複雑・ファジー小説
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- あたし・事件簿(即興短編ものがたり)
- 日時: 2011/09/15 14:43
- 名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: TNiD2WXY)
即興でつくった短編物語です。
読んでくださると嬉しいです^^
事件ファイル・1 >>1 >>2 >>3 >>4 >>7
事件ファイル・2 >>8 >>9 >>19 >>24
- Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.5 )
- 日時: 2011/07/23 17:54
- 名前: 玖龍 ◆7iyjK8Ih4Y (ID: LMPzgpkP)
ゆかむらさきさんの新作ですね!
見逃してしまっていて、すみません。
またもう、ゆかむらさきさんったらw←
ドキドキさせるの、上手ですよね…。
俺には出来ないことなので、望ましいです。
続き、楽しみにしております。
では。
- Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.6 )
- 日時: 2011/07/23 21:50
- 名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)
玖龍さん>
新作ですが 次回この幼なじみのストーリーは最終回です……。
はやく書きたいです^^
ドキドキしてくださって嬉しーです。
いつもありがとうございます^^
これ、実は一日で作った話なんです。
読んでいただくひとのために いいところで区切りましたけど……。
もう最後まで できあがっているから めちゃくちゃ書きたいです。 今。
また いい事件が 思いついたら 次のストーリーを書きたいと思っています^^
玖龍さんの作品も ドキドキしますよ。戦闘シーンが……たまらない……。
主人公 めっちゃわたしの 好みです^^
最終回……楽しみに していてくださいネ♪
- Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.7 )
- 日時: 2011/07/24 23:53
- 名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)
「!!」
優介くんは あたしの肩を抱いた手に力をいれて 自分の胸に抱き寄せてきた。
もちろんあたしは 彼の胸のなかで 大混乱しながら固まってしまった。
「……ぜんぜん気づいてないんだな おまえ……
俺がどれだけ…………」
「あんたたちー。 ケーキ切るから
下降りてきなさーい。」
一階でお母さんの呼ぶ声が聞こえる。
「……ケーキだってさ。」
優介くんは 腕を離して立ちあがった。
「………。」
あたしは動けない。 心臓が暴れて……苦しい。
「……チーズケーキだぞ。 おまえ好きだろ。」
「うん……。 すき……
……かもしれない…………」
あたしをこんな気持ちにさせといて、優介くんは 何もなかったように一人でサッサと一階に降りていってしまった。
……ケーキどころじゃない。
あたしの頭のなかにはケーキよりも、“男”の優介くんでいっぱいだった。
ケーキを食べているときも……
彼が帰ってしまったあとも……
眠りにつくまで ずっと。 ずぅっと……。
事件ファイル・1>ひとつ部屋の中の誘惑 《おわり》
- Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.8 )
- 日時: 2011/08/11 23:54
- 名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: OeKIzsMq)
「お父ちゃん……大好き。」
事件ファイル・2>お父ちゃんの影
「俺が思うに 絶対おまえ……
…………一生 結婚できねぇと思うぜ。」
————あたしの通う学校。 今は休み時間。 ざわついた教室の中で 一人ポツンとあたしは自分の席に座り、図書室で借りてきた本を読んでいた。
あたしの後ろの席から スッと手を伸ばし、あたしの(せっかく朝 ムースでカチッとキメてきた)髪の毛を触りながら いじわるなことを言ってくる男の子がいる。
彼の名前は……加藤壱茶(いっさ)くん。
いつも なにかにつけてあたしのことをからかっておもしろがっている……いやなやつ。
彼が今、どんな顔をしているかは だいたい想像がつく。 ……ここで振り返って怒ったら 彼の思うツボだ。
あたしは振り返らずに そのまま本を読んだ姿勢で彼の手を払いのけた。
「たとえ おまえが結婚できたとしても……
……きっと相手は そーとー歳の離れたオッサンだろーなー……
ハハ。」
まだ こりずに再び あたしの髪の毛を触ってくる彼……。
(しつこいし……)
「この前 見たぞ。 おまえが親父さんとベタベタくっついて……真っ昼間の公園で 手をつないで歩いてたとこ。
……ありゃあ どー見ても異常だって……。」
(うるさいっ!!)
