複雑・ファジー小説

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あたし・事件簿(即興短編ものがたり)
日時: 2011/09/15 14:43
名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: TNiD2WXY)

即興でつくった短編物語です。
読んでくださると嬉しいです^^

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Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.1 )
日時: 2011/07/23 23:36
名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)

あたしの家のとなりに住んでいる 同い年の足立優介くんは幼なじみ。
あたしが一歳のときに偶然 同じ日に引っ越してきてからずっと 家族ぐるみのおつきあいが続いている。
彼とは 一緒にお風呂に入って、一緒に寝て…………それは むかしの話。
……もちろん 高校生になった今では そんなコトはしないけど……。


高校は あたしは女子校、彼は男子校に進学した。
学校は変わっても、彼とだけは 唯一男の子で仲良しの子だ。
いつもヒマな時、突然 彼は あたしの家に遊びに来る。
逆に あたしが彼の家に遊びに行くこともある。
ただ家が近いから、っていうワケではない。
優介くんと一緒にいると 安心して落ち着けるからなのかもしれない。
きっと彼も同じ風に思っているんだろうなぁ、と あたしは思っていた。


優介くんと いつもなにをして遊んでいるのかって?
           ……そんなに期待しないでください。 ……期待を裏切るようだけど 別にたいしたコトはしていない。
ただ部屋に二人でこもり、ひたすら 漫画を読んでいるだけ。
ほんの たまに、お互いの学校のこととか 友達のこととか 話すだけ。
————ちなみに二人とも 現在 彼氏・彼女はいない。


ある日、優介くん家の家族と うちの家族が一緒に 夕ご飯を食べることとなった。 ……ちなみにこれも よくあるコト。
いつもより少し豪華なディナーを楽しみ、親チームたちは話に花を咲かせ、お酒を飲みはじめたので あたしと優介くんは コーラとポテトチップスを持って 一緒に二階に上がり、あたしの部屋に入った。


いつものように漫画を読んでいるあたしたち。
あたしは漫画を読みながら チラリと優介くんの顔を見た。
————今日 クラスメートの仲のいい友達が 話していたことを思い出した。
彼女は 先日10カ月付き合っている彼氏に、自分の部屋で二人でいるときに突然 押し倒されてしまったという話。
彼氏の行動に驚いた彼女は精いっぱいの力で抵抗したけれど……男の子の力には かなわなかった。
……結局流れで…………奪われてしまったらしい。
あたしが 優介くんと15年ちかく一緒にいても何もないことに、彼女は信じられない、と言っていた。


(本当に なんにもないのに…………)





Re: あたし・事件簿 ( No.2 )
日時: 2011/07/22 00:04
名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)

「何?」
優介くんは あたしの視線に気づいて 顔を上げた。
不自然にビビりながら あたしは答えた。
「えっと……。 今日ね、 学校の友達が……男の子の力ってスゴイよ、って言ってたから……その……」
「ふっ。」
彼は軽く笑って、また漫画を読みだした。


「……ホントに そんなに強いのかなぁ。」
あたしは 優介くんの細い腕をつかんで じっと見た。
                           ……どう見ても たいして強くは見えない。
「やめろって。」
あたしの心の声が聞こえたのか 彼は あたしの手をはらいのけ、ため息をつきながら 再び漫画に視線を落とした。
「ねぇ、 あたし結構 強いんだよ。 
                 この前 側溝のふた あけたし。」
「プッ。 なんで側溝のふたを……」
「……10円 おとしたから。」
「あははは…… 根性だな。 アレ結構重いのに。」


あたしは優介くんの近くに寄りそった。
「……ねぇ、 ためしに一回 あたしに襲いかかってみてよ。
                               ……絶対 負けないから。」
優介くんは 目を丸くして固まっている。
「でも……“やめて”って言ったら……やめてね……」
                               「わかった。」


Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.3 )
日時: 2011/07/22 22:01
名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)

