複雑・ファジー小説

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キリフダ
日時: 2011/09/09 18:39
名前: モンブラン (ID: izFlvzlp)

『近未来神話謎解きアクション』、始動!((

どうも、モンブランです。
この度コメディ・ライト板から、この板に移行して来ました。
プロローグ・人物紹介に若干の修正を加えた後、更新します。

◆注意事項◆

・複数並行小説ですので、更新が滞ることが多々あるかと思われます。そんな時は生温かい目で見守ってやってください(作者がMという訳ではありませんのであしからず……)

・文章、設定など、厨二臭全開となる可能性が非常に高いです。そんな時も生温かいm(ry

これからもよろしくお願いします。

プロローグ>>1
登場人物・用語>>2


第一幕『ソロモン七二柱編』

第一話『依頼』>>3
第二話『捜索』>>4
第三話『もうひとつの依頼、ほんとうの依頼』>>5
第四話『ソロモンコロシアム』>>6
第五話『始動』>>7
第六話『結託』>>8
第七話『鬼』>>9
第八話『動向』>>10
第九話『発信源』>>11
第十話『柱人』>>12
十一話『奇妙な惨劇』>>13

感想コメ募集してます♪

Re: キリフダ ( No.9 )
日時: 2011/06/19 14:48
名前: モンブラン (ID: Oof0JpPa)

第七話『鬼』

「こいつで番号を打つと、その番号の奴の居場所が解る。どーやらこいつが損益ってやつなんだろうな。あ、鬼は赤い点でデフォで映ってる。」
画面には玄雪が指さした赤い点の他に、俺達の位置を示していると思われる黄色い五つの点がある。こいつがあればわざわざ集団にならなくてもよかっただろう。しかし……。

「……なんでもっと早くに言わなかった?」
「僕もこれが何だか解らなかったんだよ。」

どうやら俺達のいる集団には朱炎、青草、白金はいないらしい。
「蓮と鋼は一緒だし、焔も鬼から遠い場所にいる。僕らのグループも鬼の居る場所からは程遠いから、少なくともしばらくは大丈夫だよ。」

「……そうだ、もう一人追加してくれないか?」
「良いけど、何番?」

「そうだな……そうだ、あいつにしよう。」



「あぁ〜、かったりィ〜……。」

朱炎は、歩く速さが遅いからなのか早くも集団から孤立していた。

なに、こんなのは慣れている。問題なのは他の仲間……蓮、鋼、そしてユッキーこと雹がいないことだ。あと探偵。
特に探偵を除く三人とはいつも一緒に行動していたからか、どうにも落ち着かない。今の自分はソワソワしているように見えるのだろうか。そんなことを考えている間に、他のメンバーは何処かへ行ってしまった。
全く、薄情な奴らだ。まあいざとなったら鬼を燃やせばいいだけだし問題無いか。
そういえば、蓮と鋼は一緒に行動していたはずだ。そっちに行こう。

え?なんでユッキーの方に行かないかって?……ホラ、あいつより蓮と鋼の方が馬が合うからさ。

朱炎は周りを見渡し懐のマッチが湿っていないのを確認した後、他のグループを探しに行った。



「ねー鋼、焔とユッキー大丈夫かな?あとあの探偵さん。」
「あの探偵さんって、あの人に失礼でしょ?確か……フミキリさんだっけ?」
白金と抱き抱えられた青草は、そんな会話をしながら集団の少し後ろを歩いていた。
先程彼等と会った美濃もこのグループに居る。このグループではどうやら彼が中心のようだ。



「……なあ、待てよ。さっき「蓮と鋼は一緒」って言ってたけど、鬼は近くに居るのか?」

「近いな。だんだん近づいてる。」
文霧の問いに答えながら、玄雪はGPSを操作している。
「十人いる鬼の中であいつらの周りに六人も鬼が居る。まずいぞ、このままだと……。」


「ねえ、なんかあそこにいない?」
青草が白金に話しかけたその時、集団の先頭から急に声が上がった。

「鬼が来たぞ!早く逃げろ!」

その声に応じて、グループは蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
鬼は散り散りになった参加者を追いかける。

