複雑・ファジー小説

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おとぎ話のパロディ 〜こんな幼い死の世界〜
日時: 2012/01/29 08:01
名前: 春野花 ◆tZ.06F0pSY (ID: hVBIzJAn)

  1話 プロローグ

 これはむかーしむかしのお話・・・、では無く現在の世界の裏で起きたお話。


 あるところに光李<ヒカリ>という1人の女の子が居りました。光李には大好きな男の子が居ました。男の子の名前は、流星<リュウセイ>といいました。

 そして突然、流星は消えました。愚かな者に消されてしまったのです。 光李は神様にお願いをしました。


『どうか、りゅうせいがさみしいっておもいませんようにぃ・・・。』


 光李はたくさん考えました。光李の代わりに笑わない流星を笑わしてくれる人はどんな人か。流星が楽しく暮らせるのはどんな世界か。毎日毎日、神様にお願いをしました。


 そして当の神様は光李のお願いと考えを聞きました。そして目元を和ませ、口元を緩ませて本当に光李の描く世界を創り出してしまったのです。

 悪戯が大好きな神様。さぁ、一体どんな世界を作ったのでしょうか————?


Re: おとぎ話のパロディー 〜こんな幼い死の世界〜 ( No.44 )
日時: 2011/12/04 17:34
名前: 春野花 ◆tZ.06F0pSY (ID: S78i8iJk)
参照: http://loda.jp/kakiko/?mode

「・・・エリス、エリス・・・。ごめ、俺・・・。」

クレイドは頭の中が前世と現世とでぐちゃぐちゃになって泣いたエリスを抱き締めた。 苦しいくらいにしっかと。そうしてから、エリスの肩にこてりとよしかかった。

「・・・っ、   甘くて、いい匂い・・・・・。」

呟いて、ばっとエリスを突き放す。首を傾げて見せると、クレイドはまたエリスに謝った。

「・・・・にーに?」

にーには首を振って、エリスにキスをした。大きな体に包まれて、抵抗はできない。力がうまく入らなくって、崩れそうになるとにーにはエリスを支えなおす。

大好きだけど前世は兄妹だったし、誰かとキスするのは初めてなのにクレイドのキスは滅茶苦茶だった。

 ティンクちゃん達のベットで、コンナコトしていいのかな?? クレイドのキスは首筋から胸元へと下がっていった。Yシャツのボタンは荒く外されていく。


 恐くなった。スカートのホックに手が行ったとき、クレイドの名前を呼ぶとクレイドは見たことの無い表情でエリスにもっと深いキスをした。


 クレイドの目は毒を浮かべていた。目を甘く細めて舌で犬歯をなめている。

目をギュッと閉じるとクレイドは笑ってエリスの首筋に犬歯で穴を開けた。

「い・・・っ  クレ、イド・・・っ!!」

 クレイドはひたすら私の首筋をなめて、吸って音を立てている。長い事15歳をやってきたけどコンナコト、初めてで。こんな痛さも初めてで。


 だけどイヤじゃなかった。愛してるから。どんなクレイドも愛してるから。 吸血鬼、って初めて逢った・・・。


 —————制服が、ベットの下に落とされた。

Re: おとぎ話のパロディー 〜こんな幼い死の世界〜 ( No.45 )
日時: 2011/12/07 19:58
名前: 春野花 ◆tZ.06F0pSY (ID: S78i8iJk)
参照: http://loda.jp/kakiko/?mode

「・・・・っにー・・に・・・!」

エリスは俺の付ける傷の痛みに涙を零した。 ・・・俺、何してるんだ・・・?   エリスの血を・・・?

 ダメだ、エリスを殺してしまう。我慢し切れなくてエリスを殺してしまう・・・っ!!



 とにかく嫌なことを思い出して自分を冷まそうとした。

『エリス・・・ッ!!!!』

・・・・よりによって今までで1番最悪の思い出か。 久々に思い出して、繰り返さないようにするのも悪くないだろうか。  吐き気のする前世————。







 前世。  私とクレイドは幸せな家庭に産まれた。


いっぱい愛情を注がれて育った。  だけどにーには、こんな事を言った。

『お母さんは、俺のコト要らなかったんだよ————。』


Re: おとぎ話のパロディー 〜こんな幼い死の世界〜 ( No.46 )
日時: 2011/12/07 20:14
名前: 陽 ◆Gx1HAvNNAE (ID: ixlh4Enr)
参照: http://loda.jp/kakiko/?mode

わーい吸血鬼☆←黙
……シリアスな時に緊張感のない乱入ですみません……吸血鬼登場が嬉しくって……!!
私の中で吸血鬼って結構情緒不安定なイメージです(ω)
そして前世……翠くんがこんな形で登場するなんて!
花さんの才能には恐れ入ります……

やっとティンクちゃん見ることができました!
可愛い……ツインテールいいですね(><。) いつか描いてみたい……

明日テストなのに何やってるんだろう自分(笑←
失礼しました♪

Re: おとぎ話のパロディー 〜こんな幼い死の世界〜 ( No.47 )
日時: 2011/12/08 17:14
名前: 春野花 ◆tZ.06F0pSY (ID: S78i8iJk)
参照: http://loda.jp/kakiko/?mode

