複雑・ファジー小説

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ハラワタ共同体。
日時: 2012/05/07 18:32
名前: 緑川 蓮 ◆jNZRGbhN7g (ID: U.L93BRt)

はじめまして、緑川蓮といいます。
この小説の、最後までお付き合いいただければうれしいです。

5がつ6にち
ちょっと読みやすくしてみました。

>>1 >>2 >>3 >>4 >>7 >>8 >>9 >>12 >>16 >>17 >>22 >>23

Re: ハラワタ共同体。 ( No.13 )
日時: 2012/05/04 10:29
名前: 朝倉疾風 (ID: 2WH8DHxb)
参照: http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/



整形して犯人が逃走を図るケースは誰もが知っている
ケースだけれど、それを知らない掌くんはやっぱり、
少しだけ世間からズレていて、けれどそれを素直に
なるほどと言える子だから、案外可愛い性格なのかも
と思ったり。

網代くんはあまり気にしない人、というかそういう人が
本来もっともっと増えるべきなのでしょうけれど。
掌くんも楽でいられるんでしょうね。
いちいちギョッとされなくて済むのですから。

メダマちゃんはふたりのやりとりを聞いて、何を
思っていたのでしょう。
特に興味もなかったのかもしれません。
けれど彼女の包帯も、初対面の人から見れば視線を引く
と思うので、網代くんの言葉を聞きながら、「ほへえ」
くらいには思っていたのでしょうか。

なんとなく網代くんとメダマちゃんは仲良くなれそうな
気もするのだけれど、メダマちゃんがすねているとしたら
少し難しいことなのかもしれません。

網代くんの憧れている刑事さん、出てくるかしら。
命を救われた、ということはそれなりに過酷な過去でも
あったのかしらと、ひとり想像しています。

ほう、殺人事件が起きていて、それを網代くんが調査
するためにここにやってきたと。
まだその殺人事件がどんなものか詳しく書かれては
いないけれど、掌くんたちも関係性があるのでしょうか。

尾行していたのは綾ちゃんでしょうか。
網代くん、よく周囲を観察しているのね。
そして家の方向まで知っているなんてさすがです。

綾ちゃんは尾行していたわけだけれど、メダマちゃんの
存在をどう思っているのでしょう。
嫉妬心バリバリで、それをメダマちゃんが完全スルー
してくれれば面白いのです。るん。

Re: ハラワタ共同体。 ( No.14 )
日時: 2012/05/04 11:43
名前: 霧雨 (ID: .HkLA/wn)

気になって来ました。

霧雨BARNAです。

話がすごく面白かったよ。

これからも頑張ってね。

Re: ハラワタ共同体。 ( No.15 )
日時: 2012/05/04 14:11
名前: 緑川 蓮 ◆jNZRGbhN7g (ID: U.L93BRt)

朝倉師匠
掌は、素直で純粋で無垢です。
「イノセントほど こわいものは ないのに」

そういう人がもっと増えてしまったら、
きっとお化け屋敷は閑古鳥が鳴いてしまいますね。

網代君の過去は、それなりに人並みはずれていたようです。
小学校二年生で事件解決って、どういうことなの。

殺人事件、怖いです。
掌たちに関連がありそうでない、
でもやっぱりちょっと関連がある殺人事件。
ラー油みたいに言ってみました。

さすが探偵、観察力があります。
素人が尾行したって、すぐに見抜かれちゃう。

嫉妬心バリバリダー。恋の炎がモエルーワ。



霧雨 さん
コメントありがとうございます。
ありがとうございます。これからもがんばらせていただきます。

ハラワタ共同体。 ( No.16 )
日時: 2012/05/04 15:19
名前: 緑川 蓮 ◆jNZRGbhN7g (ID: U.L93BRt)




「どう、当たってる?」「さっきから、何よ、あんた。乙女のプライバシー踏みにじってそんなに楽しい?」「そんなつもりはないんだけどな」「悪意の無い悪意が一番性質悪いのよ」。

 なんなんだ、こいつは。網代は相変わらずにこにこと笑みを絶やさない。それが余計に腹が立って、悔しい。ああ、最悪だ。明日言いふらされたりしたらどうしよう。もう学校に行けないかもしれない。というか、行きたくない。こいつに会いたくない。
 あ、やばい。泣きそう。目頭が熱くなって、目が潤んできたのがわかる。雫がのぼってくる。ダメだ、こんなやつの前で、絶対に泣いてやるものか。ていうか、全然泣きそうなんかじゃないし。泣きそうになんて、なってないし。
 私は後ろに振り向いた。目から汗を流しているところを、誰かに見せたくない。ましてや、こいつの前で。

「あれ、どうしたの?」「帰るのよ。知ってるんでしょ、私の家が反対側だって」やばい。自分でも今、声が震えているのが判った。「最近この辺りじゃ、殺人事件が起こってるんだってさ」「知ってる」「危ないから、送っていこうか?」「いらない」声の震えを悟られないように、少し投げやりに言った。「おれは少し話があるんだけどな」「私は無い」「いや、君自身の話」鬱陶しい。どうでもいいから、早くこの場を去りたい。「いいから、早く帰らせてよ」「そう、残念だな。折角君と美波君が仲良くなる方法を思いついたのに」。