「大丈夫なんですか美濃さん、早くしないと一網打尽ですよ?」
走っている最中、男が美濃に話しかける。
「大丈夫。少なくとも。」
「え?それどういうことですか?」

美濃は後ろを振り返るとこう言った。

「肉食の動物なんかが得物を狙うときは、大抵群れから少し離れた位置にいる者を狙う。だから心配ない。」

確かに、美濃は現在集団の先頭に居る。ここなら鬼に追われてもそう簡単には捕まらないわけだ。



「二人は大丈夫なようだが、何人か捕まってるだろうな。……で、なんであいつの番号まで指定した?」
GPSを凝視しながら、玄雪が文霧に聞く。
「いやあ、司令塔がどんな動きをしてるのかがちょっと気になってね。」

第七話『鬼』 終

Re: キリフダ ( No.10 )
日時: 2011/06/22 07:40
名前: モンブラン (ID: Oof0JpPa)

第八話『動向』

一方この作戦を提案した安部信也は、現在島の北(ホールは南)にある海岸にいた。
真っ白な砂浜に、薄いブルーの海水が、押しては返す。

彼の堕天使“ボティス”の能力は、『獲得ポイントに“参加者の数”の三分の一のポイントが追加される』というものなのだが、彼はその『力』を有意義に使うつもりは一切なかった。

自分のグループの他の人間は全て捕まった。
それも当然か。鬼が来たときに大声で周りに伝えるということは、それだけ鬼にも自らの場所を教えていることになるのだから。
最初からこうするつもりだったのだから何の問題も無い。なあに、こんな穴だらけの計略に乗るような馬鹿が減ればそれだけ後の利益に繋がる。
しかし、三で割れない数の時はどうするのだろう。そこは気前よく繰り上げてくれるのだろうか、それともシビアに繰り下げるのか。
どちらにせよ得をするのだ、今そんなことはどうだっていいだろう。

安部は見晴らしのよい海岸を離れ、再び森へと入って行った。


「いやー、しかしだァれもいないねえ、ここは……。」
森へ入った安部と入れ違いに朱炎が海岸に降りてくる。
辺りを見回す様子も無くずんずんと海岸線の方へと進み、潮風の交る風を思い切り吸い込んだ。
両腕をめいっぱい広げ胸を大きく反らすと、今度は背中を大きく丸めて一気に息を吐き出す。

すると、朱炎の動きがそこで止まる。背中を丸めた時に後ろの海岸が見えたのだろうか、後ろを向くと、彼は“ある物”に向けて歩く。


それは“足跡”。つい先ほど安部がつけた、幾つもの足跡である。
それを見た朱炎はしばしほくそ笑むと、その足跡の続くほうへ歩いて行く。
最も今の彼には、安部の企みを暴こうとかそんな事は考えない。

朱炎焔の思考は至って簡単。“とりあえずやってみる”と、“面白そうなものを好む”の二つ、ただそれだけなのだから………。



「まずいぞ……蓮と鋼がバラバラになった!」
「何がどうまずいんだい?あとまずいとこってそこなの?」
「いやだって、蓮の子守役あいつだし「何が子守だ!あいつ今十四歳なんだろ!?いや確かに背は低いさ!俺も最初ガキだと思ったさ!」

文霧と玄雪は先程からずっと、GPSを見つめながらこんな会話をしている。
無論さっきからこんな感じなので、グループの他の人間が既に遠くに行ってしまったことなど知る由もない。
なので、そのグループが鬼に襲われたことももちろん、知らない……。



メインサポーター、ワラキアは、他の数名のサポーターと共にモニターを眺めていた。

「ワラキア殿、現在残った参加者はどれくらいですかな?」
「あと五十五人です、ぺルセスさん。」
白黒の目だけを覆う仮面を着け、髭を蓄えた老人がワラキアに話しかける。どうやら彼はぺルセスというらしい。