 おー、テストお疲れ様です先輩!!w

吸血鬼♪ なんか最近下書きと全く違う方向に進んでて焦ってたんですけど戻ってきたんで一安心ですww  あ、情緒不安定、分かります☆『狂い』は大好きですから☆

 はい、前世は散々なものでございます☆((テンションたけぇ  翠はですねぇ・・・。まぁ、あやのの妹だし守りたい!!って一心で行動をしている故に光李に期待させちゃう罪な男ですww  年下にさんつけること無いですよww 『花ちゃん』呼びしてくれたら・・・。よーちゃん呼びしまs((殴

 見れました?良かったです。。。 可愛いですか///ありがとうございます/// やはりよーちゃん((殴 には敵いませんが頑張ってます☆字が汚いのは気にしないで下さい・・・///

 どうでもいいかもしれませんがティンクのツインテールはエリスちゃんの真似です。 大好きですからねww か、描いてくれちゃうなら泣いて喜んで自分の下手さに泣きますww

 ああ、長くなってしまった・・・。コメント、ありがとうございました!!!!!

Re: おとぎ話のパロディー 〜こんな幼い死の世界〜 ( No.48 )
日時: 2011/12/08 17:58
名前: 春野花 ◆tZ.06F0pSY (ID: S78i8iJk)
参照: http://loda.jp/kakiko/?mode

 エリスは知らない。お母さんがどれだけ女の子を欲しがっていたか。


可愛いドレス。 きらきらのピン、ぼんぼりの付いたヘアゴム。 綺麗なくし。


どれも俺には当てはまらないんだ。お母さんは心のどこかで俺を邪魔だって言ってた。 幼い日の俺も何となく理解していた。

 其れなのに女の子が生まれてしまって。俺はますます要らない子ども。お父さんは仕事に忙しかった。



               誰も俺を見ていない———。


そう思っていた。ずっと、小さい時から。だけど俺よりも小さい妹は俺の後をついて歩いた。

 『エリス?』 呼べば無邪気な笑顔で俺に抱きついた。 『にぃにー!』って。  他でもない、俺を呼びながら。





  誰よりも愛しかった。 誰よりも、愛して欲しかった。




 エリスはいつの間にか10歳になった。俺は15歳。

『にーに、一輪車できるようになったのぉ!見てぇ?!』

俺には眩しいくらいのエリスの笑顔。 ————俺があの時、車が来ていないか確認していれば。

 





 お父さんが、向こうから帰ってきたのに気付いていれば。






『エリス危ないッ!!』





お父さんはきっと死なないで済んだ。


エリスに、絶望した顔をさせずに済んだ。


お母さんを壊さないで済んだ。









 2年後に死ぬ運命さえ変えられたのかもしれない・・・。







『うるさいッ!!!』

叫んでエリスに刃物を向けた母親。咄嗟に俺は、母親に包丁を刺した。





 白い白い壁に音を立てて飛び散る紅い紅い———




 自分の手には、証拠が収まっていた。




もう、どうしようもなかった。頭が真っ白になりそうだった。其れでも脳は必死にコトを理解しようとして。





俺が、殺した。 俺がこの包丁を紅くした?




何故こんなにも安易に刺さってしまうのだろう。人間は、なんて脆いんだ。 エリスの悲鳴が耳をつんざいて俺はパニックになった。





どうしよう、俺・・・っ       人を・・・・?誰よりも自分に近い人間を・・・・っ!!?





これからどうしたらいいんだよ。俺はまだ働けない。お母さんが貯金などしているはずも無い。






どうしようドウシヨウ如何しようどうし様どウしよウ






「ぁ、ぁああぁあぁあぁぁあ・・・!! ぅぁぁああぁあぁあぁぁああぁ!!!!!!!!」

俺はそのまま手に持っていた包丁を自分の腹部に突き刺した。 罪の無いエリスなら何とかなるだろうと思った。

 噴き出る——が自分の最期を告げる。  よく自分に全力で刃物を刺せるな・・・。

 
 自分でそんな事を考えた時。エリスの手が俺の手から包丁を奪った。





霞む目の前で見えたもの。



 それは、エリスの口からアカい——が溢れ出している光景。


目線を下げると、やはりエリスも俺と同じように手を紅く染めていた。





「に・・にー・・・大、・・・き・・・よぉ・・・。」

エリスは弱く手を伸ばして俺を求めた。抜けていく力を何とか集めて俺はエリスに寄り添った。


キッチンは滅茶苦茶だった。



だんだん黒ずんだアカになって行く真っ白だった壁。 大嫌いなキッチンにもサヨナラだ。


 

 いつも母親がいた気味の悪い白を浮かべるキッチンにも、サヨナラ。



「エ・・ス・・・・愛・・・てる・・・。」













無力で淡い2人の兄妹。2人の何千回目かの人生は最悪の色に塗られて幕を閉じたのでした————。





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