「………。」
「……なんだよ、そのポーズ……。」
                  「カウンターの 構え。」
                                  「……プッ。」
あたしは両手をグーにして、上体を低くおとし 構えた。
                         ……エラそうなこといってるけれど はっきりいって戦うボクサーの構えだ。
「本当に……いいのか……?」
「かっ! ……かかってこいやぁ!」
                   「……後悔するぞ。」
優介くんは漫画を机のうえに置いて、手を床において あたしのほうにゆっくりと近づいてきた。
あたしの心臓の音が ハイペースで刻みだす……。


「!!」
        ……一瞬だった。


一瞬で……あたしの両手首は 優介くんにつかまれ、あたしは仰向けに寝かされた。
                               (カウンターポーズの構えは 結局 無意味に終わった。)
おそるおそる優介くんの顔を見た。
彼は 薄笑いを浮かべて、あたしの顔を見下ろしている。
あたしは逃げようと足を動かし…………
                           (えっ!!)……動かせない!!
右足と左足のあいだに 優介くんの足がある。
彼が あたしのひざを すごい力ではさんだ。


(動けない……  逃げれない……
                        ……どうしよう!!)
優介くんの胸が、あたしの胸にすこし触れた。
そして 彼の顔がだんだんと あたしの顔に……近づいてくる…………。


「“やめて”って 言わないんだったら…………
                           続けるけど……どうする?」 

Re: あたし・事件簿(即興短編ものがたり) ( No.4 )
日時: 2011/07/23 15:18
名前: ゆかむらさき ◆gZKBI46muE (ID: 6nCB5dVP)

「……!!
          ……やめて……
                        やめて!  やめてぇッッ!!」


生まれてはじめて……優介くんに ドキドキした。
あたしがこんなに呼吸を乱してドキドキしているのに、彼は 何にもなかったような顔で あたしを寝かせっぱなしにしたまま ムクッと起きあがった。
そして 机の上に袋を広げて置いてあるポテトチップスを一枚つまんで コーラのペットボトルに口をつけてゴクゴクと飲みだした。
コーラを飲む優介くんの動く“のどぼとけ”を見て よけいにドキドキしてしまうあたし……。


(なんだろう……この気持ち……
                   もしかして あたし……
                                     優介くんに…………)
放心状態で動けないあたしは 寝たままの格好で優介くんを見ていた。


「ゲブッ」
コーラを飲んだあとの彼のゲップが あたしのドキドキをやわらげた。
でも……まだ 今までのように 彼の顔をまともに見ることができない……。
あたしも ゆっくりと起きあがってポテトチップスを一枚 口にいれた。


「……ついてるぜ。」
優介くんは あたしのくちびるを指でつまんで、ポテトチップスの“かけら”を取ってくれた。
                        ……もしかしたら 本当はついてなかったかもしれないけど…………。
さっきのことがあってから 優介くんが少し動くだけで 体がビクついてしまう……。
(やっぱり あたし…………おかしい……)


そのまま優介くんの手が伸びてきて あたしの肩を抱いた。


ガタンガタン…………ガタンガタン…………ガタンガタン…………
                                       「好きだ…………」


実は あたしたちの家の上には電車が通る橋がある。
優介くんは まっすぐあたしの顔を見て何かを伝えた。 
しかし 電車の音が 彼の言葉を消してしまい、うまく聞きとることができなかった。 
彼が 何を言ったのかが気になって 電車が通過したあとにもう一度……聞いてみた。
「ごめん。  聞こえなかった。
                    もう一回  いって……」
「……もう いわない。」
まるで長い間待ちつづけて やっと手に入れた大切なものを また失ってしまったような気持ち……。
胸のなかが モヤモヤする……。
(だって……電車が来たとき……優介くんのからだが ものすごく震えていたんだもん…………)


「……今までどうりにしていれば良かったのに……
                           …………おまえが いきなり変なこと言ーだすから いけないんだ。」
「……うん。
           ……ごめん。」


「今さら謝ったって………………遅い」  


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