「もうそんなに減ったか……ということは十七人捕まった、と。」

こちらの女も仮面を着けている。但し彼女の仮面は蝶の翅を模した煌びやかな物だ。

鬼十人、参加者五十五人。おおよそ五人に一人が鬼に追いかけられる計算となる。
時計の針が進む。今日の“鬼ごっこ”の終了時間まで、あと二時間三十八分となった。



青草はその頃、数少ない木の枝の上に座っていた。
白金と離れ離れになった後、『非力な』彼が鬼から逃れるにはこうするのが一番良いだろう、と判断したのだ。
辺りを見回しても、鬼や他の参加者は見当たらない。
仕方なく、木から木へと移動して他の仲間を、あわよくば白金を、探すことにした。


第八話『動向』 終

P.S.文章に変なところが有ったので修正しました。

Re: キリフダ あとがき追加することにする ( No.11 )
日時: 2011/07/09 22:47
名前: モンブラン (ID: vtamjoJM)

第九話『発信源』

やれやれ、どうしたものか。
白金は余ったサンドイッチを食べながら考える。
早急に蓮を探さねばならないのだが、焔やユッキーの場所も知りたい。
探偵は……まあ大丈夫だろう。
鬼は近くに居ないようだが、こうも視界が良好だとやはり周囲が気になる。見えすぎて困る。

いや、まあこんな服だからあまり関係ないけど。……そうじゃないな。



焔は森に入ると、すぐに安部の足跡を見失った。
最も、砂浜と違い足跡の付きにくい土の上で、しかも何人かが通った形跡がある中を一種類の足跡のみを見つけて追うなんてことは文霧くらいしかできないだろう。
辺りを見回すと、青草が小枝の間を縫うように移動している。

ここで朱炎は一瞬、思考することを放りだした。
周囲に何の気も配らず、鬼の居る可能性がゼロでないにもかかわらず、大声で青草を呼んだのだ。

「おーい、蓮!」

その声に反応し、青草が下りてくる……ことを彼は予想したのだが、青草はすぐに何処かへ行ってしまった。
周囲を見渡すと、大声に反応した鬼が集まってくる。ざっと二・三人程はいるだろうか。
とはいえ、焔は歩くのは遅いが走るのは比較的速い。この程度であれば振り切れるだろう。

だがここでも、彼は判断を誤った。
走るのに都合が悪いと、なんと食料と水の入ったリュックを地面に落してしまったのである。
すると、彼はぐんぐん加速する。あっという間に、彼は鬼全員を振り切ってしまった。



しばらくすると、二人の男……文霧と玄雪が近付いて来る。
「探偵、荷物が落ちてるぞ。」
「誰のだ?」

「…………焔の。」

彼等は朱炎が全く動かないのに気が付き、鬼が居ないことを確認してから、彼のリュックのあるこの場所に来たのだ。
……だが、そこにあったのは持ち主の無いリュックサックのみ。

「おい、やっぱあんたの言ってたこと正しいぜ。」

「……ああ、信号の発信源はこのリュックサックで間違いない。」
先程から二人は、『GPSの受信する信号の発信源』について調べていた。
玄雪の持っているGPSは、参加者から発信される信号を受信して画面に映し出していることが、同封された操作説明書に書かれていた。
ならば、その発信源はどこにあるのか。

そして調べていくうち、良いサンプルが見つかった。
その発信源は、配られたリュックサックの内部。

用意周到、というわけだ。

第九話『発信源』 終

二人の協力により発信源発覚。
ここだけの話、安部さんはしばらく敵として立ちはだかります(笑

Re: キリフダ 登場人物欄更新 ( No.12 )
日時: 2011/07/24 17:12
名前: モンブラン ◆HlTwbpva6k (ID: FjkXaC4l)

第十話『柱人』

用意周到、というわけだ。
というのも、文霧は当初安部の行方を追っていたが、GPSに示された場所に行っても安部は居なかった。
それは何故なのか、それを調べるついでに、今回は朱炎の所に行ってみたのだ。

そして、持ち主の無いリュックサック。

文霧は確信した。
安部は既にこの事に気付いている。少なくとも、(恐らくはヒント無しで)それに気付けるほど頭の切れる人物だ。
「成程、それでこの減り様か……。」
「もしかしたらあの男、その事も計算づくだったんじゃないか?」

