複雑・ファジー小説
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- PKK 【 今作品初のおにゃのこ登場ッ 】
- 日時: 2012/04/17 21:47
- 名前: ゆn ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)
あのオンラインゲームには、最強のPKKがいる。
そんな噂がゲームマニア達の間で長期になって話題となっていた頃、一つのオンラインゲームが表舞台にも現れた。
ユーザーの大多数——ほぼ全員——が“ネット中毒者”となる、死のゲーム。
【Paranormal ability world】
能力や、スキルを行使するだけの普通のオンラインゲーム。
パソコン以外からも接続できる、ただのオンラインゲーム“だった”。
◆オリキャラ募集します!「>>009」にて募集中ですっ!
◆挨拶
二度目ましてっ。三度目まして以上の方も二度目ましてっ。
ゆnといいます。初心者ですのでお手柔らかに(苦笑)
◆プレーヤー(敬称略)
‡ 茜崎あんず
‡ 狒牙
‡ 代々木
◆PKK
殆どの方が知らないと思いますので、説明を。
本文中にも出すつもりなのですので^^
PKK【Player Killer Killer】(Player Killer Killing)
▼ 文中の用語
Player Killing
別のプレイヤーのキャラクターを殺そうとするキャラクター(PK)を専門に殺すこと。
また、そのようなことをするプレイヤーやキャラクター。
別のプレイヤーのキャラクターを襲って殺してしまう行為やキャラクターを「PK」(Player Killing あるいは Player Killer)と呼び、一般的なプレイヤーにとっては迷惑な存在である。
PKを働くキャラクターを専門に殺そうとするキャラクターをPKKという。
◆利用規約
1 ‡ 荒らし、チェンメはやめて下さい。
2 ‡ コメント、アドバイス頂けましたら剣とともに舞います。
◆××××
第零幕『伝説のPKK』
「>>001」
第一幕『新パーティ』 一章『出会い』
一話
「>>002」「>>008」「>>015」「>>016」「>>017」
二話
「>>019」
◇【Paranormal ability world】参加者
「>>010」⇒茜崎あんずs
@ゴーデンバーグ=フロライン
@ユーヤ
「>>011」⇒狒牙s
@昼子或人
「>>013」⇒代々木s
@ヨヨ
◆履歴
2012/04/08 − Game Start
2012/04/10 − 100 − 3
- Re: PKK 【PKKとは? って人のために、詳細のせましたー】 ( No.1 )
- 日時: 2012/04/08 17:30
- 名前: ゆn ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)
第零幕
「いやああああああああああああ!!」
【Paranormal ability world】に、女のプレーヤーの悲鳴が響く。悲鳴を聞いたほかのプレーヤーは腐るほどいた。だが、助けようとするプレーヤーは一人として現れない。理由は簡単だ。『対戦相手がPKとなるから』誰も、彼女を助けにいこうとしない。
PKには、近寄るな。何があっても戦おうとするな。その二つが、このオンラインゲームをやっているプレーヤー達の決まりごとだった。
PKに捕まり、ギル——ゲーム内の資金——を取られたり精神的外傷を深く、深く刻み込まれれば、二度とこのゲームをすることが出来なくなるのを、彼らは知っていたのだ。
「いや〜、だってよ」
下卑(げび)た笑いを辺りに響かせる。体中にタトゥーを付ける様に設定し、体も他のプレーヤーより一回り二回り大きな筋肉質なものになっている。白色の奴がいれば黒色もいる。見るからに“悪党”の顔をした男達が女を囲んでいた。
女の職業は、服装から見て旅人。もしくは、聖人。重苦しい盾や、傷つけるための剣などの武器類、防具類を持っていないのが、その証拠だった。このゲームのPKは、武器を持たない女プレーヤーや、自分達よりも弱い男プレーヤーを狙い、悪事を働く。
「はははは! どんなにお前が泣いたってなぁ、だぁれも助けに来ないんだよ!」
一人がそう言うと、取り囲む男達も大きく「はははは」と笑う。『誰も助けに来ない』が、決め手になったのだろう。女は項垂れて、流れてくる仮想の涙で目を潤ませ、頬を濡らしていた。
その様子を見ながら、男達は女の装備品やギル、レアアイテムを取っていく。全ての感覚がリアルに伝えられるこのゲームは、PKにとっては最高のもので、PKに捕まった人間にとっては最悪のものであった。美しい白色の肌を嘗(な)める様に、男達は見ていく。
それはまるで——
