複雑・ファジー小説

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血染めの彼岸花【完結】
日時: 2011/07/17 10:10
名前: 王翔 (ID: 72/NuTit)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=10876

はい、王翔です。
東星桜が終了したので、新しい話を書きます。
感想やアドバイスがあればお願いします。

コメントくださった方々

Aerith様
コーダ様
スペ様
閻魔様

秋原かざや様 宣伝を作ってもらいました。>>23




人物紹介


華影 沙零(はなかげ されい)

多光の村に引っ越して来た
少女。
趣味は、星の観察。


須原 雷手(すはら らいて)

多光の村に住む青年。
なぜか、沙零のことを知っていた。
前世の記憶がある。



有塚 雫(ありづか しずく)

沙零のクラスメイト。
優しい。



神谷 さざめ

沙零のクラスメイト。
誰とも口をきかない。
神社の娘。



実塚 聖夜(みづか せいや)

教会で働く青年。

壇来(だんらい)
廃墟となった加世田神社に住む青年。
その正体は不明。



プロローグ >>1 女キャラ >>8 男キャラ >>14

第一話>>2 第二話 >>3 第三話 >>4 第四話 >>5 第五話 >>6 第六話 >>7 第七話 >>9
第八話 >>13 第九話 >>15 第十話 >>16 第十一話 >>17 第十二話 >>18 第十三話 >>19 第十四話 >>20 第十五話 >>24 第十六話 >>25 第十七話 >>26 第十八話 >>27 第十九話 >>29 第二十話 >>32 第二十一話 >>35 第二十二話 >>36 最終話 >>37

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.14 )
日時: 2011/07/12 09:35
名前: 王翔 (ID: TI5XYu0n)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id=678


男キャラのイラストです。

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.15 )
日時: 2011/07/12 11:41
名前: 王翔 (ID: TI5XYu0n)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

第九話

教会の椅子に座って、壇来の話を聞いていた。
窓から見える外はまだ真っ暗だった。
「あれは……吸血鬼の処刑だ」
「え……?でも、吸血鬼はもう、いないんじゃ……」
吸血鬼の処刑が行われていたのは、三百年も昔のことだと……
壇来は、難しそうな表情で語る。
「いや、まだ吸血鬼も存在するし、処刑も行われている」
「え?」
「……今でも、月の光を浴びた彼岸花を見て暴走し、人を喰らう
吸血鬼が絶えない。一応、夜に出歩かないようにと警告はして
いるのだが、やはり出てしまう者も多くてな……」
「じゃあ、祭りの日がどうとかって、言おうとしてたのは……」
「祭りが行われるのは、夜だ。だから、祭りの日は暴走者が多い。
多くの吸血鬼が処刑される……」
「……」
吸血鬼は、まだ実在してるんだ……
そして、処刑も行われている。
「あと……吸血鬼の処刑を行うのは、神谷神社の者の役目になって
いる。こんなものだ。分かったか?」
「はい、まぁ……」
「あと……」
壇来は、付け足すように言った。
「くれぐれも、口外はするな」
「なぜ、ですか……?」
「今は吸血鬼がいるのと、処刑が行われていると言う事実は
隠しているんだ。秘密を知った者がいると知れば、簡単に
排除される」
沙零は、暗い表情をした。
見てはいけないものを見てしまったのだ。
確かに、言いふらすのはまずいだろう。
「おーい、壇来。カレーうどんできたけん、食べや」
聖夜がチーズだのいくらだの入った熱々のカレーうどんを持って
来ると、机にドンと置いた。
「ふむ。お前も食べるか?」
「いえ、勘弁してください」

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.16 )
日時: 2011/07/12 14:40
名前: 王翔 (ID: CWo1/r7X)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

第十話


吸血鬼の処刑を行っていたのは……神谷神社の者だと壇来が言っていた。じゃあ、あの子は……神谷 さざめ、なのだろうか……
では、さざめがクラスメイトと一切口をきかない理由は一体、何なのだろうか……
「うーん……」
沙零は、教室で自分の机に座ったまま呻いた。
「どうしたんですか、沙零さん?」
雫が心配そうに顔を覗き込んできた。
「ふお……何でもないです」
「そうなんですか?何か悩みがあるなら、私で良ければ相談にのりますけど……」
「ホントに大丈夫ですよ!」
沙零は、心配する雫に笑いかけた。
「そうですか。では、私は先生に呼ばれていますので行って来ますね」
「はい、行ってらっしゃいませー」
雫は、最後ににこっと笑うと教室を出て行った。
「……」
沙零は、さざめの席に目を向けた。
さざめは、一人で黙々と本を読んでいる。
周りの様子を気にするようなことは一切ない。
周りのクラスメイトも、さざめの席には近づかない。
「よし……」
沙零は、立ち上がってさざめの席に近づいた。
「神谷さん」
「……何?」
「えーと……みんなと話したりしないんですか?」
とりあえず、笑顔で質問した。
「しない。用がないなら話かけないで」
「はい……すみません……」
沙零は、シュンとして自分の席に戻った。
全く相手にされなかった。
「うーん……」