ガタッ。
あたしの後ろで椅子をひいた音と同時に加藤くんの気配が、あたしの耳のそばにゆっくりと近づいてきた。
「……なァ 佐倉……
もしかして おまえら親子……近親……」
「!!」
我慢ができなくなったあたしは 後ろを振り向いて加藤くんをおもいっきりにらみつけた。
彼はニヤニヤと笑みを浮かべて あたしの顔を見ている。
歯を噛みしめ、あたしは右腕をあげた。
キーン コーン……
彼のほおを平手打ちする寸前で 始令のベルが鳴りだし、教室に先生が入ってきた。
————仕事に出かける前に いつも優しくあたしのおでこにキスをしてくれるお父ちゃん。
15歳になった今でも あたしはお父ちゃんと毎日一緒にお風呂に入ってる。
友達は そんなあたしのことを“おかしい”だなんていうけれど……どうしてなのか分からない。
だって……お父ちゃんのこと 大好きなんだもん。
あたりまえでしょ……?
————その大好きなお父ちゃんが……ある日 あたしの目の前で 倒れた。
原因不明の病で……突然……
…………そのまま帰らぬひとと なってしまった……。
- Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.9 )
- 日時: 2011/08/20 22:43
- 名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 3rk1V4I1)
お父ちゃんの葬儀が終わったのに まだ信じられなかった。
あんなに元気なお父ちゃんが 何も言わずにあたしの前から思い出だけを残して消えてしまうなんて……。
「……待たせたね。 寂しかっただろ。 ただいま、いちこ。」
その言葉と一緒に キスをして、抱きしめてくれるのをあたしはずっと待っている。
きっとお母ちゃんのほうが、あたしよりも悲しい。
だって……あたしよりも お父ちゃんと一緒に過ごした時間が長いんだもん。
あたしは お母ちゃんの前では絶対泣かないようにした。
あたしの家から10軒ほど離れたところにある昔風のレトロな小料理屋がある。
そこは、(お母ちゃんのお兄さんの)親戚の伯父ちゃんが経営している。 お店のすぐとなりに 平屋建ての大きな家がある。 伯父ちゃんの家だ。
あたしとお母ちゃんは 今まで住んでいた家を出て、伯父ちゃんの家で一緒に暮らすことになった。
伯父ちゃんの家には あたしより二歳年上の(いとこの)健太郎くんがいる。 彼はあたしに いつも冷たくするひとで、あまり好きではなかったけれど、
「これからよろしくな。 何か困ったことがあったら 何でも俺に言ってくれな。」
と、温かい言葉で迎えてくれた。
お母ちゃん、伯父ちゃん、健太郎くんに迷惑をかけられない…………。
————あたしは 三週間ぶりに学校へ行った。
正直をいうと 伯父ちゃんの家じゃなく、思いっきり遠くに引っ越して 新しい学校で再スタートしたかった。
「……おはよう」
「あ、おはよう……いちこ。」
いつもはもっと話すのに 今朝交わした会話は これだけだった。
息苦しい…………。 みんな あたしのことを腫れものにさわるように扱う。
学校なんか……いきたくない……。
あたしの机の上に置いてある教科書がベタベタに濡れている。
(あ……れ……?)
あたしの目から止まることなくあふれだす涙に気がついた。
クラスのみんなの視線が一気にあたしに注ぐ……。
「すみません! 保健室で…………すこし休ませてください!」
あたしは教室を飛びだした。
(ここで すこし落ち着くまで……眠ろう。)
保健室のベッドの上で あたしは横になった。
———そういえば小さい頃からよく伯父ちゃんのお店に連れて行ってくれたお父ちゃん……。
伯父ちゃんのお店に入って お父ちゃんはかならずこう言う。
「こいつの すきそうなもの、何か適当に作ってくれ。」
そしてお父ちゃんは、伯父ちゃんが作ってくれた料理をほおばるあたしの姿をおつまみにして お酒を口につけて微笑んでいた。
あふれだす涙がとまらない……。
ここなら誰にも見られない。 もうこのさい涙が枯れるまで泣き尽しちゃおうと、あたしは頭のなかに今まで見てきたいろいろなお父ちゃんを呼びだした。
「ほら見ろ。 ……やっぱり佐倉 寝てるぜ。」
「!」
クラスのヤンキー牧野くんと滝沢くんがベッドのカーテンから顔を出してのぞいている。
「おい、滝沢……窓閉めろ。
ドアの鍵もだ。」
滝沢くんは 窓とドアの鍵を閉めた。
そして牧野くんがいきなりあたしの寝ているベッドに座り、布団の中に入ってきた。
「親父さん……死んだんだって? かわいそうに……
俺が なぐさめてやるからな…………」