「だろうね。しかしどうしたものか……。」

恐らく、あと一時間半もせずにこのゲームは終了する。
日はまだいくらか高いが、今は初夏。大体午後四時前くらいが妥当だろう。

_______________________________________

その後何の変化も無く、第一ゲーム『鬼ごっこ』は終了し、参加者は全員島の南にあるホールに集められる。
壇上に立ち話を進めるのは、今朝話をしていたメインサポーター、ワラキア。
脱落者は二十五人。第一ゲーム終了規定のほぼぎりぎりの人数だ。

最後に質問が有ったということで、ワラキアから説明が入る。

「ちなみに、現在皆様の獲得したポイントは、全ゲーム終了後に1ポイントにつき十万円で換金することができます。」


ホール内にざわめきが広がる。夕方とはいえ現在の気温はだいぶ高いが、それが更に数度上がったように思えた。

「すげえ……。」

「嘘だろ…。」

「随分な大盤振る舞いね。」

ワラキアはその場を鎮めるかのように、低く静かな声で言う。

「いいえ、本当です。」

それは先程、嘘だろ、と呟いた男に対し向けられたものなのかもしれないが、その一言でホールのざわめきは消え去った。
「では皆さん、第二ゲームは明日行いますので、本日は疲れをゆっくり癒して下さい。」

ホールの地下一階にある生活空間は、まず階段のすぐ左が食堂、非常に湾曲した廊下を少し奥に行った右側に参加者の部屋があった。風呂は各部屋に備え付けられている。
部屋番号は最初に貰った札の番号と同じで、俺は七十二番。廊下は階層をぐるりと一周する造りになっているので、すぐ近くの部屋となる。
朱炎達は風呂に入りに行ったようなので、とりあえず俺も汗を流す事にした。

風呂は大人ひとりが使うにはちょうどいい大きさだった。壁は一面真っ白なタイルが付けられ、それが照明の明かりを反射し輝かんばかりに明るくなっている。
ただ、部屋全体はちょうどよいのに、浴槽はやたら大きい。最も、広い分には困らない。大は小を兼ねるのだから。
脱衣所にはご丁寧に真っ白なタオルまで備え付けられている。ふわふわとした肌触りで、触ると洗剤の香りが部屋いっぱいに広がった。

風呂からあがって着替え食堂に行くと、青草と白金がいた。
どうやら食事はセルフサービスのようだが、二人とも同じような物を食べていた。背の高さを考えると、白金が用意をしたのだろうか。
「あ、そうだ、文霧クン。朱炎が呼んでたよ?八号室に来てほしいってさ。」

思い出したように、白金が言う。
夕食を済ませると、彼女の言うとおり八号室に向かった。

部屋には、朱炎と、玄雪。
玄雪は話す気は無いらしく、奥の椅子に座っている。

「何で呼んだか解るよな、探偵。」
無論、文霧にはその理由が解っていた。
「ああ、お前達の事について、教えてくれるんだろう?」
「正解。」


「単純明快に言うぞ。俺達は“柱人”だ。」
「ハシラビト?」

ハシラビト。聞き慣れない名前だ。
質問しようとしたが、まあ話すだけ話させてみよう。
朱炎はそのまま話を続ける。

「朱雀とか青龍とか、聞いたことあるだろ?俺達は、そういう神様の力をそれぞれ持ってる。」
なんと荒唐無稽な。開いた口が塞がらないような思いだが、もともと彼はそういう性格に見えるし、仕方ないとも思える。
ただ、やはり何かその証左がなければならないだろう。
「それを証明するものは?」
「無いわけじゃ、ない。今からちょっとした芸を見せる。」

すると朱炎は懐から一枚のティッシュを取り出し、親指と人差し指でつまんでひらひらさせる。
「こちらはタネも仕掛けも無いただの紙切れだ。これに一瞬で火を点ける。

三……二……一……ボン!」
ボン!という言葉と共に、ティッシュが燃え盛る。かなり熱いはずだが、朱炎は涼しい顔で目の前の光景を眺めている。
そして、彼が指をパチンと鳴らすと、その火は一瞬にして消えた。