帰り道、沙零は神谷神社の前を通りかかった。
「返して!!」
声が聞こえた。
覗いてみると、一組の夫婦らしき男女がいた。
「お願い……息子を返して!!」
妻の方が泣きながら大声で叫んでいる。
「よしなさい」
夫がそれを、なだめる。
「ルールだから、仕方ないんだ……」
「ううっ……ううう……」
そして、妻はその場で泣き崩れる。
「……」
吸血鬼、のことかな……あの人達の息子さんが暴走しちゃって、処刑されちゃったのかな……それで、ここに……
処刑者は、村を守っているが恨まれるのだ。


Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.17 )
日時: 2011/07/12 19:29
名前: 王翔 (ID: gT4Hbmrj)

第十一話


「壇来殿!」
加世田神社の前には、フードを被って顔を隠した複数の者達の姿があった。彼らは、壇来に詰め寄っていた。
「困ります!あのようなことをされては……」
「そうは、言われても聞く耳は持たん」
焦っている彼らを前に、壇来は表情を変えることなく告げた。
「なぜですか!?あれが、外部に漏れれば……この村全体が危険な状態になることもありえるのです!!」
「そうですぞ!本当にまずいことになりかねない!」
「だからと言って、罪のない人間を殺すことはしてはならないことだと思うが?」
「村を守るために、多少の犠牲は……」
「とにかく知らん。口封じはしておいたし安心しろ。お前達はもう帰れ。不愉快だ」
壇来はそう吐き捨てると、本殿の中に姿を消した。
「壇来殿!!」
「どうか話を!!」
フードの者達が諦めて帰ったのは、これから三時間も後だった。






沙零が畑に囲まれた帰り道を歩いていると、一つの人影が見えた。
「はいはーい、沙零ちゃん。元気にしてた?」
「雷手さん……何の用ですか?」
「んーと、ちょっとお話をねー」
雷手は、にっこりと笑った。
「ここじゃ、話しにくいから近くの店で話そうか」



雷手に連れて来られたのは、和菓子屋だった。
「いらっしゃい。ゆっくりしてってなあ」
可愛い売り子さんが出迎えてくれた。
「おー、君可愛いね。今度、俺とデートしない?」
「雷手さん、何言ってんですか!?」
「うふふー、嫌ですー」
売り子さんはにっこりと微笑みながら即答した。
「だよなー……」
「さてさて、お席に案内するけん、ついて来てくださいますか?」
「はいはい」
客席は、低い木製の机と座布団があると言った古風な雰囲気だった。
「壇来に、聞いたんだよな?」
「はい、聞きました」
「じゃあ、仕方ないか……」
雷手は、苦笑した。
「実は…俺、医者見習いなんだ」
「え……?」

Re: 血染めの彼岸花【月夜に降り立つ処刑人】 ( No.18 )
日時: 2011/07/13 09:03
名前: 王翔 (ID: jHcC18eG)

第十二話


「実は、俺……医者見習いなんだ」
「え……?」
沙零は、目をぱちくりさせた。
「俺の家は、病院なんだけど……そこで、暴走した吸血鬼を元に戻す薬の開発が一応は行われてるんだ。でも…全く進んでなくてね………資料が足りないのか、材料も決まらない状態でさ、完成には程遠いよ」
「そう、なんですか……」
確かに、そんな薬があればもう吸血鬼を処刑する必要はなくなる。それが実現すればいいんだろうが、そう簡単にはいかないらしい。
「あ」
「どうした?」
「吸血鬼は、月光を浴びた彼岸花を見ると暴走するんですよね?」
「ああ、そうだけど」
「じゃあ、彼岸花を刈ればいいんじゃ」
「それは無理。当然、みんな試したよ。でも、彼岸花はいくら刈ってもなくならない。それはもう、呪われてるんじゃないかってぐらい………
すぐに新しいのが咲くんだ。実際、呪われてるんだろうな」
雷手は、苦笑いする。
「そうですか……」
沙零は、シュンとしてお茶をすすった。
「まあ、きっと完成するさ。俺だって必死に勉強するし」
和菓子を器用に切りながら雷手は呟く。
実現するといいな。
「結局、まだ処刑しないといけないから……何だか、やっぱり処刑する役割の子って可哀想だよな。だって、他のみんなみたいに、友達と楽しく遊ぶことだってできないんだ」
「……」
ふと、脳裏にさざめの姿が浮かぶ。
いつも、誰とも話さず一人でいる。
「罪悪感ってやつかな。殺した相手を思えば、自分が生きて普通に楽しくやってるなんてあり得ないってやつ」
雷手の瞳に暗い影がさしたような気がした。
「……」
明日、神谷神社に行ってみよう。


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