一瞬、反応してしまった自分が悔しかった。美波君と、仲良くなれる方法。彼の視界に入る方法。つまり、彼に好きになってもらえる方法。
一瞬、私と美波君が仲良くこのあぜ道を歩いている光景が浮かんだ。その妄想の中で、私のとりとめもない話を、美波君はにこにこと聞いていた。目から雫がこぼれたまま、口元がにやけてしまっているのがわかった。その時の私は、きっとよっぽど間抜けな顔をしていたに違いない。
 でも、騙されちゃダメだ。ましてや相手は、今日私たちの学校に来たばっかりで、その癖に私の秘密を見抜いた、無礼者。そんなやつを信用するなんて、とても出来ない。何か魂胆があるに決まっている。

「いらない」「そう。わかったよ」。

 網代の反応は、割とあっさりしていた。あれ、そんな簡単に引き下がってしまうの。何か狙いがあったんじゃないの。肩透かしを食らったような気分で、どうにも腑に落ちない。私の腹の中に、もやもやとした霧がかかり始めてきた。でも今更、やっぱり教えてください、なんて言えるわけもない。そんなのみじめ過ぎる。

「じゃあ、僕も帰るよ。帰り道、気を付けてね」「余計なお世話よ」「まあ、たぶん今日は殺人犯には出くわさないと思うけど」「え、何か言った?」「何も。それじゃあね」。

 網代は笑顔で会釈すると、森の前の道を行ってしまった。一度も私のほうを振り返ろうとはしなかった。あいつは一体なんなんだ。全てが釈然としなかった。
 そういえば、言い忘れていた。

「さっきの、皆に言いふらしたら許さないからね!」。

 網代はこちらを振り向かないまま、ひらひらと軽く手を振っただけだった。凄く不安だ。



   ♪



 僕と目玉が一番最初に会った時の記憶は、無い。物心ついたときには既に、よく一緒に遊んだりしていた。僕の母さんとメダマの母さんは親友だった。だから家族ぐるみの付き合いをしていたのだ。
 小さいころのメダマは活発な性格で、いつも笑っていた。それは僕も同じだったと思う。
都会の、ちいさな公園の大きな木の下のベンチの上に立っていた。セミがいたから素手で捕らえようとしたら、逃げられて、セミにおしっこをかけられた。メダマは笑っていた。僕は最初納得いかなくて怒っていたけど、あんまりメダマが笑うものだから、そのうち僕もおかしくなってきて、笑った。
ずっとずっと前の夏。木漏れ日の下で、笑って、笑って、笑っていた。

「あ」。

 電柱に、アブラゼミが留まっているのを見付けた。セミは僕の身長よりも少し高いくらいの位置にいるので、手を伸ばせば簡単に捕まえられるだろう。
一歩近づいてみる。セミは僕などお構いなしに鳴きまくっている。こんな小さな体から、よくこんなに大きな声を出せるなあと思う。だから一週間したら死んでしまうのだろうか。
もう一歩近づいてみる。セミは微動だにしない。たぶん僕に気づいていないんだろうな、と思った。
メダマは何も言わずに、ただじっとセミに近づく僕のほうを見ていた。
更に一歩近づいてみる。ここで、セミがゆっくりと、ばれないように動いているのに気づいた。足が小さいから、近づくまで動いているのに気づかなかったのだ。
もう一歩近づいて、とうとう手を伸ばせば届く位置にまで来た。そのとき、ぴたっとセミの動きが止まった。
僕とセミとの間に、張り詰めた緊張感が走る。少し前にテレビで見た時代劇を思い出した。今まさに僕とセミは刀を抜いた侍で、一瞬でも気を抜いたほうが負ける。
ばれないようにゆっくりと、セミに手を近づけていく。
そのまま、動かないでね、セミさん。あと二十センチ、あと十九センチ。
その時だった。
セミの足が動いて、思わず僕はそれに反応してしまった。ぎくりと全身が硬直して、その隙にセミは飛び立ってしまう。
何か飛沫のようなものがかかった。それは、セミのおしっこだった。

「あぁ、行っちゃった」。

 セミは森のほうへ飛んでいって、姿を隠してしまった。僕の完敗だった。
メダマは表情を変えないで、ただじっと僕のほうを見ていた。


ハラワタ共同体。 ( No.17 )
日時: 2012/05/05 15:40
名前: 緑川 蓮 ◆jNZRGbhN7g (ID: U.L93BRt)