しかし、これではただの手品である。彼の言うとおり、これではちょっとした芸に過ぎない。

「……どだ?すげーだろ?」
「いや、それただの手品だ。」
「はあ、手品…ねえ……。」

朱炎はそのまま下を向くと、奥の椅子に座ってしまった。

「じゃあ、僕のなら信用してもらえるかな?」
突然玄雪が椅子から立ち上がり、水の入ったコップを机のこちら側へ置く。
これも燃えるのかと思ったが、燃えない。

しばらく経つと、大きな音を立ててコップが砕け散る。
水を拭かなくては、と思ったがその必要は無かった。

水だったソレは、完全に凍りついていた。ゴトン、と音と共に、氷は倒れる。
「解ったかい?」

「……いや、その水が過冷却水という可能性もある。」
過冷却水とは、非常にゆっくりと静かに温度を下げて作った水で、これは摂氏零度未満になっても凍らないが、ほんの少しでも刺激を与えるとすぐに凍りつくという性質をもっている。
今凍った水は、先程からこの部屋にあったものだ。もしかしたら、彼が事前にこしらえたものかもしれない……。
俺が水道水で同じことをしてくれ、と頼むと、彼はすぐにやってみせた。

結果は同じだった。

第十話『柱人』 終

Re: キリフダ 登場人物欄更新 ( No.13 )
日時: 2011/08/14 20:49
名前: モンブラン ◆HlTwbpva6k (ID: izFlvzlp)

第十一話『奇妙な惨劇』


「……凄いな。」
そう言う他無かった。少なくとも、その時は。
「だろ?僕たちは皆こんな感じなんだ。て言ってもまだ信じないんだろうなあ、疑り深そうだし。

信じなくてもいい。ただ、この事を知っておいてくれればそれでいいんだよ。」



解らなかった。
何故このゲームを主催した者は、こんな大金を積むのか。
朱炎達は何故こんないかがわしいゲームに参加しようと思い立ったのか。
俺を連れてくる特別な理由があったのだろうか。
柱人とは何なのだろうか。これは結局、荒唐無稽すぎて理解できなかった。
そもそも、このゲームは何なのか。

何より、朱炎は何時になったら報酬をくれるのだろうか。もしも彼の言うゲームがこれでないのなら、一体どうするのだろうか。


いや、今考えるのは辞めよう。久し振りに運動をして、身体がだいぶ疲れている。
自室へ戻りベッドに横になると、数分もしない内に俺は眠りについた。



____________________________________________

父は警察官、母は専業主婦。そんな平凡な家庭に俺は生まれた。1990年のことだ。
事故の後は静岡の遠い親戚の家で暮らしてはいたが、『実家』は香川だった。
あまり良い思い出は無い。良い家庭ではあったが、それ故なのだろうか、あの“惨劇”へのトラウマがあまりにも深過ぎる。

ソレが起きたのは、俺が十一歳の時だ。
親戚の結婚式があるとかで、岡山の式場に行くところだったのだが。
向こう側から走ってきたトラックが突然、対向車線のこちらへ突っ込んできて、案の定衝突。

相手は大量の鉄骨を乗せた大型トラック、こちらは比較的小型の乗用車。当然ひとたまりもなく、こちらは思い切り吹き飛ばされる。
運転席を直撃していたので、もしかしたらこの時父は死んでいたかもしれない。



問題はその後である。車体はそのまま支柱の一部を折り海上に投げ出されたはずなのだが、ぶつかったという支柱には傷一つなかった。
更に、車から俺が偶然投げ出されたのだが、そこがちょうど瀬戸大橋の中間地点ほどの位置であったにも関わらず、俺と車体が落ちたのは何故か大阪は淀川の……河口だった。
また、俺の後頭部を直撃した車体は前方から見て時計回りに捻じれていたという。

そして、俺を除く家族……両親と五歳下の弟の遺体は見つからず今に至る。
墓は一応あるが、そこに三人は眠っていない。
せめて遺体だけでも見つかってほしいというのが、現在の俺の願いだ。

_____________________________________________

ベッドから起き上がる。六時だ。


奇妙なゲーム『ソロモンコロシアム』二日目が、始まる。



第十一話『奇妙な惨劇』 終

更新滞ってて&ここ数話あとがき書いてなくてすみませんm(_ _)m
感想コメ下さると嬉しいです^^


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