またいつ再発するかは分からないらしい。学園で治癒能力者を探したがそれらしい人物は居なかった。

仁瀬は元気で人と関わるのが好きで生意気な子供だったんだろう。自分の人生は楽しかったって言える幸せなものにしようと思ってると言っていた。仁瀬が元気なら俺は安心した。仁瀬が怪我をしたらすぐ治せるように処置を早くする。仁瀬が風邪をひいたら早く治るように一番効く方法で看病する。その為には医者になろうと思った。

「あーさひー」

「どうした?仁瀬」

「俺明日実技試験だあぁー」

この学園の実技試験は能力発動し、障害物と戦い、クリアすれば合格。能力によっては的を射抜くことや障害物が大人であることもある。これが所謂テストなのだ。筆記試験は一般人が習う基礎知識が出されるだけでそれの補習はない。
ただ、実技試験は評価が五段階あり、専門の能力者や科学者達が評価している為、厳しく、試験が終わって、部屋を退室するまで本当の試験終了ではない。
仁瀬は筆記試験平均点以下、なにより身体のこともあり体力がなかなかつかず運動も平均点以下、実技に限っては普段なら問題無いが試験となると、他人に見られることで柄にもなく緊張で失敗することが多い。

「心配だな…」

「いやそこは元気づけてくれるとこっしょ?お前ならできる!とかってさーあー?ねっ?」

「…そうだな、頑張れよ」

「旭明日筆記試験?」

「ああ、俺の方が早く終わるから、下駄箱で待ってるぞ」

「んー、よろしくー」

いつも下駄箱から寮までの1kmの距離を二人で話しながら歩くのは楽しい。校内でも用事がある時や時間の合わない時、トイレ以外は一緒に居る。俺は仁瀬以外に欲しいものはないし、仁瀬が居れば俺の人生も幸せだった。

翌日、仁瀬は再試験の紙を持って苦笑いした。所謂追試というやつだな。これでダメだと評価が低い為、基礎練習の運動が厳しくなる。なんとか実技試験合格方法を仁瀬にアドバイスした。

Re: 好きなのに。 ( No.10 )
日時: 2017/03/27 22:25
名前: BIGY (ID: qMXr7W56)


再試験前日、仁瀬の部屋に俺は行った。

「どう?受かりそうか?」

「んー、わかんね」

「……ふー」

仁瀬が試験不合格となってしまうのが心配で自分を落ち着かせるために深呼吸一息すれば仁瀬は笑った。

「だーいじょーぶだよ!旭が手伝ってくれたんだから、失敗しねーよー」

気楽で呑気で伸び伸びしたその発言は俺を落ち着かせる。後先考えずやりたい事をやるのが仁瀬のやり方だ。それに文句を言う資格は俺には無い。あとは祈るだけだ。

「しっかりやれよ、仁瀬」

「おう!任せろ!」

ーー翌日、試験を終えた仁瀬は少し様子がおかしかった。

「仁瀬!遅かったな…どうだった!?試験は…」

「んえ?…お、おうよ!合格合格!旭ちゃんのおかげだぜ!」

「…?そ、そうか!それは良かった!」

仁瀬が無理に元気そうにしているように見えたのは気のせいかと思った。それから、何故か仁瀬に距離を置かれるようになった。

ーーーそして、数日後…仁瀬は自主退学した。

Re: 好きなのに。 ( No.11 )
日時: 2017/04/02 22:07
名前: BIGY (ID: qMXr7W56)

仁瀬の部屋へ行けば、そこには何も無かった。

元々私物を多く持たない仁瀬の部屋はいつも物がないはずなのに布団がグシャグシャで使うことの滅多にない鞄もベッドに投げ捨てられ、オマケにこの学園で知り合った能力者のヤツから借りた雑誌等が散乱して、とにかく汚い部屋だったのを覚えている。

アイツは俺を潔癖症だと言うが、アイツこそ整理整頓を心がけることが必要だと俺は思っていた。

だが、今はそんなこと言える部屋でもない。言う相手がもう居ない。

体の中の何かがポッカリと抜け落ちた感覚だった。

何故仁瀬は居なくなった?
何故仁瀬は俺を避けた?
仁瀬はどこに行った?
仁瀬はどうして、何の為に……

『旭ちゃん、考えてばっかじゃ、なんも始まんないのよ?自分がしたいと思ったことすりゃあいいじゃん!自由に生きようぜ!』

いつだったか、仁瀬が俺に向かって言ってきた台詞が頭を過ぎる。考える前に行動をとる仁瀬と考えずに行動は出来ない俺、対極的だが、俺はアイツしかいなかった。

仁瀬がどこに居て何をしているのか、誰にも話さず授業も休まず秘密で探した。
何年も隣に居た。アイツの行動パターンは何となくなら想像出来る。アイツを見つけた時に守れるように体を鍛えながら。

仁瀬が自主退学して五ヶ月後、仁瀬の居場所を突き止めた。


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