「……貴様らは煩悩の塊か」
ハスキーな重低音が、PKたちの耳に入る。そのままの状態で動きを止めるPKたちを、とあるプレーヤーは見下すように見る。顔の下半分を、特殊な防具で覆ったプレーヤーの目は、紅(あか)に輝きPKたちの顔を、容姿を、犠牲になっているプレーヤーを記憶していた。
「……俺の縄張りを貴様らのような下衆に荒らされる気は毛頭ない」
プレーヤーが踏み出した一歩に反応し、PKたちも振り返り立ち上がる。次々と武器を取り出して、攻撃を繰り出す。だが、PKたちは何もされていないのにも拘らず一人、また一人と意識を失いその場に倒れていった。
「……貴様、動けるか。ギルはどれほど取られた。取られたアイテムがあれば言え」
「あ……え……?」
彼女は、何が起きたのか分からないでいた。
自分の目の前にいたはずの屈強な男達が、一瞬で目の前のプレーヤーに倒されたのだ。プレーヤーは、たった一歩で目の前に来たように滑らかだった。最初から男達が存在していなかったような……そんな錯覚を浮かばせた。
「取り敢えず、俺のギルを渡しておく。あと貴様はもう街に戻れ。アイテムも渡しておく」
女に自分の持つ下級アイテムを渡して立ち上がる。
プレーヤーは手に持つ二つの剣を、仮想の太陽にきらめかしながら立ち去る。
背中に飛ばされた「アイツ! 伝説のPKKだよ!!」という歓喜の叫びと悲嘆の叫びを受け止めながら、PKKプレーヤーは初級ダンジョンを出て行った。
- Re: PKK 【Paranormal ability world】 ( No.2 )
- 日時: 2012/04/08 22:51
- 名前: ゆn ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)
第一幕 一章
「おかえりぃ旦那ァ」
中級ギルド<<半月>>へと吸い込まれていった先で聞いたのは、何時もと変わらないオカマのギルドオーナーへの挨拶は省略して、奥にある個室へと進む。歩いている途中にも「お疲れー」「よっ、久しぶり〜」と声を掛けられたが一切として返事をすることはしなかった。
だが、それで気分を悪くする輩も喧嘩腰になる輩もいないのは、彼を尊敬しているからなのかもしれない。
「おかえり。GM(ジーエム)」
薄い藤色をした短いボブの髪が印象的で、男にも女にも見える中性的な人間。GMと呼ばれたPKKプレーヤーは、その嬉しそうな声色に抑揚一つもつけずに返事をする。
彼は、ゲームマスターではない。ハンドルネームをつけなかった、所謂、名無しの権兵衛だ。そのため、ユーザー達は『名も無き覇者』や『鬼人』など好きなように呼んでいた。
「GM、っていうのは僕がちょっと嫌かなぁ……。あ! そう言えば君って目ェ赤いよね!?
それじゃぁ、君のハンドルネームさ、レンゴクで良いんじゃない?」
「……貴様の意見には、反対する理由が見つからないな。楠(くすのき)」
目を輝かせ、ニコニコしながら言う楠にレンゴクは、どうでもいいという風に、まるで他人事のように軽くあしらう。レンゴクの返答は、一見すると批判調にも聞こえるが、それは語意の差異であった。
その批判調の口調でなければ、<<半月>>のメンバーは驚き動揺することだろう。
金色の椅子に腰を下ろしていた楠が、一瞬にして真剣な表情をレンゴクに向ける。レンゴクを睨みつけるような視線に、レンゴクがひるむ様子を見せることは無い。ただ、感情が無いまま光る赤色の瞳がお菓子のおまけのように、顔に付いているだけだった。
「レンゴク。僕がレンゴクにあげた、ガーディアンの欠片、何処にやったの?」
ガーディアンの欠片は、中級エリアの中の難易度が高いところにある、『漆黒の騎士』と呼ばれるエリア内でしか手に入らないレアアイテムだった。ガーディアンを見つけることは容易だが、そのガーディアンのチートさから、レアアイテムとして管理側から決められている。それに出現させるには幾つかの条件が必要なのだ。
「……其れか。PKから助けた女プレーヤーにやった。手持ちのギルもアイテムも装備品も、全てといっていいほど取られていたからな」
ため息混じりに言うレンゴクの頬を殴りたい衝動に、楠は駆られた。だが、実行に移したところで返り討ちにあうことは明白だった。レンゴクのレベルは、最高999のところ938レベル。629レベルの楠には、敵わないレベルだった。
「別に? また取りに行くだけさ。好きなだけあげれば良いじゃないかっ! 折角レンゴクの為に採りに行ったのに!」
現実空間のように泣き出す楠に、一瞬ではあったがレンゴクはたじろいだ。自分のせいで、人を泣かせたことが今まで一度も無かったのだ。声を掛けようと振り向こうとしたとき「レンゴクの馬鹿馬鹿馬鹿!!」と、楠の声がしたかと思えば、扉が強く閉まる音がする。
「……お姫様は癇癪持ち、か?」
扉を見つめるレンゴクの疑問は、宙へと消えた。