 目の前で大人の人たちにメダマちゃんがさらわれた。抱きかかえられて、あっという間に。
大人の人たちにつかみかかろうとしたら簡単に跳ね除けられてしまった。悔しくて、大人の一人の足に噛み付いた。景色がぐるんと回った。蹴り飛ばされた。前歯が一本折れた。メダマちゃんごと、乱暴に白いバンの車に投げ込まれた。
大人たちが僕らを縄で縛ろうとするので、めちゃくちゃに暴れてやった。そうしたら、足をナイフで思いっきり刺された。気絶することは出来なかった。叫ぼうとしたら大きな手で口を塞がれた。口を塞がれて、涙と一緒になって、きっと僕の顔はもみくちゃになっていただろう。手と足を縛られて、口にガムテープを貼られて、押し倒された。
倒れた先に、メダマちゃんの顔があった。メダマちゃんは細かく震えていた。それでも無理に笑って、メダマちゃんは僕に言った。

「大丈夫だよ」。



   ♪



 ふと、白いバンが通り過ぎるのを見てしまったのがいけなかった。家の前で思い切り胃液をぶちまけてしまった。ちくしょう、気分は最悪だ。
嗚咽が止まらない。呼吸が苦しくなる。胸の辺りを見えない板で強く押されているようだ。その内に立っていることすらできなくなって、道端にうずくまる。幸い僕の家の周りは他の家すら見当たらないので、誰も見ている人はいないはずだ。
メダマは僕の顔を覗き込んでいる。相変わらず表情はほとんど変わらないけど、それでも心配してくれているのがわかる。
あの時、僕は何もできなかった。だから、今度は絶対に、守らなくちゃ。だから、くだらないことでメダマに心配かけるわけにはいかないと思った。

「大丈夫だよ」。

僕はメダマに言った。心なしか、メダマの表情が少し緩んだような気がした。
 事件の後から、メダマは途端に喋らなくなって、滅多に表情を変えなくなった。
それから、左目を隠すように包帯を巻くようになった。いつも白いワンピースを着るようになった。学校にも行かなくなった。
僕も、学校に行かないことが増えた。それから今みたいに、少しでもあの事件を連想させるものを見ると、心が死にそうになる。
事件の直後よりはマシになったのかもしれないけれど。あのころは、事件のことを思い出すたびに狂いだして、顔を掻き毟ったり、果物ナイフで手術の痕を刺していたそうだ。
小学校でもそんなことが何度か起こるうち、誰も僕に近寄ろうとはしなくなった。
転校した先でも事件のことは知られていた。何より皆はこんな顔の僕を避けるから、どこにも居場所は無かった。
それでもメダマは、ずっと一緒に居てくれている。メダマだけは、僕から離れようとしなかった。
メダマ、ありがとう。
どういたしまして。メダマがそう言った気がした。
 ようやく立てるようになってきた。ふらふらと、なんとか立ち上がって玄関のほうへ向かう。足取りがおぼついていないことが、自分でもわかった。
ポケットから取り出した鍵を、鍵に差し込む。鍵を回すと、手ごたえが無かった。
あれ、母さん、今日は仕事が無いのだろうか。朝はそんなこと言ってなかったように思うけど。

「ただいま」。

ドアを開けて家の中に足を踏み入れる。家の中の灯りはついていない。おかしいな、やっぱり帰ってきていないみたいだ。
家の中の様子を不審に思った、その、とき

靴棚の陰から、知らない男の人が、ナイフを持って、僕に向かってきた。

『それはね、最近この町で何件か殺人事件が起きてるだろ?』。

不意に、そんなことを網代が言ってたのを思い出した。



   ♪



 日中、この家に人がいないことは知っていた。この家は母子家庭で、母親は日中仕事に出ていて、息子は学校に行っていて、いない。
それでいて、何も無い場所ではあるけど、こんな家に住んでいるのだからある程度の蓄えがあることも予想がついた。
だからこの家を狙ったのだ。
ピッキングは上手くいった。簡単に鍵をこじ開けて、家に上がって、まず真っ先に探したのはタンスだった。しかし、タンスを開けても衣類ばかりで、目当てのものは見つからない。
その後しばらく家の中を漁って回った。しかし、どこにも無い。もしやと思って玄関のほうへ向かう。
靴を並べてある棚に、ひとつだけ靴の箱があった。それを取って蓋を開けると、はたして、その中には小さな金庫があった。大当たりだった。
金庫には小さなダイヤル式の鍵がついていたので、無理やり壊して開けた。中には判子と通帳が入っていた。しめた、これを持って早く逃げてしまおう。
そう思ったときだった。外から、人間がものを吐くときのような不快な音が聞こえた。
あわてて靴棚の陰に身を隠す。息を潜めて様子を伺う。心臓の音がうるさい。
落ち着け、誰かが帰ってきたとしても、どうせ女かひ弱そうな子供のどちらかだ。この家の中に入ったのが俺だという証拠は、何一つ残していない。
しばらく音沙汰が無い。それでも警戒し続けていると、案の定、がちゃ、と鍵穴が鳴る音がした。
大丈夫だ。入ってきた奴を殺せば万事解決する。そう思った。
ドアが開いた。俺は物陰でナイフを握り締める。

「ただいま」。

声で、帰ってきたのは息子のほうだとわかった。
物陰から飛び出して、少年にナイフを突き立てた。



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